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第1章 蛇神と少女と蜘蛛神
蜘蛛神様(蜘蛛)(R15)
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「……ノエル……お前の為だ。許せ」
黒い大きな蜘蛛は、ガサガサと草を掻き分け、森を進む。
時刻は夜。
アイツを送り届けた時はまだ夕方だったが…
悲しそうな餓鬼の顔が思い浮かぶ…
「くそっ」
俺達は神だ、人とは違う。
寿命も、体も、何もかも……!
だがまぁ、半身(結婚)の契約をすれば、同じ寿命にはなるが、人間と契約する者はまずいない。
ノエルだってっ……て?
あれ?
アイツの名前、確か……むかし、誰かから貰ったって言ってなかったか?
『名前?あげてしまったので…』
待て待て待て、アイツまさか……!
蛇神に名を与えたのか?
蛇神のヤツ、半身の契約を交わしたのか?
物思いに耽ってたせいで、頭上に影がさしたことに気付くのが遅れた。
風が切られるような音が響いたと思ったら、俺の体は大木に叩き付けられた。
「ぐぁっ」
そのまま、木に押し付けられたまま、何かがぐるぐると巻き付いてきた。
締め付けられ、内蔵が出そうになる。
「ちょっ、たんま、たんま、たんま!」
「貴様、あの娘に何をした」
底冷えする声を響かせ、締め付けてくる蛇神。
隅の方には傷ついた蛇神の神使、蛇の妖がいた。恐らく、問い詰められたのだろう蛇神に。
「主様、このままでは蜘蛛様が潰れてしまいます」
「チッ、娘は何処だ?」
「村に、戻って、るだろ?」
やべ、マジで、潰れそっ
そう思ってたら、締め付けていた蛇神の体が離れていった。
-蜘蛛神よ、蛇神よ-
「っ!」
脳裏に直接響く声に、自然と頭を下げる。
俺たちに声をかけてきた人物は、俺の主、全知全能の神、我らの王ゼルギウス様。
-急げよ。其方の半身、既に死にかけておる-
「チッ!」
「ちょっ待てよ!俺も行くってっ!」
「お待ち下さい!私も参ります!」
地面を這うようにするする行く蛇共。
俺は、子分に声を掛けてカサカサと付いていく。俺の後ろからは子分が沢山ついてきた。
村に辿りついた時、異様な光景が広がっていた。村人は化け物を殺せと言いながら走り去っていくのだ。
最初は俺たちの事だと思った。
でも、俺達はいま、目立たない為に地上のサイズに合わせている。
ならば、化け物とは誰の事だ?
まさか……!!
村人が走ってた方向に俺達は足を向けた。
そこで見たのは……!!
『娘!!』
『餓鬼!!』
『娘様!』
血だらけになりながらも、鎌を振りかざした人間に言い返そうとしている餓鬼だった。
「…………へ、びさ……」
その目に涙を浮かべ、閉じようとした時、隣から神気が迸る。
本来の姿に戻った蛇神に、村人の視線が集中した。
「ば、化け物だぁ~!!」
「に、逃げろ!」
「食われるぞ!!」
逃げ惑う人間に構うことなく蛇神は、餓鬼の元に走った。
「逃がすかよ」
俺は、村人を捉えるよう子分に指示を出した。すると腹の辺りから、沢山の蜘蛛が一気に散った。
黒い大きな蜘蛛は、ガサガサと草を掻き分け、森を進む。
時刻は夜。
アイツを送り届けた時はまだ夕方だったが…
悲しそうな餓鬼の顔が思い浮かぶ…
「くそっ」
俺達は神だ、人とは違う。
寿命も、体も、何もかも……!
だがまぁ、半身(結婚)の契約をすれば、同じ寿命にはなるが、人間と契約する者はまずいない。
ノエルだってっ……て?
あれ?
アイツの名前、確か……むかし、誰かから貰ったって言ってなかったか?
『名前?あげてしまったので…』
待て待て待て、アイツまさか……!
蛇神に名を与えたのか?
蛇神のヤツ、半身の契約を交わしたのか?
物思いに耽ってたせいで、頭上に影がさしたことに気付くのが遅れた。
風が切られるような音が響いたと思ったら、俺の体は大木に叩き付けられた。
「ぐぁっ」
そのまま、木に押し付けられたまま、何かがぐるぐると巻き付いてきた。
締め付けられ、内蔵が出そうになる。
「ちょっ、たんま、たんま、たんま!」
「貴様、あの娘に何をした」
底冷えする声を響かせ、締め付けてくる蛇神。
隅の方には傷ついた蛇神の神使、蛇の妖がいた。恐らく、問い詰められたのだろう蛇神に。
「主様、このままでは蜘蛛様が潰れてしまいます」
「チッ、娘は何処だ?」
「村に、戻って、るだろ?」
やべ、マジで、潰れそっ
そう思ってたら、締め付けていた蛇神の体が離れていった。
-蜘蛛神よ、蛇神よ-
「っ!」
脳裏に直接響く声に、自然と頭を下げる。
俺たちに声をかけてきた人物は、俺の主、全知全能の神、我らの王ゼルギウス様。
-急げよ。其方の半身、既に死にかけておる-
「チッ!」
「ちょっ待てよ!俺も行くってっ!」
「お待ち下さい!私も参ります!」
地面を這うようにするする行く蛇共。
俺は、子分に声を掛けてカサカサと付いていく。俺の後ろからは子分が沢山ついてきた。
村に辿りついた時、異様な光景が広がっていた。村人は化け物を殺せと言いながら走り去っていくのだ。
最初は俺たちの事だと思った。
でも、俺達はいま、目立たない為に地上のサイズに合わせている。
ならば、化け物とは誰の事だ?
まさか……!!
村人が走ってた方向に俺達は足を向けた。
そこで見たのは……!!
『娘!!』
『餓鬼!!』
『娘様!』
血だらけになりながらも、鎌を振りかざした人間に言い返そうとしている餓鬼だった。
「…………へ、びさ……」
その目に涙を浮かべ、閉じようとした時、隣から神気が迸る。
本来の姿に戻った蛇神に、村人の視線が集中した。
「ば、化け物だぁ~!!」
「に、逃げろ!」
「食われるぞ!!」
逃げ惑う人間に構うことなく蛇神は、餓鬼の元に走った。
「逃がすかよ」
俺は、村人を捉えるよう子分に指示を出した。すると腹の辺りから、沢山の蜘蛛が一気に散った。
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