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第4話 リシアを愛でる
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それから数日後の昼下がり、ディルグバーグ辺境伯様の屋敷の客室で私は……
「あの、どうしても、この格好じゃないとダメ……ですか?」
「ああ」
「でも、凄く恥ずかしいです」
「コレも、食べるか?」
レオン様の膝の上に座らせられ、ティータイムを過ごしていました。
腰に手を回し落とさないように支え、口元にマカロンを持ってくるレオン様……
恥ずかしいと訴えても、レオン様は聞き入れて下さいませんでした。
実は……こうなった理由があります。
主に私の発言が原因ではあるのですが……
✾✾✾
ここに来た次の日……
私は案内された客室で目を覚ましました。
「あぁ、そうでした。ここは、私の家ではありませんでしたね」
寝ぼけ眼な目を擦り、ユリアが来てくれるのを待ってました。でも来たのは、ユリアだけじゃなくて……
「あ、の?」
「お目覚めでしたか、リシア様。おはようございます」
「「おはようございます!」」
「おはよう、ございます?」
この方達は昨日、レオン様が紹介して下さいました。私専属の侍女……だそうです。
そんな中、ユリアはニコニコと笑っています。何がそんなに嬉しいのでしょうか……
侍女の皆さんは、カーテンを開けたり、水を持って来たり、モーニングティーを用意して下さいました。
「美味しい……」
「リシア様、本日のご予定ですが…昼食は、旦那様がご一緒なさりたいと申されました。更に、昼の一時を一緒に過ごしたいそうです」
「レオン様が…ですか?分かりました。ご一緒しますと、レオン様にお伝え下さい」
私が了承すると、侍女長のアマンダは太陽のような笑顔を向けて下さいました。
「畏まりました、お嬢様」
私の話し方は良くないのだと、初日の日に言われていたのに……中々直らない私を、彼らは責めない上に優しい笑顔を向けて下さる。
実家にいた頃は、こんなんじゃなかった。
私がクズでドジで役立たずだから…いつも怒られていた。
怪我をする前から…
新しいお義母様が来てから尚のこと……でも、ここの人達は…
間違っても失敗しても、この屋敷の方達は「大丈夫」と笑ってくれる。
『失敗は成功の母なのよ』と。
『間違ったなら、次は間違えなきゃいい』と。
『初めは、誰も分からないものだ。みな、失敗して経験を積んで成長していくものだ。違うか?』と、レオン様は私の手を握りながら言ってくれました。
『ここにいるセバスだって……』
『旦那様……』
『最初の頃は、良く躓いて俺の服に紅茶を零していたぞ』
と笑いながら話し、セバス様は恥ずかしそうに頬を掻いていました。
あんなにも完璧なセバス様に、そんな過去があったなんて……
そう考えていた時……
「どうした?」
「……え?」
「上の空だった」
あ……考え事してたわ。
今の状況を急いで整理します……今は昼食時で…今朝約束していました、レオン様との食事の時間でした。レオン様の前で、失礼をしてしまいましたね。
「申し訳ありません」
「いや、謝って欲しいわけじゃない」
「はい」
私は俯いて、レオン様の顔が見れませんでした。怒ってるわけじゃないと仰ったけど、私はまだ…自宅での恐怖を忘れる事は出来ないようです……
「リシア」
「はい」
「俺は…怖いか?」
「え?」
私は、弾かれたように顔を上げました。
レオン様が……怖い?
いいえ!いいえ!怖くなんてありませんっ!
「いいえ!、いいえっ!」
私は一生懸命に首を振りましたが、レオン様の瞳は何だか悲しげに見えました。
「なら、どうして顔を見せない?」
「それは……」
怒られると思ったから……なんて言ってしまったら、レオン様を怖くないと言ったのが嘘になるかしら…
レオンの瞳が、リシアを捉えて離さない。
仕方が無いので、リシアは顔を隠すもう一つの理由を言うことにした。初めて会った時から、感じていた気持ちを…
「レオン様が…」
「俺が?」
「その、レオン様が……凄く格好良すぎて、顔を見るのが恥ずかしいですっ!」
「っ!!」
その瞬間、レオン様がピタッと動きを止めました。
ど、どうしましょう……!
レオン様が、全く動かなくなってしまわれましたわ。私が、余計な事を言ったせいです……!
私は、レオン様の前で手を振ってみました。
でも、レオン様の瞳は一点に集中していて、気付きません。
本当にどうしましょう…1度セバス様を呼んだ方が……、もう一度、手を振ってみてダメだったら呼びに行きましょう…!
「レオン様……」
再度、手をレオン様の目の前に持ってきた時、手を掴まれました。そのまま引き寄せられ、レオン様のルビーの様な真っ赤な瞳が間近に迫る。
「ぁ……」
そして、掴んでいた私の手を開きレオン様の唇が触れました。
「俺の事、格好いいと思ってくれてたのか…」
「っ!!れ、レオン様っ!私なんかの手を……汚れますっ!離し……ん、て下さい!」
レオン様の舌が手のひらを這い、上目遣いで私を見てきました……その瞳が…とても色っぽくて恥ずかしくて、目を逸らした瞬間、手のひらを這っていた舌が離れたと思いましたら、指先がレオン様の口の中に含まれていました。
(んっ……!)
「れ、レオン……様」
「恥ずかしいなら、2人で触れ合う機会を増やそう。そうすれば、いずれ慣れる」
な、慣れる事は一生ありませんっ!
「それから、今度「私なんか」と言ったらキスする」
「え?!」
な、何でそうなるんでしょうか!?
私なんかに優しくしても、何もお返し出来ません……
そもそも……私みたいな、なにも出来ない女を娶る意味も理由も……ありませんのに。
「レオン様程の素敵なお方が、私みたいな女で本当に良いんですか?」
「……「みたいな」も禁止する。俺が、好きになった女性を、たとえ貴方でも、貶したら許さん」
「……」
レオン様は、私の手を離し抱き締めて下さいました。
レオン様が、私を好き?そんなはず……
知らずに、瞳から涙が零れ落ちた。
私の足が、少しでも動いてくれたなら……こんな風に思う事は無かったのに………
私も、レオン様を愛……して
でも、レオン様のご両親はきっと反対するに決まってます。それに、ご親戚の方だって黙ってませんでしょうし。
「レオン様、私と結婚して本当に良いんですか?子供は、望めないですよ……跡継ぎが…」
「俺は、貴方が好きだと言ったはずだが?愛した女性が居ると言うのに、他の女と結婚しろと言うのか?」
「でも、レオン様のご両親が……」
「俺の両親なら、心配要らない。リシアも愛してくれる」
レオン様は、両親もご親戚の方も私を愛すと言ってくれました。本当でしょうか?
レオン様の、優しい嘘では無いんでしょうか?と、どうしても勘繰ってしまう。
実の親に愛されなかった私が、レオン様の両親に愛されるなんて……そんな夢みたいな事……
昼食はこうして終わり、ティータイムの時間にレオン様はやって来て、私を抱き上げると膝の上に乗せたんです。
横抱きにされた私は、レオン様に紅茶やお菓子をてずから食べさせて貰っていました。
1人で食べられると訴えても、聞き入れては貰えませんでした。椅子に座りたいと訴えても、心配だからと却下されました。
このまま、レオン様の膝の上にいると恥ずかしくて……熱が出そうです…!
「あの、レオン様!私なんかを乗せると足を痛めますから、下ろしてく……んっ」
「次、なんかと言ったらキスする……、と言った」
唇を離したレオン様はそう言って、もう一度口付けして来ました。
「リシア、結婚式は母上が色々と相談に乗る。ドレスとか、俺分からないから。父上もリシアに会いたがってた。これ、本当」
「はい」
レオン様を信じます。そう言って今度は私からレオン様の頬にキスをしました。驚いた顔のあと、嬉しそうに笑うレオン様に私も自然と笑顔になります。
幸せな日々でした。
実家の扱いなんて、忘れてしまうほどに…
優しいレオン様と、優しい使用人の皆さんに囲まれて……
でも、来たんです……
きっと……惨めな扱いを受けているだろう私を、見に来たという事だけは分かります。
血濡れの悪魔と噂のレオン様に酷い扱いを受けて、ボロボロになった私を嘲笑う為に来たのでしょう事も。
レオン様は、本当に優しいお方です。
でも私は、レオン様のもう一つの顔を見る事になりました。
元婚約者に対峙するレオン様は、何時もと全然違って凛々しく毅然としていました。
「あの、どうしても、この格好じゃないとダメ……ですか?」
「ああ」
「でも、凄く恥ずかしいです」
「コレも、食べるか?」
レオン様の膝の上に座らせられ、ティータイムを過ごしていました。
腰に手を回し落とさないように支え、口元にマカロンを持ってくるレオン様……
恥ずかしいと訴えても、レオン様は聞き入れて下さいませんでした。
実は……こうなった理由があります。
主に私の発言が原因ではあるのですが……
✾✾✾
ここに来た次の日……
私は案内された客室で目を覚ましました。
「あぁ、そうでした。ここは、私の家ではありませんでしたね」
寝ぼけ眼な目を擦り、ユリアが来てくれるのを待ってました。でも来たのは、ユリアだけじゃなくて……
「あ、の?」
「お目覚めでしたか、リシア様。おはようございます」
「「おはようございます!」」
「おはよう、ございます?」
この方達は昨日、レオン様が紹介して下さいました。私専属の侍女……だそうです。
そんな中、ユリアはニコニコと笑っています。何がそんなに嬉しいのでしょうか……
侍女の皆さんは、カーテンを開けたり、水を持って来たり、モーニングティーを用意して下さいました。
「美味しい……」
「リシア様、本日のご予定ですが…昼食は、旦那様がご一緒なさりたいと申されました。更に、昼の一時を一緒に過ごしたいそうです」
「レオン様が…ですか?分かりました。ご一緒しますと、レオン様にお伝え下さい」
私が了承すると、侍女長のアマンダは太陽のような笑顔を向けて下さいました。
「畏まりました、お嬢様」
私の話し方は良くないのだと、初日の日に言われていたのに……中々直らない私を、彼らは責めない上に優しい笑顔を向けて下さる。
実家にいた頃は、こんなんじゃなかった。
私がクズでドジで役立たずだから…いつも怒られていた。
怪我をする前から…
新しいお義母様が来てから尚のこと……でも、ここの人達は…
間違っても失敗しても、この屋敷の方達は「大丈夫」と笑ってくれる。
『失敗は成功の母なのよ』と。
『間違ったなら、次は間違えなきゃいい』と。
『初めは、誰も分からないものだ。みな、失敗して経験を積んで成長していくものだ。違うか?』と、レオン様は私の手を握りながら言ってくれました。
『ここにいるセバスだって……』
『旦那様……』
『最初の頃は、良く躓いて俺の服に紅茶を零していたぞ』
と笑いながら話し、セバス様は恥ずかしそうに頬を掻いていました。
あんなにも完璧なセバス様に、そんな過去があったなんて……
そう考えていた時……
「どうした?」
「……え?」
「上の空だった」
あ……考え事してたわ。
今の状況を急いで整理します……今は昼食時で…今朝約束していました、レオン様との食事の時間でした。レオン様の前で、失礼をしてしまいましたね。
「申し訳ありません」
「いや、謝って欲しいわけじゃない」
「はい」
私は俯いて、レオン様の顔が見れませんでした。怒ってるわけじゃないと仰ったけど、私はまだ…自宅での恐怖を忘れる事は出来ないようです……
「リシア」
「はい」
「俺は…怖いか?」
「え?」
私は、弾かれたように顔を上げました。
レオン様が……怖い?
いいえ!いいえ!怖くなんてありませんっ!
「いいえ!、いいえっ!」
私は一生懸命に首を振りましたが、レオン様の瞳は何だか悲しげに見えました。
「なら、どうして顔を見せない?」
「それは……」
怒られると思ったから……なんて言ってしまったら、レオン様を怖くないと言ったのが嘘になるかしら…
レオンの瞳が、リシアを捉えて離さない。
仕方が無いので、リシアは顔を隠すもう一つの理由を言うことにした。初めて会った時から、感じていた気持ちを…
「レオン様が…」
「俺が?」
「その、レオン様が……凄く格好良すぎて、顔を見るのが恥ずかしいですっ!」
「っ!!」
その瞬間、レオン様がピタッと動きを止めました。
ど、どうしましょう……!
レオン様が、全く動かなくなってしまわれましたわ。私が、余計な事を言ったせいです……!
私は、レオン様の前で手を振ってみました。
でも、レオン様の瞳は一点に集中していて、気付きません。
本当にどうしましょう…1度セバス様を呼んだ方が……、もう一度、手を振ってみてダメだったら呼びに行きましょう…!
「レオン様……」
再度、手をレオン様の目の前に持ってきた時、手を掴まれました。そのまま引き寄せられ、レオン様のルビーの様な真っ赤な瞳が間近に迫る。
「ぁ……」
そして、掴んでいた私の手を開きレオン様の唇が触れました。
「俺の事、格好いいと思ってくれてたのか…」
「っ!!れ、レオン様っ!私なんかの手を……汚れますっ!離し……ん、て下さい!」
レオン様の舌が手のひらを這い、上目遣いで私を見てきました……その瞳が…とても色っぽくて恥ずかしくて、目を逸らした瞬間、手のひらを這っていた舌が離れたと思いましたら、指先がレオン様の口の中に含まれていました。
(んっ……!)
「れ、レオン……様」
「恥ずかしいなら、2人で触れ合う機会を増やそう。そうすれば、いずれ慣れる」
な、慣れる事は一生ありませんっ!
「それから、今度「私なんか」と言ったらキスする」
「え?!」
な、何でそうなるんでしょうか!?
私なんかに優しくしても、何もお返し出来ません……
そもそも……私みたいな、なにも出来ない女を娶る意味も理由も……ありませんのに。
「レオン様程の素敵なお方が、私みたいな女で本当に良いんですか?」
「……「みたいな」も禁止する。俺が、好きになった女性を、たとえ貴方でも、貶したら許さん」
「……」
レオン様は、私の手を離し抱き締めて下さいました。
レオン様が、私を好き?そんなはず……
知らずに、瞳から涙が零れ落ちた。
私の足が、少しでも動いてくれたなら……こんな風に思う事は無かったのに………
私も、レオン様を愛……して
でも、レオン様のご両親はきっと反対するに決まってます。それに、ご親戚の方だって黙ってませんでしょうし。
「レオン様、私と結婚して本当に良いんですか?子供は、望めないですよ……跡継ぎが…」
「俺は、貴方が好きだと言ったはずだが?愛した女性が居ると言うのに、他の女と結婚しろと言うのか?」
「でも、レオン様のご両親が……」
「俺の両親なら、心配要らない。リシアも愛してくれる」
レオン様は、両親もご親戚の方も私を愛すと言ってくれました。本当でしょうか?
レオン様の、優しい嘘では無いんでしょうか?と、どうしても勘繰ってしまう。
実の親に愛されなかった私が、レオン様の両親に愛されるなんて……そんな夢みたいな事……
昼食はこうして終わり、ティータイムの時間にレオン様はやって来て、私を抱き上げると膝の上に乗せたんです。
横抱きにされた私は、レオン様に紅茶やお菓子をてずから食べさせて貰っていました。
1人で食べられると訴えても、聞き入れては貰えませんでした。椅子に座りたいと訴えても、心配だからと却下されました。
このまま、レオン様の膝の上にいると恥ずかしくて……熱が出そうです…!
「あの、レオン様!私なんかを乗せると足を痛めますから、下ろしてく……んっ」
「次、なんかと言ったらキスする……、と言った」
唇を離したレオン様はそう言って、もう一度口付けして来ました。
「リシア、結婚式は母上が色々と相談に乗る。ドレスとか、俺分からないから。父上もリシアに会いたがってた。これ、本当」
「はい」
レオン様を信じます。そう言って今度は私からレオン様の頬にキスをしました。驚いた顔のあと、嬉しそうに笑うレオン様に私も自然と笑顔になります。
幸せな日々でした。
実家の扱いなんて、忘れてしまうほどに…
優しいレオン様と、優しい使用人の皆さんに囲まれて……
でも、来たんです……
きっと……惨めな扱いを受けているだろう私を、見に来たという事だけは分かります。
血濡れの悪魔と噂のレオン様に酷い扱いを受けて、ボロボロになった私を嘲笑う為に来たのでしょう事も。
レオン様は、本当に優しいお方です。
でも私は、レオン様のもう一つの顔を見る事になりました。
元婚約者に対峙するレオン様は、何時もと全然違って凛々しく毅然としていました。
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