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第34話
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◆神坂冬樹 視点◆
3連休3日目の祝日の朝はいつもよりかなり早く起床した。昨日は病院で睡眠時間が多かったし、寝溜めができていたのかもしれない。
久し振りに1人ではない家で、家族に近い美晴姉さんはともかく、高梨先生や昨日会ったばかりのみゆきさんが泊まるという奇妙な状況で落ち着かないというのもあると思う。
特にやることもないので、朝食の用意をしすぐに出せる状態にしたら、リビングで既に出されている夏休みの宿題を進めることにした。
「あれ、もう起きてたの?」
宿題に集中してたらみゆきさんに声を掛けられ、そちらを振り向くとタンクトップに短パンという際どい格好だったので思わず目を逸らした。
「あれあれ~、冬樹くんはどうして私のことを見てくれないのかなぁ?」
「その格好は俺には目に毒なので、もう少し露出を控えてもらえませんか」
「暑いんだし、いいじゃん」
「全然良くないです!」
「しょうがないなぁ。じゃあ、整えてくるわね。洗面所を借りるけど大丈夫よね?」
「大丈夫です。ゆっくり支度してきてください。
そう言えば、先生と美晴姉さんはまだ寝てるんですか?」
「うん、寝てるよ。私は今日仕事だから早く起きたの。
支度ができたら出ていくわね」
「そう言えば、お仕事なにをされているのか伺ってなかったですけど何を・・・って、そんなのは後で良いですね。まずは着替えをお願いします」
「は~い。じゃあ、またあとでね」
と、洗面所へ去っていったみゆきさんと入れ替わるように先生が起きてきた。
「おはようございます。神坂君、早いですね」
「はい、おはようございます、先生。昨日が病院でいつもより長く寝ていたせいで寝溜めしてたのか、早く目が覚めちゃいました」
「わたし達がいるせいですよね・・・寝溜めはできないとも言いますから、無理しないで疲れを感じたら休んでくださいね」
「まぁ、いずれにしても目が覚めちゃったのは事実なので、大丈夫ですよ。今日は学校も休みですし。
そう言えば、みゆきさんは今日はお仕事だから早くここを出るような事を仰ってましたよ。休日が休みのお仕事じゃないんですね」
「そうね。みゆきは音楽教室のレッスンコーチだから休日は関係ないのよ。昨日はたまたま休みだったみたい」
「それなのに、ここに泊まったんですね。すごいバイタリティですよ」
「そうね、もういい歳なのに。そういうところは元気よね」
「なになに~、私の陰口言ってたの~」
「なに言ってるの、そんなわけないでしょ。
あなたが今日は仕事なのに昨日泊まった元気に呆れていただけよ」
「いーじゃん、楽しかったんだから!」
「あなたは楽しかったでしょうけど、こっちは気苦労が増えたわよ」
「まぁまぁ先生、先生も身支度を整えてこられてはいかがですか?」
「そうですね。では、お言葉に甘えてわたしも洗面所を使わせてもらいますね」
先生が洗面所の方へ向かうのを見つつみゆきさんへ尋ねた。
「何時くらいに出られますか?良かったらすぐに朝メシを用意できますけど、先生と美晴姉さんを待ちますか?」
「んじゃ、悪いけど、先にいただいて、食べ終わったら出発させてもらうわね」
「わかりました。今すぐ出しますから、ちょっと待っててくださいね」
みゆきさんの分の朝食を出してあげた。
「美味しそうじゃない。すごいわね」
「いえいえ、大したことじゃないですよ。簡単なものばかりですし」
「いやぁ、私は実家暮らしで家事は母親任せだしずーっとピアノばかりだったから、家事なんか全然やらないし料理もできないのよ。
それに引き換え冬樹はなんでもできてすごいわね」
「なんでもはできないですよ。できることだけですって」
「そのできることが多いって話よ。まぁ、良いわ。冷めない内にいただいちゃうわね」
「どうぞ、しっかり噛んでくださいね」
みゆきさんは黙々と朝食を平らげ、落ち着くまもなく俺と先生に「じゃあ、また遊びに来るわね」と言い残して帰っていった。
「先生、みゆきさんって嵐のような人ですね」
「神坂君、本当にごめんなさいね」
3連休3日目の祝日の朝はいつもよりかなり早く起床した。昨日は病院で睡眠時間が多かったし、寝溜めができていたのかもしれない。
久し振りに1人ではない家で、家族に近い美晴姉さんはともかく、高梨先生や昨日会ったばかりのみゆきさんが泊まるという奇妙な状況で落ち着かないというのもあると思う。
特にやることもないので、朝食の用意をしすぐに出せる状態にしたら、リビングで既に出されている夏休みの宿題を進めることにした。
「あれ、もう起きてたの?」
宿題に集中してたらみゆきさんに声を掛けられ、そちらを振り向くとタンクトップに短パンという際どい格好だったので思わず目を逸らした。
「あれあれ~、冬樹くんはどうして私のことを見てくれないのかなぁ?」
「その格好は俺には目に毒なので、もう少し露出を控えてもらえませんか」
「暑いんだし、いいじゃん」
「全然良くないです!」
「しょうがないなぁ。じゃあ、整えてくるわね。洗面所を借りるけど大丈夫よね?」
「大丈夫です。ゆっくり支度してきてください。
そう言えば、先生と美晴姉さんはまだ寝てるんですか?」
「うん、寝てるよ。私は今日仕事だから早く起きたの。
支度ができたら出ていくわね」
「そう言えば、お仕事なにをされているのか伺ってなかったですけど何を・・・って、そんなのは後で良いですね。まずは着替えをお願いします」
「は~い。じゃあ、またあとでね」
と、洗面所へ去っていったみゆきさんと入れ替わるように先生が起きてきた。
「おはようございます。神坂君、早いですね」
「はい、おはようございます、先生。昨日が病院でいつもより長く寝ていたせいで寝溜めしてたのか、早く目が覚めちゃいました」
「わたし達がいるせいですよね・・・寝溜めはできないとも言いますから、無理しないで疲れを感じたら休んでくださいね」
「まぁ、いずれにしても目が覚めちゃったのは事実なので、大丈夫ですよ。今日は学校も休みですし。
そう言えば、みゆきさんは今日はお仕事だから早くここを出るような事を仰ってましたよ。休日が休みのお仕事じゃないんですね」
「そうね。みゆきは音楽教室のレッスンコーチだから休日は関係ないのよ。昨日はたまたま休みだったみたい」
「それなのに、ここに泊まったんですね。すごいバイタリティですよ」
「そうね、もういい歳なのに。そういうところは元気よね」
「なになに~、私の陰口言ってたの~」
「なに言ってるの、そんなわけないでしょ。
あなたが今日は仕事なのに昨日泊まった元気に呆れていただけよ」
「いーじゃん、楽しかったんだから!」
「あなたは楽しかったでしょうけど、こっちは気苦労が増えたわよ」
「まぁまぁ先生、先生も身支度を整えてこられてはいかがですか?」
「そうですね。では、お言葉に甘えてわたしも洗面所を使わせてもらいますね」
先生が洗面所の方へ向かうのを見つつみゆきさんへ尋ねた。
「何時くらいに出られますか?良かったらすぐに朝メシを用意できますけど、先生と美晴姉さんを待ちますか?」
「んじゃ、悪いけど、先にいただいて、食べ終わったら出発させてもらうわね」
「わかりました。今すぐ出しますから、ちょっと待っててくださいね」
みゆきさんの分の朝食を出してあげた。
「美味しそうじゃない。すごいわね」
「いえいえ、大したことじゃないですよ。簡単なものばかりですし」
「いやぁ、私は実家暮らしで家事は母親任せだしずーっとピアノばかりだったから、家事なんか全然やらないし料理もできないのよ。
それに引き換え冬樹はなんでもできてすごいわね」
「なんでもはできないですよ。できることだけですって」
「そのできることが多いって話よ。まぁ、良いわ。冷めない内にいただいちゃうわね」
「どうぞ、しっかり噛んでくださいね」
みゆきさんは黙々と朝食を平らげ、落ち着くまもなく俺と先生に「じゃあ、また遊びに来るわね」と言い残して帰っていった。
「先生、みゆきさんって嵐のような人ですね」
「神坂君、本当にごめんなさいね」
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