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第11話
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◆神坂夏菜 視点◆
『弟の冬樹がクラスメイトの二之宮さんに襲いかかり、それをクラスメイトの鷺ノ宮君に捕らえられた』という話を聞いたのはその日に帰宅してからだった。放課後は仲の良い友達グループで勉強会を行うためにすぐ下校していたからだ。
春華が冬樹本人から直接聞いたと言うので、その瞬間に信じ切ってしまいその直後に帰宅した冬樹に対して厳しいことをたくさん言った。
両親も春華の話を聞いて信じ切っていたので4人で問い詰める様な形になってしまった。
冬樹は説明をしようと話しかけたけど、家族の誰かしらが「言い訳をするな!」と説明する機会を封じたし、言葉を発しようとすることが見苦しい言い訳をする様に感じ怒りの感情を昂ぶらせ、とうとうお父さんが『お前なんかもう知らん、絶縁だ!出て行け!』と言い出し、私も春華も同調して『二度と話しかけるな!』と言い放ってしまった。
そうしたら冬樹は私達に言い返すこともなくすぐさま荷物をまとめ『お世話になりました。でも、話をちゃんと聞いて欲しかったです』と言って家を出ていってしまった。
冬樹は投資でお金を稼いでいるので普通の高校生よりお金を持っているものの行くところがないはずなので、状況が落ち着けばすぐに戻ってくるだろうと考えたが、被害に遭った二之宮さんにはすぐにでも謝罪をしなければならないので、両親と相談し冬樹が不在のままでも私が翌日学校へ行ってから二之宮さんに私や両親に謝罪の機会をもらえるように話をすることになった。
翌朝はいつもよりもかなり早い時間に登校し二之宮さんと冬樹のクラスへ直行した。幸い二之宮さんも早く登校していて話をすることができたので、謝罪しつつ親を交えての謝罪の場を設けさせて欲しい旨を伝えたが、二之宮さんからは自分が悪く逆に冬樹へ迷惑をかけたと謝り返された。
この時は気付いてなかったが、後になって振り返れば冬樹の姉である私が二之宮さんに謝罪をしたことも冬樹の立場を悪くする要因だった。冷静になって考えてみれば当然なのだが、謝罪をするということは罪を認めるということで、私は冬樹の姉なのだから冬樹の罪を認めたのと同じだ。
被害者であるはずの二之宮さんが冬樹に迷惑をかけたと謝罪してくるとは思いもしなかったとは言え、とんでもない大失態だ。
他の生徒も聞いている場でこれ以上話すべきではないと判断し、昼休みに生徒会室で話をする時間をもらったのだが、これも良くなかったと思う。
この時の状況は既に私が誤解を誘発していて些細なことでも冬樹の身内の行動が冬樹にとってマイナスになる様な雰囲気だったのだ。一連の流れが冬樹が二之宮さんを襲ったことへの謝罪について話すのだろうと想像させる状況だ。
昼休みになり生徒会室にて二之宮さんとふたりきりで話をさせてもらったところ、二之宮さんが冬樹に好意を持っていて迫った勢いで冬樹の手を掴み自分の身体を触らせ、そのタイミングでたまたま鷺ノ宮がその現場に来てしまい義憤で捕まえてしまったと言うのが真実だというのだ。
二之宮さんの話しぶりに違和感を覚えたものの、それならば辻褄が合うのかもしれないと思えた。冬樹は自分からではなくても二之宮さんの身体に触れてしまったのであれば、春華に問われた際に誤魔化そうとはせず、事実として二之宮さんの身体に触れたと言ったのだろう。それで春華はちゃんと最後まで話を聞かずに冬樹が痴漢行為をしたと決め付けてしまったのだ。そして私も両親達も『春華が冬樹から直接聞いた事実』という前提から春華が言う事を鵜呑みにしてしまい、家族全員で責め立てるような事を言ってしまったと言うことだ。
気付いたのならすぐに正しくあるように行動しようと、冬樹と会おうと思ったが結局この日はスマホで連絡も取れず校内を探しても会えなかった。
帰宅し春華と話をしようと思ったが、この世の終わりのような顔をしているのを見て、苛立って『お前のせいだろ!』と責め立ててしまいそうな衝動を覚えたので、冷静になるためにその日に話をするのを諦めた。
そして両親が帰宅してからふたりに二之宮さんから聞いた話を伝えた。
『弟の冬樹がクラスメイトの二之宮さんに襲いかかり、それをクラスメイトの鷺ノ宮君に捕らえられた』という話を聞いたのはその日に帰宅してからだった。放課後は仲の良い友達グループで勉強会を行うためにすぐ下校していたからだ。
春華が冬樹本人から直接聞いたと言うので、その瞬間に信じ切ってしまいその直後に帰宅した冬樹に対して厳しいことをたくさん言った。
両親も春華の話を聞いて信じ切っていたので4人で問い詰める様な形になってしまった。
冬樹は説明をしようと話しかけたけど、家族の誰かしらが「言い訳をするな!」と説明する機会を封じたし、言葉を発しようとすることが見苦しい言い訳をする様に感じ怒りの感情を昂ぶらせ、とうとうお父さんが『お前なんかもう知らん、絶縁だ!出て行け!』と言い出し、私も春華も同調して『二度と話しかけるな!』と言い放ってしまった。
そうしたら冬樹は私達に言い返すこともなくすぐさま荷物をまとめ『お世話になりました。でも、話をちゃんと聞いて欲しかったです』と言って家を出ていってしまった。
冬樹は投資でお金を稼いでいるので普通の高校生よりお金を持っているものの行くところがないはずなので、状況が落ち着けばすぐに戻ってくるだろうと考えたが、被害に遭った二之宮さんにはすぐにでも謝罪をしなければならないので、両親と相談し冬樹が不在のままでも私が翌日学校へ行ってから二之宮さんに私や両親に謝罪の機会をもらえるように話をすることになった。
翌朝はいつもよりもかなり早い時間に登校し二之宮さんと冬樹のクラスへ直行した。幸い二之宮さんも早く登校していて話をすることができたので、謝罪しつつ親を交えての謝罪の場を設けさせて欲しい旨を伝えたが、二之宮さんからは自分が悪く逆に冬樹へ迷惑をかけたと謝り返された。
この時は気付いてなかったが、後になって振り返れば冬樹の姉である私が二之宮さんに謝罪をしたことも冬樹の立場を悪くする要因だった。冷静になって考えてみれば当然なのだが、謝罪をするということは罪を認めるということで、私は冬樹の姉なのだから冬樹の罪を認めたのと同じだ。
被害者であるはずの二之宮さんが冬樹に迷惑をかけたと謝罪してくるとは思いもしなかったとは言え、とんでもない大失態だ。
他の生徒も聞いている場でこれ以上話すべきではないと判断し、昼休みに生徒会室で話をする時間をもらったのだが、これも良くなかったと思う。
この時の状況は既に私が誤解を誘発していて些細なことでも冬樹の身内の行動が冬樹にとってマイナスになる様な雰囲気だったのだ。一連の流れが冬樹が二之宮さんを襲ったことへの謝罪について話すのだろうと想像させる状況だ。
昼休みになり生徒会室にて二之宮さんとふたりきりで話をさせてもらったところ、二之宮さんが冬樹に好意を持っていて迫った勢いで冬樹の手を掴み自分の身体を触らせ、そのタイミングでたまたま鷺ノ宮がその現場に来てしまい義憤で捕まえてしまったと言うのが真実だというのだ。
二之宮さんの話しぶりに違和感を覚えたものの、それならば辻褄が合うのかもしれないと思えた。冬樹は自分からではなくても二之宮さんの身体に触れてしまったのであれば、春華に問われた際に誤魔化そうとはせず、事実として二之宮さんの身体に触れたと言ったのだろう。それで春華はちゃんと最後まで話を聞かずに冬樹が痴漢行為をしたと決め付けてしまったのだ。そして私も両親達も『春華が冬樹から直接聞いた事実』という前提から春華が言う事を鵜呑みにしてしまい、家族全員で責め立てるような事を言ってしまったと言うことだ。
気付いたのならすぐに正しくあるように行動しようと、冬樹と会おうと思ったが結局この日はスマホで連絡も取れず校内を探しても会えなかった。
帰宅し春華と話をしようと思ったが、この世の終わりのような顔をしているのを見て、苛立って『お前のせいだろ!』と責め立ててしまいそうな衝動を覚えたので、冷静になるためにその日に話をするのを諦めた。
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