52 / 113
大量のスキル
しおりを挟む
「はあはあ……終わったのか?」
最初のレッドサンドラゴンが一番強く、後のドラゴンは全てそれほど強くはなかった。
天業竜ではなく、オーラの子孫から更に分岐した、プライドの高い天業竜が言う所謂【野良竜】だ。
気付けば俺の魔力は底を着き、辺りにはおびただしい数のドラゴンが倒れていた。
やった。ついに終わったんだ。
「マリー! これでいいんだろう? 結局俺に何をさせたかったんだ!」
どこかで見ているマリーに向かって叫ぶ。
もう俺には体を動かす気力もなかった。
地面に寝転がると、汗と日差しが気持ち良い。
ドラゴンの血が臭うのは最悪だが。
「お疲れ様、これでも飲んで一息つきなさい。何をやらせたかったかは……きっと、ステータスを見れば分かるわ」
寝転がる俺の側に立っていたマリーから水筒の水を貰う。
例えドラゴンでも生命維持に水は不可欠なのだ。多分。
一息ついた後、言われた通りにステータス画面を開いてみる。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
ヒトゥリ
種族:メタ・イヴィルドラゴン
称号:孤独な者 群れの主 勇者喰い
ユニークスキル:天業合成 異界之瞳 飛躍推理
スキル:竜魔術 爪牙技 剣技 魔工熟練 棒技 はめ込み 消音 欲望の繭 腐食魔法 静電気 湿潤魔術 土耐性 半竜化 魔力操作 属性魔法・火水風土 魔力返還 魔力吸収 無詠唱
―――――――――――――――――――――――――――――――――
何か色々増えてる……。
マリーが言っていた『魔力操作』が追加されてるし、これを取得させたかったんだよな。
どういう原理で習得できたのか分からないけど。
「どういう事……?」
確認するためマリーの方を見ると、マリーも驚いていた。
手に持った瓶から察するに、例の他人のステータスを見れる薬を服用したのだろう。
「なんで驚いてるんだよ。俺がスキルを習得するのは、予測していた事じゃないのか?」
「私の予想では、魔力が尽きた状態で習得できるのは『魔力操作』だけのはず……。それが何でこんなに多くのスキルを?」
尋ねると、マリーは俺の隣に座りこんで考え始めた。
しばらくの間空を見つめて待っていると、ようやくマリーが手を叩いた。
「うん、納得したわ。あのね。普通はこんな短期間で大量のスキルを習得する事はないの。私の予想では『魔力操作』と、あっても『属性魔法』のどれか1つくらいだと思っていたのよ」
「確かに俺も驚いてるけど、こんなに長い間必死に戦ったのは初めてだからな。そういう物だと思ったぞ」
「ええ、本当ならこんな大量のスキル習得はあり得ないの。だから仮説を立てたわ。『魔力操作』を習得した事によって、体内に貯蓄されていた魔力がスキルの習得に使われるようになった、って感じね。スキルの習得も消失と同じ様に、長い時間を掛けて世界から送られた魔力がスキルに変化するのだけれど、その工程を余剰魔力が綺麗にカットしてくれたと考えられるわ」
合成によって消費されたスキルが魔力になって、その魔力がまたスキルになるのか……?
効率が良いのか悪いのか、分からないな。
少なくとも聞いた感じだとルルドピーンの『天業創造』の下位互換の気がする。
いやまあ、あいつのスキルと比べれば大抵の天業竜のスキルは下位互換になるらしいけど。
「あまり凄さが分かっていないようだから言うけど、スキル習得の大元は世界そのものからの供給よ。貴方はそれを魔力として貯蓄できる。そしてその魔力を使って更に世界からスキルを持ってきて合成して、余剰分を魔力にできる。理論上ほぼ無限に魔力を貯蓄できるのよ、貴方は」
俺の微妙な表情に気付いたのか、マリーが説明を付け足す。
理論上ね。
大抵の場合では理論上というのは、何か重要な要素を見落としている物だ。
そんな考えを悟られないように、冗談めかして言葉を返す。
「それは凄い。俺は永久機関だったのか?」
「そうよ。まあそんな事したら、飽和した魔力で体が保つか分からないけど」
やっぱりな。
しばらくするとドラゴン達が目を覚ましたので、俺は彼らの縄張りを荒らした事を謝り、マリーを乗せて王都に帰還した。
あのドラゴン達、マリーが鱗だの折れた牙だの色々採取していたのに気付いて怒ってないといいけど。
ちなみに習得したスキルの効果は『魔力操作』と『属性魔法』は知っての通りで、『魔力返還』は使った魔力の内の幾分かが戻ってくるスキルで、『魔力吸収』は周囲の魔力や攻撃に含まれている魔力を吸収して自分の魔力にするスキルで、『無詠唱』はスキルを持っていなくても魔法を詠唱無しで使えるスキルだった。
これってもしかして、既に魔力不足に困る様な事態にはならないんじゃないか?
結局、余剰魔力を使う事はなさそうだな……。
最初のレッドサンドラゴンが一番強く、後のドラゴンは全てそれほど強くはなかった。
天業竜ではなく、オーラの子孫から更に分岐した、プライドの高い天業竜が言う所謂【野良竜】だ。
気付けば俺の魔力は底を着き、辺りにはおびただしい数のドラゴンが倒れていた。
やった。ついに終わったんだ。
「マリー! これでいいんだろう? 結局俺に何をさせたかったんだ!」
どこかで見ているマリーに向かって叫ぶ。
もう俺には体を動かす気力もなかった。
地面に寝転がると、汗と日差しが気持ち良い。
ドラゴンの血が臭うのは最悪だが。
「お疲れ様、これでも飲んで一息つきなさい。何をやらせたかったかは……きっと、ステータスを見れば分かるわ」
寝転がる俺の側に立っていたマリーから水筒の水を貰う。
例えドラゴンでも生命維持に水は不可欠なのだ。多分。
一息ついた後、言われた通りにステータス画面を開いてみる。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
ヒトゥリ
種族:メタ・イヴィルドラゴン
称号:孤独な者 群れの主 勇者喰い
ユニークスキル:天業合成 異界之瞳 飛躍推理
スキル:竜魔術 爪牙技 剣技 魔工熟練 棒技 はめ込み 消音 欲望の繭 腐食魔法 静電気 湿潤魔術 土耐性 半竜化 魔力操作 属性魔法・火水風土 魔力返還 魔力吸収 無詠唱
―――――――――――――――――――――――――――――――――
何か色々増えてる……。
マリーが言っていた『魔力操作』が追加されてるし、これを取得させたかったんだよな。
どういう原理で習得できたのか分からないけど。
「どういう事……?」
確認するためマリーの方を見ると、マリーも驚いていた。
手に持った瓶から察するに、例の他人のステータスを見れる薬を服用したのだろう。
「なんで驚いてるんだよ。俺がスキルを習得するのは、予測していた事じゃないのか?」
「私の予想では、魔力が尽きた状態で習得できるのは『魔力操作』だけのはず……。それが何でこんなに多くのスキルを?」
尋ねると、マリーは俺の隣に座りこんで考え始めた。
しばらくの間空を見つめて待っていると、ようやくマリーが手を叩いた。
「うん、納得したわ。あのね。普通はこんな短期間で大量のスキルを習得する事はないの。私の予想では『魔力操作』と、あっても『属性魔法』のどれか1つくらいだと思っていたのよ」
「確かに俺も驚いてるけど、こんなに長い間必死に戦ったのは初めてだからな。そういう物だと思ったぞ」
「ええ、本当ならこんな大量のスキル習得はあり得ないの。だから仮説を立てたわ。『魔力操作』を習得した事によって、体内に貯蓄されていた魔力がスキルの習得に使われるようになった、って感じね。スキルの習得も消失と同じ様に、長い時間を掛けて世界から送られた魔力がスキルに変化するのだけれど、その工程を余剰魔力が綺麗にカットしてくれたと考えられるわ」
合成によって消費されたスキルが魔力になって、その魔力がまたスキルになるのか……?
効率が良いのか悪いのか、分からないな。
少なくとも聞いた感じだとルルドピーンの『天業創造』の下位互換の気がする。
いやまあ、あいつのスキルと比べれば大抵の天業竜のスキルは下位互換になるらしいけど。
「あまり凄さが分かっていないようだから言うけど、スキル習得の大元は世界そのものからの供給よ。貴方はそれを魔力として貯蓄できる。そしてその魔力を使って更に世界からスキルを持ってきて合成して、余剰分を魔力にできる。理論上ほぼ無限に魔力を貯蓄できるのよ、貴方は」
俺の微妙な表情に気付いたのか、マリーが説明を付け足す。
理論上ね。
大抵の場合では理論上というのは、何か重要な要素を見落としている物だ。
そんな考えを悟られないように、冗談めかして言葉を返す。
「それは凄い。俺は永久機関だったのか?」
「そうよ。まあそんな事したら、飽和した魔力で体が保つか分からないけど」
やっぱりな。
しばらくするとドラゴン達が目を覚ましたので、俺は彼らの縄張りを荒らした事を謝り、マリーを乗せて王都に帰還した。
あのドラゴン達、マリーが鱗だの折れた牙だの色々採取していたのに気付いて怒ってないといいけど。
ちなみに習得したスキルの効果は『魔力操作』と『属性魔法』は知っての通りで、『魔力返還』は使った魔力の内の幾分かが戻ってくるスキルで、『魔力吸収』は周囲の魔力や攻撃に含まれている魔力を吸収して自分の魔力にするスキルで、『無詠唱』はスキルを持っていなくても魔法を詠唱無しで使えるスキルだった。
これってもしかして、既に魔力不足に困る様な事態にはならないんじゃないか?
結局、余剰魔力を使う事はなさそうだな……。
0
お気に入りに追加
46
あなたにおすすめの小説

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。
アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。
両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。
両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。
テッドには、妹が3人いる。
両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。
このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。
そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。
その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。
両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。
両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…
両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが…
母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。
今日も依頼をこなして、家に帰るんだ!
この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。
お楽しみくださいね!
HOTランキング20位になりました。
皆さん、有り難う御座います。

無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました
かにくくり
ファンタジー
魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。
しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。
しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。
勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。
そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。
相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。
※小説家になろうにも掲載しています。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる