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第二部

71.

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 BCOオープン当日、すっかりこの世界に魅了されたナナは、この日あのピエロに会う。

 そして悟ってしまった。コレは忘れようとした自身への罰。

 そして誓った、このデスゲームをクリアすることを。7NANA7として生き抜くことを。

 ただ、刀と呼べる形のものは握れなくなってしまっていた。

 それに気付いたのは、BCOに囚われたその日。モンスターと対峙して、腰の刀の握りがどうしても引き抜けなかった。

 仕方なく短剣でモンスターと戦い、そして勝利した。

 ケージェイに会い、そこでヤトに会った。ヤトがあのYATOなのか知りたくて、すぐにフレンドになった。

 でも、実際に本物かどうかは名前だけでは分からず、一日中フレンドの画面を眺めていた。

 YATOはずっとエリアのフィールドにいて、それだけで彼が通常のプレイヤーでないことは分かっていた。

 第5エリアでチートボスが現れた瞬間、ヤトに助けを求めないといけない、そう思ったナナ。

 そして、ヤトが駆けつけた時、ナナは自身の間違いに気がついた。戦わなければいけなかったのは、自分自身だと。

 そうすれば、ヤトだって戦ってくれる、そう信じて駆け出した。

 それからこのBCOを攻略するために幻影の地平線に入ることになった。そして正月、ヤトがあのYATOではないと聞いた。

 どこかに期待があったのかもしれない、その日ホームへそのまま帰ったナナは少しだけ不安になってしまう。この世界から帰ることができないかもしれない、そんなことを考えるようになった。

 そして、ヤトがオーダーに呼ばれたと連絡がナナに入る。

 ヤトが無茶をする気がして、それは現実になり、第7エリアでヤトを発見した時。あの時の現象がなんだったのかナナは理解していない、が、ヤトの意識が入ってくる感覚。ヤトはあのYATOではなかったけど、それよりもっとずっと強い何かをナナはヤトに見た。

 どこまでも深い正義。
 純粋な悪意に対する敵意。
 世界を受け入れ現状を打開する意思。

 ヤトとならBCOをクリアできると思えた。

 しかし、同時にヤトの脆さにも気がついた。

 ヤトの唯一脆い部分を構成する要素は、おそらく正義の矛盾だとナナは思っていた。

 もしも1人にしたら、この世界で誰も知らない間に死んでしまいう。

 ナナにはそうなるような気がしていた。だから、ナナはカイトに話した。ヤトの危うさを、誰かが傍にいなければいけないという事を。それはナナでもいいし、あるいはカイト、マリシャでもいい。

 誰かがいれば簡単にその命を捨てない。いや、捨てられない。

 自身の過去をカイトに話したのは、知っていて欲しかったからだ。

 本当はヤトに話したかったが、彼はすでに色々背負いすぎていて、ナナは自身のことを背負わせる気にはなれなかった。

 あの時親友の傍にいられなかったナナには分かっていた。

 今、ヤトを1人にしてはいけないと。

 だからナナは走った、第9エリアのボスフィールドへ――
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