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本編
第13話
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「あ……」
ネリア様に抱き締められ、アレクシス様やセルジュ様が頭や背中を撫でてくれる。暫くの間、私はネリス様の胸で泣き続けました。
・
・
・
いつの間にか、涙は落ち着いてきて私は恥ずかしくなってきました。もう14歳なのに、子供のように泣きじゃくるなんて……
泣きはらした目は、侍女の方が冷たく濡れたタオルを持ってきてくれて、私の代わりにネリア様が目元に当てて下さいました。
「これから俺の事は、アレクと呼んでくれて構わない」
「アレク様……ですか?」
「呼び捨てて構わないんだが……」
でも、私よりも身分が高いですから、無理ですよっ!!
セラフィは、未だ信じられずにいた……
自分が精霊妃だと言われたこと。
ここにいる全員が友達だということ。
伯爵様やメルフィから……守ってくれること。
でも、ネリア様達は嘘つかない、それは分かるから……自分のことを信じられなくても、ネリア様や皆さんの優しい言葉は信じられるから。
「僕の事もセルジュでも、セルでも好きに呼んでくれていいよ」
「はい、セル様」
セラフィは、今まで誰にも見せたことの無い優しげな微笑みを皆に向けた。
ネリア達はセラフィの微笑みに驚いた顔をして、次の瞬間には頬を真っ赤に染め顔を背けた。
「セラ様の微笑み……初めて見ましたわ」
コーネリアの呟きに、アレクシスもセルジュも首が取れる勢いで頷いた。
まだ若い彼らは、耳まで真っ赤に染めていた。
それを見たセラフィは、急に不安になった。
もしかしたら、私の笑顔は気味が悪いのかも…と。
本当はお世辞と言うもので本心では無いのかも…と。
「ごめんなさい、私の笑みは気持ち悪かった……ですか……」
消え入りそうな彼女の呟きに、コーネリア達はなぜそんな事を言うのか理解出来なかった。
「私は、話してはダメなんです
私は、顔を上げてはダメなんです
私は、笑ってはダメなんです
そう、言われた事があるんです。メルフィ達に……
私の笑みは、気味が悪いと。
私の顔は、不細工だからと。
私の声は、耳障りだからと……」
「えー!絶対そんな事ないわ!だって、とっても素敵な笑顔でしたわよ?」
「うん、全然耳障りじゃないし」
「俺には女の美醜は分からんが、不細工とは思わんな」
「良かった!」
ネリア様たちの顔を見れば分かる。お世辞なんかじゃないと、でも……それでも、確認したくなる時がある。
大丈夫だよ、と
気味悪くないよ、と
そう言って欲しくなる時がある。
その時、視界の隅に白く点滅する何かを見た。
「……あれ?」
「どうしたの?」
「セル様の卵さん、パチパチしてるよ」
「え?」
セルジュが振り向き、籠に入れていた卵を抱き上げた途端、卵に小さな裂け目が入った。
みんなが卵に集中する中、出てきたのは白に緑と黄色が入ったような綺麗な蛇さんだった。
『貴方様が、私の担当のセルジュ様ですね、私はラスティ。あと数日の付き合いですが、よろしく』
「……ラスティ様ですか…」
『何かご不満でも?』
「いえ、ありませんっ!」
『ならば、良いのです』
セルジュ様とラスティ様が会話をしてる間に、ネリス様とアレク様がラスティ様について教えて下さいました。
ラスティ様は、大地の精霊王フェルゼン様の精霊妃様なのだそうです。
男性ですが、中性的な姿をしているそうです。「中性的な姿ってなんですか?」と聞いたら、男性だけど女性的な雰囲気を合わせ持っている方を指すんだって。
立場は学者様で、大地の地層の研究をなさってる方なのだそうです。地震や噴火と言った自然災害から、人々を守る為の研究だって言ってました。価値観が人と違うため行動や言動が想像出来ず驚かされる事も多々あるそうです。
『……』
そのラスティ様が何故か、私を見てきます。
「……」
何か、気になる事でもあるのでしょうか……
見られてると、落ち着きませんっ
「……あの」
『貴方は、セラフィ様ですか?』
声をかけようとしたら、ラスティ様の方が先に声をかけてきました。
「はい?そうですけど……」
『そうですか……ふむ』
ラスティ様はセルジュ様の手から飛び降り、スルスルと地面を移動し私の足を伝って肩まで上がってきました。
落としたらいけないと思って息一つ、身動き一つ出来ないでいると……
『おいっ!ラスティ!そこは私の場所だっ!降りろっ!』
ノクトールも反対の肩に乗ってきて……あっ、精霊様は乗ってても重くないんです。
実際には乗っかって無いそうです。自身の力で少し浮かしていると前にノクトールに聞きました。
私の肩の上で、うさぎさんとへびさんが睨み合っています。二人の間に、火花が飛んでるような気がしますっ!
でも、見た目が動物さんたちなので、怒っていても睨んでいても怖くありません。
寧ろ、可愛いです。
『……少しも我慢出来ないのですか?ノクトール様は』
『出来ぬ!お前達は油断ならぬのだっ!』
『全く、大人気ないわよノクトール』
『お前にだけは言われたくないな!』
コーネリアは、2日目の出来事を思い出し小さく笑った。あの時は、レーヴェがノクトール様を蹴り飛ばしていたなと。
『あなたが、フェルが救いたいと言った子ですね。私はラスティ、よろしくお願いしますねセラフィさん』
「あ、はい、よろしくお願いします」
こうして、セラフィはノクトールだけじゃなく、レーヴェ、カイリオ、ラスティを味方につけていた。
これから更に、セラフィは多くの精霊妃と出会い、親交を深めていく事になる。
そして、精霊妃との出会いを重ねて行くことで、自分を取り戻し笑顔を増やして行く事になるのだった。
ネリア様に抱き締められ、アレクシス様やセルジュ様が頭や背中を撫でてくれる。暫くの間、私はネリス様の胸で泣き続けました。
・
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いつの間にか、涙は落ち着いてきて私は恥ずかしくなってきました。もう14歳なのに、子供のように泣きじゃくるなんて……
泣きはらした目は、侍女の方が冷たく濡れたタオルを持ってきてくれて、私の代わりにネリア様が目元に当てて下さいました。
「これから俺の事は、アレクと呼んでくれて構わない」
「アレク様……ですか?」
「呼び捨てて構わないんだが……」
でも、私よりも身分が高いですから、無理ですよっ!!
セラフィは、未だ信じられずにいた……
自分が精霊妃だと言われたこと。
ここにいる全員が友達だということ。
伯爵様やメルフィから……守ってくれること。
でも、ネリア様達は嘘つかない、それは分かるから……自分のことを信じられなくても、ネリア様や皆さんの優しい言葉は信じられるから。
「僕の事もセルジュでも、セルでも好きに呼んでくれていいよ」
「はい、セル様」
セラフィは、今まで誰にも見せたことの無い優しげな微笑みを皆に向けた。
ネリア達はセラフィの微笑みに驚いた顔をして、次の瞬間には頬を真っ赤に染め顔を背けた。
「セラ様の微笑み……初めて見ましたわ」
コーネリアの呟きに、アレクシスもセルジュも首が取れる勢いで頷いた。
まだ若い彼らは、耳まで真っ赤に染めていた。
それを見たセラフィは、急に不安になった。
もしかしたら、私の笑顔は気味が悪いのかも…と。
本当はお世辞と言うもので本心では無いのかも…と。
「ごめんなさい、私の笑みは気持ち悪かった……ですか……」
消え入りそうな彼女の呟きに、コーネリア達はなぜそんな事を言うのか理解出来なかった。
「私は、話してはダメなんです
私は、顔を上げてはダメなんです
私は、笑ってはダメなんです
そう、言われた事があるんです。メルフィ達に……
私の笑みは、気味が悪いと。
私の顔は、不細工だからと。
私の声は、耳障りだからと……」
「えー!絶対そんな事ないわ!だって、とっても素敵な笑顔でしたわよ?」
「うん、全然耳障りじゃないし」
「俺には女の美醜は分からんが、不細工とは思わんな」
「良かった!」
ネリア様たちの顔を見れば分かる。お世辞なんかじゃないと、でも……それでも、確認したくなる時がある。
大丈夫だよ、と
気味悪くないよ、と
そう言って欲しくなる時がある。
その時、視界の隅に白く点滅する何かを見た。
「……あれ?」
「どうしたの?」
「セル様の卵さん、パチパチしてるよ」
「え?」
セルジュが振り向き、籠に入れていた卵を抱き上げた途端、卵に小さな裂け目が入った。
みんなが卵に集中する中、出てきたのは白に緑と黄色が入ったような綺麗な蛇さんだった。
『貴方様が、私の担当のセルジュ様ですね、私はラスティ。あと数日の付き合いですが、よろしく』
「……ラスティ様ですか…」
『何かご不満でも?』
「いえ、ありませんっ!」
『ならば、良いのです』
セルジュ様とラスティ様が会話をしてる間に、ネリス様とアレク様がラスティ様について教えて下さいました。
ラスティ様は、大地の精霊王フェルゼン様の精霊妃様なのだそうです。
男性ですが、中性的な姿をしているそうです。「中性的な姿ってなんですか?」と聞いたら、男性だけど女性的な雰囲気を合わせ持っている方を指すんだって。
立場は学者様で、大地の地層の研究をなさってる方なのだそうです。地震や噴火と言った自然災害から、人々を守る為の研究だって言ってました。価値観が人と違うため行動や言動が想像出来ず驚かされる事も多々あるそうです。
『……』
そのラスティ様が何故か、私を見てきます。
「……」
何か、気になる事でもあるのでしょうか……
見られてると、落ち着きませんっ
「……あの」
『貴方は、セラフィ様ですか?』
声をかけようとしたら、ラスティ様の方が先に声をかけてきました。
「はい?そうですけど……」
『そうですか……ふむ』
ラスティ様はセルジュ様の手から飛び降り、スルスルと地面を移動し私の足を伝って肩まで上がってきました。
落としたらいけないと思って息一つ、身動き一つ出来ないでいると……
『おいっ!ラスティ!そこは私の場所だっ!降りろっ!』
ノクトールも反対の肩に乗ってきて……あっ、精霊様は乗ってても重くないんです。
実際には乗っかって無いそうです。自身の力で少し浮かしていると前にノクトールに聞きました。
私の肩の上で、うさぎさんとへびさんが睨み合っています。二人の間に、火花が飛んでるような気がしますっ!
でも、見た目が動物さんたちなので、怒っていても睨んでいても怖くありません。
寧ろ、可愛いです。
『……少しも我慢出来ないのですか?ノクトール様は』
『出来ぬ!お前達は油断ならぬのだっ!』
『全く、大人気ないわよノクトール』
『お前にだけは言われたくないな!』
コーネリアは、2日目の出来事を思い出し小さく笑った。あの時は、レーヴェがノクトール様を蹴り飛ばしていたなと。
『あなたが、フェルが救いたいと言った子ですね。私はラスティ、よろしくお願いしますねセラフィさん』
「あ、はい、よろしくお願いします」
こうして、セラフィはノクトールだけじゃなく、レーヴェ、カイリオ、ラスティを味方につけていた。
これから更に、セラフィは多くの精霊妃と出会い、親交を深めていく事になる。
そして、精霊妃との出会いを重ねて行くことで、自分を取り戻し笑顔を増やして行く事になるのだった。
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