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第1章 蛇神と少女と蜘蛛神
罪と罰
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気が付くと、蛇神さまに抱えられていた。
白髪で、でも毛先が薄い青で、琥珀色の目ををした男の人が私を包み込むように抱いていた。
何故か直ぐに、この人が私を助け手当し看病してくれた、あの蛇神さまだと分かった。
体はズキズキと痛み、なぜ蛇神さまがここに居るのか、考えた。
何も言わずに出てきた筈なのに、蜘蛛神さまや緑の蛇さんが来るとは思わないし……
「蛇神さま、どうして、ここに?」
「……ノエル」
「え」
「覚えてるか?前に会った事があるだろ」
そう言われて、蛇神さまの姿を正面から見つめた。どこかで見た事かある。
小さい頃、帰り方が分からなくて泣いていた私。傍に来てくれた誰か……
その人に、自分の名前をあげた。
『わたしね、ノエルっていうの。やさしい、あなたに、あげるね』
そう言って、大きい大きい蛇さんにあげた…
「あの時の蛇さん!つっ」
「動くな」
「ごめんなさい」
「俺の事はノエルと呼べ。お前が付けてくれた名だ」
「うん!!」
「お前の名も、後で付けてやる」
嬉しくて、嬉しくて、笑顔で蛇さんを見た。
緑の蛇さんがいる。
蜘蛛さんもいる。
「おい、イチャつくなら帰ってからにしろ」
「チッ」
「仕方ねぇだろ!コイツらどうすんだよ!」
「殺せ」
「だ、ダメだよっ」
「チッ」
「舌打ちしても、メッ!」
するとノエル様は、ため息をついて村長さんに話しかけた。
「おい、人間よ。なぜ、娘を殺そうとした?」
「ば、化け物……だからだ」
「ほぉ」
(どうすんだよっ!馬鹿だろ?!さらに怒らせてやがるぞ)
(仕方ありません。それが人間です)
(ノエルさま、村長さん殺しちゃうの?)
「殺さねぇ」
「ホントかよ」
「今はな」
「本当?ノエルさま」
「ああ」
優しげな顔付きになって、私を片手に持ち替えて、逆の手で頭を撫でてくれる。
そして、何があったのか聞いてきた。
「蜘蛛さんと別れてから、村に戻ったの。そしたら、村の人が村長さんを呼びに行って、私の事を化け物って言ったの。なんで生きてるんだ!って子供たちにも言われたの」
話してる途中、私を抱いてくれてるノエルさまの手が微かに強められた気がして上を向くと、ノエルさまの顔が青くなって少し震えてた。
「それで?どうしたんだよ?」
蜘蛛さんに続きを聞かれて、私はその後のことを話し始めた。
「神様が助けてくれたって言ったのに、信じて貰えなかった。それで、神父様が来て、殺さないと見捨てられるって。神様は化け物をゆるさないって。化け物だからって……わたし、走って逃げたの。でも、すぐに追いつかれて、村の人に鎌で……」
そこまで話すと、もういい分かったからとノエルさまと、蜘蛛さんに言われて……
ノエルさまの手が私の目元に伸ばされて、ゆっくりと撫でられた。
わたし……泣いてたみたい。
「罪なき子を殺める事は、人間の世界では犯罪であろう。なぜ…」
「化け物は!存在だけで罪だ!」
「そうだ!化け物は死ね!」
「……緑蛇、娘を連れて下がれ」
「はっ、畏まりました」
緑の蛇さんが頭を下げて後ろを向いた。
私を背中に座らせると、緑の蛇さんは森の方に向かっていった。
「蛇さん、どこ行くの?ノエルさまは?」
「私の事は緑蛇と呼び捨てで構いません。少し離れるだけですから、心配しなくて大丈夫です」
みんなの所から少し離れてから、緑蛇さんは止まった。振り返って見てみると、ノエルさまと蜘蛛さんは、とても綺麗な光を纏っていた。
「綺麗……」
白髪で、でも毛先が薄い青で、琥珀色の目ををした男の人が私を包み込むように抱いていた。
何故か直ぐに、この人が私を助け手当し看病してくれた、あの蛇神さまだと分かった。
体はズキズキと痛み、なぜ蛇神さまがここに居るのか、考えた。
何も言わずに出てきた筈なのに、蜘蛛神さまや緑の蛇さんが来るとは思わないし……
「蛇神さま、どうして、ここに?」
「……ノエル」
「え」
「覚えてるか?前に会った事があるだろ」
そう言われて、蛇神さまの姿を正面から見つめた。どこかで見た事かある。
小さい頃、帰り方が分からなくて泣いていた私。傍に来てくれた誰か……
その人に、自分の名前をあげた。
『わたしね、ノエルっていうの。やさしい、あなたに、あげるね』
そう言って、大きい大きい蛇さんにあげた…
「あの時の蛇さん!つっ」
「動くな」
「ごめんなさい」
「俺の事はノエルと呼べ。お前が付けてくれた名だ」
「うん!!」
「お前の名も、後で付けてやる」
嬉しくて、嬉しくて、笑顔で蛇さんを見た。
緑の蛇さんがいる。
蜘蛛さんもいる。
「おい、イチャつくなら帰ってからにしろ」
「チッ」
「仕方ねぇだろ!コイツらどうすんだよ!」
「殺せ」
「だ、ダメだよっ」
「チッ」
「舌打ちしても、メッ!」
するとノエル様は、ため息をついて村長さんに話しかけた。
「おい、人間よ。なぜ、娘を殺そうとした?」
「ば、化け物……だからだ」
「ほぉ」
(どうすんだよっ!馬鹿だろ?!さらに怒らせてやがるぞ)
(仕方ありません。それが人間です)
(ノエルさま、村長さん殺しちゃうの?)
「殺さねぇ」
「ホントかよ」
「今はな」
「本当?ノエルさま」
「ああ」
優しげな顔付きになって、私を片手に持ち替えて、逆の手で頭を撫でてくれる。
そして、何があったのか聞いてきた。
「蜘蛛さんと別れてから、村に戻ったの。そしたら、村の人が村長さんを呼びに行って、私の事を化け物って言ったの。なんで生きてるんだ!って子供たちにも言われたの」
話してる途中、私を抱いてくれてるノエルさまの手が微かに強められた気がして上を向くと、ノエルさまの顔が青くなって少し震えてた。
「それで?どうしたんだよ?」
蜘蛛さんに続きを聞かれて、私はその後のことを話し始めた。
「神様が助けてくれたって言ったのに、信じて貰えなかった。それで、神父様が来て、殺さないと見捨てられるって。神様は化け物をゆるさないって。化け物だからって……わたし、走って逃げたの。でも、すぐに追いつかれて、村の人に鎌で……」
そこまで話すと、もういい分かったからとノエルさまと、蜘蛛さんに言われて……
ノエルさまの手が私の目元に伸ばされて、ゆっくりと撫でられた。
わたし……泣いてたみたい。
「罪なき子を殺める事は、人間の世界では犯罪であろう。なぜ…」
「化け物は!存在だけで罪だ!」
「そうだ!化け物は死ね!」
「……緑蛇、娘を連れて下がれ」
「はっ、畏まりました」
緑の蛇さんが頭を下げて後ろを向いた。
私を背中に座らせると、緑の蛇さんは森の方に向かっていった。
「蛇さん、どこ行くの?ノエルさまは?」
「私の事は緑蛇と呼び捨てで構いません。少し離れるだけですから、心配しなくて大丈夫です」
みんなの所から少し離れてから、緑蛇さんは止まった。振り返って見てみると、ノエルさまと蜘蛛さんは、とても綺麗な光を纏っていた。
「綺麗……」
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