5 / 5
おまけ②
しおりを挟む
王太子妃様やご令嬢方に名前は付けていませんので、作中では、名前無しで記載させて頂きます(王太子妃様、ご令嬢等)
ご了承ください(ᴗ͈ˬᴗ͈⸝⸝)
─────
「レンフォード様……本当に私でよろしいんですの?」
「何がだい?」
レンフォード様と夜会で出会って数ヶ月後、私達は婚約者になった。
今でも、レンフォード様の婚約者になった事は、夢じゃないかと疑う日々です。
「それよりも、ネリス。いつになったら、レンと呼んでくれるんだ?ずっと待ってるんだがな」
「あっ、それは……まだ、もう少し…」
「う~ん、けど、もうだいぶ待ったよ?」
1週間ほど前からでしょうか……レンフォード様が、愛称で呼んで欲しいと私に願ってきました。
ですが、まだ心の準備が出来なくて、保留にして貰ったのですが……
最近、催促されるようになりました。
そう言えば、兄がレンフォード様は腹黒だから気を付けろよと言っていましたが……腹黒とは何でしょうか?
私はまだ知らない事が多いです。
今日は、王太子妃様のお茶会で、私もお呼ばれされました。
王太子妃様はとてもお優しくて、素敵な女性です。
「そろそろ会場に着くね。何かあったら俺に言えよ」
「はい」
お茶会の会場には、既に何人かの令嬢が揃っていて挨拶をして下さいました。
「いらっしゃい、ネリスさん」
「王太子妃様、本日は招待頂きありがとうございます」
スカートの裾を持ち、足を斜め後ろに引き、もう片方の足を曲げる……カーテシーと言われる令嬢の挨拶の仕方だと教わりました。
お茶会は、何事もなく終わりそうでした。
ですが、王太子妃様が私の傍から離れた時に、事件は起こりました。
1人の令嬢が、カップに注いだばかりの熱めの紅茶を私の頭の上に零したのです。
「きゃああぁ!」
私と一緒の席に座っていた令嬢が悲鳴を上げ、私はと言うと……頭から流れる紅茶が、勿体ないなぁと呑気に考えていました。
「ネリスさん!大丈夫ですか?!いえ、大丈夫じゃありませんわよね!?衛兵!衛兵!!直ぐにレン様とお医者様を呼びなさい!」
「はっ!!」
王太子妃様が、色々と指示してる間に私に紅茶をかけた令嬢は憎々しげに言葉を吐き捨てた。
「あんたがいけないのよ?!レンフォード殿下の婚約者になんてなるから!傷物令嬢の癖に生意気なのよ!夜会の日も目立ってたわよ?その首元にある醜い傷を見た令息達が、気持ち悪い!あんなのを抱く気が起きるのか?とね!レンフォード殿下が可哀想だとは思いませんの?!さっさと身を引きなさいよっ!!」
「誰が……傷物令嬢で?、誰が可哀想なのかな?」
そこに、低く威圧感のある声が響いた。
「君は……確か伯爵令嬢だったね。私の婚約者に、そんな事を言って良いのかな?だいたい、ネリスは公爵令嬢で、君よりもかなり高位の貴族のはずだけど……立場、分かってる?」
「「れ、レンフォード殿下っ!!」」
「全く、君も君のお父上も、立場をもっと理解した方が良いよ?」
「ネリスを溺愛する人達が黙ってないと思うからね。あぁ、王太子妃殿、ネリスを連れて行くよ」
ネリスを抱き上げ、額にキスを贈り足早に去って行く。隣には、白衣を着た女性が付いてきていて、私の状態を歩きながら見ている。
「殿下、軽度の火傷が見られます。急いで冷やしませんと……!」
「分かってる」
私はその後、殿下の私室の隣の部屋のベッドに下ろされ、女性医師から治療を施された。
宰相であるお父様にも報告が行き、仕事を放って駆け付けてきたそうだ。
大丈夫と言っても、聞き入れて貰えず…
屋敷に帰ると言っても、レンフォード様が許さず…
取り敢えず、殿下の隣の部屋で養生する事になりました。
「ネリス……」
「わ、分かっていますが……」
「私の可愛いネリス」
「レン……フォ…「レン」……レン様」
「敬称も要らないんだけど……まぁ、良いよ。今はそれで許してあげる」
額、右頬、左頬と口付けを落とし、見つめ合い、最後に唇にキスを落とした。
「私は、ネリスを愛してる……例え、体に傷を負っていても……私は…俺は、ネリスだけを愛してるよ」
「私も……私を受け入れて下さった、レンフ……レン…を、愛しています」
ネリスを疑問視する声を全て黙らせ、レンフォード第2王子はネリスと結婚した。
~完~
ご了承ください(ᴗ͈ˬᴗ͈⸝⸝)
─────
「レンフォード様……本当に私でよろしいんですの?」
「何がだい?」
レンフォード様と夜会で出会って数ヶ月後、私達は婚約者になった。
今でも、レンフォード様の婚約者になった事は、夢じゃないかと疑う日々です。
「それよりも、ネリス。いつになったら、レンと呼んでくれるんだ?ずっと待ってるんだがな」
「あっ、それは……まだ、もう少し…」
「う~ん、けど、もうだいぶ待ったよ?」
1週間ほど前からでしょうか……レンフォード様が、愛称で呼んで欲しいと私に願ってきました。
ですが、まだ心の準備が出来なくて、保留にして貰ったのですが……
最近、催促されるようになりました。
そう言えば、兄がレンフォード様は腹黒だから気を付けろよと言っていましたが……腹黒とは何でしょうか?
私はまだ知らない事が多いです。
今日は、王太子妃様のお茶会で、私もお呼ばれされました。
王太子妃様はとてもお優しくて、素敵な女性です。
「そろそろ会場に着くね。何かあったら俺に言えよ」
「はい」
お茶会の会場には、既に何人かの令嬢が揃っていて挨拶をして下さいました。
「いらっしゃい、ネリスさん」
「王太子妃様、本日は招待頂きありがとうございます」
スカートの裾を持ち、足を斜め後ろに引き、もう片方の足を曲げる……カーテシーと言われる令嬢の挨拶の仕方だと教わりました。
お茶会は、何事もなく終わりそうでした。
ですが、王太子妃様が私の傍から離れた時に、事件は起こりました。
1人の令嬢が、カップに注いだばかりの熱めの紅茶を私の頭の上に零したのです。
「きゃああぁ!」
私と一緒の席に座っていた令嬢が悲鳴を上げ、私はと言うと……頭から流れる紅茶が、勿体ないなぁと呑気に考えていました。
「ネリスさん!大丈夫ですか?!いえ、大丈夫じゃありませんわよね!?衛兵!衛兵!!直ぐにレン様とお医者様を呼びなさい!」
「はっ!!」
王太子妃様が、色々と指示してる間に私に紅茶をかけた令嬢は憎々しげに言葉を吐き捨てた。
「あんたがいけないのよ?!レンフォード殿下の婚約者になんてなるから!傷物令嬢の癖に生意気なのよ!夜会の日も目立ってたわよ?その首元にある醜い傷を見た令息達が、気持ち悪い!あんなのを抱く気が起きるのか?とね!レンフォード殿下が可哀想だとは思いませんの?!さっさと身を引きなさいよっ!!」
「誰が……傷物令嬢で?、誰が可哀想なのかな?」
そこに、低く威圧感のある声が響いた。
「君は……確か伯爵令嬢だったね。私の婚約者に、そんな事を言って良いのかな?だいたい、ネリスは公爵令嬢で、君よりもかなり高位の貴族のはずだけど……立場、分かってる?」
「「れ、レンフォード殿下っ!!」」
「全く、君も君のお父上も、立場をもっと理解した方が良いよ?」
「ネリスを溺愛する人達が黙ってないと思うからね。あぁ、王太子妃殿、ネリスを連れて行くよ」
ネリスを抱き上げ、額にキスを贈り足早に去って行く。隣には、白衣を着た女性が付いてきていて、私の状態を歩きながら見ている。
「殿下、軽度の火傷が見られます。急いで冷やしませんと……!」
「分かってる」
私はその後、殿下の私室の隣の部屋のベッドに下ろされ、女性医師から治療を施された。
宰相であるお父様にも報告が行き、仕事を放って駆け付けてきたそうだ。
大丈夫と言っても、聞き入れて貰えず…
屋敷に帰ると言っても、レンフォード様が許さず…
取り敢えず、殿下の隣の部屋で養生する事になりました。
「ネリス……」
「わ、分かっていますが……」
「私の可愛いネリス」
「レン……フォ…「レン」……レン様」
「敬称も要らないんだけど……まぁ、良いよ。今はそれで許してあげる」
額、右頬、左頬と口付けを落とし、見つめ合い、最後に唇にキスを落とした。
「私は、ネリスを愛してる……例え、体に傷を負っていても……私は…俺は、ネリスだけを愛してるよ」
「私も……私を受け入れて下さった、レンフ……レン…を、愛しています」
ネリスを疑問視する声を全て黙らせ、レンフォード第2王子はネリスと結婚した。
~完~
60
お気に入りに追加
930
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(13件)
あなたにおすすめの小説

全部忘れて、元の世界に戻って
菜花
ファンタジー
多くの人間を不幸にしてきた怪物は、今まさに一人の少女をも不幸にしようとしていた。前作異世界から帰れないの続編になります。カクヨムにも同じ話があります。


嘘はあなたから教わりました
菜花
ファンタジー
公爵令嬢オリガは王太子ネストルの婚約者だった。だがノンナという令嬢が現れてから全てが変わった。平気で嘘をつかれ、約束を破られ、オリガは恋心を失った。カクヨム様でも公開中。

冷遇された聖女の結末
菜花
恋愛
異世界を救う聖女だと冷遇された毛利ラナ。けれど魔力慣らしの旅に出た途端に豹変する同行者達。彼らは同行者の一人のセレスティアを称えラナを貶める。知り合いもいない世界で心がすり減っていくラナ。彼女の迎える結末は――。
本編にプラスしていくつかのifルートがある長編。
カクヨムにも同じ作品を投稿しています。

聖女らしくないと言われ続けたので、国を出ようと思います
菜花
ファンタジー
ある日、スラムに近い孤児院で育ったメリッサは自分が聖女だと知らされる。喜んで王宮に行ったものの、平民出身の聖女は珍しく、また聖女の力が顕現するのも異常に遅れ、メリッサは偽者だという疑惑が蔓延する。しばらくして聖女の力が顕現して周囲も認めてくれたが……。メリッサの心にはわだかまりが残ることになった。カクヨムにも投稿中。


冤罪で追放した男の末路
菜花
ファンタジー
ディアークは参っていた。仲間の一人がディアークを嫌ってるのか、回復魔法を絶対にかけないのだ。命にかかわる嫌がらせをする女はいらんと追放したが、その後冤罪だったと判明し……。カクヨムでも同じ話を投稿しています。

悪役令嬢は処刑されました
菜花
ファンタジー
王家の命で王太子と婚約したペネロペ。しかしそれは不幸な婚約と言う他なく、最終的にペネロペは冤罪で処刑される。彼女の処刑後の話と、転生後の話。カクヨム様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
ネリス良い子すぎるー(╥﹏╥)
泣いてしまいました(╥﹏╥)
とっても面白かったです!!
とっても面白かったからこそ、レンフォードがなんでネリスを婚約者として選んだのか、どこで惚れたのかもっと詳しく読みたかったです。バニッシュの元に様子を見にいったということは…社交会に出てから何かあったのかな?!🤔
お父さんとお兄ちゃんが発狂した(?!笑)物語を読む機会があったら嬉しいです
ありがとうございます(⸝⸝›_‹⸝⸝)
楽しんで頂けて、私もとても嬉しいです!!
機会がありましたら、続編?番外編?を、新作として出したく思います!
面白かったです
ありがとうございます(ᴗ͈ˬᴗ͈⸝⸝)