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本編
第2話 自称デント君…
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「ボクは、運営からの伝言を伝えに来たんだ!」
「伝言だと?」
「そうだよ?ギルドランクが上位で、常にトップ争いをしている君達に朗報さ!」
「……朗報ね」
「先ずは、君達にいくつか質問に答えてもらうよ?」
「答えてやる義理はねぇが?」
「ふぅーん、良いの?後悔するよ?」
「「!!」」
急に自称デント君の雰囲気が変わった。
私は再び双剣を構え、アルもまた長剣を構えた。
「あっはは、やだなぁ!大丈夫だよぉ。ただ、質問の答えによって、プレゼントする物が変わるだけさぁ!」
「アル……」
「チッ、いいだろう。だが、妙な真似をしたら、即刻叩き切る」
「あはは……怖いなぁ」
自称デント君は、おどけながら人差し指を立てて「じゃあ、1個目の質問!」と私の前にやってきた。
「アリシア、君は何か一つだけ能力が与えられるなら、何が欲しい?」
質問の意図が分からない。
エデンフォレストでは、能力は種族や職業で変わる。けれど、今まで運営が特定の人物に能力を授けた話なんて聞かない…何か裏がある。
それに....職業をマスターし、次の進化形の職業についたりしなければ、新しい能力は得られない。ゲームとはいえ、仕様があるの....運営だからって、変えられるものじゃないはずよ。
「……その質問に、答える意味は?」
「う~ん。他の子達と違って、君は警戒心が強いなぁ~。デント君、泣いちゃうぞ」
目元に手をやって泣く真似をする、自称デント君。
「他の子達だと?」
「そうだよ?君達のギルドを含めた、5つのギルドに声掛けてるんだ!既に4つのギルドには話をしたよ?みんな普通に答えてくれた....」
そう言って....自称デント君は、薄く気味の悪い笑みを浮かべた。私は、そんなデント君の表情に寒気を覚え...アルジェントに視線を送ると、彼は分かってると言わんばかりに頷いた。
「アル」
「あぁ、既にやってる!」
自称デント君の言ってることが本当かどうかは、連絡を取れば直ぐに事実か判明できる。他ギルドにいる知り合いにアルが連絡を取ってる間、自称デント君が変な行動を起こさないよう油断なく剣を突き付けておく。
自称デント君は、「怖いなぁ」と言いつつも、ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべ...そして........
「あはははは!無駄だよ?」
「....え?」
急に、大声で笑って「無駄」だと口にした。でも、それ以上は何も言わない。
アルの動向を見てるみたい…?いや、待ってるの?
そのうち、アルが...「くそっ」と言うなり、自称デント君を睨みつけた。
「アル?どうしたの?」
「おたく、何をした?」
「........」
アルは自称デント君を睨みつけるが、彼は意に介さないと言うように嫌な笑みを浮かべるだけで、何も言葉を発さなかった。
「アルジェント?」
「.......っ、連絡が取れねぇ!」
「え?」
「くそっ、そもそも通信がっ!おい、アリシア!ログアウト出来るか試してくれ!」
え?どういう事?!
まさか、ログアウト出来ないって言うの?
アルに言われた通り、メニュー出してログアウトしようとするけど......エラーが出て、ログアウト出来ない。緊急アクセスで運営に直接接続し、ログアウトを試して見たけど、こっちも出来なかった。
私はアルジェントに向き直り、首を横に振った。
「え?え?なに?どういうこと?!」
「ログアウト....出来ない?」
「そんな!帰れないの?!」
グウェンの盾に守られている皆が、焦った声を上げる。
「おたく....本当に運営か?」
「........はは、あっははは!バレちゃった♪ 」
自称デント君は、目を瞑り宙に浮き背中から漆黒の翼を出して笑い出しました。そして、舌ベロを出して「バレちゃった」と言ったの。
その瞬間、私とアルに緊張が走り武器を構え一撃を加えようとしたけれど、自称デント君の周りに現れた透けた黒い膜に阻まれ攻撃は届かなかった。
「ちょっ、何よあれ?!」
「チィッ」
敵なのか判別は出来ないけど、絶対味方じゃない!
私とアルの攻撃を防いだ自称デント君に、グウェンも警戒を強くし仲間を守る盾に魔力を注いだ。どんな攻撃が来てもいいように、絶対に守れるように、いつでも発動出来るよう盾の呪文を唱え始めた。
グウェンが呪文を唱え始めた時、自称デント君の姿が変わっていた。
元々あった頭の角は緑から黒に染まり、目は金から赤黒い色に変わって雰囲気が一瞬で魔王のように変わっていたのだ。
「運営と偽り通信を遮断したのは、おたくだな?」
「如何にも」
「何故そんな事をしたの?理由を話して」
剣先を、奴に突きつけ私達を孤立させた理由を問い詰める。
「あーぁ、計画が台無し!君ら....こんな状況になっても、冷静なんだね」
「つまんないの」と、私達の言葉を気にも止めず、小さな欠伸をした。
「まぁ、いっか!じゃあ、特別に話してあげるよ!君達は選ばれたんだ!僕の主に、ね♪」
「主......だと?」
「そうだよ?でも良かったね!」
何が良かったのか、私達には分からない。怪訝な顔で奴を見ていたら「だって...君があの時、何かしらの能力が欲しいって答えてたら.......ぼく、君のこと殺してたからね♪」と言ったのよ。
「え?」
「......っ?!」
そういう約束だったんだと、彼は事も無げに言った。他のギルドにいた子達も、何人か殺したと彼は言ったのっ
彼の質問は、「能力をあげるから、どんな能力が欲しい?」「水、風、炎、土、何が好き?」「お金と命どっちが大事?」「生まれ変わるなら、何になりたい?」「ステータスを強化してあげるよ、何がいい?」「今楽に死ぬのと、後で苦しみながら死ぬの、どっちを選ぶ?」という内容だったそうよ。
主要メンバー全員分の質問があって、答えた内容によって彼は何かしらの行動を取ったのだと....
まず、私にした質問は....彼が言ったように、能力が欲しいと言った時点で死ぬ運命だったと。
次に、「水、風、炎、土、何が好き」という質問は、答えた内容の攻撃を受けたそう。水なら水没、風なら鎌鼬、炎なら獄炎、土なら生き埋めと....こちらも下手したら死ぬわね。
更に次は「お金と権力」という質問、お金を選ぶと所持金や持ち物を全部消され、命を選ぶと寿命を削ると言った。
「生まれ変わるなら、何になりたい?」は、その場でその姿に変えられるそう。
「ステータス強化してあげる」は、選んだステータスを0にしてしまうって....
こんな質問に一体なんの意味があるのか分からないし、この世界で死んだとしても....リアルで死ぬわけじゃない!
そう思いたいのに....外との通信が切れてる事、デント君と名乗った正体不明の何か、殺すと言った時の表情..........理由は分からないけれど、アレの言葉が嘘だとは思えなかった。
そして最後の質問は、アルに対してする予定だったと....「今楽に死ぬのと、後で苦しみながら死ぬのどっちを選ぶ?」は...
「今死ぬのと、この後の展開で....苦しみながら死んでいくの選ばせてあげようと思ってさ」と彼は言った。
「ふざけないでっ!なんの権利があってそんな事を....!」
「あっはは、そんな怖い顔をしないでよ!君が冷静に僕の質問の意図を分析し、回避したんじゃないか!ボクは、君を殺せなかったし、君の仲間も無事だった、それでいいじゃないか」
それは........、そうかも知れないけれどっ
私は何も言えなくなって、さっきから黙っているアルジェントに視線を向けた。
(!!)
その時に見たアルジェントの顔は、物凄く怖い顔をしていた。
久しぶりに見る....本気で怒ったあらたの顔..........
「ふざけるなよ....」
怒気を含んだ、低く冷たい...あらたの声...........
「伝言だと?」
「そうだよ?ギルドランクが上位で、常にトップ争いをしている君達に朗報さ!」
「……朗報ね」
「先ずは、君達にいくつか質問に答えてもらうよ?」
「答えてやる義理はねぇが?」
「ふぅーん、良いの?後悔するよ?」
「「!!」」
急に自称デント君の雰囲気が変わった。
私は再び双剣を構え、アルもまた長剣を構えた。
「あっはは、やだなぁ!大丈夫だよぉ。ただ、質問の答えによって、プレゼントする物が変わるだけさぁ!」
「アル……」
「チッ、いいだろう。だが、妙な真似をしたら、即刻叩き切る」
「あはは……怖いなぁ」
自称デント君は、おどけながら人差し指を立てて「じゃあ、1個目の質問!」と私の前にやってきた。
「アリシア、君は何か一つだけ能力が与えられるなら、何が欲しい?」
質問の意図が分からない。
エデンフォレストでは、能力は種族や職業で変わる。けれど、今まで運営が特定の人物に能力を授けた話なんて聞かない…何か裏がある。
それに....職業をマスターし、次の進化形の職業についたりしなければ、新しい能力は得られない。ゲームとはいえ、仕様があるの....運営だからって、変えられるものじゃないはずよ。
「……その質問に、答える意味は?」
「う~ん。他の子達と違って、君は警戒心が強いなぁ~。デント君、泣いちゃうぞ」
目元に手をやって泣く真似をする、自称デント君。
「他の子達だと?」
「そうだよ?君達のギルドを含めた、5つのギルドに声掛けてるんだ!既に4つのギルドには話をしたよ?みんな普通に答えてくれた....」
そう言って....自称デント君は、薄く気味の悪い笑みを浮かべた。私は、そんなデント君の表情に寒気を覚え...アルジェントに視線を送ると、彼は分かってると言わんばかりに頷いた。
「アル」
「あぁ、既にやってる!」
自称デント君の言ってることが本当かどうかは、連絡を取れば直ぐに事実か判明できる。他ギルドにいる知り合いにアルが連絡を取ってる間、自称デント君が変な行動を起こさないよう油断なく剣を突き付けておく。
自称デント君は、「怖いなぁ」と言いつつも、ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべ...そして........
「あはははは!無駄だよ?」
「....え?」
急に、大声で笑って「無駄」だと口にした。でも、それ以上は何も言わない。
アルの動向を見てるみたい…?いや、待ってるの?
そのうち、アルが...「くそっ」と言うなり、自称デント君を睨みつけた。
「アル?どうしたの?」
「おたく、何をした?」
「........」
アルは自称デント君を睨みつけるが、彼は意に介さないと言うように嫌な笑みを浮かべるだけで、何も言葉を発さなかった。
「アルジェント?」
「.......っ、連絡が取れねぇ!」
「え?」
「くそっ、そもそも通信がっ!おい、アリシア!ログアウト出来るか試してくれ!」
え?どういう事?!
まさか、ログアウト出来ないって言うの?
アルに言われた通り、メニュー出してログアウトしようとするけど......エラーが出て、ログアウト出来ない。緊急アクセスで運営に直接接続し、ログアウトを試して見たけど、こっちも出来なかった。
私はアルジェントに向き直り、首を横に振った。
「え?え?なに?どういうこと?!」
「ログアウト....出来ない?」
「そんな!帰れないの?!」
グウェンの盾に守られている皆が、焦った声を上げる。
「おたく....本当に運営か?」
「........はは、あっははは!バレちゃった♪ 」
自称デント君は、目を瞑り宙に浮き背中から漆黒の翼を出して笑い出しました。そして、舌ベロを出して「バレちゃった」と言ったの。
その瞬間、私とアルに緊張が走り武器を構え一撃を加えようとしたけれど、自称デント君の周りに現れた透けた黒い膜に阻まれ攻撃は届かなかった。
「ちょっ、何よあれ?!」
「チィッ」
敵なのか判別は出来ないけど、絶対味方じゃない!
私とアルの攻撃を防いだ自称デント君に、グウェンも警戒を強くし仲間を守る盾に魔力を注いだ。どんな攻撃が来てもいいように、絶対に守れるように、いつでも発動出来るよう盾の呪文を唱え始めた。
グウェンが呪文を唱え始めた時、自称デント君の姿が変わっていた。
元々あった頭の角は緑から黒に染まり、目は金から赤黒い色に変わって雰囲気が一瞬で魔王のように変わっていたのだ。
「運営と偽り通信を遮断したのは、おたくだな?」
「如何にも」
「何故そんな事をしたの?理由を話して」
剣先を、奴に突きつけ私達を孤立させた理由を問い詰める。
「あーぁ、計画が台無し!君ら....こんな状況になっても、冷静なんだね」
「つまんないの」と、私達の言葉を気にも止めず、小さな欠伸をした。
「まぁ、いっか!じゃあ、特別に話してあげるよ!君達は選ばれたんだ!僕の主に、ね♪」
「主......だと?」
「そうだよ?でも良かったね!」
何が良かったのか、私達には分からない。怪訝な顔で奴を見ていたら「だって...君があの時、何かしらの能力が欲しいって答えてたら.......ぼく、君のこと殺してたからね♪」と言ったのよ。
「え?」
「......っ?!」
そういう約束だったんだと、彼は事も無げに言った。他のギルドにいた子達も、何人か殺したと彼は言ったのっ
彼の質問は、「能力をあげるから、どんな能力が欲しい?」「水、風、炎、土、何が好き?」「お金と命どっちが大事?」「生まれ変わるなら、何になりたい?」「ステータスを強化してあげるよ、何がいい?」「今楽に死ぬのと、後で苦しみながら死ぬの、どっちを選ぶ?」という内容だったそうよ。
主要メンバー全員分の質問があって、答えた内容によって彼は何かしらの行動を取ったのだと....
まず、私にした質問は....彼が言ったように、能力が欲しいと言った時点で死ぬ運命だったと。
次に、「水、風、炎、土、何が好き」という質問は、答えた内容の攻撃を受けたそう。水なら水没、風なら鎌鼬、炎なら獄炎、土なら生き埋めと....こちらも下手したら死ぬわね。
更に次は「お金と権力」という質問、お金を選ぶと所持金や持ち物を全部消され、命を選ぶと寿命を削ると言った。
「生まれ変わるなら、何になりたい?」は、その場でその姿に変えられるそう。
「ステータス強化してあげる」は、選んだステータスを0にしてしまうって....
こんな質問に一体なんの意味があるのか分からないし、この世界で死んだとしても....リアルで死ぬわけじゃない!
そう思いたいのに....外との通信が切れてる事、デント君と名乗った正体不明の何か、殺すと言った時の表情..........理由は分からないけれど、アレの言葉が嘘だとは思えなかった。
そして最後の質問は、アルに対してする予定だったと....「今楽に死ぬのと、後で苦しみながら死ぬのどっちを選ぶ?」は...
「今死ぬのと、この後の展開で....苦しみながら死んでいくの選ばせてあげようと思ってさ」と彼は言った。
「ふざけないでっ!なんの権利があってそんな事を....!」
「あっはは、そんな怖い顔をしないでよ!君が冷静に僕の質問の意図を分析し、回避したんじゃないか!ボクは、君を殺せなかったし、君の仲間も無事だった、それでいいじゃないか」
それは........、そうかも知れないけれどっ
私は何も言えなくなって、さっきから黙っているアルジェントに視線を向けた。
(!!)
その時に見たアルジェントの顔は、物凄く怖い顔をしていた。
久しぶりに見る....本気で怒ったあらたの顔..........
「ふざけるなよ....」
怒気を含んだ、低く冷たい...あらたの声...........
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