上 下
14 / 15

オマケ ①

しおりを挟む
場面の切り替わりが多いです。
その際には、✾✾✾で区切らせて頂きます。
ご了承ください(*ᴗˬᴗ)⁾
主に、「王家」「伯爵家」「公爵家」「元婚約者」です。

─────

レオンとリシアが結婚式を上げる少し前…

ディルグバーグ領を有する王家では、スタリオン伯爵についての詳細な情報が記された書類が山の様に届けられていた。

それは、レオン両親…主に母ラミアが部下かげを使って調べあげた物だった。

「これを……今から余が全て見ねばならぬのか?」

悲愴感漂う国王は、誰か手伝って貰えないか辺りを見渡しが……王妃も、王太子も宰相さえも自分たちの仕事で手一杯で誰も手を貸そうとはしなかった。

「それも、あと数日で?」

他の仕事もあるのに?と国王は続けた。

それは、王妃達も同じ事が言えた…

国王は、スタリオン伯爵についてだったが…王妃は伯爵夫人とナターシャ、王太子は公爵家、そして宰相は伯爵領と一応は分担していたのだ。

ただ……他の者達よりも、スタリオン伯爵は色々やらかしているそうで、国王の執務机は書類の山になっており、さらに床にも置かれている始末。

「あなた、文句を言っても書類は減りませんよ……手を動かして下さい」

王妃が、眉間に皺を寄せて答える。

「はぁ、仕方あるまい……」

そうして、書かれた内容の真意を確かめつつ、伯爵家の不正の数々が明らかとなった。

主に、国からの援助金の横領、虚偽の申告、密告しようとした使用人の殺害及びその家族も皆殺し。
伯爵夫人とナターシャによる浪費の数々、借金に買収。

更に、リシアの元婚約者であるアギエルと手を組みリシアに大怪我を負わせ……

「なんと言う事じゃ……」
「父上?」
「あなた?」

書類には

〖元々、リシアに大怪我を負わせる予定では無かった。
ただ、馬を驚かせて自身が転び「擦り傷程度の」怪我をする予定だった。

証言者 馬番 マイク、ナターシャのメイド ヘイミ、たまたま現場に居合わせた庭師 クルモ
全員、元スタリオン伯爵家の使用人で、現在地方の村に家族と共に暮らしている。リシアに大怪我を負わせた責任という形で追放処分となっている〗

とあった。

「これは……よく生かしてましたね…伯爵ならば、殺してる可能性があったのに……」
「リシア嬢のおかげだそうだ…」

書類には続きがあった。

〖なお、彼らは最後にこう発言した。
リシア様が目覚め、私たちの処分が決定したあと……今もこうして生きていられるのは、リシア様が私達を逃がして下さったからです。リシア様は自分が信頼出来る人物に、私達を託してくれたんです…伯爵様に知られないように……死んだように見せかけて……私達は、リシア様に死んでも返せない大恩があるんです!私達の証言が必要なら、喜んで王都にも彼らの前にも行きます!!と。〗

「全く、とんでもない事だな……」
「ですが……リシアさんのおかげで、重要な証言と証拠は得られました」

そう彼らは、自分達を捨て駒にした伯爵家に一矢報いようと、いくつかの書類を持ち出していた。
それは、王家に虚偽の申告をした際の本来の書類や借用書、自身で手を下さず殺人の依頼をした依頼書などだった。

そうして、伯爵家はリシアたちの結婚式の前に取り潰される事となった。


✾✾✾

そして、取り潰されることが決定した伯爵家では……

「な、なんだと?!」
「なんですってぇ?!」

スタリオン伯爵夫妻は数人の使用人に囲まれ、頭から湯気が出る勢いで怒鳴っていた。

「私を告発するだと?!どういう事だ!」
「……ずっと、我慢して来ました……私達が何かする度に、リシアお嬢様に危害を加える旦那様を見てからずっと……。お嬢様がディルグバーグ様の元に行かれた今、旦那様に従う理由はもう何もありません!」
「貴様らの家族全員殺してもいいんだぞ!?」
「みな、覚悟の上ですっ!もう、あなたの元で働くのは限界だ!」

そう言って、使用人は部屋を出ていこうとドアの取っ手に手をかける。……が、後ろからナイフが飛んできて、ドアに突き刺さった。

「俺をここで殺しても、俺の家族が国に訴えますよ?」
「その前に、殺せばいい」

使用人は、殺されるかも知れない状況でも毅然と伯爵に立ち向かった。伯爵は、机の脇に置いてあった鞭を手に取ると、嫌な笑みを浮かべながら使用人達の前に立った。

「貴様らの態度には、私も思う所があったのだ……ただ殺すよりも、苦しみながら殺してくれるわ」
「あなた、私も参加するわ。恨むなら、リシアを恨みながら死になさい?」
「私達が、リシアお嬢様を恨むなど、死んでもありえませんね」
「生意気な……っ」

伯爵が、鞭を振り上げ1歩近付いた時……屋敷内が急に騒がしくなった。そして、ドカドカと大きな足音をたてて屋敷内を走る誰か…

そして、伯爵のいる部屋がノックも無しに開かれ……

「何事だ?!」
「ジュード・スタリオン伯爵で間違いないな」

入ってきたのは、騎士だった。
1番前に立っているのは、国王が強い信頼を寄せているという噂の騎士団長だ。

騎士団長は、伯爵が持つ鞭に目をとめ隣の夫人に目を移した。

「ジュリア・スタリオン伯爵夫人だな」

騎士団長は、手に持っていた手配書で顔を確認し部下の騎士に拘束を命じた。

「な、何をする?!私を誰だと……っ!」
「ちょっと!離しなさいよっ!!」

次に騎士団長は、使用人に目を向けた。

「無事かな?」
「ええ、何とか……助かりました。ありがとうございます」
「全く、無茶をする……」

老齢の執事が、騎士団長に頭を下げた。
老齢の執事も、他の使用人も誰一人伯爵夫妻に恐怖している者はいなかった。

先程、使用人の1人が言ったように……みんな死ぬ覚悟の元、伯爵に会いに行ったのだ。
なぜ、わざわざ伯爵の元に向かったのかは…、王家から老齢の執事の元に内密で指示があったから。

騎士団が行くまで、伯爵夫妻に気取られることなく逃げられることなく、監視していて欲しい……と。

だから、リシアを大事に思う使用人達で、伯爵の元に行き告発すると言い出したのだ。
そうすれば、時間を稼げると……誰かは亡くなるかも知れない。けれど、これで確実に伯爵を追い詰められる……と。


こうして、スタリオン伯爵は多くの人を死に追いやったとして処刑が言い渡された。夫人は、幽閉地の地下にて、一生死ぬまで幽閉の身となった……。




────

ちょっと、5000文字を超えそうでしたので、2話に分けましたm(_ _)m

元婚約者のその後は、最後になります:( ;´꒳`;):
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】淑女の顔も二度目まで

凛蓮月
恋愛
 カリバー公爵夫人リリミアが、執務室のバルコニーから身投げした。  彼女の夫マクルドは公爵邸の離れに愛人メイを囲い、彼には婚前からの子どもであるエクスもいた。  リリミアの友人は彼女を責め、夫の親は婚前子を庇った。  娘のマキナも異母兄を慕い、リリミアは孤立し、ーーとある事件から耐え切れなくなったリリミアは身投げした。  マクルドはリリミアを愛していた。  だから、友人の手を借りて時を戻す事にした。  再びリリミアと幸せになるために。 【ホットランキング上位ありがとうございます(゚Д゚;≡;゚Д゚)  恐縮しておりますm(_ _)m】 ※最終的なタグを追加しました。 ※作品傾向はダーク、シリアスです。 ※読者様それぞれの受け取り方により変わるので「ざまぁ」タグは付けていません。 ※作者比で一回目の人生は胸糞展開、矛盾行動してます。自分で書きながら鼻息荒くしてます。すみません。皆様は落ち着いてお読み下さい。 ※甘い恋愛成分は薄めです。 ※時戻りをしても、そんなにほいほいと上手く行くかな? というお話です。 ※作者の脳内異世界のお話です。 ※他サイト様でも公開しています。

溺愛を作ることはできないけれど……~自称病弱な妹に婚約者を寝取られた伯爵令嬢は、イケメン幼馴染と浮気防止の魔道具を開発する仕事に生きる~

弓はあと
恋愛
「センティア、君との婚約は破棄させてもらう。病弱な妹を苛めるような酷い女とは結婚できない」 ……病弱な妹? はて……誰の事でしょう?? 今目の前で私に婚約破棄を告げたジラーニ様は、男ふたり兄弟の次男ですし。 私に妹は、元気な義妹がひとりしかいないけれど。 そう、貴方の腕に胸を押しつけるようにして腕を絡ませているアムエッタ、ただひとりです。 ※現実世界とは違う異世界のお話です。 ※全体的に浮気がテーマの話なので、念のためR15にしています。詳細な性描写はありません。 ※設定ゆるめ、ご都合主義です。 ※感想欄はネタバレ配慮しておりません。

誤解されて1年間妻と会うことを禁止された。

しゃーりん
恋愛
3か月前、ようやく愛する人アイリーンと結婚できたジョルジュ。 幸せ真っただ中だったが、ある理由により友人に唆されて高級娼館に行くことになる。 その現場を妻アイリーンに見られていることを知らずに。 実家に帰ったまま戻ってこない妻を迎えに行くと、会わせてもらえない。 やがて、娼館に行ったことがアイリーンにバレていることを知った。 妻の家族には娼館に行った経緯と理由を纏めてこいと言われ、それを見てアイリーンがどう判断するかは1年後に決まると言われた。つまり1年間会えないということ。 絶望しながらも思い出しながら経緯を書き記すと疑問点が浮かぶ。 なんでこんなことになったのかと原因を調べていくうちに自分たち夫婦に対する嫌がらせと離婚させることが目的だったとわかるお話です。

【完結】愛してなどおりませんが

仲村 嘉高
恋愛
生まれた瞬間から、王妃になる事が決まっていたアメリア。 物心がついた頃には、王妃になる為の教育が始まった。 父親も母親も娘ではなく、王妃になる者として接してくる。 実兄だけは妹として可愛がってくれたが、それも皆に隠れてコッソリとだった。 そんなある日、両親が事故で亡くなった同い年の従妹ミアが引き取られた。 「可愛い娘が欲しかったの」 父親も母親も、従妹をただただ可愛いがった。 婚約者である王太子も、婚約者のアメリアよりミアとの時間を持ち始め……? ※HOT最高3位!ありがとうございます! ※『廃嫡王子』と設定が似てますが、別のお話です ※またやっちまった、断罪別ルート。(17話から)  どうしても決められなかった!!  結果は同じです。 (他サイトで公開していたものを、こちらでも公開しました)

妹がいなくなった

アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。 メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。 お父様とお母様の泣き声が聞こえる。 「うるさくて寝ていられないわ」 妹は我が家の宝。 お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。 妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?

婚約者の妹が結婚式に乗り込んで来たのですが〜どうやら、私の婚約者は妹と浮気していたようです〜

あーもんど
恋愛
結婚式の途中……誓いのキスをする直前で、見知らぬ女性が会場に乗り込んできた。 そして、その女性は『そこの芋女!さっさと“お兄様”から、離れなさい!ブスのくせにお兄様と結婚しようだなんて、図々しいにも程があるわ!』と私を罵り、 『それに私達は体の相性も抜群なんだから!』とまさかの浮気を暴露! そして、結婚式は中止。婚約ももちろん破談。 ────婚約者様、お覚悟よろしいですね? ※本作はメモの中に眠っていた作品をリメイクしたものです。クオリティは高くありません。 ※第二章から人が死ぬ描写がありますので閲覧注意です。

王命での結婚がうまくいかなかったので公妾になりました。

しゃーりん
恋愛
婚約解消したばかりのルクレツィアに王命での結婚が舞い込んだ。 相手は10歳年上の公爵ユーグンド。 昔の恋人を探し求める公爵は有名で、国王陛下が公爵家の跡継ぎを危惧して王命を出したのだ。 しかし、公爵はルクレツィアと結婚しても興味の欠片も示さなかった。 それどころか、子供は養子をとる。邪魔をしなければ自由だと言う。 実家の跡継ぎも必要なルクレツィアは子供を産みたかった。 国王陛下に王命の取り消しをお願いすると三年後になると言われた。 無駄な三年を過ごしたくないルクレツィアは国王陛下に提案された公妾になって子供を産み、三年後に離婚するという計画に乗ったお話です。  

待つわけないでしょ。新しい婚約者と幸せになります!

風見ゆうみ
恋愛
「1番愛しているのは君だ。だから、今から何が起こっても僕を信じて、僕が迎えに行くのを待っていてくれ」彼は、辺境伯の長女である私、リアラにそうお願いしたあと、パーティー会場に戻るなり「僕、タントス・ミゲルはここにいる、リアラ・フセラブルとの婚約を破棄し、公爵令嬢であるビアンカ・エッジホールとの婚約を宣言する」と叫んだ。 婚約破棄した上に公爵令嬢と婚約? 憤慨した私が婚約破棄を受けて、新しい婚約者を探していると、婚約者を奪った公爵令嬢の元婚約者であるルーザー・クレミナルが私の元へ訪ねてくる。 アグリタ国の第5王子である彼は整った顔立ちだけれど、戦好きで女性嫌い、直属の傭兵部隊を持ち、冷酷な人間だと貴族の中では有名な人物。そんな彼が私との婚約を持ちかけてくる。話してみると、そう悪い人でもなさそうだし、白い結婚を前提に婚約する事にしたのだけど、違うところから待ったがかかり…。 ※暴力表現が多いです。喧嘩が強い令嬢です。 ※史実とは関係ない異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。魔法も存在します。 格闘シーンがお好きでない方、浮気男に過剰に反応される方は読む事をお控え下さい。感想をいただけるのは大変嬉しいのですが、感想欄での感情的な批判、暴言などはご遠慮願います。

処理中です...