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おまけ(新婚旅行①)
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長くなってしまったので、2話に分けました(ᴗ͈ˬᴗ͈⸝⸝)ご了承下さいませ。
─────
輝く太陽、青い空、煌めく海……
俺達は今……
隣国で豪華な船に乗っている。
何故か……と、問われれば、数日前に龍神王ハイルに言われたからだ。
『そう言えば、お主ら新婚旅行はせぬのか?』
先日盛大な結婚式を行い、無事に俺とニィナは夫婦になった。
今は参列してくれた周辺諸国へと、お礼状を書いている最中だ。参加出来ず祝いの品を送ってくれた国へのお礼状も含め、ニィナと二人で分担しているためそれほど忙しくなく談笑していたが……
急に、ニィナと契約している龍神王ハイルが問いかけて来た。
「新婚……旅行ですか?」
『うむ、結婚したら旅行すると聞き及んでおるが……』
違うのか?と俺に視線で聞いてくる。
確かに、そういう風習がある国もある事にはあるが……俺の国には無いな。
チラッとニィナを盗み見ると、旅行という言葉に瞳を輝かせていた。
(旅行…、行きたそうだな)
「我が国にそう言っ……っ!」
余計な事を言いそうになったカラムの足を踏みつける。抗議の視線を感じたが無視し、ニィナと龍神王ハイルに視線を戻すと、二人は旅行に行くならどこに行きたいか話していた。
『ニィナは、行きたい所があるのか?』
「わたし、ですか?そうですね……海…を、見てみたいです」
海か……
となると、隣国か?
サブマリン国ならば確か……王家が船を所有していた筈だ…乗せて貰えないか交渉してみるか…。
「はぁ、私が交渉するんですかね?やはり」
「決まってるだろ?」
「分かりましたよ」
「え?」
一拍置いて、ニィナが俺を振り向いた。
「行くか、海」
「良いのですか!?」
「あぁ。直ぐには無理だが、準備はしておけ」
「はい!」
そうと決まれば急いで片付けましょう、とニィナはお礼状に向き直り、丁寧に書きあげていく。出席する事が叶わず、祝いの品を送ってくれた国には、お礼状と引き出物をセットにし部下に指示していくニィナ。
堂々と部下に指示するニィナは、既に王妃の貫禄が出てるな、と俺は思った。
仕事を終えたニィナを部屋に送り、俺はザインを連れて執務室に戻る事にした。
あの日から……ニィナの傍には、龍神王ハイルが用意した女性の龍神アイーシャが、人型と蛇型を使い分け常に護衛をしていた。
俺はザインをニィナの専属護衛にしたが、今回は大事な話があるため連れ出した。その代わり、兵士を1人ニィナの傍につけ離れた。
静かに扉が閉められ、執務室の中は俺とカラム、ザイン、それからもう1人、サンドリアの軍団長の1人サディークがいた。
「お前達に伝えたい事がある」
「……」
「ニィナの妹、セラフィーを牢屋から出した者を捕え尋問した結果……ある人物が黒幕にいる事が判明した。ただ、まだ証拠がない」
「その人物とは、貴方の……」
「そうだ。ルゥルゥ嬢だ」
ルゥルゥ嬢は、俺の嫁候補だったが……性格がキツイ上に嫉妬深く、平気で他者を傷付けるため候補から外した女だった。
ニィナが妹に襲われたのも、この女が関係している事は掴んでいる……が、物的証拠が何一つないのだ。
だから……今回の旅行で捕まえたかった。
物的証拠がないのなら、現行犯で捕まえるしかない。あの女なら、必ず行動に移すだろうから。
けど、ニィナには知られたくないし、危険な目にも合わせたくない。
何か……いい方法があれば良いんだがな。
気がつけば数日が経ち、旅行に行く前夜になっていた。
(まずいな……まだ、手立てが思いつかん。出発は明日だと言うのに……)
ベッドの端に座りワインを呷る。
『悩み事か?』
「っ?!」
急にかけられた声に驚いて、ワイングラスを落としそうになった。
「龍神王ハイル殿か……」
『ハイルと呼べばよい。お主はニィナの夫…我とも繋がっておる。故にお主の心の機微にも、気付いておるわ』
前々から思っていたが、本当に気さくだな。龍神王なのに、呼び捨てでもいいなどと……
しかも……気付かれていたとはな
『ニィナを襲った真の黒幕の事あろう?何を悩む』
「捕らえるには証拠が無いんだ。現行犯で捕らえようにも、ニィナを危険に晒したくはない」
『ふむ。旅行の行き先は海であったな?ならば我に考えがある』
「ハイル殿に?」
『海には、我の知り合いがおるのだ。海竜王アウスと言う。奴の力を借りれば、ニィナの分身を作り出せるゆえ。ニィナに気付かれること無く、危険に晒すことも無いであろう』
「本当ですか!?」
『うむ。だから、お主をも早く休むと良い。ニィナが、お主を心配しまだ休んでおらぬ』
は?
ハイル殿の言葉に時計に目をやると、長針の針が0時を過ぎたあたりだった……
まだ起きてるのか?!
『だいぶウトウトしていたからな、今頃はソファで寝てるやもしれぬが…』
「っ……!」
急いで俺たちの寝室に向かう。
自分の部屋とニィナの部屋の間に小部屋があり、小部屋の更に奥に夫婦の寝室がある。
ニィナが寝ている可能性を考えて、大きな音を立てないよう小部屋に続く扉を開けた。
小部屋の中は、テーブルとソファがあって、隅にチェストがあるだけの簡素な部屋だ。
その小部屋のソファに、ニィナは膝を抱え丸まって寝ていた。
足音をたてないように静かに近づく。
ニィナは熟睡しているのか、俺が近寄っても起きなかった。静かに彼女の背中と膝裏に手を入れて抱き上げ、寝室への扉を開けてベットに寝かせる。
俺も隣に横になると、近くにハイル殿が塒を巻くのが見えた。
(本当に常にそばにいるんだよな)
思い出すのは、初夜の時のこと。
✾✾✾
『……いつまで居るんだ…?龍神王ハイル殿……』
『いつまでとは?』
『今夜は初夜だ。分かってて言ってるだろう……』
『なんのことだか、我にはさっぱり分からぬな』
『くそ……』
このまま一進一退の攻防を続け、数時間引き離す事に成功したが……戻って来た時には、蛇の姿をしているというのに、ニヤニヤと笑い頭を左右に揺らしていた。
✾✾✾
翌日、ニィナと隣国に渡り船に乗ったのだ。
共は、ニィナの専属護衛ザインと、俺の専属護衛サディーク、他腕のたつ兵士数名。
ニィナや俺の世話をする使用人が数名。
その中に、あの女も居た。
髪や目の色を変えて、使用人に紛れ込む……ルゥルゥ嬢が……
あの程度の変装で俺が、俺達が惑わされると本当に思っているのだろうか。
だとしたら、愚かにも程がある。
セラフィーを隠れ蓑に、ニィナに危害を負わせたこと、俺は決して許しはしない。
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輝く太陽、青い空、煌めく海……
俺達は今……
隣国で豪華な船に乗っている。
何故か……と、問われれば、数日前に龍神王ハイルに言われたからだ。
『そう言えば、お主ら新婚旅行はせぬのか?』
先日盛大な結婚式を行い、無事に俺とニィナは夫婦になった。
今は参列してくれた周辺諸国へと、お礼状を書いている最中だ。参加出来ず祝いの品を送ってくれた国へのお礼状も含め、ニィナと二人で分担しているためそれほど忙しくなく談笑していたが……
急に、ニィナと契約している龍神王ハイルが問いかけて来た。
「新婚……旅行ですか?」
『うむ、結婚したら旅行すると聞き及んでおるが……』
違うのか?と俺に視線で聞いてくる。
確かに、そういう風習がある国もある事にはあるが……俺の国には無いな。
チラッとニィナを盗み見ると、旅行という言葉に瞳を輝かせていた。
(旅行…、行きたそうだな)
「我が国にそう言っ……っ!」
余計な事を言いそうになったカラムの足を踏みつける。抗議の視線を感じたが無視し、ニィナと龍神王ハイルに視線を戻すと、二人は旅行に行くならどこに行きたいか話していた。
『ニィナは、行きたい所があるのか?』
「わたし、ですか?そうですね……海…を、見てみたいです」
海か……
となると、隣国か?
サブマリン国ならば確か……王家が船を所有していた筈だ…乗せて貰えないか交渉してみるか…。
「はぁ、私が交渉するんですかね?やはり」
「決まってるだろ?」
「分かりましたよ」
「え?」
一拍置いて、ニィナが俺を振り向いた。
「行くか、海」
「良いのですか!?」
「あぁ。直ぐには無理だが、準備はしておけ」
「はい!」
そうと決まれば急いで片付けましょう、とニィナはお礼状に向き直り、丁寧に書きあげていく。出席する事が叶わず、祝いの品を送ってくれた国には、お礼状と引き出物をセットにし部下に指示していくニィナ。
堂々と部下に指示するニィナは、既に王妃の貫禄が出てるな、と俺は思った。
仕事を終えたニィナを部屋に送り、俺はザインを連れて執務室に戻る事にした。
あの日から……ニィナの傍には、龍神王ハイルが用意した女性の龍神アイーシャが、人型と蛇型を使い分け常に護衛をしていた。
俺はザインをニィナの専属護衛にしたが、今回は大事な話があるため連れ出した。その代わり、兵士を1人ニィナの傍につけ離れた。
静かに扉が閉められ、執務室の中は俺とカラム、ザイン、それからもう1人、サンドリアの軍団長の1人サディークがいた。
「お前達に伝えたい事がある」
「……」
「ニィナの妹、セラフィーを牢屋から出した者を捕え尋問した結果……ある人物が黒幕にいる事が判明した。ただ、まだ証拠がない」
「その人物とは、貴方の……」
「そうだ。ルゥルゥ嬢だ」
ルゥルゥ嬢は、俺の嫁候補だったが……性格がキツイ上に嫉妬深く、平気で他者を傷付けるため候補から外した女だった。
ニィナが妹に襲われたのも、この女が関係している事は掴んでいる……が、物的証拠が何一つないのだ。
だから……今回の旅行で捕まえたかった。
物的証拠がないのなら、現行犯で捕まえるしかない。あの女なら、必ず行動に移すだろうから。
けど、ニィナには知られたくないし、危険な目にも合わせたくない。
何か……いい方法があれば良いんだがな。
気がつけば数日が経ち、旅行に行く前夜になっていた。
(まずいな……まだ、手立てが思いつかん。出発は明日だと言うのに……)
ベッドの端に座りワインを呷る。
『悩み事か?』
「っ?!」
急にかけられた声に驚いて、ワイングラスを落としそうになった。
「龍神王ハイル殿か……」
『ハイルと呼べばよい。お主はニィナの夫…我とも繋がっておる。故にお主の心の機微にも、気付いておるわ』
前々から思っていたが、本当に気さくだな。龍神王なのに、呼び捨てでもいいなどと……
しかも……気付かれていたとはな
『ニィナを襲った真の黒幕の事あろう?何を悩む』
「捕らえるには証拠が無いんだ。現行犯で捕らえようにも、ニィナを危険に晒したくはない」
『ふむ。旅行の行き先は海であったな?ならば我に考えがある』
「ハイル殿に?」
『海には、我の知り合いがおるのだ。海竜王アウスと言う。奴の力を借りれば、ニィナの分身を作り出せるゆえ。ニィナに気付かれること無く、危険に晒すことも無いであろう』
「本当ですか!?」
『うむ。だから、お主をも早く休むと良い。ニィナが、お主を心配しまだ休んでおらぬ』
は?
ハイル殿の言葉に時計に目をやると、長針の針が0時を過ぎたあたりだった……
まだ起きてるのか?!
『だいぶウトウトしていたからな、今頃はソファで寝てるやもしれぬが…』
「っ……!」
急いで俺たちの寝室に向かう。
自分の部屋とニィナの部屋の間に小部屋があり、小部屋の更に奥に夫婦の寝室がある。
ニィナが寝ている可能性を考えて、大きな音を立てないよう小部屋に続く扉を開けた。
小部屋の中は、テーブルとソファがあって、隅にチェストがあるだけの簡素な部屋だ。
その小部屋のソファに、ニィナは膝を抱え丸まって寝ていた。
足音をたてないように静かに近づく。
ニィナは熟睡しているのか、俺が近寄っても起きなかった。静かに彼女の背中と膝裏に手を入れて抱き上げ、寝室への扉を開けてベットに寝かせる。
俺も隣に横になると、近くにハイル殿が塒を巻くのが見えた。
(本当に常にそばにいるんだよな)
思い出すのは、初夜の時のこと。
✾✾✾
『……いつまで居るんだ…?龍神王ハイル殿……』
『いつまでとは?』
『今夜は初夜だ。分かってて言ってるだろう……』
『なんのことだか、我にはさっぱり分からぬな』
『くそ……』
このまま一進一退の攻防を続け、数時間引き離す事に成功したが……戻って来た時には、蛇の姿をしているというのに、ニヤニヤと笑い頭を左右に揺らしていた。
✾✾✾
翌日、ニィナと隣国に渡り船に乗ったのだ。
共は、ニィナの専属護衛ザインと、俺の専属護衛サディーク、他腕のたつ兵士数名。
ニィナや俺の世話をする使用人が数名。
その中に、あの女も居た。
髪や目の色を変えて、使用人に紛れ込む……ルゥルゥ嬢が……
あの程度の変装で俺が、俺達が惑わされると本当に思っているのだろうか。
だとしたら、愚かにも程がある。
セラフィーを隠れ蓑に、ニィナに危害を負わせたこと、俺は決して許しはしない。
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