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第三章 ミスティアとクロイツ ―ふたりの魔王討伐―
ミスティアのクーデターまでの六日間 その九 ~白に覆われた竜の巣~
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アルファは満足のいく呪文を書き終えると土竜の骨を切り出して数本の筒を作り出した。
器用なものだ、ちゃんと蓋もある。その筒に呪文の書をいれると数本サグルに渡した。
「これには殲滅系神域魔法:死の氷柱が入っています、中から取り出さなくても手にもって呪文を唱えれば発動します。巻物魔法と言ったところですかね?」
「ありがとう、助かるよ」
「私には?」
「ミスティアは魔力がないでしょ?」
「はぁ……私は仲間はずれか」
「ミスティアは偽勇者の剣・改Ⅱがあるんだし、いらないだろ」
サグルがそう言うので少し悔しかった私はずるい、ずるいと冗談で駄々をこねた。そんな駄々をこねる私を見て、アルファは偽勇者の剣・改Ⅱを取り上げると一気に分解した。
「ちょ、アルファさん?」
「使えるように改造してあげますよ」
そう言うと土竜の角を切り取り、それを削り出すといくつかのパーツを作り出した。そのパーツとアイテムボックスから取り出した部品とあの粉を剣に組み込むとちょうど筒をつけるスペースが出来上がった。
アルファはそこに筒を差し込むと私に渡してきた。
「これで同じ魔法がつかえますよ。一回だけですけどね、ただしそれ相応の魔力を使いますから中級魔法の残弾数は減りますから注意してくださいね」
「ありがとう! アルファはプロトタイプと言ってたけどスペック高くない?」
「試作品は量産品よりも多機能じゃなきゃいけないだそうです」
まあ、真奈美だろうけど、今は感謝ね。それにしてもアルファはなんとなくお兄さんって感じね。私に兄はいなかったから何気に甘えられてうれしい。まあ、ガリウスがお兄ちゃんぶってたけどね。
しかし、これはもうなんて呼んだら良いのかしら。改造され過ぎて形状も完全に違うし名前変えちゃおうかしら。と言っても私もガリウスと同じでセンスないのよね。
「軽量型偽勇者の剣・改Ⅱ強化型でいいわね」
「なんか強そうですね」
そう言うとアルファはプッと吹き出した。悪かったですねネーミングセンスなくて。
私はふてくされて土竜の骸骨を蹴った。揺れる骸骨を見ながら疑問が湧いた。
「アルファ、ここってもうドラゴン達のテリトリーなの?」
土竜が3匹も遭遇するような土地なら、完全にここはテリトリーだろうけど。地図で示されてる位置は山頂付近になっていた。
「いいえ、まだテリトリーまで距離がありますね」
そう言うとアルファは大きめの岩に登り、鑑定魔法と望遠魔法を駆使してドラゴンの巣のある方見る。
「なんだあれは」
「どうしたの?」
「ドラゴンの巣に大量の土蜘蛛がいます」
「たぶん、襲われていると思われます。それでこの土竜達は逃げてきたのでしょう?」
「土蜘蛛ってドラゴンより強いの?」
「いいえ、弱いです。ただアラクノイドの糸は鋼鉄をも引き裂きます。不意を打たれればドラゴンでも負けることはあります」
「しかしなんで土蜘蛛がドラゴンを襲うんだい?」
サグルが分からないと疑問を口にする。
「わかりませんが、ただ未踏地域方面から来たのは間違いないでしょう」
「それで、私たちは襲われているところを抜けていった方がいいの?」
「そうですね、ただ土蜘蛛が私たちを見逃すかどうか。あいつらは生命の感知に関しては他に類を見ないほど敏感ですから」
「共闘できないかな?」
「ドラゴンとですか?」
「そう、ドラゴンの中には知恵あるものがいると聞くし、共闘できると思うんだ」
サグルの言うこともわかるけど、正直危険な賭けだ。知恵あるドラゴンが本当にいるかも分からない。
助けたは良いが逆に襲われる可能性だってある。
「どうしますミスティア」
アルファが敬称抜きで私を呼びリーダーの責任を果たさせようとする。
「ここから、竜の巣までどのくらいかかる?」
「丸一日かかるでしょうね」
「なら、今日は寝ましょう。答えは明日出すわ」
「え、それで良いんですか?」
「みんなヘトヘトなのよ、今レベルがない状態だからわかるけど疲労がピークよ、こんな状態で登っても戦力にならないわ」
「そうですね、私たち基準で考えていましたすみません」
「そうだね、ミスティアの言う通りだ」
私たちは着ているポンチョを地面に敷いてその上に寝て睡眠をとる。
やっぱりレベルがないと何をするにも休養が必要になるわね。そう考えていたら、私は疲れからすぐに寝てしまった。
翌朝、私はサグルとアルファに、かこまれて寝ていた。密着されて……。
周りを見るとミリアスは少し離れたところでサラスティと絡まるように寝ていた。
なにこれ、どんな状況?
「ふあぁ、おはようミスティア、起きるの早いね」
サグルはそう言うと大きく伸びをする。
「なんで私二人に挟まれて寝てたの?」
「ん? 何かあったとき、すぐに助けられるだろ?」
やましい気持ちとかそう言うものを考えていた自分が恥ずかしい。穴があったら入りたい気分だ。
「ありがとう」
「と言っても、だれがミスティアの隣で寝るか言い合いになってじゃあ両方で寝ようということになったんだけどね」そう言うとサグルはハハハと笑う。
前言撤回、やましい気持ちでした。私はサグルの頭をポコンと叩くとアルファも殴ろうと寝ていた場所を見ると、いつのまにかアルファは起きていていなくなっていた。
周りを見渡すと、また岩の上に登りドラゴンの巣を見ていた。
「なにか変わったことはあった?」
膝の裏を叩いてカクンとさせるとアルファは苦笑いをする。
「昨日に比べ生きているドラゴンの数が減っています」
「全滅はしていないんだ?」
「はい、憶測ですが保存食として取ってあるんだろうと思います」
「知恵のありそうなドラゴンはいる?」
「一応古代龍はすべて知恵があると言われていますが人間とは接触しないので良好な関係を築けないと思います。ただ、一匹だけ固有名詞がついているドラゴンがいます。強さも他の竜とは比較になりませんし、もしかしたら話が通じるかもしれません」
「よし、分かったわドラゴン達を救出しましょう。まずはその固有名詞のドラゴンを助けましょう。名前はなんと言うの?」
「ウイニード、根源の超龍・ウイニードです」
「分かったわ、まずは山腹までいきそこで義勇兵を募ります。行きたいものだけついてきてください。無理強いはしませんし死ぬ危険もあります」
私がレジスタンスの皆に叫ぶとどこまでも着いていくに決まってるじゃないですか、やってやりますよと歓声が上がる。
私は皆にお礼を良い、それでも山腹で一度確認をとり、体調が悪そうな者も置いていくと伝えた。
「では、いきましょう」
出発の準備は簡単だただポンチョを着るだけで良い。私たちはすぐさま隊列を組んだ、その際、私がリーダーだからと言うこと一番先頭を任された。
通常の人間である私をペースメーカーにした方が良いと言うのもあるだろう。獣人の体力で進まれては皆へとへとになってしまう。山登りはペース配分が大事なのだ無理なくゆっくり焦らずにが基本だ。
今回はミリアス、サラスティ、サグルが一番後ろだ。サラスティは本当は前にとお願いしたのだが、私はあらゆる意味でミリアス様とひとつですのでと言い後ろに下がってしまった。
いちゃつくのは良いのだけど作戦無視はやめて欲しい。まあ、あんなことがあったのだから死ぬときは一緒と言う思いが強くなってしまったと考えれば仕方ないことなのかな。
私は一歩一歩岩山を上っていく、無理なく呼吸を自然に整えて。肌を切りそうな岩肌が私たちの周りを囲む。その岩は黒曜石でできているらしく一歩間違うと大ケガをおってしまう。
アルファは歩きながらその黒曜石を削り出しアイテムバックにしまいこむ。
「それ、なにに使うの?」
「ナイフと言うか投てき武器にね」
確かに肌を切りつけるほど鋭利なのだからそのまま武器としても使えるかもしれない。私はアルファは面白いことを考えるものだと感心する。
そんなことを考えていたらバランスを崩しよろけてしまった目の前には鋭利な岩肌が私を襲う。ぶつかるその瞬間アルファが手をさしのべ私を抱き寄せる。
「大丈夫ですか?」
「ごめんなさい、気が緩んでた。ありがとうね」
「……いいえ。無事ならそれで良いです」
私は気を引き締め凹凸の激しい山道に挑み直した。
半日ほど歩いた私たちは思ったよりも早く中腹にたどり着いた、少し早いお昼にして、干し肉とアルファが魔法で作った水を飲み。一時間ほど仮眠をする。
目を覚ました私たちは義勇兵を募った。当然全員手を上げた、死ぬ可能性を何度も言ったが熱気のせいか皆大丈夫だと言う。もしかしたらレベルアップしたことで、その魅力にとりつかれているのかもしれないと思ったが、強くなりたいと言う欲求は他人が奪って良いものじゃないと言うことで皆をつれていくことにした。
ここからは強行軍だ、日が沈む前にドラゴンの巣にたどり着きたい。私たちは逸る気持ちをおさえ一歩一歩確実に進んでいった。
「戦闘準備!」
ドラゴンの巣があともう少しと言うところで、アルファが叫んだ。それと同時に白い糸が宙を舞う。土蜘蛛の糸だ。クロイツのときとは違い見える。
私たちは剣を抜き身構えるがその糸を吐き出した土蜘蛛はサグルが剣で一刀両断にした。
「どうやら感知されてしまったようです。作戦を変更します。一気にドラゴンの巣まで駆け上がります」
足場の悪いこの地点で戦うより、多少の犠牲を強いても戦いやすい平坦な場所での戦いをアルファは優先したようだ。
私たちはそれにしたがい。いっきに岩山を駆け上がった。白い糸が宙を舞いレジスタンスのメンバーを襲った。しかし振り返っていられない。助けにいけば隊列が乱れる、それに油断をすれば次は私の番だ。
サグルとアルファが、襲ってくる土蜘蛛を倒したお陰でレジスタンスの負傷は大したことがなかったようだ。とは言っても腕をなくしたり、足が切られていたりしたが後方にいたサラスティの治療で完全回復した。
ドラゴンの巣にたどり着いた私たちは目を疑った。そこは一面真っ白で、すべてがアラクノイドの糸に覆われた竜の巣だった。
器用なものだ、ちゃんと蓋もある。その筒に呪文の書をいれると数本サグルに渡した。
「これには殲滅系神域魔法:死の氷柱が入っています、中から取り出さなくても手にもって呪文を唱えれば発動します。巻物魔法と言ったところですかね?」
「ありがとう、助かるよ」
「私には?」
「ミスティアは魔力がないでしょ?」
「はぁ……私は仲間はずれか」
「ミスティアは偽勇者の剣・改Ⅱがあるんだし、いらないだろ」
サグルがそう言うので少し悔しかった私はずるい、ずるいと冗談で駄々をこねた。そんな駄々をこねる私を見て、アルファは偽勇者の剣・改Ⅱを取り上げると一気に分解した。
「ちょ、アルファさん?」
「使えるように改造してあげますよ」
そう言うと土竜の角を切り取り、それを削り出すといくつかのパーツを作り出した。そのパーツとアイテムボックスから取り出した部品とあの粉を剣に組み込むとちょうど筒をつけるスペースが出来上がった。
アルファはそこに筒を差し込むと私に渡してきた。
「これで同じ魔法がつかえますよ。一回だけですけどね、ただしそれ相応の魔力を使いますから中級魔法の残弾数は減りますから注意してくださいね」
「ありがとう! アルファはプロトタイプと言ってたけどスペック高くない?」
「試作品は量産品よりも多機能じゃなきゃいけないだそうです」
まあ、真奈美だろうけど、今は感謝ね。それにしてもアルファはなんとなくお兄さんって感じね。私に兄はいなかったから何気に甘えられてうれしい。まあ、ガリウスがお兄ちゃんぶってたけどね。
しかし、これはもうなんて呼んだら良いのかしら。改造され過ぎて形状も完全に違うし名前変えちゃおうかしら。と言っても私もガリウスと同じでセンスないのよね。
「軽量型偽勇者の剣・改Ⅱ強化型でいいわね」
「なんか強そうですね」
そう言うとアルファはプッと吹き出した。悪かったですねネーミングセンスなくて。
私はふてくされて土竜の骸骨を蹴った。揺れる骸骨を見ながら疑問が湧いた。
「アルファ、ここってもうドラゴン達のテリトリーなの?」
土竜が3匹も遭遇するような土地なら、完全にここはテリトリーだろうけど。地図で示されてる位置は山頂付近になっていた。
「いいえ、まだテリトリーまで距離がありますね」
そう言うとアルファは大きめの岩に登り、鑑定魔法と望遠魔法を駆使してドラゴンの巣のある方見る。
「なんだあれは」
「どうしたの?」
「ドラゴンの巣に大量の土蜘蛛がいます」
「たぶん、襲われていると思われます。それでこの土竜達は逃げてきたのでしょう?」
「土蜘蛛ってドラゴンより強いの?」
「いいえ、弱いです。ただアラクノイドの糸は鋼鉄をも引き裂きます。不意を打たれればドラゴンでも負けることはあります」
「しかしなんで土蜘蛛がドラゴンを襲うんだい?」
サグルが分からないと疑問を口にする。
「わかりませんが、ただ未踏地域方面から来たのは間違いないでしょう」
「それで、私たちは襲われているところを抜けていった方がいいの?」
「そうですね、ただ土蜘蛛が私たちを見逃すかどうか。あいつらは生命の感知に関しては他に類を見ないほど敏感ですから」
「共闘できないかな?」
「ドラゴンとですか?」
「そう、ドラゴンの中には知恵あるものがいると聞くし、共闘できると思うんだ」
サグルの言うこともわかるけど、正直危険な賭けだ。知恵あるドラゴンが本当にいるかも分からない。
助けたは良いが逆に襲われる可能性だってある。
「どうしますミスティア」
アルファが敬称抜きで私を呼びリーダーの責任を果たさせようとする。
「ここから、竜の巣までどのくらいかかる?」
「丸一日かかるでしょうね」
「なら、今日は寝ましょう。答えは明日出すわ」
「え、それで良いんですか?」
「みんなヘトヘトなのよ、今レベルがない状態だからわかるけど疲労がピークよ、こんな状態で登っても戦力にならないわ」
「そうですね、私たち基準で考えていましたすみません」
「そうだね、ミスティアの言う通りだ」
私たちは着ているポンチョを地面に敷いてその上に寝て睡眠をとる。
やっぱりレベルがないと何をするにも休養が必要になるわね。そう考えていたら、私は疲れからすぐに寝てしまった。
翌朝、私はサグルとアルファに、かこまれて寝ていた。密着されて……。
周りを見るとミリアスは少し離れたところでサラスティと絡まるように寝ていた。
なにこれ、どんな状況?
「ふあぁ、おはようミスティア、起きるの早いね」
サグルはそう言うと大きく伸びをする。
「なんで私二人に挟まれて寝てたの?」
「ん? 何かあったとき、すぐに助けられるだろ?」
やましい気持ちとかそう言うものを考えていた自分が恥ずかしい。穴があったら入りたい気分だ。
「ありがとう」
「と言っても、だれがミスティアの隣で寝るか言い合いになってじゃあ両方で寝ようということになったんだけどね」そう言うとサグルはハハハと笑う。
前言撤回、やましい気持ちでした。私はサグルの頭をポコンと叩くとアルファも殴ろうと寝ていた場所を見ると、いつのまにかアルファは起きていていなくなっていた。
周りを見渡すと、また岩の上に登りドラゴンの巣を見ていた。
「なにか変わったことはあった?」
膝の裏を叩いてカクンとさせるとアルファは苦笑いをする。
「昨日に比べ生きているドラゴンの数が減っています」
「全滅はしていないんだ?」
「はい、憶測ですが保存食として取ってあるんだろうと思います」
「知恵のありそうなドラゴンはいる?」
「一応古代龍はすべて知恵があると言われていますが人間とは接触しないので良好な関係を築けないと思います。ただ、一匹だけ固有名詞がついているドラゴンがいます。強さも他の竜とは比較になりませんし、もしかしたら話が通じるかもしれません」
「よし、分かったわドラゴン達を救出しましょう。まずはその固有名詞のドラゴンを助けましょう。名前はなんと言うの?」
「ウイニード、根源の超龍・ウイニードです」
「分かったわ、まずは山腹までいきそこで義勇兵を募ります。行きたいものだけついてきてください。無理強いはしませんし死ぬ危険もあります」
私がレジスタンスの皆に叫ぶとどこまでも着いていくに決まってるじゃないですか、やってやりますよと歓声が上がる。
私は皆にお礼を良い、それでも山腹で一度確認をとり、体調が悪そうな者も置いていくと伝えた。
「では、いきましょう」
出発の準備は簡単だただポンチョを着るだけで良い。私たちはすぐさま隊列を組んだ、その際、私がリーダーだからと言うこと一番先頭を任された。
通常の人間である私をペースメーカーにした方が良いと言うのもあるだろう。獣人の体力で進まれては皆へとへとになってしまう。山登りはペース配分が大事なのだ無理なくゆっくり焦らずにが基本だ。
今回はミリアス、サラスティ、サグルが一番後ろだ。サラスティは本当は前にとお願いしたのだが、私はあらゆる意味でミリアス様とひとつですのでと言い後ろに下がってしまった。
いちゃつくのは良いのだけど作戦無視はやめて欲しい。まあ、あんなことがあったのだから死ぬときは一緒と言う思いが強くなってしまったと考えれば仕方ないことなのかな。
私は一歩一歩岩山を上っていく、無理なく呼吸を自然に整えて。肌を切りそうな岩肌が私たちの周りを囲む。その岩は黒曜石でできているらしく一歩間違うと大ケガをおってしまう。
アルファは歩きながらその黒曜石を削り出しアイテムバックにしまいこむ。
「それ、なにに使うの?」
「ナイフと言うか投てき武器にね」
確かに肌を切りつけるほど鋭利なのだからそのまま武器としても使えるかもしれない。私はアルファは面白いことを考えるものだと感心する。
そんなことを考えていたらバランスを崩しよろけてしまった目の前には鋭利な岩肌が私を襲う。ぶつかるその瞬間アルファが手をさしのべ私を抱き寄せる。
「大丈夫ですか?」
「ごめんなさい、気が緩んでた。ありがとうね」
「……いいえ。無事ならそれで良いです」
私は気を引き締め凹凸の激しい山道に挑み直した。
半日ほど歩いた私たちは思ったよりも早く中腹にたどり着いた、少し早いお昼にして、干し肉とアルファが魔法で作った水を飲み。一時間ほど仮眠をする。
目を覚ました私たちは義勇兵を募った。当然全員手を上げた、死ぬ可能性を何度も言ったが熱気のせいか皆大丈夫だと言う。もしかしたらレベルアップしたことで、その魅力にとりつかれているのかもしれないと思ったが、強くなりたいと言う欲求は他人が奪って良いものじゃないと言うことで皆をつれていくことにした。
ここからは強行軍だ、日が沈む前にドラゴンの巣にたどり着きたい。私たちは逸る気持ちをおさえ一歩一歩確実に進んでいった。
「戦闘準備!」
ドラゴンの巣があともう少しと言うところで、アルファが叫んだ。それと同時に白い糸が宙を舞う。土蜘蛛の糸だ。クロイツのときとは違い見える。
私たちは剣を抜き身構えるがその糸を吐き出した土蜘蛛はサグルが剣で一刀両断にした。
「どうやら感知されてしまったようです。作戦を変更します。一気にドラゴンの巣まで駆け上がります」
足場の悪いこの地点で戦うより、多少の犠牲を強いても戦いやすい平坦な場所での戦いをアルファは優先したようだ。
私たちはそれにしたがい。いっきに岩山を駆け上がった。白い糸が宙を舞いレジスタンスのメンバーを襲った。しかし振り返っていられない。助けにいけば隊列が乱れる、それに油断をすれば次は私の番だ。
サグルとアルファが、襲ってくる土蜘蛛を倒したお陰でレジスタンスの負傷は大したことがなかったようだ。とは言っても腕をなくしたり、足が切られていたりしたが後方にいたサラスティの治療で完全回復した。
ドラゴンの巣にたどり着いた私たちは目を疑った。そこは一面真っ白で、すべてがアラクノイドの糸に覆われた竜の巣だった。
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