174 / 251
第174話
しおりを挟む
◆岸元美晴 視点◆
冬樹くんは7時くらいに帰ってきた。連絡を途絶えさせ心配させてしまって申し訳なかったと謝ってくれたけど、過度に心配して大事にしたのは私なので、その事を謝っても自分が悪いの一点張りで逆に追い詰めてしまいそうだったので有耶無耶にし、身体を休めてもらうためにお風呂へ入ってもらって、冬樹くんを労りたい気持ちや昨日怖い思いをしたことを振り切りたい想いもあって私も一緒に入って身体を洗ってあげた。
恥ずかしそうにはするものの嫌がらないのは冬樹くんの優しさで良いところだと思う。
そして、お風呂を出て髪を乾かしたところで冬樹くんが一眠りすると口にしたら、私も落ち着かず余り眠れずにいたせいで燻っていた眠気が押し寄せてきたので一緒に寝ることにした。普段はそれぞれの部屋で別々に寝るけど、今日は甘えたい気持ちがあったので冬樹くんの部屋に押しかけて一緒に寝ることにした。
いつも以上に冬樹くんの匂いが香しく感じられ幸せな気持ちで眠りについた。
違和感を覚え目を覚ますと、冬樹くんが震えていて身体が熱くなっていたので慌てて体温を測ると高熱になっていた。
冬樹くんに話を聞くと、昨夜は未成年が入れるお店がなく風を凌ぎつつも屋外で朝まで過ごしていたため風邪を引いてしまったのではないかということで、すぐに雑炊を作り食べてもらってから薬を飲んでもらい・・・本当は病院へ行って診てもらいたいけど、土曜日の午後で近所の病院は診療時間が過ぎてしまっていて変に遠くまで行くよりかは良いという判断で・・・今日のところはそれで様子を見ることにした。
◆岸元美波 視点◆
昨夜、冬樹の行方不明騒動があって夜更かししていたこともあり起きたのはお昼が近くなった時間だった。
スマホを確認すると春華ちゃんからのメッセージが着信していて相談したいことがあるという内容だった。恐らくわたしがしたい相談と同根の話だと思い、支度をする時間だけ取ってすぐに会うことにした。
支度を終え神坂家を訪問すると春華ちゃんの部屋へ通され、春華ちゃんと夏菜お姉ちゃんとわたしの3人で話を始めた。
「昨日のフユのことなんだけどさ、意識を失わせるほど疲れさせたのってあたしや美波ちゃんへの陰口なんじゃないかって思ったんだよね」
「わたしもそうだと思う・・・」
「私はその場に居たわけではないからピンとこないのだが、そんなに言われていたのか?」
「うん・・・あたしが香織ちゃん達に付きっきりで他のクラスメイトとほとんど話ができない状態にさせてしまっているのが面白くないみたいで、遠巻きに色々言われている。あたしに聞こえているくらいだからフユも聞こえていたと思う」
「わたしもそうだね。わたしの場合はたぶん他のこともあるし、もっとひどいかも?
そういうのはあるだろうと思って諦めていたし、それでも春華ちゃんや冬樹と一緒に学校へ行きたかったから良いと思っていたけど冬樹は違ったのかもしれない・・・」
「たしかに冬樹ならそういうのを気に病むことは十分に考えられるな。ましてや一時よりは良くなってるとは言ってもまだ精神的な不安定さはあるだろう。
関係がもとに戻りつつあるお前たちへの悪意も自分へのものとして受け止めてしまっているのも冬樹らしさを感じるが、今はそれが悪い方向へ出てしまっているから悩ましいな」
「冬樹を苦しめるのなら、わたしが学校へ行くのやめた方が良いのかな?」
「あたしは学校をやめないでも良い方法がないか探した方が良いと思うのだけど、どうかな?」
「たしかに、私も春華が言うようにマイルドな方法を探す方が良いと思うな。もっと言えば、今ここで結論を出す必要はないと思っている。
昨日はクラスの人間が集まる歓迎会という特殊な環境があったからで、通常の学校生活ではそこまでの事は起きないのではないかとも思うし、今は担任が高梨先生だから協力も仰ぎやすい。
まずは高梨先生に相談してみるのが良いのではないか?」
「たしかにそうだね。月曜日に早めに学校へ行って先生に相談してみるよ」
「春華ちゃん、わたしも一緒に行くよ」
「私も心配だし、一緒に行こう。春華、念のため高梨先生に早朝から相談しに行って良いか確認しておいてくれ」
「わかった。あとで先生にメッセージを送っておくね」
◆神坂冬樹 視点◆
初電に乗り、その後も特に問題が起こることもなく無事帰宅できた。
美晴さんと僕とでどっちが悪いかなどの押し問答になってしまったけど、美晴さんが大人な対応で譲ってくれて僕もあえてはっきりさせない様にしてその場を収めた。
美晴さんは僕の帰宅時間に合わせてお風呂を用意してくれていて入るように勧めてくれたのでお風呂場に入ったら美晴さんも一緒に入ってきた。
恥ずかしさもあったけど、心配させてしまったし美晴さんの気が晴れてくれるならなんでもする思いで成すがままに身体を委ねたら隅々まで丁寧に洗ってくれ、洗う面はタオル越しだけどしばしば二の腕や胸や太腿が当たり、これまで何度も肌を重ね合わせているとは言え、普段とは違うシチュエーションでドキドキした。
湯に浸かる時は背中を僕の胸やお腹へ押し付けるようにしてきたので、両腕で抱き締めて密着した。美晴さんは僕が後ろから抱き締めるようにする時は右手を左胸へ左手を右胸へ当てて揉むと喜んでくれるので今もそうしたら艶めかしい吐息を漏らしつつ体重を掛けてきて、その重みを感じながら心配をさせてしまったことを改めて後悔したけど、右手で感じる心拍数は驚くほど早く、美晴さんもドキドキしているのだと思うと嬉しくもなった・・・最近まで認識していなかったけど美晴さんは着痩せする人で、実際にはすごく大きいので両手が幸福感でいっぱいになる。
頭がもやもやしていて、そうなっているのはちゃんと眠れなかったせいだと思って寝ようとしたら美晴さんも眠れてなかったので一緒に寝ると僕の部屋までやってきて一緒ベッドで眠りについた。
寒気と倦怠感が押し寄せ苦しくなったので目を覚ましたら美晴さんも起こしてしまい、申し訳ないと思いつつも身体が思うように動かせなかったので身の回りのお世話をしてもらい、美晴さんが作ってくれた雑炊を食べて薬を飲んでからもう一度眠りについた。
◆高梨百合恵 視点◆
冬樹くんと美晴さんにわたしが離婚し、その流れでみゆきとルームシェアを始めたことを報告するべく時間をもらっていたのでみゆきとふたり冬樹くん達が住むマンションへ伺う予定で、家を出る時に到着目安の時間をメッセージで送ったものの・・・普段ならそれを受信した旨のメッセージをくれる冬樹くんから・・・返信がなかったので違和感を覚えたものの、約束をしてあったので予定通りに向かった。
冬樹くんは7時くらいに帰ってきた。連絡を途絶えさせ心配させてしまって申し訳なかったと謝ってくれたけど、過度に心配して大事にしたのは私なので、その事を謝っても自分が悪いの一点張りで逆に追い詰めてしまいそうだったので有耶無耶にし、身体を休めてもらうためにお風呂へ入ってもらって、冬樹くんを労りたい気持ちや昨日怖い思いをしたことを振り切りたい想いもあって私も一緒に入って身体を洗ってあげた。
恥ずかしそうにはするものの嫌がらないのは冬樹くんの優しさで良いところだと思う。
そして、お風呂を出て髪を乾かしたところで冬樹くんが一眠りすると口にしたら、私も落ち着かず余り眠れずにいたせいで燻っていた眠気が押し寄せてきたので一緒に寝ることにした。普段はそれぞれの部屋で別々に寝るけど、今日は甘えたい気持ちがあったので冬樹くんの部屋に押しかけて一緒に寝ることにした。
いつも以上に冬樹くんの匂いが香しく感じられ幸せな気持ちで眠りについた。
違和感を覚え目を覚ますと、冬樹くんが震えていて身体が熱くなっていたので慌てて体温を測ると高熱になっていた。
冬樹くんに話を聞くと、昨夜は未成年が入れるお店がなく風を凌ぎつつも屋外で朝まで過ごしていたため風邪を引いてしまったのではないかということで、すぐに雑炊を作り食べてもらってから薬を飲んでもらい・・・本当は病院へ行って診てもらいたいけど、土曜日の午後で近所の病院は診療時間が過ぎてしまっていて変に遠くまで行くよりかは良いという判断で・・・今日のところはそれで様子を見ることにした。
◆岸元美波 視点◆
昨夜、冬樹の行方不明騒動があって夜更かししていたこともあり起きたのはお昼が近くなった時間だった。
スマホを確認すると春華ちゃんからのメッセージが着信していて相談したいことがあるという内容だった。恐らくわたしがしたい相談と同根の話だと思い、支度をする時間だけ取ってすぐに会うことにした。
支度を終え神坂家を訪問すると春華ちゃんの部屋へ通され、春華ちゃんと夏菜お姉ちゃんとわたしの3人で話を始めた。
「昨日のフユのことなんだけどさ、意識を失わせるほど疲れさせたのってあたしや美波ちゃんへの陰口なんじゃないかって思ったんだよね」
「わたしもそうだと思う・・・」
「私はその場に居たわけではないからピンとこないのだが、そんなに言われていたのか?」
「うん・・・あたしが香織ちゃん達に付きっきりで他のクラスメイトとほとんど話ができない状態にさせてしまっているのが面白くないみたいで、遠巻きに色々言われている。あたしに聞こえているくらいだからフユも聞こえていたと思う」
「わたしもそうだね。わたしの場合はたぶん他のこともあるし、もっとひどいかも?
そういうのはあるだろうと思って諦めていたし、それでも春華ちゃんや冬樹と一緒に学校へ行きたかったから良いと思っていたけど冬樹は違ったのかもしれない・・・」
「たしかに冬樹ならそういうのを気に病むことは十分に考えられるな。ましてや一時よりは良くなってるとは言ってもまだ精神的な不安定さはあるだろう。
関係がもとに戻りつつあるお前たちへの悪意も自分へのものとして受け止めてしまっているのも冬樹らしさを感じるが、今はそれが悪い方向へ出てしまっているから悩ましいな」
「冬樹を苦しめるのなら、わたしが学校へ行くのやめた方が良いのかな?」
「あたしは学校をやめないでも良い方法がないか探した方が良いと思うのだけど、どうかな?」
「たしかに、私も春華が言うようにマイルドな方法を探す方が良いと思うな。もっと言えば、今ここで結論を出す必要はないと思っている。
昨日はクラスの人間が集まる歓迎会という特殊な環境があったからで、通常の学校生活ではそこまでの事は起きないのではないかとも思うし、今は担任が高梨先生だから協力も仰ぎやすい。
まずは高梨先生に相談してみるのが良いのではないか?」
「たしかにそうだね。月曜日に早めに学校へ行って先生に相談してみるよ」
「春華ちゃん、わたしも一緒に行くよ」
「私も心配だし、一緒に行こう。春華、念のため高梨先生に早朝から相談しに行って良いか確認しておいてくれ」
「わかった。あとで先生にメッセージを送っておくね」
◆神坂冬樹 視点◆
初電に乗り、その後も特に問題が起こることもなく無事帰宅できた。
美晴さんと僕とでどっちが悪いかなどの押し問答になってしまったけど、美晴さんが大人な対応で譲ってくれて僕もあえてはっきりさせない様にしてその場を収めた。
美晴さんは僕の帰宅時間に合わせてお風呂を用意してくれていて入るように勧めてくれたのでお風呂場に入ったら美晴さんも一緒に入ってきた。
恥ずかしさもあったけど、心配させてしまったし美晴さんの気が晴れてくれるならなんでもする思いで成すがままに身体を委ねたら隅々まで丁寧に洗ってくれ、洗う面はタオル越しだけどしばしば二の腕や胸や太腿が当たり、これまで何度も肌を重ね合わせているとは言え、普段とは違うシチュエーションでドキドキした。
湯に浸かる時は背中を僕の胸やお腹へ押し付けるようにしてきたので、両腕で抱き締めて密着した。美晴さんは僕が後ろから抱き締めるようにする時は右手を左胸へ左手を右胸へ当てて揉むと喜んでくれるので今もそうしたら艶めかしい吐息を漏らしつつ体重を掛けてきて、その重みを感じながら心配をさせてしまったことを改めて後悔したけど、右手で感じる心拍数は驚くほど早く、美晴さんもドキドキしているのだと思うと嬉しくもなった・・・最近まで認識していなかったけど美晴さんは着痩せする人で、実際にはすごく大きいので両手が幸福感でいっぱいになる。
頭がもやもやしていて、そうなっているのはちゃんと眠れなかったせいだと思って寝ようとしたら美晴さんも眠れてなかったので一緒に寝ると僕の部屋までやってきて一緒ベッドで眠りについた。
寒気と倦怠感が押し寄せ苦しくなったので目を覚ましたら美晴さんも起こしてしまい、申し訳ないと思いつつも身体が思うように動かせなかったので身の回りのお世話をしてもらい、美晴さんが作ってくれた雑炊を食べて薬を飲んでからもう一度眠りについた。
◆高梨百合恵 視点◆
冬樹くんと美晴さんにわたしが離婚し、その流れでみゆきとルームシェアを始めたことを報告するべく時間をもらっていたのでみゆきとふたり冬樹くん達が住むマンションへ伺う予定で、家を出る時に到着目安の時間をメッセージで送ったものの・・・普段ならそれを受信した旨のメッセージをくれる冬樹くんから・・・返信がなかったので違和感を覚えたものの、約束をしてあったので予定通りに向かった。
0
お気に入りに追加
173
あなたにおすすめの小説
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
男子中学生から女子校生になった僕
葵
大衆娯楽
僕はある日突然、母と姉に強制的に女の子として育てられる事になった。
普通に男の子として過ごしていた主人公がJKで過ごした高校3年間のお話し。
強制女装、女性と性行為、男性と性行為、羞恥、屈辱などが好きな方は是非読んでみてください!
ずっと女の子になりたかった 男の娘の私
ムーワ
BL
幼少期からどことなく男の服装をして学校に通っているのに違和感を感じていた主人公のヒデキ。
ヒデキは同級生の女の子が履いているスカートが自分でも履きたくて仕方がなかったが、母親はいつもズボンばかりでスカートは買ってくれなかった。
そんなヒデキの幼少期から大人になるまでの成長を描いたLGBT(ジェンダーレス作品)です。
先生!放課後の隣の教室から女子の喘ぎ声が聴こえました…
ヘロディア
恋愛
居残りを余儀なくされた高校生の主人公。
しかし、隣の部屋からかすかに女子の喘ぎ声が聴こえてくるのであった。
気になって覗いてみた主人公は、衝撃的な光景を目の当たりにする…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる