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第168話
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◆神坂冬樹 視点◆
昼休みが終わるくらいのタイミングで姉さんから放課後に高梨先生のために時間を作って欲しいと連絡を受け『先生の為なら』と即答で了承した。
先だって姉さんとハルと美波で先生の元を訪れて昼休み時間の大半を費やしている事から重大な何かが有るのだと察せられる。
そして、放課後になり姉さんと先生のホームとも言える第二音楽室の準備室へ訪問した。
内容は高梨先生が塚田教諭にストーカーされているらしいということで、それを姉さんたちや二之宮が察知して対応をどうするかと言う話になっていたという。
たしかに、内容だけに先生の了承を得ずに僕へは伝えようとしなかった姉さん達の配慮はわかるし、もっと早く知りたかったと言うつもりはなく、むしろ、順序を組み立てた姉さんの配慮こそ流石だと思う。
「しかし、それならそんなに難しい話ではないですね」
「何か思い浮かんだのか?」
「要は実際に尾行している行動を押さえてしまえば良いと思う。
具体的にはあえて興味を引く話題を聞かせることで誘導して高梨先生を追跡する様子を証拠に押さえれば良いし、なんなら学校の信頼できる先生にもその証拠押さえに協力してもらって一緒に見てもらえば良いだけだよ」
「なるほどな。たしかに、高梨先生が頼んでも良いし、私や春華でも良いな」
「何言ってるの、姉さん。僕は学校へ貸しがあるから、きっと校長先生だって協力してくれるよ」
「ははっ、たしかにそうだったな」
「わたしのためにそこまでしてもらわなくても・・・」
「何を言っているんですか先生。大前提で一番に先生のこともありますけど、そんなストーカーをする教師がいるなんて学校にとってもマイナスですから、問題を起こす前に押さえて自分から辞めるように促すことは学校のためになりますし、当然僕ら生徒にとってもその様な教師など御免被りますから、自業自得の犯人以外はみんな良いと言う状況になりますよ」
「たしかに、生徒の心情や学校のことを考えるとわたしが躊躇することが良くないですね」
「そうです。冬樹の言う通りでただでさえ悪い評判が広まっている我が校が更にダメージを負う前に、未然に防ぐことが肝要です。
実際二学期になってから大学の推薦枠をいくつも取り消されてしまい、私大推薦狙いの生徒を中心に苦労しています。
更に問題が起きたらもっと推薦枠が減り長年進学校として名を轟かせてきてきた秀優高校の名前を貶めることになりますし、OBOGに対して面目丸つぶれです」
「そうですよね。わたしだけの問題ではないですよね」
高梨先生が納得してくれた流れですぐに校長室へ行き校長と話をし、今日から毎日尻尾を掴むまで校長や教頭など責任の重い立場の責任者が付き添うことで話が決まった。
◆岸元美波 視点◆
放課後になり春華ちゃんとローラン君、江藤君、新谷君の4人とわたしで校内の案内ツアーが始まった。
既にわかっていたことだけど、この男子たちはみんな春華ちゃんに好意を持っているのが見え見えで、特にローラン君の圧はすごいし、そのローラン君に負けてなるものかと無理してアピールしようとする江藤君と新谷君。
新谷君は『元々夏菜お姉ちゃんを心酔しているところがあって、その妹だからと気にするようになり気が付いたら惹かれていたらしい』とは恋バナ好きなクラスメイトがしていた話だけど、その情報は正しいように思う。夏菜お姉ちゃんが一緒にいる時は雰囲気が違うし、明らかに尊敬しているのが感じられる。
それはともかく、3人の格好良い男子に囲まれてタジタジの春華ちゃんは見ていて微笑ましいし、困らせてはいるけど問題になるほど迷惑をかける事もなく1時間位で校内案内ツアーが終わった。
クラスメイトの中には転校生たちを独占しているようになっているわたし達へ面白くないと思っている人達がいるのも察しているので、明日の放課後にクラス全員に声を掛けて歓迎会をしないかと提案したらこの場にいるみんなが賛成してくれた。明日はちょうど金曜日だし多少遅くなっても良いかなと言うのもある。
春華ちゃんが女子へ新谷君が男子へ声を掛けるというところまで決めて、具体的に何をするかはクラスメイトの意見を聞いてからという事にして今日は解散となった。
◆塚田智 視点◆
高梨先生がいつもよりもすごく丁寧に化粧を整えていて、複数の女性の同僚達から『デートですか?』という様な質問を受け、微笑んで『内緒です』と返すその雰囲気はまさにデートかそうでもなくても恋愛を意識する場へ行く可能性が高いように思う。離婚して早速相手の候補が見つかったか、もしくは合コンみたいな出会いの場へ行くのではないかと考えられる。
そうとなっては確認しないと落ち着かない。高梨先生が帰り支度を始めたので僕も帰り支度を始め、高梨先生が職員室を出ていくのに合わせて僕も職員室を後にした。
ついて行くと渋谷で降りて繁華街の方へ進んでいき、飲食店が複数入っている雑居ビルの地下の店舗へ入っていったので続くように階段を降りていった・・・
「塚田先生、こんなところで何をなさっているのですか?」
振り返って見ると声の主の校長先生とその横に教頭先生がビデオカメラを構えて僕を撮っていた。
昼休みが終わるくらいのタイミングで姉さんから放課後に高梨先生のために時間を作って欲しいと連絡を受け『先生の為なら』と即答で了承した。
先だって姉さんとハルと美波で先生の元を訪れて昼休み時間の大半を費やしている事から重大な何かが有るのだと察せられる。
そして、放課後になり姉さんと先生のホームとも言える第二音楽室の準備室へ訪問した。
内容は高梨先生が塚田教諭にストーカーされているらしいということで、それを姉さんたちや二之宮が察知して対応をどうするかと言う話になっていたという。
たしかに、内容だけに先生の了承を得ずに僕へは伝えようとしなかった姉さん達の配慮はわかるし、もっと早く知りたかったと言うつもりはなく、むしろ、順序を組み立てた姉さんの配慮こそ流石だと思う。
「しかし、それならそんなに難しい話ではないですね」
「何か思い浮かんだのか?」
「要は実際に尾行している行動を押さえてしまえば良いと思う。
具体的にはあえて興味を引く話題を聞かせることで誘導して高梨先生を追跡する様子を証拠に押さえれば良いし、なんなら学校の信頼できる先生にもその証拠押さえに協力してもらって一緒に見てもらえば良いだけだよ」
「なるほどな。たしかに、高梨先生が頼んでも良いし、私や春華でも良いな」
「何言ってるの、姉さん。僕は学校へ貸しがあるから、きっと校長先生だって協力してくれるよ」
「ははっ、たしかにそうだったな」
「わたしのためにそこまでしてもらわなくても・・・」
「何を言っているんですか先生。大前提で一番に先生のこともありますけど、そんなストーカーをする教師がいるなんて学校にとってもマイナスですから、問題を起こす前に押さえて自分から辞めるように促すことは学校のためになりますし、当然僕ら生徒にとってもその様な教師など御免被りますから、自業自得の犯人以外はみんな良いと言う状況になりますよ」
「たしかに、生徒の心情や学校のことを考えるとわたしが躊躇することが良くないですね」
「そうです。冬樹の言う通りでただでさえ悪い評判が広まっている我が校が更にダメージを負う前に、未然に防ぐことが肝要です。
実際二学期になってから大学の推薦枠をいくつも取り消されてしまい、私大推薦狙いの生徒を中心に苦労しています。
更に問題が起きたらもっと推薦枠が減り長年進学校として名を轟かせてきてきた秀優高校の名前を貶めることになりますし、OBOGに対して面目丸つぶれです」
「そうですよね。わたしだけの問題ではないですよね」
高梨先生が納得してくれた流れですぐに校長室へ行き校長と話をし、今日から毎日尻尾を掴むまで校長や教頭など責任の重い立場の責任者が付き添うことで話が決まった。
◆岸元美波 視点◆
放課後になり春華ちゃんとローラン君、江藤君、新谷君の4人とわたしで校内の案内ツアーが始まった。
既にわかっていたことだけど、この男子たちはみんな春華ちゃんに好意を持っているのが見え見えで、特にローラン君の圧はすごいし、そのローラン君に負けてなるものかと無理してアピールしようとする江藤君と新谷君。
新谷君は『元々夏菜お姉ちゃんを心酔しているところがあって、その妹だからと気にするようになり気が付いたら惹かれていたらしい』とは恋バナ好きなクラスメイトがしていた話だけど、その情報は正しいように思う。夏菜お姉ちゃんが一緒にいる時は雰囲気が違うし、明らかに尊敬しているのが感じられる。
それはともかく、3人の格好良い男子に囲まれてタジタジの春華ちゃんは見ていて微笑ましいし、困らせてはいるけど問題になるほど迷惑をかける事もなく1時間位で校内案内ツアーが終わった。
クラスメイトの中には転校生たちを独占しているようになっているわたし達へ面白くないと思っている人達がいるのも察しているので、明日の放課後にクラス全員に声を掛けて歓迎会をしないかと提案したらこの場にいるみんなが賛成してくれた。明日はちょうど金曜日だし多少遅くなっても良いかなと言うのもある。
春華ちゃんが女子へ新谷君が男子へ声を掛けるというところまで決めて、具体的に何をするかはクラスメイトの意見を聞いてからという事にして今日は解散となった。
◆塚田智 視点◆
高梨先生がいつもよりもすごく丁寧に化粧を整えていて、複数の女性の同僚達から『デートですか?』という様な質問を受け、微笑んで『内緒です』と返すその雰囲気はまさにデートかそうでもなくても恋愛を意識する場へ行く可能性が高いように思う。離婚して早速相手の候補が見つかったか、もしくは合コンみたいな出会いの場へ行くのではないかと考えられる。
そうとなっては確認しないと落ち着かない。高梨先生が帰り支度を始めたので僕も帰り支度を始め、高梨先生が職員室を出ていくのに合わせて僕も職員室を後にした。
ついて行くと渋谷で降りて繁華街の方へ進んでいき、飲食店が複数入っている雑居ビルの地下の店舗へ入っていったので続くように階段を降りていった・・・
「塚田先生、こんなところで何をなさっているのですか?」
振り返って見ると声の主の校長先生とその横に教頭先生がビデオカメラを構えて僕を撮っていた。
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