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第二部
98.NEW JOKER GAME 41 独りきりの戦場
しおりを挟むNEW JOKER GAME 41 独りきりの戦場
広い砂漠地帯。
しかし、砂漠と言っても少し熱く感じる程度の設定だ。
転送されてすぐに違和感に気付いて、視線を動かすとピエロの姿がそこにいた。ただ、アバターではなく、VRの中の映像で、所謂現実のホログラムなどの3D映像となんらかわりないそれを見つける。そして、それは口を開き、悪意を持って微笑んだ。
「やっと見つけた……ひ、ひひひひ!HAHAHAHAHAHAHAHAHA!!――はは……エージェント――ヤト!」
「……どうやら、ようやく俺というチーターの存在に気付いたか?ジョーカー」
バイト先でエージェントと呼ばれていたのは間違いなくて、俺は素直に肯定した。
「ああYATO……、愚かにも僕の前に立ちはだかる正義、お前のことを見つけたらどうしてやろうかと、毎日楽しみでしかたなかったよ~ヒヒ」
ジョーカーの顔に、さらに大きく引き裂かれたような笑みが刻まれる。
「今日は、お前の処刑を行うために色々と用意してきたんだ」
「……処刑」
「まず、システムでお前のストレージをロックする!」
コールと同時に【Lock】Item storageと表示され、実際にウィンドウを開くとアイテムの文字が暗く表示されていた。
「なるほど――」
「そして、ストレージの中で一番STRの低い武器を強制装備!」
ジョーカーがそう言うと、手元に見覚えのある武器が現れる。
「……コレは……物干し竿?」
ユニークアイテムのそれはマリシャの贈り物だ。
ストレージでスワーとして残っていたのではなく、大切にしていたから手持ちに置いておいたのだ、……忘れていたということはない。
「似合いの武器だなヤト――」
その言葉に俺は鼻で笑うと、手に持ったそれを右手で回しながら、左手に移動して床に片方を突く。
「正直こっちの方が性に合っている」
剣より棒、棒より槍、槍より素手が得意ということをジョーカーは知らない。
ジョーカーはそれを見て少し沈黙した。
「で、今日はお前と戦うのか――ジョーカー?」
挑発的に物干し竿をジョーカーに向けると、奴は腕を前に突き出し指を左右に振ると、チッチッチ――と言う。
「今日用意した舞台はコレだけでは終わらないぞ!ハイ!!」
指を鳴らした途端、無数のエフェクトがその場所に現れて、次々とプレイヤーを出現させる。
「ん?何コレ……味方がいるのか」
「沢山いるな――」
「どいつが日本人?」
それぞれに言いたいことを言うプレイヤーたちは、現状を理解していない様子。
「注~目!今からあの日本人チートプレイヤーを全員で処刑します!」
視線がジョーカーへ集まり、次に俺へと向く。
「殺します、日本人」
「クソ!ジャップ!!」
「死ね!小日本!」
おそらく集められたプレイヤーは日本人嫌いの外国人たち。
数は数えられないが、それはジョーカー自ら言う。
「総勢100名の敵だ、……せいぜい足掻いてくれよエージェント――いや、YATO――」
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