193 / 252
第193話
しおりを挟む
◆江藤瞬 視点◆
どうも俺は惚れっぽい性格のようだ・・・転校初日に神坂春華さんに一目惚れして、そのすぐ後に出会った名も知らない大学生のお姉さんに心を奪われてしまった。
出会った時は酔っ払いに絡まれていたお姉さんは最初中学生と見間違えてしまったものの、さりげない気遣いや笑顔から醸し出される大人の雰囲気に惹かれ、懇意になりたいと思ってお姉さんの住むマンションの前をジョギングのコースにしたことがうまく噛み合って月曜にも会えて話すことができたけど、以降火水木の3日は空振りだった。
北海道にいた時は言っては失礼だけど周囲には野暮ったい女子しか居なくて、女子と付き合いたいと言っていた男子に対して『彼女なんか欲しいものか?』と思ったけど、魅力的だと思える人に出会ってからはその気持ちがよくわかる様になったし、更に言えば魅力的な人が何人もいたらあの人もこの人もという節操のない気持ちの動き方には我が事ながら呆れもした。
救いは一番はあのお姉さんで、あのお姉さんを好きになってから順序を付けて春華さんへの気持ちは抑えられている・・・とは言え、やっぱり春華さんも魅力的な人であることには間違いないし、もし付き合ってくれると言うなら付き合いたいと思うのは偽らざる気持ちで、自分が惚れっぽいオスザルなのだという自己嫌悪が押し寄せてくる。
秀優高校へ転校してからの2週目もあっという間に過ぎ去り、今日を終えればまた週末休みに入るという週の最後の登校日。
今日は珍しく梅田さんが話題を振ってきて、冬樹が休んでいる時にローラン達が見に行くと言っていたアニメのイベントに冬樹は行かないのか?と言う質問をし、その流れで俺にも行かないかと誘ってくれた。
ローラン達が最初にその話をしていた時はあのお姉さんの事を考えていたために話を聞き流していて行きたいと言わなかったから参加メンバーに入っていなかったけど、改めて誘ってもらえたのは素直に嬉しく、アニメのことはよくわからないものの友達と遊びに行くということに魅力を感じて参加したいと意思表示した。チケットが1人で4枚しか申し込めないらしく、元々参加することになっていた春華さん、ローラン、岸元さん、新谷で一枠が埋まってしまうので、別でチケットを申し込まないといけないということになり、冬樹と俺の分の2枚だけで申し込むのか他にも声を掛けるかという話になって、結局参加する人は決まってないけどとりあえずもう4枚で申し込んで、当選したらその時改めて誰かに声を掛ければ良いという話になった。
その候補には神坂兄妹の姉の夏菜先輩や岸元さんの大学生のお姉さんがいるという。
新谷が高2の俺らの中に大学生がひとり加わったらそのお姉さんは落ち着かなくないのではないかという疑問を口にしていたけど、妹の岸元さんだけでなく神坂姉弟妹の幼馴染みで仲が良いし、せっかく仲良くなった俺やローランや新谷を紹介する機会になるから良いのだと言っていた。
岸元さんはどこか陰りのある雰囲気があって同い年だけどやや年上に見える印象があるから、そのお姉さんとなるともっと大人っぽいのではないかと思ったけど、春華さんと岸元さんの話しぶりからすると俺ら高校生に混じっていても浮くことはない容貌の様だ。
放課後はトレーニングをしたい気持ちもあったけど、忙しくて中々参加できていなかった梅田さんが今日は参加するからとテスト向けの要点をまとめた講義を春華さんや新谷が行なってくれるということで、部室での勉強会に最後まで参加することにした。
勉強が目的ということがあって高梨先生も便宜を図ってくれて、下校時刻を夏の一番遅くまで居られる期間と同じ時間まで延長するように学校へ掛け合ってくれて2時間以上残って勉強できた。
進学校の生徒だけあって講師役をする面々はみんなわかりやすく説明してくれるし、質問にも的を射た適切な回答をしてくれるので範囲が狭い学校の定期テストくらいならこの勉強会に参加しているだけで効率的な対策になると思う。
勉強会が終わり、夏なら明るい時間帯でも外は真っ暗になっていて、皆でまとまって駅まで移動し解散した。
カバンの中にジャージが入っていたのであのお姉さんの住むマンションの最寄り駅まで直接移動してコインロッカーに荷物を入れてジョギングしてから帰ろうと、いつもと違う電車に乗ろうとしたら冬樹も同じ電車に乗るようで東京の電車はいつでも人が多くてびっくりするなどと話していたら、目的の駅に着いたので別れようと思ったけど、冬樹も同じ駅が自宅の最寄りだそうで一緒に降りた。
下車した後、冬樹はスーパーで買物をして帰るからと駅の改札を出たところで別れ、俺はトイレに入ってジャージに着替えて荷物をロッカーへ入れて軽く準備運動をしてからジョギングを始めた。
運良くあのお姉さんを見掛けたので声を掛けた。
「こんばんは!」
「あら、こんばんは。また会ったね」
「はい!お姉さんに会えて良かったです!」
「あら嬉しい。先週の金曜日に会った時よりは早い時間だけど、真っ暗じゃない。
やっぱり高校生が出歩くには遅い時間だと思うよ」
「そうですけど、まだ遅い時間とは言えないですし、俺は鍛えていますから大丈夫ですよ」
「たしかに、君はしっかりした身体つきだもんね。私の方が危険か・・・はあぁ」
なにか少しトーンが下がってしまったので慌てて話題を変えることを試みた。
「先週ほどではないですけど、今日も遅いですよね。週末だからですか?」
「別に週末だからということではないけど、友達の付き合いで大学の先輩の会社へ行って話をしてきたんで遅くなったんだ」
「先輩さんの会社ですか?
後輩だからってそんな入れてもらえるものなんですか?」
「ああ、そういう・・・『大学の先輩が勤務している会社』じゃなくて『大学の先輩が経営している会社』だから、その辺りの融通は利くんだ」
「年齢の離れた先輩さんと付き合いがあるのですか?」
「1歳上と、2歳上だよ。社長が2歳上の先輩で、1歳上の先輩が常務」
「ごめんなさい、お姉さんって見た目よりずっと年上だったりします?」
「そっか、普通はそう思っちゃうよね。私はまだ現役大学生で今は21歳だよ」
「そんなに若いのに社長さんなんですね・・・」
「うん、私も初めて先輩から会社を経営していると聞かされた時は驚いたよ。
社長の先輩は私が入学した時で3年に上がったところだったんだけど、その時には会社経営を始めてたから。
その時はまだ仲間内数人の規模だったけど、今はもう300人くらいいるみたいだしすごいよね」
「すごすぎて想像もできないですよ」
「あはは、だよね。
っと、もう遅いから私は帰るね」
お姉さんは思い出したかのように腕時計を見て時間を確認し、遅いからと別れを切り出してきた。
「すみません、引き止めてしまって。
またお会いできた時はお願いします」
「うん・・・でも、もう会えないかも?」
「ええ!?どうしてですか!?」
「まだはっきり決まってないんだけど、引っ越しする計画をしててね、そう遠くはないけど君のジョギングコースからは外れるだろうし、多分会うこともなくなるかなって思ったの・・・
っと、ごめんね。今度こそ私帰るね」
そう言って去っていくお姉さんの後ろ姿を見ているしかできなかった・・・
どうも俺は惚れっぽい性格のようだ・・・転校初日に神坂春華さんに一目惚れして、そのすぐ後に出会った名も知らない大学生のお姉さんに心を奪われてしまった。
出会った時は酔っ払いに絡まれていたお姉さんは最初中学生と見間違えてしまったものの、さりげない気遣いや笑顔から醸し出される大人の雰囲気に惹かれ、懇意になりたいと思ってお姉さんの住むマンションの前をジョギングのコースにしたことがうまく噛み合って月曜にも会えて話すことができたけど、以降火水木の3日は空振りだった。
北海道にいた時は言っては失礼だけど周囲には野暮ったい女子しか居なくて、女子と付き合いたいと言っていた男子に対して『彼女なんか欲しいものか?』と思ったけど、魅力的だと思える人に出会ってからはその気持ちがよくわかる様になったし、更に言えば魅力的な人が何人もいたらあの人もこの人もという節操のない気持ちの動き方には我が事ながら呆れもした。
救いは一番はあのお姉さんで、あのお姉さんを好きになってから順序を付けて春華さんへの気持ちは抑えられている・・・とは言え、やっぱり春華さんも魅力的な人であることには間違いないし、もし付き合ってくれると言うなら付き合いたいと思うのは偽らざる気持ちで、自分が惚れっぽいオスザルなのだという自己嫌悪が押し寄せてくる。
秀優高校へ転校してからの2週目もあっという間に過ぎ去り、今日を終えればまた週末休みに入るという週の最後の登校日。
今日は珍しく梅田さんが話題を振ってきて、冬樹が休んでいる時にローラン達が見に行くと言っていたアニメのイベントに冬樹は行かないのか?と言う質問をし、その流れで俺にも行かないかと誘ってくれた。
ローラン達が最初にその話をしていた時はあのお姉さんの事を考えていたために話を聞き流していて行きたいと言わなかったから参加メンバーに入っていなかったけど、改めて誘ってもらえたのは素直に嬉しく、アニメのことはよくわからないものの友達と遊びに行くということに魅力を感じて参加したいと意思表示した。チケットが1人で4枚しか申し込めないらしく、元々参加することになっていた春華さん、ローラン、岸元さん、新谷で一枠が埋まってしまうので、別でチケットを申し込まないといけないということになり、冬樹と俺の分の2枚だけで申し込むのか他にも声を掛けるかという話になって、結局参加する人は決まってないけどとりあえずもう4枚で申し込んで、当選したらその時改めて誰かに声を掛ければ良いという話になった。
その候補には神坂兄妹の姉の夏菜先輩や岸元さんの大学生のお姉さんがいるという。
新谷が高2の俺らの中に大学生がひとり加わったらそのお姉さんは落ち着かなくないのではないかという疑問を口にしていたけど、妹の岸元さんだけでなく神坂姉弟妹の幼馴染みで仲が良いし、せっかく仲良くなった俺やローランや新谷を紹介する機会になるから良いのだと言っていた。
岸元さんはどこか陰りのある雰囲気があって同い年だけどやや年上に見える印象があるから、そのお姉さんとなるともっと大人っぽいのではないかと思ったけど、春華さんと岸元さんの話しぶりからすると俺ら高校生に混じっていても浮くことはない容貌の様だ。
放課後はトレーニングをしたい気持ちもあったけど、忙しくて中々参加できていなかった梅田さんが今日は参加するからとテスト向けの要点をまとめた講義を春華さんや新谷が行なってくれるということで、部室での勉強会に最後まで参加することにした。
勉強が目的ということがあって高梨先生も便宜を図ってくれて、下校時刻を夏の一番遅くまで居られる期間と同じ時間まで延長するように学校へ掛け合ってくれて2時間以上残って勉強できた。
進学校の生徒だけあって講師役をする面々はみんなわかりやすく説明してくれるし、質問にも的を射た適切な回答をしてくれるので範囲が狭い学校の定期テストくらいならこの勉強会に参加しているだけで効率的な対策になると思う。
勉強会が終わり、夏なら明るい時間帯でも外は真っ暗になっていて、皆でまとまって駅まで移動し解散した。
カバンの中にジャージが入っていたのであのお姉さんの住むマンションの最寄り駅まで直接移動してコインロッカーに荷物を入れてジョギングしてから帰ろうと、いつもと違う電車に乗ろうとしたら冬樹も同じ電車に乗るようで東京の電車はいつでも人が多くてびっくりするなどと話していたら、目的の駅に着いたので別れようと思ったけど、冬樹も同じ駅が自宅の最寄りだそうで一緒に降りた。
下車した後、冬樹はスーパーで買物をして帰るからと駅の改札を出たところで別れ、俺はトイレに入ってジャージに着替えて荷物をロッカーへ入れて軽く準備運動をしてからジョギングを始めた。
運良くあのお姉さんを見掛けたので声を掛けた。
「こんばんは!」
「あら、こんばんは。また会ったね」
「はい!お姉さんに会えて良かったです!」
「あら嬉しい。先週の金曜日に会った時よりは早い時間だけど、真っ暗じゃない。
やっぱり高校生が出歩くには遅い時間だと思うよ」
「そうですけど、まだ遅い時間とは言えないですし、俺は鍛えていますから大丈夫ですよ」
「たしかに、君はしっかりした身体つきだもんね。私の方が危険か・・・はあぁ」
なにか少しトーンが下がってしまったので慌てて話題を変えることを試みた。
「先週ほどではないですけど、今日も遅いですよね。週末だからですか?」
「別に週末だからということではないけど、友達の付き合いで大学の先輩の会社へ行って話をしてきたんで遅くなったんだ」
「先輩さんの会社ですか?
後輩だからってそんな入れてもらえるものなんですか?」
「ああ、そういう・・・『大学の先輩が勤務している会社』じゃなくて『大学の先輩が経営している会社』だから、その辺りの融通は利くんだ」
「年齢の離れた先輩さんと付き合いがあるのですか?」
「1歳上と、2歳上だよ。社長が2歳上の先輩で、1歳上の先輩が常務」
「ごめんなさい、お姉さんって見た目よりずっと年上だったりします?」
「そっか、普通はそう思っちゃうよね。私はまだ現役大学生で今は21歳だよ」
「そんなに若いのに社長さんなんですね・・・」
「うん、私も初めて先輩から会社を経営していると聞かされた時は驚いたよ。
社長の先輩は私が入学した時で3年に上がったところだったんだけど、その時には会社経営を始めてたから。
その時はまだ仲間内数人の規模だったけど、今はもう300人くらいいるみたいだしすごいよね」
「すごすぎて想像もできないですよ」
「あはは、だよね。
っと、もう遅いから私は帰るね」
お姉さんは思い出したかのように腕時計を見て時間を確認し、遅いからと別れを切り出してきた。
「すみません、引き止めてしまって。
またお会いできた時はお願いします」
「うん・・・でも、もう会えないかも?」
「ええ!?どうしてですか!?」
「まだはっきり決まってないんだけど、引っ越しする計画をしててね、そう遠くはないけど君のジョギングコースからは外れるだろうし、多分会うこともなくなるかなって思ったの・・・
っと、ごめんね。今度こそ私帰るね」
そう言って去っていくお姉さんの後ろ姿を見ているしかできなかった・・・
0
お気に入りに追加
170
あなたにおすすめの小説
幼馴染と話し合って恋人になってみた→夫婦になってみた
久野真一
青春
最近の俺はちょっとした悩みを抱えている。クラスメート曰く、
幼馴染である百合(ゆり)と仲が良すぎるせいで付き合ってるか気になるらしい。
堀川百合(ほりかわゆり)。美人で成績優秀、運動完璧だけど朝が弱くてゲーム好きな天才肌の女の子。
猫みたいに気まぐれだけど優しい一面もあるそんな女の子。
百合とはゲームや面白いことが好きなところが馬が合って仲の良い関係を続けている。
そんな百合は今年は隣のクラス。俺と付き合ってるのかよく勘ぐられるらしい。
男女が仲良くしてるからすぐ付き合ってるだの何だの勘ぐってくるのは困る。
とはいえ。百合は異性としても魅力的なわけで付き合ってみたいという気持ちもある。
そんなことを悩んでいたある日の下校途中。百合から
「修二は私と恋人になりたい?」
なんて聞かれた。考えた末の言葉らしい。
百合としても満更じゃないのなら恋人になるのを躊躇する理由もない。
「なれたらいいと思ってる」
少し曖昧な返事とともに恋人になった俺たち。
食べさせあいをしたり、キスやその先もしてみたり。
恋人になった後は今までよりもっと楽しい毎日。
そんな俺達は大学に入る時に籍を入れて学生夫婦としての生活も開始。
夜一緒に寝たり、一緒に大学の講義を受けたり、新婚旅行に行ったりと
新婚生活も満喫中。
これは俺と百合が恋人としてイチャイチャしたり、
新婚生活を楽しんだりする、甘くてほのぼのとする日常のお話。
僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた
楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。
この作品はハーメルン様でも掲載しています。
冴えない俺と美少女な彼女たちとの関係、複雑につき――― ~助けた小学生の姉たちはどうやらシスコンで、いつの間にかハーレム形成してました~
メディカルト
恋愛
「え……あの小学生のお姉さん……たち?」
俺、九十九恋は特筆して何か言えることもない普通の男子高校生だ。
学校からの帰り道、俺はスーパーの近くで泣く小学生の女の子を見つける。
その女の子は転んでしまったのか、怪我していた様子だったのですぐに応急処置を施したが、実は学校で有名な初風姉妹の末っ子とは知らずに―――。
少女への親切心がきっかけで始まる、コメディ系ハーレムストーリー。
……どうやら彼は鈍感なようです。
――――――――――――――――――――――――――――――
【作者より】
九十九恋の『恋』が、恋愛の『恋』と間違える可能性があるので、彼のことを指すときは『レン』と表記しています。
また、R15は保険です。
毎朝20時投稿!
【3月14日 更新再開 詳細は近況ボードで】
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
貞操観念逆転世界におけるニートの日常
猫丸
恋愛
男女比1:100。
女性の価値が著しく低下した世界へやってきた【大鳥奏】という一人の少年。
夢のような世界で彼が望んだのは、ラブコメでも、ハーレムでもなく、男の希少性を利用した引き籠り生活だった。
ネトゲは楽しいし、一人は気楽だし、学校行かなくてもいいとか最高だし。
しかし、男女の比率が大きく偏った逆転世界は、そんな彼を放っておくはずもなく……
『カナデさんってもしかして男なんじゃ……?』
『ないでしょw』
『ないと思うけど……え、マジ?』
これは貞操観念逆転世界にやってきた大鳥奏という少年が世界との関わりを断ち自宅からほとんど出ない物語。
貞操観念逆転世界のハーレム主人公を拒んだ一人のネットゲーマーの引き籠り譚である。
陽キャグループを追放されたので、ひとりで気ままに大学生活を送ることにしたんだが……なぜか、ぼっちになってから毎日美女たちが話しかけてくる。
電脳ピエロ
恋愛
藤堂 薫は大学で共に行動している陽キャグループの男子2人、大熊 快児と蜂羽 強太から理不尽に追い出されてしまう。
ひとりで気ままに大学生活を送ることを決める薫だったが、薫が以前関わっていた陽キャグループの女子2人、七瀬 瑠奈と宮波 美緒は男子2人が理不尽に薫を追放した事実を知り、彼らと縁を切って薫と積極的に関わろうとしてくる。
しかも、なぜか今まで関わりのなかった同じ大学の美女たちが寄ってくるようになり……。
薫を上手く追放したはずなのにグループの女子全員から縁を切られる性格最悪な男子2人。彼らは瑠奈や美緒を呼び戻そうとするがことごとく無視され、それからも散々な目にあって行くことになる。
やがて自分たちが女子たちと関われていたのは薫のおかげだと気が付き、グループに戻ってくれと言うがもう遅い。薫は居心地のいいグループで楽しく大学生活を送っているのだから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる