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おまけ①
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ネリス様を助け出してから、5年……
バニッシュの元に一人の男性が訪れた。
「誰も死なせてはいないな?」
「ええ、心は死んでるかも知れませんがね」
「それは、構わん。ネリスを痛めつけた者共だ、容赦する必要はない」
「もちろん、容赦しませんよ。敬愛する兄を殺した奴など」
男達の前には、体中に傷を負った元伯爵夫人のサーシャや、その娘、屋敷の使用人達が転がっていた。
逃げられないよう足枷をはめられ、体を纏っていた布は所々千切れ、胸や陰部を曝け出していた。
目に生気はなく、言葉も発せられない。
血だらけで痩せ細ってはいるが、ギリギリのラインで生かされていた。
「殿下は何用で?」
「様子を見に来ただけだ……公爵も、たまに来てるんだろう?」
「ええ、ケイナ様の……あぁ、いぇ、何でもありません」
「そうか……まぁいい、ここなら見つかる必要は無いだろうが、出入りには気を付けろよ」
「ええ、ありがとうございます」
そう言って、レンフォード殿下は去って行く。
レンフォード様は、ネリス様と婚約したと聞いた……だからこそ、気になったのだろう。
だが、心配は無用だ……この僕がヘマをする訳が無い。
これでも闇世界ではNo.3に入るほどの実力があるのだから。
僕は、行方不明だった訳じゃない。
闇世界で、修行中だっただけだ……
闇世界で名を馳せた頃、表世界に戻ってみれば兄は死んでいて、兄の妻だった女は、メリーズ公爵家にいた。
敬愛していた兄の死に疑問を持った僕は、色々調べたんだ。サーシャが兄を殺した事、ケイナ様を殺した事、全て調べあげたんだ。
だからね、メリーズ公爵がサーシャを捕まえて、閉じ込めた時、願い出たんだよ。
そしたら、指名してくれて……
僕だけじゃない……、君に恨みを持つ人間は……。
ネリス様の事もあって、堂々と君を痛め付ける理由があるなんて、こんなに嬉しい事は無いよ。
サーシャ
兄を殺した君に、復讐を……
~完~
バニッシュの元に一人の男性が訪れた。
「誰も死なせてはいないな?」
「ええ、心は死んでるかも知れませんがね」
「それは、構わん。ネリスを痛めつけた者共だ、容赦する必要はない」
「もちろん、容赦しませんよ。敬愛する兄を殺した奴など」
男達の前には、体中に傷を負った元伯爵夫人のサーシャや、その娘、屋敷の使用人達が転がっていた。
逃げられないよう足枷をはめられ、体を纏っていた布は所々千切れ、胸や陰部を曝け出していた。
目に生気はなく、言葉も発せられない。
血だらけで痩せ細ってはいるが、ギリギリのラインで生かされていた。
「殿下は何用で?」
「様子を見に来ただけだ……公爵も、たまに来てるんだろう?」
「ええ、ケイナ様の……あぁ、いぇ、何でもありません」
「そうか……まぁいい、ここなら見つかる必要は無いだろうが、出入りには気を付けろよ」
「ええ、ありがとうございます」
そう言って、レンフォード殿下は去って行く。
レンフォード様は、ネリス様と婚約したと聞いた……だからこそ、気になったのだろう。
だが、心配は無用だ……この僕がヘマをする訳が無い。
これでも闇世界ではNo.3に入るほどの実力があるのだから。
僕は、行方不明だった訳じゃない。
闇世界で、修行中だっただけだ……
闇世界で名を馳せた頃、表世界に戻ってみれば兄は死んでいて、兄の妻だった女は、メリーズ公爵家にいた。
敬愛していた兄の死に疑問を持った僕は、色々調べたんだ。サーシャが兄を殺した事、ケイナ様を殺した事、全て調べあげたんだ。
だからね、メリーズ公爵がサーシャを捕まえて、閉じ込めた時、願い出たんだよ。
そしたら、指名してくれて……
僕だけじゃない……、君に恨みを持つ人間は……。
ネリス様の事もあって、堂々と君を痛め付ける理由があるなんて、こんなに嬉しい事は無いよ。
サーシャ
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~完~
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