40 / 158
第二章 真の勇者は異世界人
チバケイン神国の策略
しおりを挟む
サラスティは花嫁修行のためチバケイン神国の学園に通っていた。
数日前、同じ学園に通う同室の友人が大怪我をした。
それは片腕を失うほどの大ケガだった。
サラスティは躊躇なく親友に回復魔法を使い、部位欠損を回復させた。
そこまでの回復魔法は神国に目をつけられる。神国には回復魔法を使う者の生殺与奪権がる。一般的には知られてないが使徒を抹殺するためだ。
使徒が目覚める前に殺す条件は卓越した力を持つもの又は部位欠損を直すほどの力を持つものなのだ。
特に部位欠損回復は使徒を判断するための重要な項目なのだ。
だから回復魔法は見ざる言わざる聞かざると言うのが貴族の間では暗黙の了解なのである。
誰しも自分の子供を殺させたくないと思うのは当たり前の親心である。
だがチバケイン神国側にサラスティが部位欠損を治すほどの回復魔法を使ったのが漏れた。
あらゆる場所に間者を放っている王国連合や神国の目から逃れることはできなかった。
サラスティは神国側に連行された。
チバケイン神国はサラスティを利用することを考えた。
彼女を捕まえた神国はその力で神国に協力する気はあるかを聞いた。
自分はベルナルド王国貴族の子弟でチバケイン神国に協力できないと意思表示をした。
協力できないのであれば国外退去処分にすると言われた。
犯罪を犯したわけでもない他国の貴族の子弟を国外退去処分にするなどふざけた国だと思ったけど神国の噂、回復魔法の使い手の生殺与奪権を持つなど大袈裟な噂だったのだろうと思った。
国外退去は納得いかないが、親友を助ける事が出来たサラスティはそれだけで満足だった。
サラスティは意気揚々とチバケイン神国を出国した。
「なるほどね、だいたい分かったわ」
「多分、あなたは盗賊に襲われ死んだことにして、神国に無理やり協力させようとしたと言うことかしら?」
「信じたくないですが思い当たるのは思い当たるのはそれしか無いです」
すぐに言えなかったのはマリアが神国出身者だからだったのかな。ミリアスにマリアが大丈夫か聞いたのだろう。いきなり斬りかかろうとしたしね。
「でも、なぜ神国はこんな無法なことを」
そう言うと彼女はマリアをちらりと見る。
「神国は貴女のような三流国家の貴族の娘など、どうとでも出来る権力をもった国なのです」
侮蔑の眼差しで見られた事に苛立ったマリアが挑発的に言い捨てる。
今のはサラスティが悪いかな、チバケインとアキトゥーは別な国だ同じに扱われれば誰だって怒る。
「申し訳ありませんマリア様、無礼をお許しください」
空気を察したのかサラスティは謝罪をする。
「謝ってすむなら憲兵隊はいらないわ」
そう言うとマリアはそっぽを向く。
「おいマリア、彼女も謝っているんだ許してやれ」
「うるさいわね色ボケタンク。タンクはタンクでもあんたはザーメンタンクでしょ」
「誰が色ボケザーメンタンクだ!」
とうとうマリアとミリアスが喧嘩をしだした。
まあ、やらせておこう。ここで止めても心にわだかまりができてギスギスするだけだ。
理由がある喧嘩を止めるのは良くない、せいぜいやりすぎるのを止めるくらいがちょうど良い。
さて、問題はこのままベルナルド国に彼女を連れ帰っても神国や王国連合の圧力がかかるだろう、手に入らないなら殺せと言うこともあるかもしれない。
そもそも、使徒は殺すのが神国や王国連合の存在意義なのだ。
放って置くわけがない。つまり彼女の危険はとり除かれていない。
引くか、進むか……。
このまま彼女を国に送り届けても危険があるのだから当然ミリアスはサラスティの元に残るだろう。
それだと私も残らないといけなくなる。
ミリアスを守るのはガリウス様との大事な約束だ。
私に残された道は前進あるのみ、猪突猛進よ。
「よし! 決めたわ」
マリアとミリアスの殴り合いの喧嘩を終了させ、私は今後の方針を話した。
「マイラ姐、本気かよ」
「さすがお姉様です、私もとことん付き合います」
「そなん事が……」
そう、これしかない。
私達の目標と彼女を救うことを両立するにはこれしかない。
「チバケイン神国をぶっ潰すわ!」
「こんな時に兄貴がいてくれれば……」
ミリアスが私の案に不安を持ってるのだろうけど、その言い方だと、まるで私がおかしいこと言ってるみたいじゃない。
まったく失礼な話ね。
「兄様ならチバケイン神国にいらっしゃいますよ?」
「「「は?」」」
みんなはミリアスの兄貴であるメルウスがチバケインにいると言われたと思って疑問の声を上げる。
「グランヘイム王国第二王子ミノバ=ディル=グランヘイム殿下ですよね?」
メルウスのことではなかった。そりゃそうよねサラスティがメルウスを知ってるわけないんだから。
「兄貴違いだな。というか、ディルのやつチバケイン神国に居るの?」
「はい、グランヘイム唯一の生き残りとしてグランヘイム臨時政府を発足しております」
「唯一って、俺も居るんだけど」
ミリアスは、自分が死んだことになっていることに不快感を示す。
「そうなんです、ミリアス様は死んだと聞いていたので……」
ミリアスが生きているのはアキトゥー神国を通じて王国連合に連絡が行っているはずなのに。
この事件に王国連合が絡んでるとしたら?
長く続いた組織は腐敗するというし、戦争が起きても王国連合は不干渉の可能性があるわね。
そして冒険者ギルドも神国や王国連合の組織なので守ってくれない。
最悪、冒険者ギルドも敵になる。
こんな時にメルウスが居れば、良い案を出してくれたろうと思わずにいられなかった。
数日前、同じ学園に通う同室の友人が大怪我をした。
それは片腕を失うほどの大ケガだった。
サラスティは躊躇なく親友に回復魔法を使い、部位欠損を回復させた。
そこまでの回復魔法は神国に目をつけられる。神国には回復魔法を使う者の生殺与奪権がる。一般的には知られてないが使徒を抹殺するためだ。
使徒が目覚める前に殺す条件は卓越した力を持つもの又は部位欠損を直すほどの力を持つものなのだ。
特に部位欠損回復は使徒を判断するための重要な項目なのだ。
だから回復魔法は見ざる言わざる聞かざると言うのが貴族の間では暗黙の了解なのである。
誰しも自分の子供を殺させたくないと思うのは当たり前の親心である。
だがチバケイン神国側にサラスティが部位欠損を治すほどの回復魔法を使ったのが漏れた。
あらゆる場所に間者を放っている王国連合や神国の目から逃れることはできなかった。
サラスティは神国側に連行された。
チバケイン神国はサラスティを利用することを考えた。
彼女を捕まえた神国はその力で神国に協力する気はあるかを聞いた。
自分はベルナルド王国貴族の子弟でチバケイン神国に協力できないと意思表示をした。
協力できないのであれば国外退去処分にすると言われた。
犯罪を犯したわけでもない他国の貴族の子弟を国外退去処分にするなどふざけた国だと思ったけど神国の噂、回復魔法の使い手の生殺与奪権を持つなど大袈裟な噂だったのだろうと思った。
国外退去は納得いかないが、親友を助ける事が出来たサラスティはそれだけで満足だった。
サラスティは意気揚々とチバケイン神国を出国した。
「なるほどね、だいたい分かったわ」
「多分、あなたは盗賊に襲われ死んだことにして、神国に無理やり協力させようとしたと言うことかしら?」
「信じたくないですが思い当たるのは思い当たるのはそれしか無いです」
すぐに言えなかったのはマリアが神国出身者だからだったのかな。ミリアスにマリアが大丈夫か聞いたのだろう。いきなり斬りかかろうとしたしね。
「でも、なぜ神国はこんな無法なことを」
そう言うと彼女はマリアをちらりと見る。
「神国は貴女のような三流国家の貴族の娘など、どうとでも出来る権力をもった国なのです」
侮蔑の眼差しで見られた事に苛立ったマリアが挑発的に言い捨てる。
今のはサラスティが悪いかな、チバケインとアキトゥーは別な国だ同じに扱われれば誰だって怒る。
「申し訳ありませんマリア様、無礼をお許しください」
空気を察したのかサラスティは謝罪をする。
「謝ってすむなら憲兵隊はいらないわ」
そう言うとマリアはそっぽを向く。
「おいマリア、彼女も謝っているんだ許してやれ」
「うるさいわね色ボケタンク。タンクはタンクでもあんたはザーメンタンクでしょ」
「誰が色ボケザーメンタンクだ!」
とうとうマリアとミリアスが喧嘩をしだした。
まあ、やらせておこう。ここで止めても心にわだかまりができてギスギスするだけだ。
理由がある喧嘩を止めるのは良くない、せいぜいやりすぎるのを止めるくらいがちょうど良い。
さて、問題はこのままベルナルド国に彼女を連れ帰っても神国や王国連合の圧力がかかるだろう、手に入らないなら殺せと言うこともあるかもしれない。
そもそも、使徒は殺すのが神国や王国連合の存在意義なのだ。
放って置くわけがない。つまり彼女の危険はとり除かれていない。
引くか、進むか……。
このまま彼女を国に送り届けても危険があるのだから当然ミリアスはサラスティの元に残るだろう。
それだと私も残らないといけなくなる。
ミリアスを守るのはガリウス様との大事な約束だ。
私に残された道は前進あるのみ、猪突猛進よ。
「よし! 決めたわ」
マリアとミリアスの殴り合いの喧嘩を終了させ、私は今後の方針を話した。
「マイラ姐、本気かよ」
「さすがお姉様です、私もとことん付き合います」
「そなん事が……」
そう、これしかない。
私達の目標と彼女を救うことを両立するにはこれしかない。
「チバケイン神国をぶっ潰すわ!」
「こんな時に兄貴がいてくれれば……」
ミリアスが私の案に不安を持ってるのだろうけど、その言い方だと、まるで私がおかしいこと言ってるみたいじゃない。
まったく失礼な話ね。
「兄様ならチバケイン神国にいらっしゃいますよ?」
「「「は?」」」
みんなはミリアスの兄貴であるメルウスがチバケインにいると言われたと思って疑問の声を上げる。
「グランヘイム王国第二王子ミノバ=ディル=グランヘイム殿下ですよね?」
メルウスのことではなかった。そりゃそうよねサラスティがメルウスを知ってるわけないんだから。
「兄貴違いだな。というか、ディルのやつチバケイン神国に居るの?」
「はい、グランヘイム唯一の生き残りとしてグランヘイム臨時政府を発足しております」
「唯一って、俺も居るんだけど」
ミリアスは、自分が死んだことになっていることに不快感を示す。
「そうなんです、ミリアス様は死んだと聞いていたので……」
ミリアスが生きているのはアキトゥー神国を通じて王国連合に連絡が行っているはずなのに。
この事件に王国連合が絡んでるとしたら?
長く続いた組織は腐敗するというし、戦争が起きても王国連合は不干渉の可能性があるわね。
そして冒険者ギルドも神国や王国連合の組織なので守ってくれない。
最悪、冒険者ギルドも敵になる。
こんな時にメルウスが居れば、良い案を出してくれたろうと思わずにいられなかった。
0
お気に入りに追加
178
あなたにおすすめの小説
大好きな彼女を学校一のイケメンに寝取られた。そしたら陰キャの僕が突然モテ始めた件について
ねんごろ
恋愛
僕の大好きな彼女が寝取られた。学校一のイケメンに……
しかし、それはまだ始まりに過ぎなかったのだ。
NTRは始まりでしか、なかったのだ……
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
勇者に闇討ちされ婚約者を寝取られた俺がざまあするまで。
飴色玉葱
ファンタジー
王都にて結成された魔王討伐隊はその任を全うした。
隊を率いたのは勇者として名を挙げたキサラギ、英雄として誉れ高いジークバルト、さらにその二人を支えるようにその婚約者や凄腕の魔法使いが名を連ねた。
だがあろうことに勇者キサラギはジークバルトを闇討ちし行方知れずとなってしまう。
そして、恐るものがいなくなった勇者はその本性を現す……。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
俺のスキル『性行為』がセクハラ扱いで追放されたけど、実は最強の魔王対策でした
宮富タマジ
ファンタジー
アレンのスキルはたった一つ、『性行為』。職業は『愛の剣士』で、勇者パーティの中で唯一の男性だった。
聖都ラヴィリス王国から新たな魔王討伐任務を受けたパーティは、女勇者イリスを中心に数々の魔物を倒してきたが、突如アレンのスキル名が原因で不穏な空気が漂い始める。
「アレン、あなたのスキル『性行為』について、少し話したいことがあるの」
イリスが深刻な顔で切り出した。イリスはラベンダー色の髪を少し掻き上げ、他の女性メンバーに視線を向ける。彼女たちは皆、少なからず戸惑った表情を浮かべていた。
「……どうしたんだ、イリス?」
アレンのスキル『性行為』は、女性の愛の力を取り込み、戦闘中の力として変えることができるものだった。
だがその名の通り、スキル発動には女性の『愛』、それもかなりの性的な刺激が必要で、アレンのスキルをフルに発揮するためには、女性たちとの特別な愛の共有が必要だった。
そんなアレンが周りから違和感を抱かれることは、本人も薄々感じてはいた。
「あなたのスキル、なんだか、少し不快感を覚えるようになってきたのよ」
女勇者イリスが口にした言葉に、アレンの眉がぴくりと動く。
18禁NTR鬱ゲーの裏ボス最強悪役貴族に転生したのでスローライフを楽しんでいたら、ヒロイン達が奴隷としてやって来たので幸せにすることにした
田中又雄
ファンタジー
『異世界少女を歪ませたい』はエロゲー+MMORPGの要素も入った神ゲーであった。
しかし、NTR鬱ゲーであるためENDはいつも目を覆いたくなるものばかりであった。
そんなある日、裏ボスの悪役貴族として転生したわけだが...俺は悪役貴族として動く気はない。
そう思っていたのに、そこに奴隷として現れたのは今作のヒロイン達。
なので、酷い目にあってきた彼女達を精一杯愛し、幸せなトゥルーエンドに導くことに決めた。
あらすじを読んでいただきありがとうございます。
併せて、本作品についてはYouTubeで動画を投稿しております。
より、作品に没入できるようつくっているものですので、よければ見ていただければ幸いです!
性奴隷を飼ったのに
お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。
異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。
異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。
自分の領地では奴隷は禁止していた。
奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。
そして1人の奴隷少女と出会った。
彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。
彼女は幼いエルフだった。
それに魔力が使えないように処理されていた。
そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。
でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。
俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。
孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。
エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。
※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。
※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる