捨てられた少女は、神々に愛される

紫宛

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第1章 蛇神と少女と蜘蛛神

死ぬ?(R15)

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村の入口付近で蜘蛛様は私を下ろしました。

「お前、名は?」
「?ありません」
「は?ねぇわけねぇだろ」
「今よりもっと小さき時に、あげてしまったので」
「ふーん、まぁいいわ。じゃあな」
「蜘蛛神様、ありがとうございました」

私は村の中に戻りました。
待っていたのは地獄のような時間でした。



「おい!名無しが戻って来たぞ!」
「なに?!!」
「化け物に食われたんじゃなかったのか!!?」

驚いた顔をして、私を見る村の人達。
頭に巻いた布を見て顔を顰め、村長さんを呼びに走っていった。

駆け寄ってきた村長さんは、化け物を見るような目で私を見てきた。

「あの、村長さん」
「儂を呼ぶな!化け物が!」
「なっ!なんで生きてるんだよっ!お前、死んだんじゃなかったのか!!?」

村の皆が私の事を化け物と呼ぶ。
私に石を投げた子達も、生きてるなんて思わなかったんだと思う。

でも、私の事は蛇神さまが助けてくれたから

「あのね、神様が、助けてくれたの」

と、正直に言ったのに信じて貰えなかった。
それどころか、嘘つきと呼ばれ、生きてるはずがないって言われて……

みんな、目が怖いです

「殺しなさい。化け物が村にいるなんて知れたら、国から見放されてしまいますよ!」

村の神父様が大きな声で叫びました。

コ ロ セ?

なんで?どうして?
神様が助けてくれたのに!
どうして死なないといけないの?

助けて……!

「「逃がすな!殺せ!」」

村の人達が鎌や斧を持って追いかけて来る!
走っても直ぐに追い付かれて、髪を引っ張られて倒されて。

みんなの目がギラギラしてて怖くてっ

振り下ろされる鎌に目を閉じた。


でも、肩に走った激痛に目を開けると、村の人が下ろした鎌が肩に刺さっていた。

「うぅ」

鎌を引き抜き再び下ろすと、私の体は真っ赤に染まっていった。

「殺しなさい。神は化け物を許しません。
殺しなさい。神は、化け物を退治した貴方達を認め、助けて下さるでしょう」

違う!違う!
神様は、私を殺さなくても、何時でも助けてくれる!人間を嫌ってはいても!蜘蛛様も、人間が嫌いそうなのに、送ってくれた!

「ち、がう!かみさまは……!」
「まだ話せるのですか…」
「早く殺せ!化け物は、仲間を呼ぶぞ!」
「そうです、殺しなさい」

鎌がお腹に刺さる。
鎌が腕を切り付ける。
鎌が……

「…………へ、びさ……」

意識が保てず、死を覚悟した。
あの時、覚悟した死は蛇さんが助けてくれた。でも、今回は誰も助けてくれない。

私は蛇様に何も言わず出てきたし、蜘蛛様も緑の蛇さんも私を嫌ってる。
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