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カタストロフィ編

45話 御崎刀夜の解放と美衣香の爆弾発言!

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 御崎刀夜は異世界から帰還する時に、偶然にもレミュア・ティスレイの召喚に巻き込まれてしまった。

 騎士を召喚するための魔法陣と帰還するための魔法陣が重なり、聖騎士は騎士という部類に入るらしく御崎刀夜が召喚されてしまったらしい。

 そうして彼を召喚したレミュアは、その身の上事情を聞き周囲に知られれば騎士にしておくことができなくなると分かっていて寡黙の腕輪を契約後に付けさせた。

 周囲に事情を話せない御崎刀夜は、約ひと月半レミュアに大変うらやまけしからんことを強いられていた。童貞を捨てた彼は、俺たちよりも一歩早く大人の世界へと足を踏み込んでしまったのかもしれない。

 まったく、この世界は俺らで弄び過ぎだと思うんだけどさ、俺にしろ柚夏奈にしろ美衣香や心優や御崎にしろ。

「で、どうしてほしいんだ?御崎」
「俺は……帰りたいだけなんだ……」

 そんなこと言ったらもう彼女がきっと俺に言うわけだ、かわいそうだよってさ。

「……太一くん、それよりさ早く帰って姫様……女王様だった、女王様に無事な姿を見せてあげようよ」
「あれ、柚夏奈なら御崎を助けてって言うかと思っていたのに」

「……確かに御崎くんはかわいそうだけど……太一くんだって色々あって大変だったし、これ以上厄介なことに巻き込まれてほしくはないんだよ」

 あらあら柚夏奈さんてば、かなり過保護になっちゃってま~。

「それに気付いてるんだからね、太一くんずっとオープンになってるの」
「オープン?(まさか!社会の窓!)」

 即見したけどそこはちゃんと閉じられていて、俺は首を傾げて柚夏奈を見た。

「前まではムッツリなエッチな人だったけど、今はオープンなエッチな人になっちゃってるってことだよ」
「……はっ!(俺としたことが!いつの間にか柚夏奈にバレるほどに柚夏奈やペノーや美衣香や心優の胸をガン見していたのか!)」

「だって、ほら、今も私の胸揉んでるし……」

 俺は気が付いていなかった。いつの間にか、無意識に柚夏奈の胸を右手で揉んでいたことに。

「ごめん!いつのまに……御崎と話してる最中からか?」

 御崎は呆れた顔で、「最初から揉んでいたぞ」とその事実を教えてくれた。

「疲れてるんだよ、太一くんずっと大変だったから。ほら、ギュってしてあげるから」

 そう言って柚夏奈は俺の頭を自分の胸に抱き寄せた。

 すると、王宮から転移してミアにあってエンドに会って、ペノーと転移して殴られて不安で、いつの間にか心が疲弊していたことを分からされてしまった。

「……泣いていいんだよ、私は太一くんの奥さんなんだからね」
「……柚夏奈さん……少しだけ甘えさせてください」

 騎士服の俺がローブ姿の柚夏奈に慰められている様を見た御崎は、遠慮してしばらく席を外してくれた。

 柚夏奈に癒されて平常通りに戻った俺は、御崎の契約紋を消し去りレミュアから解放してあげた。もちろん彼女が抗議に来たけど、王が間に入ってくれたおかげで彼女を諦めさせることができた。

 色々と問題が解決して、魔王ルミアリスとの約束を守るため、俺たちは学院へと帰ることになるが、もちろんそこには美衣香と心優がいるわけで、御崎を連れて行くと少しだけ妙な雰囲気になってしまう。

「美衣香!心優!」

「刀夜!」
「御崎くん……なんで」

 そうなるだろうとは予想していたけど、この後の事を誰も予想できなかった。

「御崎くんは色々あってこの国に再召喚されたらしいの、本人の希望通り元の世界に帰るらしいので、ボーデミリアへの転移を私がお手伝いしてきます」

「柚夏奈ちゃん転移魔法使えるの?」
「勉強したので」

 柚夏奈がそう言うと美衣香は御崎に一言だけ言う。

「今度はちゃんと帰れるといいね刀夜」
「美衣香……あぁ、でもお前たち……勇者に」

 御崎としては勇者云々の解決を知らないから、二人のことを心配そうに聞く。すると、心優がそれを察してかつて告白された相手に対して事実を伝えた。

「勇者は太一が何とかしてくれたわ、だから御崎くんは気にしないで、今じゃ私もミイちゃんも太一のお嫁さんなんだから」

 その(仮)はついてるんですよ本当は。

「あの勇者を……本当なのか美衣香」
「ほら太一くん見て、ペノーちゃんに作ってもらったの」

 さっきから気になっていたんだ、エロイ格好をしていた美衣香の服がセーラー服に変わっていたから。

 それを俺に見せるためにクルッと回った美衣香だが、明らかに御崎を無視している様子だった。

 どうして彼女がそうしているのかは分からなくはないけど、それにしても美衣香は徹底している。

「……美衣香、勇者のことだが」
「太一くん柚夏奈ちゃん、夕食どうするの?私も一緒していいかな」

「……」
「美衣香、柚夏奈、今日はペノーが料理を作って待っているから夕食はそこでな。心優も御崎との話が済んだら来てくれ、それまでは待ってるから」

「うん、ありがとう太一」

 二人を一緒に置いて来てよかったのか、それは俺としては心配していたけど、それを察した柚夏奈が美衣香に聞いたのは彼女が天然っ娘だからできたことだ。

 柚夏奈はニコニコしている美衣香に、「どうして無視したの?」と問いかけた。

「刀夜のこと?」
「うん、美衣香ちゃん露骨に無視してたよね、私イジメかと思ったけどなんか意味があるかなって」

 イジメ=無視は柚夏奈の経験談かな……心配しちゃうな俺。

「刀夜のことはどうでもいいかなって、私が話したら心優はきっと刀夜と話さなかっただろうし、説明するためにあそこに残らなかったと思うんだ」
「だから二人が話しをするように無視してたんだ……美衣香ちゃん本当に心優ちゃんのこと好きなんだね」

「うん、太一くんより好きだよ……うそ、今のは盛り過ぎた、本当は太一くんの方が好き」
「そっか」

 柚夏奈さんなぜか嬉しそう……そして俺も嬉しい……は!まさか!これを言わせるために柚夏奈は美衣香に!

 俺がそんなことを考えていると、柚夏奈は俺に笑顔で一言呟いた。

「だってさ」
「……(その笑顔はズルいぜよ!)」

 久しぶりにとてつもなくカワイイ柚夏奈に思わず抱き付いた俺に、美衣香は瞬間的に俺に抱き付いて二人分の重量を非力な柚夏奈が支えられるはずもなく、芝生で埋め尽くされた学院の庭に倒れ込んだ。

 倒れた俺たちはクスクスと笑い声を漏らして、俺は左手で柚夏奈を右手で美衣香を抱き寄せた。

「俺さ、柚夏奈が好きだ」
「うん」

「美衣香も好きだ」
「うんうん」

「心優も好きでペノーも好きでユリ姫……ユリ女王の事も好きだ」

 欲張りなのは分かっている。でも、好きなものは好きなのだ。

「太一くんの好きにすればいいと思う」
「私も太一くんの好きにしていいと思う、私だって柚夏奈ちゃんやミユちゃんのこと好きだもん」

「その好きは俺の好きとは少し違う気がするけど」
「え!でも私ミユちゃんとも柚夏奈ちゃんともエッチなことできるよ!」

「……(ユリで3Pできます宣言、マジパネェな美衣香さん)」

 柚夏奈は笑顔で美衣香の発言に、「……私は無理だけどね」とボソっと呟いたのを俺は聞き逃さなかった。この場に心優がいたならばそれに賛同していたことだろうと思いつつ、俺たちはペノーの待つ俺たちが借りている学院内の建物へと向かった。
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