152 / 252
第152話
しおりを挟む
◆神坂春華 視点◆
初日の夜にすーちゃんとの蟠りもかなり解消して2日目からは数カ月分を取り戻すかのようにすーちゃんとよっちゃんとの3人で楽しみながら過ごした。
2日目と3日目はおはようからおやすみまでずっと話をしていたと思うし、最終日も帰り道でふたりと別れるまでがあっという間だった。参加できなかったフユや美波ちゃんには悪いと思うけど、結果的には参加して良かったと思う。
家に戻って誰も居なかったので、お土産を持って美波ちゃんの部屋へ行ったらお姉が来ていた。
「美波ちゃん、これ、お土産。小父さん小母さんと一緒に食べてね」
「春華ちゃん、ありがとう。家族でいただくね」
「うん。消費期限短いからすぐ食べちゃってね。
それにしても、お姉はなんで美波ちゃんの部屋に来てたの?」
「美波がクラスへ復帰すると言うからやめるように話をしにきていたんだ」
「え?なんで?美波ちゃん、復帰しようとしてるの?」
「うん。夏菜お姉ちゃんは心配してくれて反対してるのだけど、冬樹が復帰すると言うからわたしも復帰したいなと思って」
「え?フユが?それこそなんで?」
「それがな、修学旅行の邪魔をしたらいけないと思ってあえて連絡しなかったんだが、修学旅行の初日の夕方頃に裏サイトへ特別教室の女子生徒を狙い撃ちした悪意ある投稿があったんだ。
本題ではないから書き込み内容の詳細は避けるが、それを冬樹がそれらの書き込みを行っている者たちに向けて、今後も繰り返すなら特定して進路先へリークするという警告を行った」
「夏菜お姉ちゃん、冬樹は自分じゃないって言ってるよ」
「まぁ、たしかに冬樹本人は認めてないが他に居ないだろう。
それで裏サイトの書き込みは沈静化し、話題はその最初に悪意ある書き込みをした連中への攻撃的なものや責任転嫁と言った物へ変わってきているのだが、これも冬樹は認めていないが冬樹は復学することで話題の矛先を自分に向け再発を防止しようとしているのではないかと思う。
それで冬樹は今日病院へ行ってきて医師から復学することについて条件付きながら許可が出たので明日学校へ行って話をしてくるという連絡があり、それを聞いた美波も復学すると言い出したんだ」
「ほら、冬樹だけでなくて春華ちゃんもクラスメイトになるし大丈夫かなって?
それにせっかく冬樹とクラスメイトになったのに滅茶苦茶になっちゃったから取り戻したいなって」
「だいたいしか話が見えてないけど、あたしも反対かな。その書き込みの内容も想像できるし、学校へ行ったら美波ちゃんが傷付くだけでしょ。
それにせっかくフユがやろうとしていることを無駄にしちゃうじゃん」
「私もそう言っているんだがな・・・」
お姉が美波ちゃんを止めようとするのは当然だと思うけど、フユに対してはどうなんだろ?
「ところでさ、美晴お姉はよくフユが復学するって言うのを止めなかったね」
「止めはしてたぞ。ただ、冬樹が引かなかっただけだ。
むしろ駄々っ子みたいに喚きもしたし、美晴さんにそんな一面があったのかと驚かされたくらいだ。
私も反対はしたが、美晴さんがあまりにも必死だったからそれに呑まれてあまり強くは言ってなかったな」
「そうなんだ。それにしても駄々っ子みたいな美晴お姉って想像ができないんだけど、そこまで強く反対されたのにフユは考えを変えないんだね」
「それも不思議なところだな。前までの冬樹だったら止められたら取り下げていたと思うんだが、何がそこまで復学に拘わらせるのか・・・」
「明日学校へ行くのって、美波ちゃんも行くの?」
「うん、行くよ!」
「じゃあ、あたしもついていくよ。明日は勤労感謝の日の振替で休みだから授業はないし、美波ちゃんもフユも心配だからさ」
「おい、春華。お前は反対じゃないのか?」
「基本的には反対だけど、今はフユの考えが見えてこないし、学校との話まで含めて確認してから賛成するのか反対するのか決めたいと思うんだよね。
まぁ、あたしが何を言っても美波ちゃんもフユも考えを変えないかも知れないけど、その時はフォローに回るだけだよ」
「まぁ、春華が同じクラスになってフォローに回るなら良いかも知れないな・・・」
「春華ちゃん、ありがとう」
「お礼を言うのは早いよ。それにさ、あたしはフユと美波ちゃんとずっと一緒の学年で生活してきたから居ないのは寂しいし、一緒に卒業したい気持ちもあるんだよ」
◆岸元美晴 視点◆
冬樹くんが裏サイトの騒動をきっかけに通常のクラスへ復帰すると言い出し、医師も条件付きで許可を出したため話が前進している。明日学校へ行って具体的にどうするかを話し合ってくると言うけど、今でも反対だし一時的に気不味くなったとしても止めたいと思っている。
美波たちの心配をして自分が盾になるつもりだということが窺えるけど、私にとっては冬樹くんが傷付くことが何より怖い。
美波も他の娘たちもそうだけど、何かのきっかけで話題にされることがあったとしても裏サイトで書き込まれる様ならその時こそ書き込んだことの報いを受けさせれば良いだけだし、学校へさえ行かなければそうそう害されることはないはずで、わざわざ冬樹くんが身を挺して的になりに行く必要はないはず。
更に言えば、冬樹くんがそこまでして守ろうとしてくれているのに自分も復帰すると言いだしている美波にも苛立っている。
そもそもの話、美波は自業自得の部分が大きいのにそれを忘れてしまっている。
たしかにそれ相応の代償は払う羽目になって傷付いたのはあると思うけど、だからと言って冬樹くんの優しさに甘えるのは許しがたい部分もある。
本当は学校との話し合いについて行って止めたいけど、逆に他の生徒達に冬樹くんへの悪い印象を植え付けることに繋がりそうだしもどかしい・・・
初日の夜にすーちゃんとの蟠りもかなり解消して2日目からは数カ月分を取り戻すかのようにすーちゃんとよっちゃんとの3人で楽しみながら過ごした。
2日目と3日目はおはようからおやすみまでずっと話をしていたと思うし、最終日も帰り道でふたりと別れるまでがあっという間だった。参加できなかったフユや美波ちゃんには悪いと思うけど、結果的には参加して良かったと思う。
家に戻って誰も居なかったので、お土産を持って美波ちゃんの部屋へ行ったらお姉が来ていた。
「美波ちゃん、これ、お土産。小父さん小母さんと一緒に食べてね」
「春華ちゃん、ありがとう。家族でいただくね」
「うん。消費期限短いからすぐ食べちゃってね。
それにしても、お姉はなんで美波ちゃんの部屋に来てたの?」
「美波がクラスへ復帰すると言うからやめるように話をしにきていたんだ」
「え?なんで?美波ちゃん、復帰しようとしてるの?」
「うん。夏菜お姉ちゃんは心配してくれて反対してるのだけど、冬樹が復帰すると言うからわたしも復帰したいなと思って」
「え?フユが?それこそなんで?」
「それがな、修学旅行の邪魔をしたらいけないと思ってあえて連絡しなかったんだが、修学旅行の初日の夕方頃に裏サイトへ特別教室の女子生徒を狙い撃ちした悪意ある投稿があったんだ。
本題ではないから書き込み内容の詳細は避けるが、それを冬樹がそれらの書き込みを行っている者たちに向けて、今後も繰り返すなら特定して進路先へリークするという警告を行った」
「夏菜お姉ちゃん、冬樹は自分じゃないって言ってるよ」
「まぁ、たしかに冬樹本人は認めてないが他に居ないだろう。
それで裏サイトの書き込みは沈静化し、話題はその最初に悪意ある書き込みをした連中への攻撃的なものや責任転嫁と言った物へ変わってきているのだが、これも冬樹は認めていないが冬樹は復学することで話題の矛先を自分に向け再発を防止しようとしているのではないかと思う。
それで冬樹は今日病院へ行ってきて医師から復学することについて条件付きながら許可が出たので明日学校へ行って話をしてくるという連絡があり、それを聞いた美波も復学すると言い出したんだ」
「ほら、冬樹だけでなくて春華ちゃんもクラスメイトになるし大丈夫かなって?
それにせっかく冬樹とクラスメイトになったのに滅茶苦茶になっちゃったから取り戻したいなって」
「だいたいしか話が見えてないけど、あたしも反対かな。その書き込みの内容も想像できるし、学校へ行ったら美波ちゃんが傷付くだけでしょ。
それにせっかくフユがやろうとしていることを無駄にしちゃうじゃん」
「私もそう言っているんだがな・・・」
お姉が美波ちゃんを止めようとするのは当然だと思うけど、フユに対してはどうなんだろ?
「ところでさ、美晴お姉はよくフユが復学するって言うのを止めなかったね」
「止めはしてたぞ。ただ、冬樹が引かなかっただけだ。
むしろ駄々っ子みたいに喚きもしたし、美晴さんにそんな一面があったのかと驚かされたくらいだ。
私も反対はしたが、美晴さんがあまりにも必死だったからそれに呑まれてあまり強くは言ってなかったな」
「そうなんだ。それにしても駄々っ子みたいな美晴お姉って想像ができないんだけど、そこまで強く反対されたのにフユは考えを変えないんだね」
「それも不思議なところだな。前までの冬樹だったら止められたら取り下げていたと思うんだが、何がそこまで復学に拘わらせるのか・・・」
「明日学校へ行くのって、美波ちゃんも行くの?」
「うん、行くよ!」
「じゃあ、あたしもついていくよ。明日は勤労感謝の日の振替で休みだから授業はないし、美波ちゃんもフユも心配だからさ」
「おい、春華。お前は反対じゃないのか?」
「基本的には反対だけど、今はフユの考えが見えてこないし、学校との話まで含めて確認してから賛成するのか反対するのか決めたいと思うんだよね。
まぁ、あたしが何を言っても美波ちゃんもフユも考えを変えないかも知れないけど、その時はフォローに回るだけだよ」
「まぁ、春華が同じクラスになってフォローに回るなら良いかも知れないな・・・」
「春華ちゃん、ありがとう」
「お礼を言うのは早いよ。それにさ、あたしはフユと美波ちゃんとずっと一緒の学年で生活してきたから居ないのは寂しいし、一緒に卒業したい気持ちもあるんだよ」
◆岸元美晴 視点◆
冬樹くんが裏サイトの騒動をきっかけに通常のクラスへ復帰すると言い出し、医師も条件付きで許可を出したため話が前進している。明日学校へ行って具体的にどうするかを話し合ってくると言うけど、今でも反対だし一時的に気不味くなったとしても止めたいと思っている。
美波たちの心配をして自分が盾になるつもりだということが窺えるけど、私にとっては冬樹くんが傷付くことが何より怖い。
美波も他の娘たちもそうだけど、何かのきっかけで話題にされることがあったとしても裏サイトで書き込まれる様ならその時こそ書き込んだことの報いを受けさせれば良いだけだし、学校へさえ行かなければそうそう害されることはないはずで、わざわざ冬樹くんが身を挺して的になりに行く必要はないはず。
更に言えば、冬樹くんがそこまでして守ろうとしてくれているのに自分も復帰すると言いだしている美波にも苛立っている。
そもそもの話、美波は自業自得の部分が大きいのにそれを忘れてしまっている。
たしかにそれ相応の代償は払う羽目になって傷付いたのはあると思うけど、だからと言って冬樹くんの優しさに甘えるのは許しがたい部分もある。
本当は学校との話し合いについて行って止めたいけど、逆に他の生徒達に冬樹くんへの悪い印象を植え付けることに繋がりそうだしもどかしい・・・
0
お気に入りに追加
170
あなたにおすすめの小説
僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた
楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。
この作品はハーメルン様でも掲載しています。
幼馴染と話し合って恋人になってみた→夫婦になってみた
久野真一
青春
最近の俺はちょっとした悩みを抱えている。クラスメート曰く、
幼馴染である百合(ゆり)と仲が良すぎるせいで付き合ってるか気になるらしい。
堀川百合(ほりかわゆり)。美人で成績優秀、運動完璧だけど朝が弱くてゲーム好きな天才肌の女の子。
猫みたいに気まぐれだけど優しい一面もあるそんな女の子。
百合とはゲームや面白いことが好きなところが馬が合って仲の良い関係を続けている。
そんな百合は今年は隣のクラス。俺と付き合ってるのかよく勘ぐられるらしい。
男女が仲良くしてるからすぐ付き合ってるだの何だの勘ぐってくるのは困る。
とはいえ。百合は異性としても魅力的なわけで付き合ってみたいという気持ちもある。
そんなことを悩んでいたある日の下校途中。百合から
「修二は私と恋人になりたい?」
なんて聞かれた。考えた末の言葉らしい。
百合としても満更じゃないのなら恋人になるのを躊躇する理由もない。
「なれたらいいと思ってる」
少し曖昧な返事とともに恋人になった俺たち。
食べさせあいをしたり、キスやその先もしてみたり。
恋人になった後は今までよりもっと楽しい毎日。
そんな俺達は大学に入る時に籍を入れて学生夫婦としての生活も開始。
夜一緒に寝たり、一緒に大学の講義を受けたり、新婚旅行に行ったりと
新婚生活も満喫中。
これは俺と百合が恋人としてイチャイチャしたり、
新婚生活を楽しんだりする、甘くてほのぼのとする日常のお話。
冴えない俺と美少女な彼女たちとの関係、複雑につき――― ~助けた小学生の姉たちはどうやらシスコンで、いつの間にかハーレム形成してました~
メディカルト
恋愛
「え……あの小学生のお姉さん……たち?」
俺、九十九恋は特筆して何か言えることもない普通の男子高校生だ。
学校からの帰り道、俺はスーパーの近くで泣く小学生の女の子を見つける。
その女の子は転んでしまったのか、怪我していた様子だったのですぐに応急処置を施したが、実は学校で有名な初風姉妹の末っ子とは知らずに―――。
少女への親切心がきっかけで始まる、コメディ系ハーレムストーリー。
……どうやら彼は鈍感なようです。
――――――――――――――――――――――――――――――
【作者より】
九十九恋の『恋』が、恋愛の『恋』と間違える可能性があるので、彼のことを指すときは『レン』と表記しています。
また、R15は保険です。
毎朝20時投稿!
【3月14日 更新再開 詳細は近況ボードで】
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
貞操観念逆転世界におけるニートの日常
猫丸
恋愛
男女比1:100。
女性の価値が著しく低下した世界へやってきた【大鳥奏】という一人の少年。
夢のような世界で彼が望んだのは、ラブコメでも、ハーレムでもなく、男の希少性を利用した引き籠り生活だった。
ネトゲは楽しいし、一人は気楽だし、学校行かなくてもいいとか最高だし。
しかし、男女の比率が大きく偏った逆転世界は、そんな彼を放っておくはずもなく……
『カナデさんってもしかして男なんじゃ……?』
『ないでしょw』
『ないと思うけど……え、マジ?』
これは貞操観念逆転世界にやってきた大鳥奏という少年が世界との関わりを断ち自宅からほとんど出ない物語。
貞操観念逆転世界のハーレム主人公を拒んだ一人のネットゲーマーの引き籠り譚である。
陽キャグループを追放されたので、ひとりで気ままに大学生活を送ることにしたんだが……なぜか、ぼっちになってから毎日美女たちが話しかけてくる。
電脳ピエロ
恋愛
藤堂 薫は大学で共に行動している陽キャグループの男子2人、大熊 快児と蜂羽 強太から理不尽に追い出されてしまう。
ひとりで気ままに大学生活を送ることを決める薫だったが、薫が以前関わっていた陽キャグループの女子2人、七瀬 瑠奈と宮波 美緒は男子2人が理不尽に薫を追放した事実を知り、彼らと縁を切って薫と積極的に関わろうとしてくる。
しかも、なぜか今まで関わりのなかった同じ大学の美女たちが寄ってくるようになり……。
薫を上手く追放したはずなのにグループの女子全員から縁を切られる性格最悪な男子2人。彼らは瑠奈や美緒を呼び戻そうとするがことごとく無視され、それからも散々な目にあって行くことになる。
やがて自分たちが女子たちと関われていたのは薫のおかげだと気が付き、グループに戻ってくれと言うがもう遅い。薫は居心地のいいグループで楽しく大学生活を送っているのだから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる