聖女に永遠の愛を(R15指定⚠)

紫宛

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改編前作品

永遠に君と(今2)(改変前)※R15指定※

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どれくらい、そうしてただろうか。
泣き叫び、声が枯れ、ふと思った。

復讐を……レティの仇を……!



「許さない…………絶対に……」
「アルト、行くのか?」


散々泣いて、立ち上がる俺に、声を掛けたのはラルフだった。グレンとラティルは、まだ泣いている。

「ああ、……殺す」

「俺を呼び出し、レティから離した、あのクズ共も、レティを殺した愚民共も、纏めて殺す……許さない…絶対に」

「アルト、俺も、連れて行け」
「ラルフ、良いのか?修羅の道だぞ」
「構わん、レティ様は、俺の希望でもあった方だからな。復讐なら、手を貸す」
「分かった。グレン、ラティル、お前達はどうする?」

未だ、泣き続ける彼らに声を掛けた。
答えは、分かっている……が、一応聞く。  

「行くに、決まってる!」
「行くっス!」


決まりだ。


「グレンは、レティを、丘の上の大木に移してくれ。ラティルは、爆弾を集めておいてくれるか?城と丘の上に続く入口に仕掛けておいてくれ」

「「分かった」」

「ラルフは、愚民共を頼めるか?」
「ああ」
「俺は、クズ共の始末をしてくる。終わったら丘の上に集合だ。死ぬなよ」
「お前もな」








レティの為に走った道を、今度は復讐の為に走る。途中、出くわした人間は、誰であろうと殺した。民も、使用人も、女も関係なく殺していく。逃げた者は、ラルフに任せ、俺は奴らを追う。

謁見室に辿り着き、地下通路を探し追い掛けた。国王を探して追っているであろう民を、切り捨てながら先に進むと……
剣がぶつかり合うような金属音が響いてきた。

「近い!」

ニヤリと笑い、舌なめずりする。
楽には死なせない!
レティを見捨てた彼らに、地獄を見せてやる!

許さない……殺してやる
奴らも、愚民共も
護れなかった俺達も……殺してやる。



先ずは、邪魔な愚民共を切り伏せていく。
飛び散る血飛沫に目もくれず、顔にかかった血は手の甲で軽く拭う。
邪魔だった愚民を殺せば、国王が嬉々として駆け寄ってきた。

「おお、戻ったか!アルト。だが、先程の裏切りは決して許されるものでは無いぞ!覚悟せよ!よし、逃げるぞ!」

背中を見せた国王を、後ろから刺す。

「が、がはっ!」
「陛下!!」
「アルト!貴様!」

「馬鹿が、俺が貴様らを助ける訳が無いだろう」
「な、何だと?」
「全員、死ね」

ギャアァァァァ━━━━!
「アハハハハ!死ね、クズ共がぁー!」

ザシュッ!グシャ

バキ、ゴキュッ!

ドカッ!
キィーン、ザシュッ!

「これで、雑魚の騎士共は死んだな」

「ア、アルトよ、何が望みだ?儂が何でも、叶えてやろう」
「……何でも?」
「おお!そうだ、何でも!だから、儂の命を助けるのだ!」
「なら、レティを生き返らせて下さい」
「なに?」
「レティを生き返らせてくれるなら、助けてあげますよ」
「……わ、分かった!だから、助けるだ!」
「分かりました」
(馬鹿が!嘘に決まっておろう!)

国王に背を向け、聖女候補に目を向ける。
クソ女共は、隅で震えていた。
『あ、あ、いや、助けて』と女神に祈りを捧げて、助けを乞うていた。

後ろで、ガサゴソ音がする。
(ああ、死に損ないのクズ王か。奴だけは、簡単には死なせない。死の恐怖を与え、ジワジワと殺してやる!)

「死ね!アルトォー!」
「ふ、ふふ、ハハハ!」
「な、なに?」

キャー!!
イヤァー!死にたくない!
助けてぇーーーー!

「あ、へい、か、た、す、け」

国王に、手を伸ばす。
届かないと分かっているだろうに、一生懸命伸ばす。

その手を、俺は踏みつけた。

グ……ァ!

グリグリと踏み潰す。
絶望に染る聖女の顔を蹴り飛ばし、国王に向かい合う。
国王の顔には、絶望の色が宿っていた。

「嘘ぐらい、分かるさ」 

国王は言葉も無く項垂れていた。

「死んでないよな?この程度で……」

傷口を蹴り飛ばすと、咳き込む音が聞こえた。

ああ、良かった。
生きてた。まだ、死ぬのは早いよ?国王

狂気に満ちた、俺の笑みに、恐怖で震え奴の股間が濡れていく。

はは、失禁したのか?
無様だな、国王よ、貴様の末路には相応しいがな。

「さて、そろそろ、死ぬか?国王」

国王の頭を持ち、首を切り落とす。
身体は傾き倒れ、俺は首を地面に投げつけた。

グシャン!!

そのまま、頭を右足で踏み潰した。
達成感は無い、クズ共をいくら殺しても、レティは、帰ってこない。
帰ってこないんだ…………



「終わったか……ラルフ達は…」



思い出の地、王宮の裏に位置する丘を目指す。地下通路を抜け、王城を駆ければ『アルト!無事だったか!』ラルフの声が聞こえた。

「お前も、無事だったんだな」
「ああ!民なんて、俺の敵ではないさ!」
「丘に急ぐぞ」

王城内は、死体だらけだった。
足の踏み場がない程で『悪いな、逃げ足だけは早くてよぉ、追い掛けて殺すのに時間かかっちまった上に、あちこちで殺したからよ』

丘に続く入口付近に近づいたら、ラティルがいた。

「待ってたッスよ!早くするっス!時間ないっスよ!!」
「ラティル、爆弾は?」
「仕掛けてあるっス!あと数分で全部爆発するっスよ!」

丘の上に辿り着くと、遠くの方で

ドォーン!ドドォーン!

爆発音が響いた。

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