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本編
第4話 国境の町
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隣国との国境に町があるそうです。
既に馬車で一泊し、翌日の夕方に国境の町に着きました。
なんでも、隣国は大国でハルディオスと言い我が国?と同盟を結んでいるそうです。
それで、ウィセリアとハルディオスの両国間に町を作り、中は行き来し放題なのだとか。
町を出る時に、門を通るための手続きが必要なのだそうです。
その手続きは、メイシーが行ってくれたと聞きました。私は一応、子爵家のお嬢様に扮し、その護衛として4人が雇われたという設定らしいです。
全部、頭に叩き込んでいますが、覚えられそうにありません。
というか、私がお嬢様とか無理がある気がします………と言ったら、リカルドが「じゃ、俺は貴族に見えるか?」と言ったので素直に「見えない」と言ってしまいました。
リカルドは、「だろうな!」と大笑いしてました。私も笑っちゃいましたが、表情には出ませんでした。
「止まれ!検問する」
街に入る前に、門番が私たちの乗る馬車を止めた。メイシーが、門番に話しかける。
「やほー、アルム♪」
と、とても気軽に気安そうに話しかけていた。
「メイシー?!どうしたの?!」
「アルム、私達この国を出てくわ。我が主と共に」
「ミュウ様と!??何があったの?!!」
「国外追放されたのよ、ミュウ様が。貴方も、家族と共に離れなさい、死にたくなかったらね。この国はミュウ様の結界を失ったわ」
「……!分かった、教えてくれてありがとうメイシー。さっ、通って」
悪ぃな、とリカルドが言いながら、馬を走らせた。ジェラルドは一礼し、メイシーは手を振っていた。だから私も「ありがとう」と言いながら手を振ったら、彼は驚きながらも手を振って頭を下げた。
ここまで、町の中に入ったことは無かったから、どんな感じなのかな?って思ってたけど、意外と賑わってるんだなぁ。
「ミュウ様、今日はこの国境の町で1晩泊まります。部屋は2部屋取ってあり、ミュウ様はメイシーと同室、私とリカルド、エミルで交代で見張りをしますので安心してお休み下さい」
「分かった、でもここは町中だもの安心しょう?あなた達も無理しないでね」
馬車から降りて、今夜泊まる宿屋に向かった。宿屋に併設された食堂で、暖かくて美味しいご飯を頂きました。
「おっいしーい!何これ!口の中で蕩けちゃう!それに、ご飯が暖かい!凄い!」
嬉しそうにご飯を食べるミュウを、4人は温かく見守っていた。でも、元々食が細いミュウが全てを食べられるわけはなく、皆が頼んだものを少しずつ貰って食べたのだった。
ミュウとメイシーが部屋に入ったのを確認し、ジェラルドは出国の手続きがちゃんと出来てるか確認しに、ハルディオス側の入口付近にある番所に向かった。
リカルドがミュウたちの部屋の前に立ち、エミルは部屋で交代の時間まで寝る事にした。
翌朝、いつもの時間に目覚めたミュウは、覚めきらない頭でお祈りをしようと、ベッドから降りて両手を組み祈りの体制に入った。
「……ん?…あれ?」
そういえば、もうお祈りしなくていいんだっけ?忘れてたなぁ……。
「……」
隣のメイシーは、まだベッドでぐっすり眠っている。
私は、起きてしまったので、外に散歩に行こうと思います……が!きっと扉の前には、見張りが立ってると思うので、窓からこっそり出ていこうと思います!
音を立てないように、そーーーっと。
「う~~ん!良い朝!」
賑わい始める町を、ゆっくりと歩く。
露天の準備を始める人、街を見廻る警備の人、朝市に向かう人、買って帰ってくる人。
沢山の人が、通りの道を行き交いしてる。
町の人達の笑顔を通り過ぎながら見てたら、後ろから肩を掴まれた。
(!!)
「見つけましたよ!ミュウ様」
「な、なんだ、ジェラルドか。びっくりした」
「なんだ、ではありません。1人で出て行かないでください。メイシーが血相変えて部屋に飛び込んできましたよ!」
あー、もうそんな時間になってたか……
起きる前に戻ろうと思ってたんだけど……
でも、もう少し町を見て歩きたいんだよね……
(ダメかなぁ~)
と思いながら歩き出したら、何も言わずジェラルドが付いてきた。宿屋に戻る道じゃないのに、彼は何も言わない。
「…………」
後ろを振り返り、顔を覗き込めば「分かってます」と言わんばかりに頷かれた。
ジェラルドに後ろじゃなく隣で歩いてと言えば、何も言わずに隣に来てくれる。
2人で黙ってゆっくり歩いたけど、何故かこの沈黙が嫌じゃなかった。
それから1時間ほど経ってから宿屋に戻ると、メイシーに抱きつかれ「心配したんだから」と言われた。
素直に謝り、馬車に乗り込み西門に向かう。
ジェラルドが既に手続きしてたので、大して時間がかからず町を出ることが出来た。
この時の私はまだ気付かなかった。
ハルディオスの国が、聖女が亡くなって、瘴気に侵され魔物で溢れそうになっている事を。
そして、町を出て進んだ先で魔物に襲われた一行を助けた事で、私の人生が変わる事を。
この時の私は、まだ知らない。
既に馬車で一泊し、翌日の夕方に国境の町に着きました。
なんでも、隣国は大国でハルディオスと言い我が国?と同盟を結んでいるそうです。
それで、ウィセリアとハルディオスの両国間に町を作り、中は行き来し放題なのだとか。
町を出る時に、門を通るための手続きが必要なのだそうです。
その手続きは、メイシーが行ってくれたと聞きました。私は一応、子爵家のお嬢様に扮し、その護衛として4人が雇われたという設定らしいです。
全部、頭に叩き込んでいますが、覚えられそうにありません。
というか、私がお嬢様とか無理がある気がします………と言ったら、リカルドが「じゃ、俺は貴族に見えるか?」と言ったので素直に「見えない」と言ってしまいました。
リカルドは、「だろうな!」と大笑いしてました。私も笑っちゃいましたが、表情には出ませんでした。
「止まれ!検問する」
街に入る前に、門番が私たちの乗る馬車を止めた。メイシーが、門番に話しかける。
「やほー、アルム♪」
と、とても気軽に気安そうに話しかけていた。
「メイシー?!どうしたの?!」
「アルム、私達この国を出てくわ。我が主と共に」
「ミュウ様と!??何があったの?!!」
「国外追放されたのよ、ミュウ様が。貴方も、家族と共に離れなさい、死にたくなかったらね。この国はミュウ様の結界を失ったわ」
「……!分かった、教えてくれてありがとうメイシー。さっ、通って」
悪ぃな、とリカルドが言いながら、馬を走らせた。ジェラルドは一礼し、メイシーは手を振っていた。だから私も「ありがとう」と言いながら手を振ったら、彼は驚きながらも手を振って頭を下げた。
ここまで、町の中に入ったことは無かったから、どんな感じなのかな?って思ってたけど、意外と賑わってるんだなぁ。
「ミュウ様、今日はこの国境の町で1晩泊まります。部屋は2部屋取ってあり、ミュウ様はメイシーと同室、私とリカルド、エミルで交代で見張りをしますので安心してお休み下さい」
「分かった、でもここは町中だもの安心しょう?あなた達も無理しないでね」
馬車から降りて、今夜泊まる宿屋に向かった。宿屋に併設された食堂で、暖かくて美味しいご飯を頂きました。
「おっいしーい!何これ!口の中で蕩けちゃう!それに、ご飯が暖かい!凄い!」
嬉しそうにご飯を食べるミュウを、4人は温かく見守っていた。でも、元々食が細いミュウが全てを食べられるわけはなく、皆が頼んだものを少しずつ貰って食べたのだった。
ミュウとメイシーが部屋に入ったのを確認し、ジェラルドは出国の手続きがちゃんと出来てるか確認しに、ハルディオス側の入口付近にある番所に向かった。
リカルドがミュウたちの部屋の前に立ち、エミルは部屋で交代の時間まで寝る事にした。
翌朝、いつもの時間に目覚めたミュウは、覚めきらない頭でお祈りをしようと、ベッドから降りて両手を組み祈りの体制に入った。
「……ん?…あれ?」
そういえば、もうお祈りしなくていいんだっけ?忘れてたなぁ……。
「……」
隣のメイシーは、まだベッドでぐっすり眠っている。
私は、起きてしまったので、外に散歩に行こうと思います……が!きっと扉の前には、見張りが立ってると思うので、窓からこっそり出ていこうと思います!
音を立てないように、そーーーっと。
「う~~ん!良い朝!」
賑わい始める町を、ゆっくりと歩く。
露天の準備を始める人、街を見廻る警備の人、朝市に向かう人、買って帰ってくる人。
沢山の人が、通りの道を行き交いしてる。
町の人達の笑顔を通り過ぎながら見てたら、後ろから肩を掴まれた。
(!!)
「見つけましたよ!ミュウ様」
「な、なんだ、ジェラルドか。びっくりした」
「なんだ、ではありません。1人で出て行かないでください。メイシーが血相変えて部屋に飛び込んできましたよ!」
あー、もうそんな時間になってたか……
起きる前に戻ろうと思ってたんだけど……
でも、もう少し町を見て歩きたいんだよね……
(ダメかなぁ~)
と思いながら歩き出したら、何も言わずジェラルドが付いてきた。宿屋に戻る道じゃないのに、彼は何も言わない。
「…………」
後ろを振り返り、顔を覗き込めば「分かってます」と言わんばかりに頷かれた。
ジェラルドに後ろじゃなく隣で歩いてと言えば、何も言わずに隣に来てくれる。
2人で黙ってゆっくり歩いたけど、何故かこの沈黙が嫌じゃなかった。
それから1時間ほど経ってから宿屋に戻ると、メイシーに抱きつかれ「心配したんだから」と言われた。
素直に謝り、馬車に乗り込み西門に向かう。
ジェラルドが既に手続きしてたので、大して時間がかからず町を出ることが出来た。
この時の私はまだ気付かなかった。
ハルディオスの国が、聖女が亡くなって、瘴気に侵され魔物で溢れそうになっている事を。
そして、町を出て進んだ先で魔物に襲われた一行を助けた事で、私の人生が変わる事を。
この時の私は、まだ知らない。
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