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第10話(ハーヴェイ目線)
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あの女が持っていた封魔石は、確実に母親であるマーシェリー様から受け取ったに違いありません。
封魔石は、その名の通り魔宝石の力を封じる効果を持った特別な石だ。
侯爵家以上の身分を持つ家なら、当主、次期当主ならば皆が持っている。
伯爵以下でも、王家に貢献している家ならば下賜されている可能性もある。
そして、ルビー伯爵家ならば確実に王家から下賜されているはず。
レッドスピネル家の血を持つ者は、まず自分を律する力を養う。でなければ、犯罪を犯しかねないからだ。そして、1度でも過ちを犯した一族はみな、目や耳をくり抜かれ削ぎ落とされる……二度と犯罪が犯さないように。
だからなのか、レッドスピネル家の者はみな、正義感が強く曲がったことが嫌いな者が多い家系だ……
けれど、封魔石は開発され作られた。女性の為と、悪事を働く貴族たちによって。
これは、知られていない事だが、レッドスピネルの力を最大限に使えば封魔石を持っていようとも見ることは出来る。
使った者は、その場で気絶する程に疲れてしまうけれど……
公爵様とシュテル様には話し、いつでも使う覚悟は出来ていることを伝えた。
そして、奥様とケイナに関しては……
風呂時、着替え時などを除いて全て監視する事も。
ただ、姿が見えるだけで話してる事は分からない……
……だから、ステラに協力を仰いだ。
未来から来た事は話さず、ジュリアお嬢様の近況だけを伝え侍女として使えてくれないか?と。
ステラは、俺の姉です。
未来で姉は、細く窶れたジュリアお嬢様を凄く心配し何かと気を配っていました。
きっと、力になってくれるだろう。
レッドスピネルの女性は、耳に力が宿ります。俺の力と合わせれば、どこに居ようと街中であれば見聞き出来る。
(公爵様に事情を話し、許可を得る)
今ジュリアお嬢様はシュテル様と一緒に、新しく雇い直した家庭教師の方の授業を受けている。何時もなら俺も、ジュリアお嬢様の傍で護衛をしているのだが……姉さんの件で公爵様の執務室を訪れた。
「ルーファス様、ハーヴェイ様がお見えになりました」
「ん?通せ」
「畏まりました」
クロードに促され中に入ると、公爵様は難しい顔をして書類を見ていた。
普段の仕事に加え、奥様やケイナの事も調べなくてはいけなくなったから…前よりも忙しくなっているはず。なのに公爵様は、ジュリアお嬢様と過ごす時間を必ず捻出するようになった。
まだ、ジュリアお嬢様は公爵様に心を開いてはいませんが……
「待たせたな、どうした?」
「実は、私の姉であるステラを、ジュリアお嬢様の侍女として仕えさせて貰えませんか?」
「ステラ嬢を?」
「はい。レッドスピネルの女性が持つ力、遠聞きの力を借りようと思っています」
「それは……願ってもない事だな。だが、ステラ嬢は知っておるのか?」
「手紙での、やり取りはしております」
公爵様は、考え込むように組んだ手の甲に額を乗せ深く息を吐いた。
そして、1枚の紙を取り出すと何かを書き始めた。それは公爵様の名前で、姉さんをジュリアお嬢様の侍女として任命する旨が記された手紙だった。
「ステラ嬢に伝えてくれ、ジュリアをよろしく頼むと」
「分かっております」
俺は、手紙を持って執務室を後にした。
直ぐにこの手紙を、姉さんに届ける必要があったからだ。
けれど、奥様に勘づかれてはならない。
姉さんは、社交嫌いであまり顔は知られていない……14で社交デビューしてから、一切社交界には顔を出していない。
だから、新人の使用人が増えても分からないはずだ。ほぼ総替えしたばかりだし、レッドスピネルの名を言わなければ……
……無理、だったな。目でバレる……
いや、変化の力を持つ家の力を借りれば、不可能じゃ無くないか?
確か……アズロマラカイト家だったはず…
(よし、ステラ姉さんに手紙で伝えておこう)
公爵様の執務室を出て俺は、これからの事を考える。そう言えば、公爵様がみていたのは……王家に使えるガーネット家の資料。
ガーネット家は、決して素顔を晒さない影の一族の一つ。嘘を見抜き、真実を暴く力を持つと言われている……が、詳しくは知らない、知られていない。
なぜ、公爵様がガーネット家の資料を見ていたのか俺には分からないが……ジュリアお嬢様に関する事なんだろう。
それしか、思いつかないからな。
─────
※1
遠聞き=本来の意味は、敵陣や人家に忍び込んで事情を探るもの。だそうです。
作中では、遠くの音を聞き取る力という意味で書いております。ご了承ください(*ᴗˬᴗ)⁾
封魔石は、その名の通り魔宝石の力を封じる効果を持った特別な石だ。
侯爵家以上の身分を持つ家なら、当主、次期当主ならば皆が持っている。
伯爵以下でも、王家に貢献している家ならば下賜されている可能性もある。
そして、ルビー伯爵家ならば確実に王家から下賜されているはず。
レッドスピネル家の血を持つ者は、まず自分を律する力を養う。でなければ、犯罪を犯しかねないからだ。そして、1度でも過ちを犯した一族はみな、目や耳をくり抜かれ削ぎ落とされる……二度と犯罪が犯さないように。
だからなのか、レッドスピネル家の者はみな、正義感が強く曲がったことが嫌いな者が多い家系だ……
けれど、封魔石は開発され作られた。女性の為と、悪事を働く貴族たちによって。
これは、知られていない事だが、レッドスピネルの力を最大限に使えば封魔石を持っていようとも見ることは出来る。
使った者は、その場で気絶する程に疲れてしまうけれど……
公爵様とシュテル様には話し、いつでも使う覚悟は出来ていることを伝えた。
そして、奥様とケイナに関しては……
風呂時、着替え時などを除いて全て監視する事も。
ただ、姿が見えるだけで話してる事は分からない……
……だから、ステラに協力を仰いだ。
未来から来た事は話さず、ジュリアお嬢様の近況だけを伝え侍女として使えてくれないか?と。
ステラは、俺の姉です。
未来で姉は、細く窶れたジュリアお嬢様を凄く心配し何かと気を配っていました。
きっと、力になってくれるだろう。
レッドスピネルの女性は、耳に力が宿ります。俺の力と合わせれば、どこに居ようと街中であれば見聞き出来る。
(公爵様に事情を話し、許可を得る)
今ジュリアお嬢様はシュテル様と一緒に、新しく雇い直した家庭教師の方の授業を受けている。何時もなら俺も、ジュリアお嬢様の傍で護衛をしているのだが……姉さんの件で公爵様の執務室を訪れた。
「ルーファス様、ハーヴェイ様がお見えになりました」
「ん?通せ」
「畏まりました」
クロードに促され中に入ると、公爵様は難しい顔をして書類を見ていた。
普段の仕事に加え、奥様やケイナの事も調べなくてはいけなくなったから…前よりも忙しくなっているはず。なのに公爵様は、ジュリアお嬢様と過ごす時間を必ず捻出するようになった。
まだ、ジュリアお嬢様は公爵様に心を開いてはいませんが……
「待たせたな、どうした?」
「実は、私の姉であるステラを、ジュリアお嬢様の侍女として仕えさせて貰えませんか?」
「ステラ嬢を?」
「はい。レッドスピネルの女性が持つ力、遠聞きの力を借りようと思っています」
「それは……願ってもない事だな。だが、ステラ嬢は知っておるのか?」
「手紙での、やり取りはしております」
公爵様は、考え込むように組んだ手の甲に額を乗せ深く息を吐いた。
そして、1枚の紙を取り出すと何かを書き始めた。それは公爵様の名前で、姉さんをジュリアお嬢様の侍女として任命する旨が記された手紙だった。
「ステラ嬢に伝えてくれ、ジュリアをよろしく頼むと」
「分かっております」
俺は、手紙を持って執務室を後にした。
直ぐにこの手紙を、姉さんに届ける必要があったからだ。
けれど、奥様に勘づかれてはならない。
姉さんは、社交嫌いであまり顔は知られていない……14で社交デビューしてから、一切社交界には顔を出していない。
だから、新人の使用人が増えても分からないはずだ。ほぼ総替えしたばかりだし、レッドスピネルの名を言わなければ……
……無理、だったな。目でバレる……
いや、変化の力を持つ家の力を借りれば、不可能じゃ無くないか?
確か……アズロマラカイト家だったはず…
(よし、ステラ姉さんに手紙で伝えておこう)
公爵様の執務室を出て俺は、これからの事を考える。そう言えば、公爵様がみていたのは……王家に使えるガーネット家の資料。
ガーネット家は、決して素顔を晒さない影の一族の一つ。嘘を見抜き、真実を暴く力を持つと言われている……が、詳しくは知らない、知られていない。
なぜ、公爵様がガーネット家の資料を見ていたのか俺には分からないが……ジュリアお嬢様に関する事なんだろう。
それしか、思いつかないからな。
─────
※1
遠聞き=本来の意味は、敵陣や人家に忍び込んで事情を探るもの。だそうです。
作中では、遠くの音を聞き取る力という意味で書いております。ご了承ください(*ᴗˬᴗ)⁾
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