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第7話 両親
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船が、砂浜から伸びている桟橋に近づく。
けれど、船は桟橋まで進むことは無かった。
「この船は大きいから、これ以上進むと岩礁にのりあげてしまうんだ」
「ここに碇を下ろして、手漕ぎボートで桟橋まで行くんだよ?」
と教えてくれたのは、ナイシャル様とナジム様と仰る方です。ナジム様もナイシャル様に仕えているんだと聞きました。あと、ハーリス様と仰る方もいました……今は居ません。なんでも、予定より早く帰る事になったから国に知らせを届けに行ったんだって。
「ボートは結構揺れるけど、ナイシャル様が一緒だから大丈夫!心配はいらないからね」
「は、はい!ありがとうございます」
揺れるボートに縄ハシゴを使って乗り移る時、遠くにいるクレーテを見つけた。遠くに居てもその存在感はとても強い。甲羅に沢山の木とか泉とか山とかあるから沈まないか心配してたら、かめさんだから海の中でも泳げるし精霊の力も使えるから溺れることは無いとナイシャル様が教えてくれました。
「ありゃ?やっぱり迎えに来てるみたいですねぇ」
「え?」
ナジム様が、桟橋の向こう側を見て一言呟く。その呟きに反応しナイシャル様が深いため息を吐いた。
まだ遠くて私には何も見えませんが……
「ナイシャル様のご両親がお迎えに来てるんですよ!お姫様」
ナジム様が私を姫様と強く強調して呼んだ。
「??」
私は不思議に思ったけれど、ボートからナイシャル様の手が伸びてきたので考えるのを辞めました。ナイシャル様の手を取ってハシゴから足を離しボートに降り立つと、ボートが揺れて足がふらついてしまいましたが……私の手を引いたナイシャル様がそのまま抱きとめて支えてくれました。
「大丈夫か?立ってると危ない座ってろ」
「はい、ありがとうございます」
言われた通り私はボートに座り、ナイシャル様も隣に座りました。ナジム様とアーキス様は後ろに、それからボートを漕ぐ人の計6人が乗り込み桟橋に向けて進む。
すると、少しづつ砂浜が見えてきてナジム様が言ったお迎えが見えてきました。
金の髪をした綺麗な女の人と、白い髪で褐色の肌をした男性が立っていて、その後ろに多くの人が立っていました。
2人の男女は、どことなくナイシャル様に似てる気がします。それに……ナイシャル様も、あの男性も、プフランチェでは見かけない白髪。
私も同じ……
もしかしたら、シャムス・サハラーァでは普通なのかも知れない。私の両親は、この国の出身なのかも!なら、会えるかも知れない……
私を愛し、連れて帰ろうと必死になってくれた人だって街の人に聞いたもの。その時、……イルーシャって赤ん坊だった私に両親は叫んだって聞いたもの。
プフランチェの教会の人に、イルフィリアって名付けられたけど、両親が叫んだイルーシャって名前……私は本当は、そっちを名乗りたかった……
「ナイシャル~!!!!」
桟橋について船から下りると、浜辺から女の人が走ってきていた。女の人は、プフランチェで見かけるような服装ではなく、女性なのにズボンを履いている。プフランチェの貴族女性が見たら、はしたないと罵るんだろうな。
「おかえり!無事だったようね。……」
「分かっております、母さん。イル」
「はい、ナイシャル様」
何か目線で訴える女性にナイシャル様は、仕方なさそうな顔をして私を呼ぶ。そして、彼の隣に移動すると女性を紹介された。
「イル。こちらは俺の母、リュナ・マイヤ・サハラーァ」
……はい?
「それから、今こっちに向かって歩いてきている男性が俺の父、ソゥ・シャムス・サハラーァだ」
「あなたが、ナイシャルからの報告にあったイルちゃんね!」
…………は?い?
いま、ナイシャル様はなんて言いましたか?
リュナ・マイヤ・サハラーァ?
ソゥ・シャムス・サハラーァ?
それって……この国の………………
「な、ナイ、ナイシャル様、は、……」
ゆっくりと、ナイシャル様の方に首を回す。
ナイシャル様は、「黙っててすまんな」と言って、本当の名前を教えてくれました。
ナイシャル・ネヒスト・サハラーァ
ナイシャル様は、シャムス・サハラーァの次期国王……
高位貴族なんてもんじゃない……国のトップだったなんて……私不敬じゃない?!
「っ!すみません!知らなかったとはいえ、無礼で不敬な態度っ!わたし処罰されますか……?」
「は?処罰なんてする訳ないだろう?俺が話さなかったんだからな」
「で、でも……!」
「……イルーシャちゃん」
……え?
「その名前、どうして知ってるんですか?」
「イル?イルこそ、知ってるのか?自分がイルーシャだって」
「ナイシャル様もどうして知ってるんですか?この名前は私と私の両親しか知らないはずなのに……
街の人に聞いたんです、私の両親の事。必死で私を連れ帰ろうしてくれて、最後に「イルーシャ」って赤ん坊だった私に叫んだって」
私はナイシャル様の言葉を疑問に思いつつも、話し始めた。自分が旅行中だった平民の男女との間に生まれたこと、自分の本当の名がイルーシャだということ、教会に引き取られる際、両親は強く反対し私を連れて帰ろうとしたこと、プフランチェの王家が登場した事で強制的に国を出されたこと……私の髪色がプフランチェでは珍しく、ナイシャル様達を見てシャムスに両親が居るかもしれないこと、居るのなら会ってみたいこと、自分の生い立ちを全て話した。
さすがに、プフランチェでどんな生活をして居たのかとかは話せなかったけど。
「イルーシャちゃん!私が、私がお母さんなの!」
「はい?……い、いいえ、私の両親は平民だと聞いてます」
「違うわ!15年前、私とソゥはお忍びで結婚記念日旅行をしていたの……その途中であなたを身ごもり、仕方なくプフランチェで産むことになったの…まさか、子を奪われるなんて思わなかったわ」
「え……」
本当に?本当に、この方が私のお母さんなんですか?
「額に聖痕が現れなければ、あなたを奪われる事なんて無かったのに……」
この15年、どれだけ辛かった事かと王妃様は仰った。
「イルは、父さんと母さんにそっくりだよ」
「そうなんですか?」
「あぁ、誰に聞いても同じ事を返すだろうよ。お前は父さんと母さんの子で俺の妹だってな」
……それで、ナイシャル様は優しかったんですね。私が妹だと分かったから、ずっと優しかったんだ。
でも、私は頭が混乱して……
ナイシャル様がお兄さん?
ナイシャルのご両親がシャムス・サハラーァの王様と王妃様でナイシャル様は王子様?
王様と王妃様が私のお父さんとお母さん?
だから、ナジム様達は私を姫様と呼んだの?
何が何だか……え?
どういうこと……?あれ?
グルグル……頭がグルグルして、何も考えられない。なんか、目の前が暗くなってきてる気がするし……どうなってるの?
「イル……シャ?イルーシャ!」
ナイシャル様の声も遠い……
ふと気が付くと、私の体は吸い込まれるように地面に倒れそうになっていた。けれど、倒れる前に誰かに抱きとめられる感覚……頭の上から聞こえるのはナイシャル様の声と、私の母だと言ったリュナ様の声……
「イルーシャちゃん!どうしよう?あなた!早すぎたかしら?!やっぱり!」
「取り敢えず、ここで話しても仕方ない。宮殿に連れて帰るぞ!急げ!」
ふわりと抱き上げられて、どこかに移動する気配……
「黙ってて、悪かったな……」
小さく、消え入りそうな声で私に呟くナイシャル様の声を最後に私は意識を手放した。
けれど、船は桟橋まで進むことは無かった。
「この船は大きいから、これ以上進むと岩礁にのりあげてしまうんだ」
「ここに碇を下ろして、手漕ぎボートで桟橋まで行くんだよ?」
と教えてくれたのは、ナイシャル様とナジム様と仰る方です。ナジム様もナイシャル様に仕えているんだと聞きました。あと、ハーリス様と仰る方もいました……今は居ません。なんでも、予定より早く帰る事になったから国に知らせを届けに行ったんだって。
「ボートは結構揺れるけど、ナイシャル様が一緒だから大丈夫!心配はいらないからね」
「は、はい!ありがとうございます」
揺れるボートに縄ハシゴを使って乗り移る時、遠くにいるクレーテを見つけた。遠くに居てもその存在感はとても強い。甲羅に沢山の木とか泉とか山とかあるから沈まないか心配してたら、かめさんだから海の中でも泳げるし精霊の力も使えるから溺れることは無いとナイシャル様が教えてくれました。
「ありゃ?やっぱり迎えに来てるみたいですねぇ」
「え?」
ナジム様が、桟橋の向こう側を見て一言呟く。その呟きに反応しナイシャル様が深いため息を吐いた。
まだ遠くて私には何も見えませんが……
「ナイシャル様のご両親がお迎えに来てるんですよ!お姫様」
ナジム様が私を姫様と強く強調して呼んだ。
「??」
私は不思議に思ったけれど、ボートからナイシャル様の手が伸びてきたので考えるのを辞めました。ナイシャル様の手を取ってハシゴから足を離しボートに降り立つと、ボートが揺れて足がふらついてしまいましたが……私の手を引いたナイシャル様がそのまま抱きとめて支えてくれました。
「大丈夫か?立ってると危ない座ってろ」
「はい、ありがとうございます」
言われた通り私はボートに座り、ナイシャル様も隣に座りました。ナジム様とアーキス様は後ろに、それからボートを漕ぐ人の計6人が乗り込み桟橋に向けて進む。
すると、少しづつ砂浜が見えてきてナジム様が言ったお迎えが見えてきました。
金の髪をした綺麗な女の人と、白い髪で褐色の肌をした男性が立っていて、その後ろに多くの人が立っていました。
2人の男女は、どことなくナイシャル様に似てる気がします。それに……ナイシャル様も、あの男性も、プフランチェでは見かけない白髪。
私も同じ……
もしかしたら、シャムス・サハラーァでは普通なのかも知れない。私の両親は、この国の出身なのかも!なら、会えるかも知れない……
私を愛し、連れて帰ろうと必死になってくれた人だって街の人に聞いたもの。その時、……イルーシャって赤ん坊だった私に両親は叫んだって聞いたもの。
プフランチェの教会の人に、イルフィリアって名付けられたけど、両親が叫んだイルーシャって名前……私は本当は、そっちを名乗りたかった……
「ナイシャル~!!!!」
桟橋について船から下りると、浜辺から女の人が走ってきていた。女の人は、プフランチェで見かけるような服装ではなく、女性なのにズボンを履いている。プフランチェの貴族女性が見たら、はしたないと罵るんだろうな。
「おかえり!無事だったようね。……」
「分かっております、母さん。イル」
「はい、ナイシャル様」
何か目線で訴える女性にナイシャル様は、仕方なさそうな顔をして私を呼ぶ。そして、彼の隣に移動すると女性を紹介された。
「イル。こちらは俺の母、リュナ・マイヤ・サハラーァ」
……はい?
「それから、今こっちに向かって歩いてきている男性が俺の父、ソゥ・シャムス・サハラーァだ」
「あなたが、ナイシャルからの報告にあったイルちゃんね!」
…………は?い?
いま、ナイシャル様はなんて言いましたか?
リュナ・マイヤ・サハラーァ?
ソゥ・シャムス・サハラーァ?
それって……この国の………………
「な、ナイ、ナイシャル様、は、……」
ゆっくりと、ナイシャル様の方に首を回す。
ナイシャル様は、「黙っててすまんな」と言って、本当の名前を教えてくれました。
ナイシャル・ネヒスト・サハラーァ
ナイシャル様は、シャムス・サハラーァの次期国王……
高位貴族なんてもんじゃない……国のトップだったなんて……私不敬じゃない?!
「っ!すみません!知らなかったとはいえ、無礼で不敬な態度っ!わたし処罰されますか……?」
「は?処罰なんてする訳ないだろう?俺が話さなかったんだからな」
「で、でも……!」
「……イルーシャちゃん」
……え?
「その名前、どうして知ってるんですか?」
「イル?イルこそ、知ってるのか?自分がイルーシャだって」
「ナイシャル様もどうして知ってるんですか?この名前は私と私の両親しか知らないはずなのに……
街の人に聞いたんです、私の両親の事。必死で私を連れ帰ろうしてくれて、最後に「イルーシャ」って赤ん坊だった私に叫んだって」
私はナイシャル様の言葉を疑問に思いつつも、話し始めた。自分が旅行中だった平民の男女との間に生まれたこと、自分の本当の名がイルーシャだということ、教会に引き取られる際、両親は強く反対し私を連れて帰ろうとしたこと、プフランチェの王家が登場した事で強制的に国を出されたこと……私の髪色がプフランチェでは珍しく、ナイシャル様達を見てシャムスに両親が居るかもしれないこと、居るのなら会ってみたいこと、自分の生い立ちを全て話した。
さすがに、プフランチェでどんな生活をして居たのかとかは話せなかったけど。
「イルーシャちゃん!私が、私がお母さんなの!」
「はい?……い、いいえ、私の両親は平民だと聞いてます」
「違うわ!15年前、私とソゥはお忍びで結婚記念日旅行をしていたの……その途中であなたを身ごもり、仕方なくプフランチェで産むことになったの…まさか、子を奪われるなんて思わなかったわ」
「え……」
本当に?本当に、この方が私のお母さんなんですか?
「額に聖痕が現れなければ、あなたを奪われる事なんて無かったのに……」
この15年、どれだけ辛かった事かと王妃様は仰った。
「イルは、父さんと母さんにそっくりだよ」
「そうなんですか?」
「あぁ、誰に聞いても同じ事を返すだろうよ。お前は父さんと母さんの子で俺の妹だってな」
……それで、ナイシャル様は優しかったんですね。私が妹だと分かったから、ずっと優しかったんだ。
でも、私は頭が混乱して……
ナイシャル様がお兄さん?
ナイシャルのご両親がシャムス・サハラーァの王様と王妃様でナイシャル様は王子様?
王様と王妃様が私のお父さんとお母さん?
だから、ナジム様達は私を姫様と呼んだの?
何が何だか……え?
どういうこと……?あれ?
グルグル……頭がグルグルして、何も考えられない。なんか、目の前が暗くなってきてる気がするし……どうなってるの?
「イル……シャ?イルーシャ!」
ナイシャル様の声も遠い……
ふと気が付くと、私の体は吸い込まれるように地面に倒れそうになっていた。けれど、倒れる前に誰かに抱きとめられる感覚……頭の上から聞こえるのはナイシャル様の声と、私の母だと言ったリュナ様の声……
「イルーシャちゃん!どうしよう?あなた!早すぎたかしら?!やっぱり!」
「取り敢えず、ここで話しても仕方ない。宮殿に連れて帰るぞ!急げ!」
ふわりと抱き上げられて、どこかに移動する気配……
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