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第5話
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◆神坂冬樹 視点◆
朝のSHRで塚田教諭から『授業は良いのでSHR後すぐに校長室まで行ってください』との指示をされたため、クラスメイトに声を掛けられる前にすぐさま移動した。
呼び出された校長室では校長・教頭・生徒指導担当の大塚教諭・学年主任の田中教諭に塚田教諭が集まっていた。
「神坂君、まずは女子生徒を襲いかかったとする事件について君への疑いを信じてしまい申し訳なかった。代表して校長の私から謝罪させてもらいたい」
「別に気にしてないですよ。親姉妹や幼馴染みも信じてくれなかったくらいですから1年ちょっとの付き合いの学校に信じろというのが無理な話ですよ」
「そう言ってもらえるとありがたい。また学校としては全力で神坂君の汚名返上に努めさせてもらうので、何かあればなんでも相談して欲しい」
「ん?今なんでも相談してって言ったよね?」
「もちろんだとも。どんな些細な事でもここにいる先生たちだけでなく全校の教職員で力になる。ついては、お父様に寄付は継続していただけるように口添えしてもらえないだろうか?」
冗談で言ったネットスラングを無視された。元ネタは知らないのだろうけど、言い方は失礼で咎められてもおかしくないはずなのに、そんな事をしないくらい校長には余裕が無いのだろう。
この秀優高校は私立の学校で、保護者からの寄付も集めている。ちなみに、俺は課税所得を減らす目的もあり自分の資産から毎月寄付をしていたが、どうやら父親が寄付していたものだと思っているらしい。事件があった5月からは寄付を行っていないから、それを再開して欲しいと思っているのだろう。
「父が姉や妹のためにどの様な寄付を行っていたのかはわかりませんが、機会があれば伝えておきます。
僕のポケットマネーで行っていた分の寄付は信じてくれなかった学校へ払うのは癪なので今後も行いませんが問題ないですよね?」
「それはどういう・・・」
「言葉のとおりです。僕が自分の個人資産から学校への寄付を行っていて、信頼関係がなくなったので寄付をしなくなったし、今後もしないというだけの話です。
恐らく父は寄付はしていなかったと思いますけど、校長先生が求めているということだけは話す機会がある時に伝えておくということです。もっとも僕が父と会うこともないと思いますが」
ようやく状況が飲み込めたのか校長の顔色が悪くなっていく。そこで塚田教諭が割って尋ねてきた。
「神坂君は実家へ戻るつもりはないのですか?」
「逆に塚田先生は戻りたいと思いますか?
信じてくれないどころか話すらも聞いてくれない人間と一緒に暮らしたいと思いますか?
こういう言い方は厭らしいですけど僕はお金だけはそれなりに持っているんで、一人暮らしするのに困ることはないんですよ」
「一時の過ちがあっても家族は家族なのではないですか?」
「それは2ヶ月前の神坂家の人間にこそ言って欲しいですね」
何を言っても無駄だと思ったのか塚田教諭は黙ってしまった。
「いずれにせよ、我が校としては神坂君の支援を行わせてもらうので、困ったことがあったら相談して欲しい」
校長が取り繕うように締めて呼び出しは終わった。
朝のSHRで塚田教諭から『授業は良いのでSHR後すぐに校長室まで行ってください』との指示をされたため、クラスメイトに声を掛けられる前にすぐさま移動した。
呼び出された校長室では校長・教頭・生徒指導担当の大塚教諭・学年主任の田中教諭に塚田教諭が集まっていた。
「神坂君、まずは女子生徒を襲いかかったとする事件について君への疑いを信じてしまい申し訳なかった。代表して校長の私から謝罪させてもらいたい」
「別に気にしてないですよ。親姉妹や幼馴染みも信じてくれなかったくらいですから1年ちょっとの付き合いの学校に信じろというのが無理な話ですよ」
「そう言ってもらえるとありがたい。また学校としては全力で神坂君の汚名返上に努めさせてもらうので、何かあればなんでも相談して欲しい」
「ん?今なんでも相談してって言ったよね?」
「もちろんだとも。どんな些細な事でもここにいる先生たちだけでなく全校の教職員で力になる。ついては、お父様に寄付は継続していただけるように口添えしてもらえないだろうか?」
冗談で言ったネットスラングを無視された。元ネタは知らないのだろうけど、言い方は失礼で咎められてもおかしくないはずなのに、そんな事をしないくらい校長には余裕が無いのだろう。
この秀優高校は私立の学校で、保護者からの寄付も集めている。ちなみに、俺は課税所得を減らす目的もあり自分の資産から毎月寄付をしていたが、どうやら父親が寄付していたものだと思っているらしい。事件があった5月からは寄付を行っていないから、それを再開して欲しいと思っているのだろう。
「父が姉や妹のためにどの様な寄付を行っていたのかはわかりませんが、機会があれば伝えておきます。
僕のポケットマネーで行っていた分の寄付は信じてくれなかった学校へ払うのは癪なので今後も行いませんが問題ないですよね?」
「それはどういう・・・」
「言葉のとおりです。僕が自分の個人資産から学校への寄付を行っていて、信頼関係がなくなったので寄付をしなくなったし、今後もしないというだけの話です。
恐らく父は寄付はしていなかったと思いますけど、校長先生が求めているということだけは話す機会がある時に伝えておくということです。もっとも僕が父と会うこともないと思いますが」
ようやく状況が飲み込めたのか校長の顔色が悪くなっていく。そこで塚田教諭が割って尋ねてきた。
「神坂君は実家へ戻るつもりはないのですか?」
「逆に塚田先生は戻りたいと思いますか?
信じてくれないどころか話すらも聞いてくれない人間と一緒に暮らしたいと思いますか?
こういう言い方は厭らしいですけど僕はお金だけはそれなりに持っているんで、一人暮らしするのに困ることはないんですよ」
「一時の過ちがあっても家族は家族なのではないですか?」
「それは2ヶ月前の神坂家の人間にこそ言って欲しいですね」
何を言っても無駄だと思ったのか塚田教諭は黙ってしまった。
「いずれにせよ、我が校としては神坂君の支援を行わせてもらうので、困ったことがあったら相談して欲しい」
校長が取り繕うように締めて呼び出しは終わった。
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