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第203話
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◆神坂春華 視点◆
月曜になって、お姉と美波ちゃんとあたしの3人で登校し、フユはいないけど、徐々にだけど以前の姿に戻ってきているように感じる。
昇降口でお姉と別れ美波ちゃんと教室へ入ると、良くも悪くも最近の日常が始まった。テスト前だからか部活動の朝練は禁止されていて普段よりは早い時間から生徒が多いし、雰囲気も試験勉強をしないといけないというものになっていて勉強をしているクラスメイトが多い。
始業のチャイムが鳴って高梨先生が教室へ入ってきていつもの通りSHRが終り、先生が退室するところで美波ちゃんが先生を呼び止めて話しかけていた。
「先生にお昼休み時間もらったんだけど、春華ちゃんは大丈夫?」
「何があるんですか?ミナミ」
戻ってきた美波ちゃんがあたしへの問い掛けてきたところにローラン君も興味を持ったみたいで、美波ちゃんへ質問を投げかけた。
「ごめんね、ローラン君。デリケートな話でおいそれと他の人に言えない相談なの。春華ちゃんは事情を知ってるから一緒に相談に乗ってもらっているけど、他の人には言えないの」
「ごめんなさい!そうと知らずに興味本位で聞いて申し訳ないです」
「いいんだよ。ローラン君が春華ちゃんの事を気にするのはわかるし、そうやって理解してすぐ引いてくれたら問題ないよ」
「ミナミ、気遣いありがとう」
すんなり解決してくれるのは良いんだけど、美波ちゃんはローラン君とあたしをくっつけようとしてないかな?
お昼休みになって美波ちゃんとふたりで高梨先生の元へ訪問した。
「先生、お時間を作っていただきありがとうございました」
「いいのですよ、二之宮さんのことならわたしも心配ですし、むしろ岸元さんが気にかけてくれていることが嬉しいです」
「そういう風に思ってもらえて嬉しいです。
それで凪沙さんのことなのですけど、一番心配なのがわたし達の前から姿を消してしまわないかということなのですけど・・・」
「それはわたしも心配です。実際、昨日は鷺ノ宮君のお姉さんの那奈さんを巻き込んでしまうことを恐れて、これ以上迷惑をかけたくないからと記憶喪失の状態を装って距離を置こうとしていましたし・・・今はまだ病院ですけど、退院して鷺ノ宮君のお姉さんが仕事へ出ている間に居なくなってしまうかもしれないと危惧してしまうのは不安になりますよね」
「そうなんです。だから凪沙さんにそんな事をさせないでも良いようにしてあげられないかなって・・・」
「つきっきりで一緒にいるわけにもいかないですし・・・」
「それが良いんじゃない?
美波ちゃんが二之宮さんと一緒に暮らせば解決しない?
美波ちゃんは高卒認定試験に合格しているから学校へ来なくても良くなっているし、美波ちゃん家なら美晴お姉の部屋を片付ければ部屋はできるし、小父さんも小母さんも事情を聞けば協力してくれると思うよ。
なんなら美晴お姉の荷物は神坂家のフユの部屋に持ってきちゃえばいいし、いっそのこと二人の家へ送っても良いんじゃないかな?」
「うーん、たしかにそれはできそうだけど、鷺ノ宮君のお姉さんはどうかな?」
「たしかに、今の親権者は鷺ノ宮君のお姉さんなんだから、あたし達がどうこう言っても始まらないか・・・」
「そうですね。那奈さんから許可をもらわないといけないですし、何よりも二之宮さんの気持ちを無視するわけにはいきませんね」
美波ちゃんも先生もあたしの思い付きについて一定の理解を示してくれたようだけど、当事者である二之宮さん達の意向がわからない以上はどうにもならない。
◆鷺ノ宮那奈 視点◆
職場には事情を説明してしばらくの間テレワークで勤務し続けることと、必要に応じて時間休を取得して良いと許可をもらい、週明けの最低限の業務だけ行なって病院へ向かった。昨日の時点で凪沙さんの記憶が戻り、怪我も大したことがないからということで、今日再度検査を行って異常がないならそのまま退院して良いということになっている。
もう少しで病院に到着すると言うところで病院から連絡があった・・・
『凪沙さんが病院から姿を消してしまった』と。
月曜になって、お姉と美波ちゃんとあたしの3人で登校し、フユはいないけど、徐々にだけど以前の姿に戻ってきているように感じる。
昇降口でお姉と別れ美波ちゃんと教室へ入ると、良くも悪くも最近の日常が始まった。テスト前だからか部活動の朝練は禁止されていて普段よりは早い時間から生徒が多いし、雰囲気も試験勉強をしないといけないというものになっていて勉強をしているクラスメイトが多い。
始業のチャイムが鳴って高梨先生が教室へ入ってきていつもの通りSHRが終り、先生が退室するところで美波ちゃんが先生を呼び止めて話しかけていた。
「先生にお昼休み時間もらったんだけど、春華ちゃんは大丈夫?」
「何があるんですか?ミナミ」
戻ってきた美波ちゃんがあたしへの問い掛けてきたところにローラン君も興味を持ったみたいで、美波ちゃんへ質問を投げかけた。
「ごめんね、ローラン君。デリケートな話でおいそれと他の人に言えない相談なの。春華ちゃんは事情を知ってるから一緒に相談に乗ってもらっているけど、他の人には言えないの」
「ごめんなさい!そうと知らずに興味本位で聞いて申し訳ないです」
「いいんだよ。ローラン君が春華ちゃんの事を気にするのはわかるし、そうやって理解してすぐ引いてくれたら問題ないよ」
「ミナミ、気遣いありがとう」
すんなり解決してくれるのは良いんだけど、美波ちゃんはローラン君とあたしをくっつけようとしてないかな?
お昼休みになって美波ちゃんとふたりで高梨先生の元へ訪問した。
「先生、お時間を作っていただきありがとうございました」
「いいのですよ、二之宮さんのことならわたしも心配ですし、むしろ岸元さんが気にかけてくれていることが嬉しいです」
「そういう風に思ってもらえて嬉しいです。
それで凪沙さんのことなのですけど、一番心配なのがわたし達の前から姿を消してしまわないかということなのですけど・・・」
「それはわたしも心配です。実際、昨日は鷺ノ宮君のお姉さんの那奈さんを巻き込んでしまうことを恐れて、これ以上迷惑をかけたくないからと記憶喪失の状態を装って距離を置こうとしていましたし・・・今はまだ病院ですけど、退院して鷺ノ宮君のお姉さんが仕事へ出ている間に居なくなってしまうかもしれないと危惧してしまうのは不安になりますよね」
「そうなんです。だから凪沙さんにそんな事をさせないでも良いようにしてあげられないかなって・・・」
「つきっきりで一緒にいるわけにもいかないですし・・・」
「それが良いんじゃない?
美波ちゃんが二之宮さんと一緒に暮らせば解決しない?
美波ちゃんは高卒認定試験に合格しているから学校へ来なくても良くなっているし、美波ちゃん家なら美晴お姉の部屋を片付ければ部屋はできるし、小父さんも小母さんも事情を聞けば協力してくれると思うよ。
なんなら美晴お姉の荷物は神坂家のフユの部屋に持ってきちゃえばいいし、いっそのこと二人の家へ送っても良いんじゃないかな?」
「うーん、たしかにそれはできそうだけど、鷺ノ宮君のお姉さんはどうかな?」
「たしかに、今の親権者は鷺ノ宮君のお姉さんなんだから、あたし達がどうこう言っても始まらないか・・・」
「そうですね。那奈さんから許可をもらわないといけないですし、何よりも二之宮さんの気持ちを無視するわけにはいきませんね」
美波ちゃんも先生もあたしの思い付きについて一定の理解を示してくれたようだけど、当事者である二之宮さん達の意向がわからない以上はどうにもならない。
◆鷺ノ宮那奈 視点◆
職場には事情を説明してしばらくの間テレワークで勤務し続けることと、必要に応じて時間休を取得して良いと許可をもらい、週明けの最低限の業務だけ行なって病院へ向かった。昨日の時点で凪沙さんの記憶が戻り、怪我も大したことがないからということで、今日再度検査を行って異常がないならそのまま退院して良いということになっている。
もう少しで病院に到着すると言うところで病院から連絡があった・・・
『凪沙さんが病院から姿を消してしまった』と。
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