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第二部

85.

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 茶髪でチャラい風だが、社会人で常識人で楽観主義者の善人。

「わり~遅れちまったか?」

 ビージェイが右手を上げて近づいてくると、後ろからマリシャも現れる。

「ごめんねヤト、カイトちゃん、少し遅くなっちゃった~」

 2人の登場にカイトは、「え?どういうこと?」と疑問を浮かべる。

 ビージェイとマリシャを呼んだのは俺なのだが、カイトには教えていなかった。別段サプライズという訳でもない。

 不思議そうな顔で、「ねーねー何するの?ね~ヤト」と尋ねるカイトに言う。

「まぁ、もう1人来るまで待てよカイト」

 しばらくすると旅人風の姿のナナが現れて、「ごめんね、ギルメンとレベリングしてて遅れちゃった」と言う。

 全員が揃った所で、俺は咳払いして言う。

「えーこれから、純粋にこのBCOを遊んでみようと思って、皆にはここに集まってもらったんだが……」

 俺の言葉にビージェイは腕を組んで言う。

「ぶっちゃけ、命がかかってて楽しめるもんでもなかったからな~、ヤトの提案だし俺はいい機会だと思うぜ」

「思い出作りをしようってことなんでしょ?違うのヤト――」

 ナナの言葉に俺は頷く。

 今日ここに皆を集めた目的は、BCOでの思い出を作っておこうと思ったからだ。

 MALICIOUS GAMEの報酬で帰還できるのは約4000人。

 子どもと非戦闘員の合計が約1500人、非戦闘員以外の女性プレイヤーが約1000人、それだけで2500人になる。

 レベル30以下のその他プレイヤーが約4000人、この中からランダムに残りの人数が選別されるわけだが、正直それは希望論に過ぎない。

 ジョーカー側の企みで、実際には1人も帰還できない可能性だってありうることだ。

 逆に、当初の人数よりも多く帰還できることだってありえる。わざわざゲーム性のある物言いをしている以上は、ジョーカー側も何らかのプロットを描いてここまできているはずだ。

 ゆえに、絶望したり悲観したりするのは必ずしも必要とは言えない。

 ジョーカーたちの上にいるのが組織だとして、彼らの目的といえるものが何なのかは不明だが、〝プレイヤーを殺害する〟のが目的ではなく、他の目的の副産物が〝プレイヤーの死〟であるような気がする。

 これは俺の推測の域を出ないが――

「ねーヤト何をするんだい?」

 カイトの言葉に、俺は左手の操作でアイテムを出す。

 それは、先に騎士の姿を模った宝石が付いた杖。

「今からボスを召喚してこの4人で戦うんだ」

 俺の言葉にカイトは少し間を取って叫んだ。

「え~!!」

 それは、カイトにとって初めてのボス戦になる。
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