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本編
閑話 セシリアの養子先
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時間は少し遡り、セシリアの謁見が終わり炎の最高位精霊が顕現した日の夜……
シェイドは、セシリアから受けとった精霊石を持って皇帝の執務室に向かっていた。
「精霊石だけじゃなく、最高位精霊の愛し子なんて驚きよ……」
最初は名前持ちの上位の精霊だと思っていた。
魔獣の襲撃の際に助けてくれた時も、陛下の精霊を助けてくれた時も、最高位だなんて思えないくらいセシリアにはフランクで……
まぁ私達には、敵意むき出しだったけど…
でも、決して人間の前に出ることの無かった最高位精霊が、セシリアの為とはいえ、私達の前に姿を現すなんて思わなかった。
だって彼らは、私達に警告する必要など無いのだから……例え精霊が怒り、何かしら行動を起こしても、それは自然災害と捉えられ、私達は精霊の存在に気付かない。
そうだったはずだ……今までは。
それが……
ファルク殿は最高位の身分を明かし、警告してきた。
セシリアただ一人の為に…
隠す事も出来たはずなのに…
「愛されてるわね、セシリア」
大丈夫
これからは、私達も貴方を大切にするから。
「精霊様に言われなくても……ね」
月の光に照らされた廊下で立ち止まり、外を見やりひとつ頷くと、アインス皇帝の執務室に向けて歩き出した。
「陛下、シェイドです」
「入れ」
「失礼します」と一言添えて中に入る。
「陛下、セシリア様が作成した精霊石をお持ち致しました」
「お前が敬語使うと気持ちが悪いな。普通で構わんぞ。ここには、俺とお前しか居ないからな」
アインス陛下と私は、学生時代からの友人で親友……だから、公の場以外では普通に接している。
でもねぇ、公式の場では無いとはいえ、ねぇ?どこに誰の目があるか……
はぁ、でも戻さないと延々と言われそうだし仕方がないわね。
「では、お言葉に甘えるわ。これが、セシリアが作成した精霊石よ。凄いわよ、中に精霊が居るのが分かるもの。あの子は、本物よ。まぁ、謁見の間で最高位が現れてる時点で本物だけれどね」
アインスの手に精霊石を乗せると、彼は精霊石を摘み目の高さまで持ち上げ覗き込んだ。
「そうだな、最高位精霊は流石に驚いた」
「あの子の養子先はどうするつもり?」
「まだ悩んでるが…候補は、ディオーネ家、アルナイル家、ハルジオン家だな」
アルナイル家は、侯爵家で私の家系よ。
ディオーネ家は、公爵家で現宰相を務めてるわね。
ハルジオン家は、侯爵家で近衛騎士団団長を務めてるわ。私の上司よ。
「妥当ね、他の公爵家は野心があり、セシリアを利用しようとするわ」
「ああ」
私達もあの子を利用しようとしてるけど、あの子の意志を無視しようとは思わない。
でも、ディオーネ以外の公爵家では、そうはいかない。あの子の意志を無視し、使えなくなるまで利用しようとする可能性がある。
公爵家に対抗出来るのは、同じ公爵家であるディオーネと、力のある侯爵家アルナイルとハルジオン。
「あの子が妹になるかも知れないのね…お兄様、なんて言われちゃうのかしら。ふふ、楽しみだわ」
「ズルいな、俺もお兄様とか言われたい」
「ダメよ、貴方は皇帝なんだから。それに、貴方の家は養子先に含まれてないじゃない」
「母上は、セシリアを気に入っていたから、養子にと言えば了承してくれると思うぞ」
「ダ メ よ!あの子は私の妹になるんだから」
「まだ決まってないだろ!!」
「分かってるわよっ」
セシリアの素性が判明し、ディオーネ家が養子先になる事など、この時の2人はまだ知らなかった。それ故に、2人はセシリアが妹になった時を想像して、ニヤニヤと笑いながら言い合っていた。
シェイドは、セシリアから受けとった精霊石を持って皇帝の執務室に向かっていた。
「精霊石だけじゃなく、最高位精霊の愛し子なんて驚きよ……」
最初は名前持ちの上位の精霊だと思っていた。
魔獣の襲撃の際に助けてくれた時も、陛下の精霊を助けてくれた時も、最高位だなんて思えないくらいセシリアにはフランクで……
まぁ私達には、敵意むき出しだったけど…
でも、決して人間の前に出ることの無かった最高位精霊が、セシリアの為とはいえ、私達の前に姿を現すなんて思わなかった。
だって彼らは、私達に警告する必要など無いのだから……例え精霊が怒り、何かしら行動を起こしても、それは自然災害と捉えられ、私達は精霊の存在に気付かない。
そうだったはずだ……今までは。
それが……
ファルク殿は最高位の身分を明かし、警告してきた。
セシリアただ一人の為に…
隠す事も出来たはずなのに…
「愛されてるわね、セシリア」
大丈夫
これからは、私達も貴方を大切にするから。
「精霊様に言われなくても……ね」
月の光に照らされた廊下で立ち止まり、外を見やりひとつ頷くと、アインス皇帝の執務室に向けて歩き出した。
「陛下、シェイドです」
「入れ」
「失礼します」と一言添えて中に入る。
「陛下、セシリア様が作成した精霊石をお持ち致しました」
「お前が敬語使うと気持ちが悪いな。普通で構わんぞ。ここには、俺とお前しか居ないからな」
アインス陛下と私は、学生時代からの友人で親友……だから、公の場以外では普通に接している。
でもねぇ、公式の場では無いとはいえ、ねぇ?どこに誰の目があるか……
はぁ、でも戻さないと延々と言われそうだし仕方がないわね。
「では、お言葉に甘えるわ。これが、セシリアが作成した精霊石よ。凄いわよ、中に精霊が居るのが分かるもの。あの子は、本物よ。まぁ、謁見の間で最高位が現れてる時点で本物だけれどね」
アインスの手に精霊石を乗せると、彼は精霊石を摘み目の高さまで持ち上げ覗き込んだ。
「そうだな、最高位精霊は流石に驚いた」
「あの子の養子先はどうするつもり?」
「まだ悩んでるが…候補は、ディオーネ家、アルナイル家、ハルジオン家だな」
アルナイル家は、侯爵家で私の家系よ。
ディオーネ家は、公爵家で現宰相を務めてるわね。
ハルジオン家は、侯爵家で近衛騎士団団長を務めてるわ。私の上司よ。
「妥当ね、他の公爵家は野心があり、セシリアを利用しようとするわ」
「ああ」
私達もあの子を利用しようとしてるけど、あの子の意志を無視しようとは思わない。
でも、ディオーネ以外の公爵家では、そうはいかない。あの子の意志を無視し、使えなくなるまで利用しようとする可能性がある。
公爵家に対抗出来るのは、同じ公爵家であるディオーネと、力のある侯爵家アルナイルとハルジオン。
「あの子が妹になるかも知れないのね…お兄様、なんて言われちゃうのかしら。ふふ、楽しみだわ」
「ズルいな、俺もお兄様とか言われたい」
「ダメよ、貴方は皇帝なんだから。それに、貴方の家は養子先に含まれてないじゃない」
「母上は、セシリアを気に入っていたから、養子にと言えば了承してくれると思うぞ」
「ダ メ よ!あの子は私の妹になるんだから」
「まだ決まってないだろ!!」
「分かってるわよっ」
セシリアの素性が判明し、ディオーネ家が養子先になる事など、この時の2人はまだ知らなかった。それ故に、2人はセシリアが妹になった時を想像して、ニヤニヤと笑いながら言い合っていた。
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