【完結】うさぎの精霊さんに選ばれたのは、姉の私でした。

紫宛

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オマケ

伯爵夫妻(夫人目線) 注R15

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残虐なシーンがあります。
苦手な方はご遠慮願います(*ᴗˬᴗ)⁾


─────

「嘘よ……こんなの…何かの間違いだわ」

伯爵夫人アンジェラは、鉄格子がはめられた囚人用の馬車の中つぶやいた。

選定終了の前日に王城に呼び出され、向かった先で言い渡された事は……

『──の罪状により、グリゴッツ監獄へ収監とす。連れて行け!』

だった……

「なんで私が、こんな目に……」

あの人とは別の馬車だし……私が何したって言うのよ…っ!

ちょっとお金が必要になって、友人から借りた宝石を売っただけじゃないっ
確かに、借りた事は言わなかったけど……それの何がいけないのよっ!みんなやってるじゃない、私だけじゃないわっ

王様に頼んでもお金くれないから、お金くれる人に情報を渡したのの何がいけないの?!
重要な情報じゃないわっ!

だいたいっ

あの子を叩いたのだって、躾だって言ったのにっ!

私はっ!

あの子だって、愛してたわっ!
そりゃあ、メルちゃんよりも出来が悪くてイライラさせられる事もあったけど……それでも、私なりに愛してたつもりよっ!

愛してたからこそ、教育に熱が入ってキツくなっただけじゃないっ!
それなのに、虐待だなんて……ひどいわっ!


アンジェラ夫人は、泣きながら壁を叩き無実だと訴え続けた。

盗んだわけじゃない、少し借りただけだと
漏洩したつもりはない、ただお金が欲しかっただけと
虐待じゃない、愛するが故の躾だと

それの何が悪いのと、彼女は、本気でそう思っていた。

「それに、何よ…薬って……そんなの…知らないわよっ」

当然だ…薬の件は、夫人は関わってないのだから……

段々と道が荒れて、馬車がガタガタと揺れ始めた。その所為で、座っていられず床を転がった。足と、手は後ろに縛られているから体勢を立て直すことも出来なかった。

「お願い……だれか、助けて……」

私は何も悪くない……わるくないわ……
ウォルター……だれか……




いつの間にか寝ていたらしく、私は格子がはめられた牢の中にいた。

綺麗なベッドは無く、あるのは汚いベッドと質素な布……
トイレは汚くお風呂はない、劣悪な環境……

「あなた……」
「!、アンジェラっ?!」

私の呟きに答える声があった…その声は、私が待ち望んだもので…最愛の人の声……!

「あなた?あなたなの?!」
「やはり、アンジェラか!!?」
「あぁ、あなたっ!どうして……私たちが……」
「大丈夫だっ!アンジェラ、よく聞きなさい」

あの人は、言ったの。
私達は間違ってなんかないって、だから助けが必ず来るってっ。助かる道があるって……ここから出ることが出来る……って。

だから信じて任せることにしたの。


それから数日は、最悪な日々だったわ。

ご飯は1日一食しか出ないし、量だってスープ1杯に……汚いトイレ……身体も髪も洗えない。

毎日毎日行われる、看守達による暴行……殴られ地に倒れても止まらない。それどころか、蹴り転がされ踏みつけられ、骨が折れても繰り返される。

そして何よりも、あちこちから聞こえる不気味な叫び声……

『あそこに入ったら二度と帰れないって』『何かに食われたって話も聞くわよ?!』

あの日、陛下に収監されるって言われた時に貴族たちが言っていた言葉を思い出す……

「あ……あなた…いる?」
「どうした?」
「お、恐ろしくて……」
「大丈夫だ……」

あの人が何を考えているのか分からなかったけれど、私達は夫婦ですもの……きっと、助けてくれるわ。

アンジェラは、本気でウォルターが助けてくれると信じていた。

しかし、彼は妻を愛す男ではない。
ウォルターは、妻を利用し自分だけ助かるつもりだった……。


その日の夜、ウォルターの元にフードを目深に被った怪しい男が訪れたあと、私の元にも来たわ。

私の手に変な薬を乗せて、なんの説明もなく去っていったわ。

「ウォルター…これ、何の薬……?」

薬を見て怖くなったアンジェラは、ウォルターに問いかけた…

国王陛下が言っていた罪状のひとつを思い出したから……

「心配はいらない、一時的に仮死状態になる薬だ」
「え?」
「死んだように見せ掛けるんだ」
「で、でも、大丈夫なの?生き返らなかったら……」

薬を持った手が震える。

「私も飲むから、大丈夫だ」

そう言って、鉄格子の間から手を出した。その手には、私の持ってるのと同じ薬が乗せられていた。

「いいか?飲むのは夜中だ……あまり早く飲むと、蘇生も早くなる」

ウォルターは、信じて欲しいと言ったの……だから信じた……信じたのに…




次の日の夜、残しておいた水と隠しておいた薬を手に、私はウォルターの言葉を信じて薬を飲みました。

これで、この地獄から抜け出せる、私はまた豪華で贅沢な暮らしが出来るのよ!

覚えてなさいっ、セラフィっ!
アンタは私の娘っ!今度の躾はあんなものじゃ済まさないからっ!

汚いコップと濁った水で薬を飲み干した。

「これで……ウォ、る」
「馬鹿な女だ。さぁ、バルセス。約束を果たせ」
「ええ、勿論ですよ」

隣の独房から、ガチャりという鍵が開く音が響いた。ウォルターは、昨日訪れた怪しい男と共に牢を離れていった。

この後に待ち受ける本当の地獄に、彼はまだ気付いていなかった。バルセスが彼を生かす気など毛頭無いことに彼は全く気付かなかったのだ。

次の日の朝、夫人はベッドの上で目覚めた。
いつもの独房ではない場所での目覚め……

恐怖した

そこで見たのは、ナイフを片手に私の体を見つめる男がいたからだ。

「あ、あ、いや、なに……どういう、こ、と?」

逃げたいのに、逃げられない。
手も足も、頭も腰も全てを固定され、全く身動きが出来なかったのだ……。

「おい、女が起きたぞ。死んでるんじゃなかったのか?」
「さっき確認した時は、呼吸も心臓も止まってたぜ?」
「い、いやっ」
「……じゃ、死んでるんだな?」
「あぁ、死んでる」

何言ってるのよ!
あんた達の目は節穴なの!?

「馬鹿言わないで!生きてるわよ!」
「じゃ、さっさと解剖するか」
「あぁ、臓器は新鮮なうちにな」

男達はニヤニヤと笑い、私の体にナイフを突き刺した。

「ぎゃあぁぁぁ!」
「肺、肝臓、腎臓」

痛い痛い痛い痛いぃ~!!
止めてっ!やめてぇっ!

「ああぁあぁあああぁああぁああぁあぁ」
「次は眼球か?」
「あぁ、傷つけるなよ?大事な商品何だから」
「分かってるって」

グリゴッツ監獄は、国に反旗をひるがえしたものが収監される施設。国が許可した闇の組織……ここの看守たちは、彼らがどうなろうが決して関与しなかった。

「いぎゃああぁ」
「おい、頭抑えてくれっ」
「はいよっ!」

ああ、いやぁ、助けてぇ
なんでぇ!?わたしがぁ!こんなめにぃ!

「ああぁあぁあああぁああぁああぁあぁあぁああぁぁああぁあぁあ」

うぉるたぁぁあ!

肺、肝臓、腎臓と取り出され、眼球をくり抜かれアンジェラは、もう叫ぶ力を無くしていた。

「おっ、静かになったな。最後は心臓か?」
「まだ動いてるな、今回は高値で売れそうだ」

男達は、心臓を取り出して動かなくなったその体をに送った……


こうして死んだ人間は、自殺として処理され国に報告された。


~完~
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