【完結】うさぎの精霊さんに選ばれたのは、姉の私でした。

紫宛

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本編

第15話

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「ノクトール……」
『うっ……ですがっあるじ!アイツらは遠慮というものを知らないんですっ!私が主を守らないとっ』

ノクトールは短い前足をトラさんに向けて殴るように動かし、後ろ足で蹴るような動きをしました。

でもトラさんは、そんなノクトールを見て鼻で笑いました。

『ふっ、届いてないぜ?月の精霊王殿』
『ぅ……主ぃ』

トラさんに睨まれたノクトールは、私の足に抱き着き擦り寄り、上目遣いで抱き上げるように催促する。

多分だけど……

トラさんは精霊妃様だから、精霊であるノクトールの方が身分は上なんだと思いますが……何というか…こんな風に言い合える関係って素敵です…

『全く、お前は相変わらずだな。だが、次代をからかうな…すまなかったな』

カイリオさんは、前足をトラさんの頭に乗せて無理やり下げさせました。

『悪かったって!だから、手どけろっ……ぐぅ……』
「ノクトール、ね?許してあげて」
『主が言うなら仕方ありませんね…』

そう言ってノクトールは、飛び下りると「えっへん」という感じに手を腰に当てて胸を張った。

ノクトールが許したことで、カイリオさんはトラさんの頭から足を退かした。




私達は一緒にサロンまで行って、サロンに行ったら、ネリア様とセル様がいて、皆でご飯を食べました。

お昼は、噴水広場まで来ました。

凄いんですっ!お城のお庭は広いんですっ
前に来た時に全部は回れなかったので知らなかったですが、噴水広場には大きな噴水と小さな噴水が沢山ある場所なんだそうです。

この前きた庭の奥に位置してるそうです。

「大丈夫ですか?セラ様、疲れてませんか?」
「大丈夫ですっ」
「寧ろ僕が疲れたんだけど……はぁ」

一人で行こう通ったんだけど、ネリア様が絶対ダメって言って、アレク様とセル様が一緒に来てくれました。


コーネリアが反対した理由は、メルフィがまた現れて難癖つけても問題ないようにという配慮だった。
セルジュは気が弱い所があるが、頭は切れる…争い事は苦手だが、守るべき時は自分の持つ知識を使って必ず力になる勇敢さも持っていた。

基本は発揮されないが……

噴水広場の名物、大噴水がある所まで歩いていると、セル様が思い出したように精霊妃ラスティ様に問いかけた。

「そう言えば、水の精霊妃様もまだ目覚めてないみたいだけど……あの方は本当に目覚めるんですか?」

どういう意味なんだろう?
必ず目覚めるんじゃないのかな?

「あぁ、前の選定の時も確か……目覚めなかったんだったか?」
「あの時は、炎の精霊妃の選定でしたけど…」
『……目覚めない可能性が高いのは事実です……人嫌いですから』

ラスティ様がチラッと私に視線を向けた。

「?」
『まぁ今回は、目覚めるのでは無いですか…』
『おう、きっと目覚めるぞ!セラフィがいれば、確実だなっ』
「??」

セラフィは、なぜ自分がいると確実に目覚めるのか分からなかったが、水の精霊妃にも会えるかもしれないと知り、嬉しくなっていた。

「見えてきたよ」
「えっ?……わぁ!」

セラフィは、瞳を輝かせ広場の中央に位置する大噴水まで駆けていった。
後ろに控えていた、ジークとフェリクスもセラフィを追って駆けていく。

大噴水の手前で、小石に躓いたセラフィはその勢いのまま噴水に突っ込んだ。
ジークとフェリクスが手を伸ばすも、間に合わず……セラフィは噴水に落ちた。

「わぁ!セラ様!大丈夫ですか!?」
「セラ様っ!!」
「大丈夫ですぅ~」

私は、噴水から顔を出して縁に手をかけるとセル様とアレク様がいて手を貸してくれました。

(うぅ、恥ずかしぃ…)

フェリクスさんとジークさんが、どこからかタオルを出して頭から順に拭いてくれました。

「大丈夫ですか?」

すると、噴水の反対側から私と同じ位の少女が顔を出した。

この方は……

ティーネ様……だった気がします。
同じ位の歳の子だったから、覚えています。

「大丈夫です、驚かしてごめんなさい」
「いいえ、タオル足りますか?」

彼女の傍らには濃い青と水色が混ざったような卵があった……

「あ……」
「あの……」

タオルを持ったティーネ様の視線が下に落ちた……すごく落ち込んでるみたい。

「セラ様、聞いてもいいですか?どうやって、精霊様を孵したのでしょうか?」
「……え?」
「もう、5日目になるのに、私には素質がなかったのでしょうか……やはり、平民の私では…」

ティーネ様は、精霊が孵らない事を気にしてるみたいだった……
でも、アレク様たちに聞いた話だと……人嫌いだって…じゃあ、この方の素質の問題じゃないような……?

でも……確か……
『セラフィがいれば……』って、カイリオさんが…

「あの、精霊様の卵触れてもいいですか?」
「え?あ、はい」

そう言って彼女は卵を手に取り私に差し出してくれました。
私は彼女の手に自分の手を添えて、精霊の卵さんが孵る様に祈った。

すると……

淡い水色と青い光と……噴水の水が辺りに舞った…そして生まれたのは……

……

「?」

青く綺麗な曲線の美しい……?

「あの動物はなんて言うんですか?」
「セラ様、イルカと言うのですよ」
「イルカさん!?」
「海にいる動物だよ」

『……グランディネよ』
「…グランディネ様、よろしくお願いします」
『……よろしくはしないわ、これっきりだから。人間は嫌いよ、嘘つくから』
「…………」
『それより、セラフィの気配がしたのだけど…どこ?』

イルカさんは、私を見つけると空中を泳いで私の所まで来た。

『貴方がセラちゃんね』

セラちゃん……どこか懐かしい呼び方、昔誰かにそう呼ばれてたような……?

『人間は嫌いだけど、セラちゃんは別よ』

グランディネ様はそう言うと空中でクルっと回りました。




────

登場人物は、これで全員揃いました(*ᴗˬᴗ)⁾
沢山いて混乱させてしまい、すみません……
あと少しでクライマックスです。
最後まで、よろしくお願いします。
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