8 / 38
本編
魔力の器
しおりを挟む
帝国に向かう馬車の中で、私はシェイドさんと色々話していた。
ファルクが放った言葉を頭の中で繰り返す。
いつも、友達が言ってくれていた言葉……
『リアの魔力は高いよ』
でも、信じられなかった。
だって、魔力が増えるって言われる行動を沢山して来たのに、増えなかったから。
生まれた時に魔力が無かったから、お父様にも見捨てられ、家族に認められなかった。
でも、お母さんだけは、私が3歳までは愛してくれてたって、友達が言ってた。私が3歳を迎えた時に亡くなったって。
私は胸元にあるペンダントに服の上から触れた。このペンダントは特別な魔法で作られてて、お母さんの映像が残ってる。
少ない魔力でも、これさえあれば何時でもお母さんに会える。
私がお母さんの思い出を振り返っていたら、シェイドさんが私を見て「もぉ我慢できない!!」といきなり叫んだ。
「ねぇセシリア嬢、貴方、髪が凄ーく傷んでるじゃない!!肌だってカサカサ!ちゃんとクリーム塗ってるの?!」
私の目を見て、髪に触れ、唇に触れながら、声を荒らげるシェイドさん。
髪……いまだ、お母さんの事を思っていた私は自分の髪に触れてみる。
私の髪はお母さんと一緒の銀色らしいけど……
そこにあったのは、ザラザラした手触りのごわついた髪。色々な汚れやホコリで灰色にしか見えない髪だった。
シェイド様に会う前と、出発してからもレイナが洗ってくれたけど、それでも落ちない頑固な汚れ。
舞踏会の時は、ヴェールを被ってたこともあり、周りには気付かれなかったけど…
流石に、バレるよね……と、苦笑する。
「それに、ちゃんと食べてる?!痩せすぎよ貴方!ほら、これ食べなさい!」
「あ、ありがとうございます」
レイナが悲しそうな顔をして、「旦那様達がお嬢様を人として育てて下さっていれば」とボソボソと呟いていた。
それを、シェイドさんが聞き逃すことなく、レイナに問いかける。
「どういうことよ?」
「お嬢様は、お母様が亡くなられてから10年間、ほぼ放置されていたのです。きちんとした教育を受けさせて貰えず、お食事だって満足に貰えてませんでした。私たち以下の扱いを受けていたのです。こんな、……13歳なのに、そう見えないのも……」
「レイナ……でも、私が無能なのが……」
「違うわね」
シェイドさんが、私の言葉を遮る。
「生まれた時から魔力が高い者なんて、そうそう居やしないわよ」
「でも、シェイラ様やレイディナ様は生まれた時から魔力が高かったって聞きました」
「……それ、何か裏がありそうだけどね…まぁ、良いわ」
口に手を当てて何か考えている仕草をしていたシェイドさんだけど、私に視線を戻して言った。
「魔力はね、器が大きくなければ増えないのよ」
「じゃ、私の魔力が増えないのは、器がないって事ですか?」
「そうとも言えるし、違うとも言えるわね」
「「?」」
レイナと顔を見合わせて首を傾げる。
「炎のファルク様が言ってたでしょ?貴方の魔力はこの程度じゃないって。……って事は、器を大きくすれば良いのよ」
「どうやって?」
「本来なら、成長するに従って自然と器が大きくなる物なの。……でも、貴方の場合、何か体に抱えてるものがあるのよ」
「抱えてるもの……ですか」
「それは、帝国に着けば分かるわ。鑑定魔法を扱えるものが居るから」
シェイド様の言葉に不安が頭をよぎる。
どうなっちゃうのかな……
『リア、心配するな。悪い事にはならん。それに、お前が不安なら俺が側にいてやる。チビ達もいる』
『うん!僕達も守るよ』
『だから、不安な顔しないで』
『ぎゅー』
ファルクの言葉と友達達の言葉に安堵する。抱き着いてくる小さな精霊を撫でて帝国に着くのを待った。
ファルクが放った言葉を頭の中で繰り返す。
いつも、友達が言ってくれていた言葉……
『リアの魔力は高いよ』
でも、信じられなかった。
だって、魔力が増えるって言われる行動を沢山して来たのに、増えなかったから。
生まれた時に魔力が無かったから、お父様にも見捨てられ、家族に認められなかった。
でも、お母さんだけは、私が3歳までは愛してくれてたって、友達が言ってた。私が3歳を迎えた時に亡くなったって。
私は胸元にあるペンダントに服の上から触れた。このペンダントは特別な魔法で作られてて、お母さんの映像が残ってる。
少ない魔力でも、これさえあれば何時でもお母さんに会える。
私がお母さんの思い出を振り返っていたら、シェイドさんが私を見て「もぉ我慢できない!!」といきなり叫んだ。
「ねぇセシリア嬢、貴方、髪が凄ーく傷んでるじゃない!!肌だってカサカサ!ちゃんとクリーム塗ってるの?!」
私の目を見て、髪に触れ、唇に触れながら、声を荒らげるシェイドさん。
髪……いまだ、お母さんの事を思っていた私は自分の髪に触れてみる。
私の髪はお母さんと一緒の銀色らしいけど……
そこにあったのは、ザラザラした手触りのごわついた髪。色々な汚れやホコリで灰色にしか見えない髪だった。
シェイド様に会う前と、出発してからもレイナが洗ってくれたけど、それでも落ちない頑固な汚れ。
舞踏会の時は、ヴェールを被ってたこともあり、周りには気付かれなかったけど…
流石に、バレるよね……と、苦笑する。
「それに、ちゃんと食べてる?!痩せすぎよ貴方!ほら、これ食べなさい!」
「あ、ありがとうございます」
レイナが悲しそうな顔をして、「旦那様達がお嬢様を人として育てて下さっていれば」とボソボソと呟いていた。
それを、シェイドさんが聞き逃すことなく、レイナに問いかける。
「どういうことよ?」
「お嬢様は、お母様が亡くなられてから10年間、ほぼ放置されていたのです。きちんとした教育を受けさせて貰えず、お食事だって満足に貰えてませんでした。私たち以下の扱いを受けていたのです。こんな、……13歳なのに、そう見えないのも……」
「レイナ……でも、私が無能なのが……」
「違うわね」
シェイドさんが、私の言葉を遮る。
「生まれた時から魔力が高い者なんて、そうそう居やしないわよ」
「でも、シェイラ様やレイディナ様は生まれた時から魔力が高かったって聞きました」
「……それ、何か裏がありそうだけどね…まぁ、良いわ」
口に手を当てて何か考えている仕草をしていたシェイドさんだけど、私に視線を戻して言った。
「魔力はね、器が大きくなければ増えないのよ」
「じゃ、私の魔力が増えないのは、器がないって事ですか?」
「そうとも言えるし、違うとも言えるわね」
「「?」」
レイナと顔を見合わせて首を傾げる。
「炎のファルク様が言ってたでしょ?貴方の魔力はこの程度じゃないって。……って事は、器を大きくすれば良いのよ」
「どうやって?」
「本来なら、成長するに従って自然と器が大きくなる物なの。……でも、貴方の場合、何か体に抱えてるものがあるのよ」
「抱えてるもの……ですか」
「それは、帝国に着けば分かるわ。鑑定魔法を扱えるものが居るから」
シェイド様の言葉に不安が頭をよぎる。
どうなっちゃうのかな……
『リア、心配するな。悪い事にはならん。それに、お前が不安なら俺が側にいてやる。チビ達もいる』
『うん!僕達も守るよ』
『だから、不安な顔しないで』
『ぎゅー』
ファルクの言葉と友達達の言葉に安堵する。抱き着いてくる小さな精霊を撫でて帝国に着くのを待った。
応援ありがとうございます!
10
お気に入りに追加
4,550
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる