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領地視察編
受験勉強
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「カケル様! しっかり目を覚ましてください!」
次の日、カケルの部屋では午前9時から受験勉強が始まろうとしていた。
寝不足気味な僕は眠い目をこすりながら机の上に置いてある教材を見る。
「ねぇ、1つ聞いてもいい? ……まさかとは思うけどこれ全部覚えろとかではないよね?」
分かってはいるが、聞かずにはいられない。
「そのまさかです。これが10歳までに学ばなければいけないとされている教材です」
積み上げられた本は全部で8冊ある。それもなかなか厚みのある教材だ。
「これをあと4ヶ月で覚えて、その上優秀な成績を取らなきゃいけないのか」
「その通りです」
本気か? あの豚は3歳児がこんなことできると思ってるのか? まぁ実際僕は17歳だし、自分で言うのも恥ずかしいが全国トップクラスの成績を取っていたから本気を出せば何とかなるとは思う。それでもこの量はおかしいでしょ……。
そんな気持ちが表情に出てしまっていたのだろう、サイラが申し訳なさそうに詳しい説明をしてくれた。
「呆れる気持ちは分かりますが、やるしかありません……。本来この5冊を8歳までに、この3冊を10歳までに勉強するのが一般的です」
積み上げられた教材を分けながらいう。
「そして優秀かつ余裕のある子どもは魔法の習得もしています。親はそんな子どもの成長をみてどの学院に入学させるかを決めます。王都には学院がいくつかありますが、カケル様が受験するのは領主様がおっしゃっていました、王都一といわれるクリスセント学院です。」
やっぱりただのバカなんじゃないか……? 単純に3歳児の僕を信じているだけだったとしたらそれはそれでやばいけど、これが邪魔するための入学だというのはわかっている。
王都の学院に入学すれば数年は領地に戻ってこれない。どうやら学院は6年制らしいから僕が領地に戻るのは10歳になった時だ。この6年間僕が何もできなくなるのは誰でもわかる。
しかしこの入学の裏に隠された本当の意図がよくわからない。一体何を考えているのか、メリットはなんなのか。これだという答えが見つからない。父は近くにいたメイドに僕が不合格になった時は命がないと思えと言っていた。つまり不合格になった時はどんなことをしてくるかわからないってことだ。
「わかった。やろう。」
答えは一択、合格した方がいい。不合格になってどうなるかわからない未来より、合格して安全かつ力を蓄えられる方がいいに決まってる。
だから昨日考えた計画を入学する前に確実に終える必要がある。そうすれば僕が戻ってくるまではここの領民が死ぬことはないだろう。
「まずはこの教材の内容を確認したい。サイラざっとでいいから教えて」
「わかりました。」
サイラは教材を内容ごとに分けて説明をはじめた。
「この2冊が計算、この6冊が歴史となっています」
教材を手に取り、中身を見ていく。計算に関しては小学生の算数と同じレベルだ。ところどころ日本と計算方法が違うところがあるが問題なさそう。はい、2冊終わった。
歴史に関してはひどいとしか言えない。量ではなく内容が。クソみたいな歴史がまるで武勇伝だという風に、ずらずらと書かれている。そこに反省の言葉は見当たらない。
僕が元いた世界の人たちは今までの歴史から学び、反省し、改善を重ねて平和な世の中を築き上げてきた。
しかしこの世界の人族は何も学んでいない。反省もしていない。ただ己の欲望のために争い続けている。こんな歴史に意味などない。
だが、僕には必要な知識となる。何を変えればいいのか、この先どうしていけばみんなを救えるのか。それを考えるのにはこの歴史を知らなければいけない。
「とりあえず計算の2冊はもう大丈夫だから、この6冊を4ヶ月で覚えていこう」
「わかりました。それでは授業を始めます」
「よろしくお願いします」
そうして勉強を始めて3時間経ち、昼休みをとる。
まだほんの少しの時間しか勉強していないが分かったことがある。この世界の歴史はめちゃくちゃ内容が薄い。笑ってしまうほどに。どこぞの誰かの自慢話をかき集めたような、そんな感じ。
もっと重要な背景が見えるのかと思って集中していたが、途中からは聞く必要ある? って感じでボケーっとしていた。
日本で歴史を勉強している時は大体どこがテストに出そうか、どこが重要なのかわかったんだが、この歴史はどこが試験に出るのか全くわからない。
本気を出せばおそらく1週間も経たないうちに覚えられる。
よし、勉強やめよう。
余裕を持って受験の2週間前からやり始めることにして、それまで僕のやるべきことを進めることにしようかな。
昼休みが終わり、勉強が再び始まる。僕は日本でもよくやっていたように教材を机の上に立て、ちがう本を読む。みんなもやっているでしょ? そうです、内職です。
僕は授業が終わるのをそうやって時間を稼いで過ごした。
そして夕食を終え、部屋に戻った僕は昨日と同様ベッドの上で本を読みながら夜を明けるのであった。
次の日、カケルの部屋では午前9時から受験勉強が始まろうとしていた。
寝不足気味な僕は眠い目をこすりながら机の上に置いてある教材を見る。
「ねぇ、1つ聞いてもいい? ……まさかとは思うけどこれ全部覚えろとかではないよね?」
分かってはいるが、聞かずにはいられない。
「そのまさかです。これが10歳までに学ばなければいけないとされている教材です」
積み上げられた本は全部で8冊ある。それもなかなか厚みのある教材だ。
「これをあと4ヶ月で覚えて、その上優秀な成績を取らなきゃいけないのか」
「その通りです」
本気か? あの豚は3歳児がこんなことできると思ってるのか? まぁ実際僕は17歳だし、自分で言うのも恥ずかしいが全国トップクラスの成績を取っていたから本気を出せば何とかなるとは思う。それでもこの量はおかしいでしょ……。
そんな気持ちが表情に出てしまっていたのだろう、サイラが申し訳なさそうに詳しい説明をしてくれた。
「呆れる気持ちは分かりますが、やるしかありません……。本来この5冊を8歳までに、この3冊を10歳までに勉強するのが一般的です」
積み上げられた教材を分けながらいう。
「そして優秀かつ余裕のある子どもは魔法の習得もしています。親はそんな子どもの成長をみてどの学院に入学させるかを決めます。王都には学院がいくつかありますが、カケル様が受験するのは領主様がおっしゃっていました、王都一といわれるクリスセント学院です。」
やっぱりただのバカなんじゃないか……? 単純に3歳児の僕を信じているだけだったとしたらそれはそれでやばいけど、これが邪魔するための入学だというのはわかっている。
王都の学院に入学すれば数年は領地に戻ってこれない。どうやら学院は6年制らしいから僕が領地に戻るのは10歳になった時だ。この6年間僕が何もできなくなるのは誰でもわかる。
しかしこの入学の裏に隠された本当の意図がよくわからない。一体何を考えているのか、メリットはなんなのか。これだという答えが見つからない。父は近くにいたメイドに僕が不合格になった時は命がないと思えと言っていた。つまり不合格になった時はどんなことをしてくるかわからないってことだ。
「わかった。やろう。」
答えは一択、合格した方がいい。不合格になってどうなるかわからない未来より、合格して安全かつ力を蓄えられる方がいいに決まってる。
だから昨日考えた計画を入学する前に確実に終える必要がある。そうすれば僕が戻ってくるまではここの領民が死ぬことはないだろう。
「まずはこの教材の内容を確認したい。サイラざっとでいいから教えて」
「わかりました。」
サイラは教材を内容ごとに分けて説明をはじめた。
「この2冊が計算、この6冊が歴史となっています」
教材を手に取り、中身を見ていく。計算に関しては小学生の算数と同じレベルだ。ところどころ日本と計算方法が違うところがあるが問題なさそう。はい、2冊終わった。
歴史に関してはひどいとしか言えない。量ではなく内容が。クソみたいな歴史がまるで武勇伝だという風に、ずらずらと書かれている。そこに反省の言葉は見当たらない。
僕が元いた世界の人たちは今までの歴史から学び、反省し、改善を重ねて平和な世の中を築き上げてきた。
しかしこの世界の人族は何も学んでいない。反省もしていない。ただ己の欲望のために争い続けている。こんな歴史に意味などない。
だが、僕には必要な知識となる。何を変えればいいのか、この先どうしていけばみんなを救えるのか。それを考えるのにはこの歴史を知らなければいけない。
「とりあえず計算の2冊はもう大丈夫だから、この6冊を4ヶ月で覚えていこう」
「わかりました。それでは授業を始めます」
「よろしくお願いします」
そうして勉強を始めて3時間経ち、昼休みをとる。
まだほんの少しの時間しか勉強していないが分かったことがある。この世界の歴史はめちゃくちゃ内容が薄い。笑ってしまうほどに。どこぞの誰かの自慢話をかき集めたような、そんな感じ。
もっと重要な背景が見えるのかと思って集中していたが、途中からは聞く必要ある? って感じでボケーっとしていた。
日本で歴史を勉強している時は大体どこがテストに出そうか、どこが重要なのかわかったんだが、この歴史はどこが試験に出るのか全くわからない。
本気を出せばおそらく1週間も経たないうちに覚えられる。
よし、勉強やめよう。
余裕を持って受験の2週間前からやり始めることにして、それまで僕のやるべきことを進めることにしようかな。
昼休みが終わり、勉強が再び始まる。僕は日本でもよくやっていたように教材を机の上に立て、ちがう本を読む。みんなもやっているでしょ? そうです、内職です。
僕は授業が終わるのをそうやって時間を稼いで過ごした。
そして夕食を終え、部屋に戻った僕は昨日と同様ベッドの上で本を読みながら夜を明けるのであった。
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