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第5話 聖女の誤算(アイリス視点)
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「おかしい、おかしいわ!」
何がおかしいって……
ヴェイグ様が、私に素っ気ない事よっ!!
私の可愛さに落ちてこない男なんて、いないはずなのにっ!!
昔から、私は皆に可愛いって言われて育って来たのよ?頭だって、そこらの人間より良いと思うし!
魔法だって、回復魔法特化型と神殿に言われて神殿の偉い人が迎えに来てくれたの。
そこで、回復魔法を勉強したら、聖女と呼ばれるようになってさ!気が付いたら、公爵家に引き取られてたのよね!元々平民なのに!
それで、毎日のお風呂に、綺麗な服、豪華な食事……平民だった時には、考えられない生活だわ。
公爵家には、本当の娘が居たんだけど……王子様と婚約してる令嬢ね。ちょっと、羨ましいのよね。
チラッと見たけど、結構良い男なんだもの。
だからさ、欲しくなっちゃったのよね……王子様。
でもさぁ、あの女が邪魔なのよねぇ。
私が王子の腕に抱きつこうとすると、『婚約者のいる男性に触れるのは良くありませんよ』とか、2人っきりで話そうとしたら『婚約者のいる男性と2人になるのはマナー違反です』とか、煩いことばっかり!
もう、本当どうしようかな?とか思ってたらさ、街の中で怪しい男に会ったのよ。黒いフード付きのローブ来てさ、髪も真っ黒だし目も黒くて何か気色悪い男。
でも、その男がくれた指輪がさ、物凄いの!
男も女も、私が少しお話しただけでみんな優しくなるの。凄いでしょ?
もう、返せって言われても返せないわ!
それで、王子様にも何度も話してさ……
あの女に虐められてるって言えば、証拠を探す事もしないで責めてさ馬鹿みたいなの!
王様も王妃様も、お父様や周りの人達も私の話しを信じてさぁ。
やっと婚約破棄させて、口封じに喉も焼いて、処刑までいったのに……なぜか、魔獣討伐隊に参加させるって言ったの!
『父上、魔獣討伐隊への参加要請が来ております』
『もう、そんな時期であったか……』
『父上、あの女に参加させては?あの女の魔力は高いし攻撃魔法を得意としておりますから、ただ殺すよりマシだと思います』
『ふむ、そうだのぉ』
だってさ……冗談じゃないわよ。
この指輪の効力がきかないのかしら?私が「逃げるかも?」と言っても「問題ない」と言うし。
「流石に可愛そう」と方向を変えて発言しても「其方は優しいな」で終わっちゃう。
まるで……運命で決まってるみたいな感じで、どんなに言葉を尽くしてもお願いしても、あの女が魔獣討伐隊に参加するのを変えられなかった。
そりゃ、魔獣に食い殺されるなら良いけど、生き残ったらどうするのよ!?
だから、私も参加することにしたの。
最悪、私が上手く誘導すればいいもの……
王様ってば、難色を示すからどうしようかと思った。
その後に、魔獣討伐隊の隊長さんという人が入ってきて……すっごく格好良いの!ククルト様なんて目じゃないわっ
ヴェイグ様……この人も、私の虜にしちゃお
ふふふ、
各国に流した噂のおかげで、この人もあの女を嫌ってるみたい。最初に来た時に睨んでたもの、私見たんだから!そりゃそうよね、聖女を害した魔女ですもんね。
(いい気味)
ヴェイグ様の前まで行って、みっともなく映らない程度に胸を強調させて、回復なら私に任せてと微笑んで言った。これで落ちない男は、居なかったわ!
でも……
「ああ、よろしく頼む」
……
…………え?それだけ?
嘘でしょ?
他にも何か、あるでしょ?
こう、「貴方を危険な目に合わせません、俺が命を懸けてお守りします」的な……
ちょっと、今までの男と違うって事?
やだ、素敵……
絶対に、落としてやるわ。
この指輪があるかぎり、私は無敵だしね!
砦に着いて、あの女の様子を見に行けば……牢番が今はヴェイグ様が尋問してるから、ダメだって言うのよ?だから、上目遣いで彼を見つめ「お・ね・が・い」って言ったら、「少々お待ちください」だって!
牢番が地下に降りて行き、戻ってきた時にはヴェイグ様とレヴィン様が来たの。
『このような場所に、聖女様が来るべきではありません』
『分かっています、でも……会わせて欲しいの!』
と何度もお願いして、やっと会わせてもらえる事になったわ。もう、無駄に時間がかかっちゃった…
あの女は……質素な服に、足は鎖で壁と繋がられ、手にも鎖が付いていた。
(ざまぁみろ)
私の邪魔するから、こうなるのよ。
ニヤけそうになる顔を何とか堪え、泣き顔を作る。
『ご、ごめんなさいっ!……』
両手を顔に当て、泣き崩れるようにその場に膝を着く。すかさず、ククルト様が手を貸してくれたから汚れずに済んだわ。
そうして、王様に許して貰えるよう頼んであげると嘘をつきその場を離れた。
あの調子なら、何も問題無さそうね。
魔獣を倒しながら、ヴェイグ様とレヴィン様を私のものに……くふふ。
でも、この時の私は……気付かなかった。
指輪は、本当は……闇の✾✾✾だと言うことを。
神様に愛された聖女は、私ではなく✾✾✾だった事。
今回、指輪の力が発揮されなかったのは、✾✾✾が介入していたからだったことを。
そして、私に待ち受ける運命は……✾✾✾だと言うことを。
何がおかしいって……
ヴェイグ様が、私に素っ気ない事よっ!!
私の可愛さに落ちてこない男なんて、いないはずなのにっ!!
昔から、私は皆に可愛いって言われて育って来たのよ?頭だって、そこらの人間より良いと思うし!
魔法だって、回復魔法特化型と神殿に言われて神殿の偉い人が迎えに来てくれたの。
そこで、回復魔法を勉強したら、聖女と呼ばれるようになってさ!気が付いたら、公爵家に引き取られてたのよね!元々平民なのに!
それで、毎日のお風呂に、綺麗な服、豪華な食事……平民だった時には、考えられない生活だわ。
公爵家には、本当の娘が居たんだけど……王子様と婚約してる令嬢ね。ちょっと、羨ましいのよね。
チラッと見たけど、結構良い男なんだもの。
だからさ、欲しくなっちゃったのよね……王子様。
でもさぁ、あの女が邪魔なのよねぇ。
私が王子の腕に抱きつこうとすると、『婚約者のいる男性に触れるのは良くありませんよ』とか、2人っきりで話そうとしたら『婚約者のいる男性と2人になるのはマナー違反です』とか、煩いことばっかり!
もう、本当どうしようかな?とか思ってたらさ、街の中で怪しい男に会ったのよ。黒いフード付きのローブ来てさ、髪も真っ黒だし目も黒くて何か気色悪い男。
でも、その男がくれた指輪がさ、物凄いの!
男も女も、私が少しお話しただけでみんな優しくなるの。凄いでしょ?
もう、返せって言われても返せないわ!
それで、王子様にも何度も話してさ……
あの女に虐められてるって言えば、証拠を探す事もしないで責めてさ馬鹿みたいなの!
王様も王妃様も、お父様や周りの人達も私の話しを信じてさぁ。
やっと婚約破棄させて、口封じに喉も焼いて、処刑までいったのに……なぜか、魔獣討伐隊に参加させるって言ったの!
『父上、魔獣討伐隊への参加要請が来ております』
『もう、そんな時期であったか……』
『父上、あの女に参加させては?あの女の魔力は高いし攻撃魔法を得意としておりますから、ただ殺すよりマシだと思います』
『ふむ、そうだのぉ』
だってさ……冗談じゃないわよ。
この指輪の効力がきかないのかしら?私が「逃げるかも?」と言っても「問題ない」と言うし。
「流石に可愛そう」と方向を変えて発言しても「其方は優しいな」で終わっちゃう。
まるで……運命で決まってるみたいな感じで、どんなに言葉を尽くしてもお願いしても、あの女が魔獣討伐隊に参加するのを変えられなかった。
そりゃ、魔獣に食い殺されるなら良いけど、生き残ったらどうするのよ!?
だから、私も参加することにしたの。
最悪、私が上手く誘導すればいいもの……
王様ってば、難色を示すからどうしようかと思った。
その後に、魔獣討伐隊の隊長さんという人が入ってきて……すっごく格好良いの!ククルト様なんて目じゃないわっ
ヴェイグ様……この人も、私の虜にしちゃお
ふふふ、
各国に流した噂のおかげで、この人もあの女を嫌ってるみたい。最初に来た時に睨んでたもの、私見たんだから!そりゃそうよね、聖女を害した魔女ですもんね。
(いい気味)
ヴェイグ様の前まで行って、みっともなく映らない程度に胸を強調させて、回復なら私に任せてと微笑んで言った。これで落ちない男は、居なかったわ!
でも……
「ああ、よろしく頼む」
……
…………え?それだけ?
嘘でしょ?
他にも何か、あるでしょ?
こう、「貴方を危険な目に合わせません、俺が命を懸けてお守りします」的な……
ちょっと、今までの男と違うって事?
やだ、素敵……
絶対に、落としてやるわ。
この指輪があるかぎり、私は無敵だしね!
砦に着いて、あの女の様子を見に行けば……牢番が今はヴェイグ様が尋問してるから、ダメだって言うのよ?だから、上目遣いで彼を見つめ「お・ね・が・い」って言ったら、「少々お待ちください」だって!
牢番が地下に降りて行き、戻ってきた時にはヴェイグ様とレヴィン様が来たの。
『このような場所に、聖女様が来るべきではありません』
『分かっています、でも……会わせて欲しいの!』
と何度もお願いして、やっと会わせてもらえる事になったわ。もう、無駄に時間がかかっちゃった…
あの女は……質素な服に、足は鎖で壁と繋がられ、手にも鎖が付いていた。
(ざまぁみろ)
私の邪魔するから、こうなるのよ。
ニヤけそうになる顔を何とか堪え、泣き顔を作る。
『ご、ごめんなさいっ!……』
両手を顔に当て、泣き崩れるようにその場に膝を着く。すかさず、ククルト様が手を貸してくれたから汚れずに済んだわ。
そうして、王様に許して貰えるよう頼んであげると嘘をつきその場を離れた。
あの調子なら、何も問題無さそうね。
魔獣を倒しながら、ヴェイグ様とレヴィン様を私のものに……くふふ。
でも、この時の私は……気付かなかった。
指輪は、本当は……闇の✾✾✾だと言うことを。
神様に愛された聖女は、私ではなく✾✾✾だった事。
今回、指輪の力が発揮されなかったのは、✾✾✾が介入していたからだったことを。
そして、私に待ち受ける運命は……✾✾✾だと言うことを。
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