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カタストロフィ編
33話 時に女の子の会話は男よりエッチぃのである。
しおりを挟む俺がミアとデートもどきをしていた日、柚夏奈はペノーと美衣香と心優と女王になった姫ユリアーナメフィが付けた女人騎士が二人同行しての旅の途中だった。
柚夏奈は俺の法衣をペノーは俺に貰った自分が作ったポンチョ風法衣を着ていて、柚夏奈が着ていた法衣を心優が着ていて美衣香は何故かドエロイ格好をしていた。
ブラを付けずに肩と腕が露出したチューブトップ、それもヘソをがっつり出して胸の先の突起もよく目立つ灰色のそれを見に付けて、下は自身の学生服のスカートを身に着けていた。
「ミイちゃん露出し過ぎ、腕とか日焼けしちゃうよ?」
「大丈夫~太一くんに頼んで日焼け止めのアビリティを付けてもらっている服だし、汚れや破れることも気にしなくていいようにアビリティを付けてもらってるから」
「てか、そんな服持ってなかったよね?どうしたのそれ」
「ペノーちゃんに作ってもらったの~あの子器用だからね、太一くんにお願いしたら私の頭の中のイメージを元に作ってもらえたよ、ただ……カップは入ってないからちょっとエッチぃけど」
「乳首……おっきいからねミイちゃん」
美衣香と心優の会話は隣の部屋の柚夏奈とペノーにも聞こえている。
宿屋の壁は薄く防音対策など無いに等しい。ゆえに隣の隣の女騎士たちにも聞こえているし、向かいの旅人にも聞こえていた。
「ベアトップかぁ……胸が小さい頃はニクイくらいにしか思ってなかったけど、今なら着れるし……た、太一くんもカワイイって言ってくれるよね」
「太一くん?大好きって言ってたよ、私のこのベアト見て」
その美衣香の言葉に反応したのは隣の部屋の柚夏奈だった。
「ペノー!今の話本当!」
「はい!主はあのベアトップなる服を着た美衣香様を見て“やべ……エロすぎ”と漏らしてました!」
「わ……私にも作って!」
「で、ですが……主もおっしゃってましたが、柚夏奈さんが着たら暴力だって犯罪だって言ってましたが!」
「……だ、大丈夫!太一くんの前で着るだけだし、何なら寝間着にして太一くんに見てもらうし」
「……(本当は主に柚夏奈さんにもと頼まれていたんだけど、私的にあんなエッチな格好した柚夏奈さんを見たら主がもう興奮が止まらないだろうと思って伏せていたのに~!)で、できれば主の許可があれば……」
「太一くんなら許してくれるから大丈夫、だから作って」
む、無理矢理作らない方向に持って行こうと思ったのに、柚夏奈さんにあの暴力的な服を着させてしまうしか。
そう思うペノー、と隣の部屋から再び美衣香の声が聞こえて二人は聞き耳を立てた。
「そういえば、太一くん柚夏奈ちゃんやペノーちゃんにも着てもらいたいけど言えない服があるらしいよ」
「何その明らかに如何わしそうな服」
「いや、なんか普通だったよ。柚夏奈ちゃんにはワンピースで、ペノーちゃんには日本の子ども服だって、かなり普通でしょ?」
「……(いや、ペノーちゃんに子ども服って……ただの小学生になっちゃうけど)普通かな……どうなんだろう」
二人の会話を聞いた柚夏奈はすぐにペノーに、「ワンピース作って!」とねだる。
ワンピースならとペノーは反応するが、内心子ども服なるものが分からなくて柚夏奈にじっくり聞こうと旨に留めていた。
「そういえば、ミユはさ……帰っちゃうの?」
「帰っちゃうって、そりゃ太一くんを助けたら帰るでしょ」
「そうなんだ……私は正直太一くんと一緒にいられる方がいいかな、運命で結ばれているのは柚夏奈ちゃんだけじゃない、私もきっとそうだと思うからさ」
「へ~意外とぞっこんなのね」
「心優ちゃんはどうなのさ~どうして太一くんのいない世界に帰りたいの?やっぱりスマホとかゲームとか?」
「ん~だって帰らないとこの大きくなった胸を妹や部活の先輩に自慢できないじゃない」
「え?ドヤァ~ってするために帰りたいって言ってるの?マジ?」
「……いや、マジだけど……そんなに変かな?私的には太一くんよりもそっちが優先だけど」
「太一くんと離れて元の世界へ帰ったら胸が元に戻ってましたってなるとすればどうする?」
「考える間もなく太一くんといるけどね、やっぱり私にとってのアイデンティティは胸だから」
そう言い切る心優に美衣香は少しだけ呆れた笑顔で、「同類だね」と呟いた。
その言葉に心優は内心、あまり意味なく言っているんだろうな、と美衣香の中二病感を察していた。
そう、ゲーム派ラノベ派マンガ派アニメ派がある内、美衣香はラノベ派であり心優はゲーム派であるのだ。
そしてこの中ではアニメ派である柚夏奈は二人の話についてはいけないし、ペノーにしてみれば異次元的な会話でもある。
ここに俺がいれば懇切丁寧にかみ砕いて説明することもできるけど、何故か、いや主にミアの所為でいないから二人にその会話の意図も意味も理解させることができないままだった。
「とりあえず寝よ、明日はいよいよボーデミリア国でしょ?覇群だっけ、勇者みたいに規格外じゃないといいけど」
「太一くんより強いってなると……本当に私たちじゃ何もできないもんね」
不安、それがあるのは彼女たちが勇者という存在に自由を奪われかけたからだ。いや、むしろこの世界に召喚された時からだった。
「……そういえば、今日はしないでよ」
「え?何を」
「ミイちゃん夜な夜な厭らしい音させるからさ、最近」
「……(気付かれてないって思ってたのに!)てか、こっそり起きてたんだ……ミユちゃんってばひょっとして盗み聞きしていたの~」
心優は枕を投げつけると、「声がうるさくて起きたのよ!」と顔を赤らめて言う。
「そういえばさ、柚夏奈ちゃんって太一くんとはまだらしいんだけど、太一くんっていつ童貞捨てるのかな……私も一緒にいたいけど柚夏奈ちゃん許してくれるかな」
「はぁ?両想いの二人が初めてをする時に一緒にいたいって……正気なの?それに二人だって許可しないと思うけど」
「いやいや、女として好きな人が童貞捨てる時に一緒にいたいって想うでしょ?流れで一緒に抱いてくれるかもだし」
「そっちがメインでしょ!ただ抱いて欲しいだけなんだよこのエロ娘!」
「否定はしないわ!だって最初から分かってるもの、太一くんは柚夏奈ちゃんが好き、柚夏奈ちゃんも太一くんが好き、その前提があるからせめて二人の隣に傍にいて時間を共有して体験を共有したいの!まぁ~異世界だからそう思えるのもあるけど、だから柚夏奈ちゃんもこっちで太一くんとしてないんじゃない?」
「こっちでしちゃうとペノーちゃんとかシロちゃんとか、あのエルフの露出狂ともしそうだしね、ミイちゃんの気持ちは分からなくもないけど……やっぱり私は無理かな(いつかは抱いて欲しいけど、ミイちゃんの考えは寝取られみたいでキツイからな~)」
二人の会話を聞いていたペノーはチラリと隣のベットに視線を向ける。
「ん~太一くん……(大好き)」
「って!寝てるし~」
柚夏奈は太一の事を夢みながらいつの間にかその日は寝ていた。
対してペノーは美衣香がエッチなことをするのではと、こっそり起きて聞き耳を立てていたけど、その日は彼女もぐっすり眠っていて何の物音も立つことはなかった。
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