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第208話
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◆梅田香織 視点◆
期末テストは転校したばかりな上にタイミングが重なって新しいお仕事をいただいていたために勉強する時間があまり取れなかったので苦戦するかと思っていましたけれど、神坂兄妹を中心とした勉強会の恩恵で効率よくテスト範囲を復習できて、思いのほか良い手応えを感じられる状態で終えることができました。
テスト採点休暇が明け返却のための授業が始まる初日の朝、登校するといつものグループの方々が楽しそうにお話をされていました。
「ハルカ!
ウタリンを生で見るが楽しみですね!」
「そうだね。あたしもイベントへ行くとか今までなかったから楽しみだよ。
それにしても、あと2枚どうしようか?
やっぱり、お姉と美晴お姉を呼ぶ?」
「う~ん、姉さんは別にアニメも声優も好きというわけではないし、受験目前でそんな興味を持ってなさそうな遊びに誘うのは止めた方が良いのじゃないかな?
あと美晴さんも今はあまり人混みのある場所へ行って欲しくないから、本人が望むなら別だけど誘いたくはないかな」
「たしかに、そうだよね。でもそうすると他に誰か居るかなぁ・・・まぁ、最悪無駄にしちゃっても良いかな?」
会話を聞いていると、例の先行上映会イベントのチケットが当選して無事に確保できて楽しみということを話しつつ、余っているチケットをどうしようかという相談をされていました。
ローランさんはフランスでもアニメのイベントには参加したことがなく人生初のことで楽しみということですし、愛島唄を生で見ることができる事を楽しみにしているようですけれども、実際には何度も梅田香織を生で見ているのですよね・・・それはともかく、事情を知らないクラスメイトが楽しみにして見に来てくれるというのは前の学校の時にはなかった新鮮さを感じます。
以前の学校では既に声優活動をしていることが広く知られてしまっていたので、見に来てくれていてもコンテンツや声優愛島唄を見るのではなく、『友人梅田香織の仕事を見る』という感じで『義理で』とまでは言い難いものの純粋に愛島唄を見に来てくれている様には感じておりませんでしたが、わたくしの事を知らないのに眼の前で愛島唄のことを楽しみにしてくれているというのは今までよりも嬉しく思います。
もちろん転校早々わたくしが愛島唄であることを看破した春華さんも、知っていて黙っていてくださったりフォローしてくださることは感謝していますし、お人柄に対して好意的に思っておりますけれども、どちらかと言えば前の学校の友人達に近い感覚になってしまいます。
結局チケットについては、その場では結論どころか方向性すら出ずに終わりました。
お昼休みになり、たまには学食へ行こうという話からわたくし達のグループのみんなで学食にてお昼ごはんを摂りながら雑談をしていて、その内の春華さん達がチケットの件について話をしてました。
「あのっ、突然すみません!
生徒会長達が余っているとお話されているのって・・・の先行上映会イベントのチケットではありませんか?」
春華さんと会話をしていた面々が話しかけられて、そのお相手は転校してきて知己が少ないわたくしは当然のこと他の方達も知らない女子生徒の様でした。
「うん、そうだよ」
「大変不躾なのですけど、その余っているという2枚のチケットをお譲りいただくことはできませんでしょうか?」
代表して春華さんが返答したところ譲って欲しいというお願いをされました。
「まぁ、こっちも宛てがなかったから譲るのは良いんだけど、落選しちゃったの?」
「いいえ、最初から申し込んでなかったんです。
抽選応募締め切りの後に藤堂佳さんの登壇が発表されたじゃないですか?」
「あー、とどけさん目当てだったのね」
「はい。更に言うと、兄の友人をお誘いしたいのですけど、その兄の友人が藤堂佳さんをお好きで、原作も好きな作品だから行きたかったって言ってて・・・その、誘うきっかけにできたら・・・と」
「なるほどなるほどぉ・・・えーと、あなたのお名前は?」
「1年の栗山優希です」
「優希ちゃんはそのお兄さんのお友達を誘いたいと・・・もちろん、ただの善意だけじゃないんだよね?」
「・・・はぃ」
「わかった。
・・・ってことらしいけど、2枚は優希ちゃんに譲っていいよね?」
栗山さんと話をされていた春華さんが他の参加者の了承をもらうために話を振ると・・・ここで話を聞いている全員が察しているであろう事の後押しのために譲って良いのではないかという雰囲気になっていて・・・各々首肯したり手で応諾のジェスチャーをしたりして満場一致でお譲りする流れになりました・・・わたくしは当日その場にはいない設定ですけど、むしろ壇上から見えてしまうのでドキドキしてしまいます。
「みんな良いってことで、じゃあ、発券したら渡すから、その時に代金と交換でいいかな?」
「はい!大丈夫です!ありがとうございます!」
その後、栗山さんは春華さんと連絡先を交換してその場を去っていかれました。わたくしとしても栗山さんの後押しをしてあげたいと思いました。
期末テストは転校したばかりな上にタイミングが重なって新しいお仕事をいただいていたために勉強する時間があまり取れなかったので苦戦するかと思っていましたけれど、神坂兄妹を中心とした勉強会の恩恵で効率よくテスト範囲を復習できて、思いのほか良い手応えを感じられる状態で終えることができました。
テスト採点休暇が明け返却のための授業が始まる初日の朝、登校するといつものグループの方々が楽しそうにお話をされていました。
「ハルカ!
ウタリンを生で見るが楽しみですね!」
「そうだね。あたしもイベントへ行くとか今までなかったから楽しみだよ。
それにしても、あと2枚どうしようか?
やっぱり、お姉と美晴お姉を呼ぶ?」
「う~ん、姉さんは別にアニメも声優も好きというわけではないし、受験目前でそんな興味を持ってなさそうな遊びに誘うのは止めた方が良いのじゃないかな?
あと美晴さんも今はあまり人混みのある場所へ行って欲しくないから、本人が望むなら別だけど誘いたくはないかな」
「たしかに、そうだよね。でもそうすると他に誰か居るかなぁ・・・まぁ、最悪無駄にしちゃっても良いかな?」
会話を聞いていると、例の先行上映会イベントのチケットが当選して無事に確保できて楽しみということを話しつつ、余っているチケットをどうしようかという相談をされていました。
ローランさんはフランスでもアニメのイベントには参加したことがなく人生初のことで楽しみということですし、愛島唄を生で見ることができる事を楽しみにしているようですけれども、実際には何度も梅田香織を生で見ているのですよね・・・それはともかく、事情を知らないクラスメイトが楽しみにして見に来てくれるというのは前の学校の時にはなかった新鮮さを感じます。
以前の学校では既に声優活動をしていることが広く知られてしまっていたので、見に来てくれていてもコンテンツや声優愛島唄を見るのではなく、『友人梅田香織の仕事を見る』という感じで『義理で』とまでは言い難いものの純粋に愛島唄を見に来てくれている様には感じておりませんでしたが、わたくしの事を知らないのに眼の前で愛島唄のことを楽しみにしてくれているというのは今までよりも嬉しく思います。
もちろん転校早々わたくしが愛島唄であることを看破した春華さんも、知っていて黙っていてくださったりフォローしてくださることは感謝していますし、お人柄に対して好意的に思っておりますけれども、どちらかと言えば前の学校の友人達に近い感覚になってしまいます。
結局チケットについては、その場では結論どころか方向性すら出ずに終わりました。
お昼休みになり、たまには学食へ行こうという話からわたくし達のグループのみんなで学食にてお昼ごはんを摂りながら雑談をしていて、その内の春華さん達がチケットの件について話をしてました。
「あのっ、突然すみません!
生徒会長達が余っているとお話されているのって・・・の先行上映会イベントのチケットではありませんか?」
春華さんと会話をしていた面々が話しかけられて、そのお相手は転校してきて知己が少ないわたくしは当然のこと他の方達も知らない女子生徒の様でした。
「うん、そうだよ」
「大変不躾なのですけど、その余っているという2枚のチケットをお譲りいただくことはできませんでしょうか?」
代表して春華さんが返答したところ譲って欲しいというお願いをされました。
「まぁ、こっちも宛てがなかったから譲るのは良いんだけど、落選しちゃったの?」
「いいえ、最初から申し込んでなかったんです。
抽選応募締め切りの後に藤堂佳さんの登壇が発表されたじゃないですか?」
「あー、とどけさん目当てだったのね」
「はい。更に言うと、兄の友人をお誘いしたいのですけど、その兄の友人が藤堂佳さんをお好きで、原作も好きな作品だから行きたかったって言ってて・・・その、誘うきっかけにできたら・・・と」
「なるほどなるほどぉ・・・えーと、あなたのお名前は?」
「1年の栗山優希です」
「優希ちゃんはそのお兄さんのお友達を誘いたいと・・・もちろん、ただの善意だけじゃないんだよね?」
「・・・はぃ」
「わかった。
・・・ってことらしいけど、2枚は優希ちゃんに譲っていいよね?」
栗山さんと話をされていた春華さんが他の参加者の了承をもらうために話を振ると・・・ここで話を聞いている全員が察しているであろう事の後押しのために譲って良いのではないかという雰囲気になっていて・・・各々首肯したり手で応諾のジェスチャーをしたりして満場一致でお譲りする流れになりました・・・わたくしは当日その場にはいない設定ですけど、むしろ壇上から見えてしまうのでドキドキしてしまいます。
「みんな良いってことで、じゃあ、発券したら渡すから、その時に代金と交換でいいかな?」
「はい!大丈夫です!ありがとうございます!」
その後、栗山さんは春華さんと連絡先を交換してその場を去っていかれました。わたくしとしても栗山さんの後押しをしてあげたいと思いました。
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