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4章 守りたい者たちは誰なのか
命がけで国を救った者たちの末路。
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地面に激突の瞬間、シンミアが土を柔らかくしてスヴィニヤーが風で激突の衝撃を軽減してくれた。
柔らかくなった砂と風で大量の土煙が巻き上がる。
だが、この異世界金属製フルメイルのお陰で着地によるダメージはない。
このフルメイルは伊四百型のいらない部分の異世界金属を素材に戻してから作ったものなので普通のダメージでは壊れないのだ。
ただし、衝撃はそのまま来るのが難点なんですけどね。
「シンミア、スヴィニヤー、ブレイドオル王国兵を守れ!」
「おう!」
「かしこまりました」
シンミアは地面を殴り自分の分身のゴーレムを作り出し、天使の軍団を駆逐する。
土のシンミアゴーレムに火は効かない。
シンミアゴーレムの数は全部で32体、ゴーレムの数は俺のレベルに依存するの。戦ってみると分かる最低でも100体はいないと戦場を支配するのはきつい。
スヴィニヤーは風で天使の軍団の動きを止める。シンミアは止まった天使の軍団に突撃してゴーレムと一緒に殴り倒している。
俺も負けてられないのでアイテムボックスから巨大な金のハンマーを取り出す。
「ブレイドオル王国の諸君、後は我々に任せて休んでいなさい」
「あなたは誰なのです!? その技は……」
サイバーパンクと中二病を合わせたような見た目の青色の髪の少女が魔法の杖を支えにして息を荒げて俺に尋ねる。
……この杖って神杖ケーリュケイオンじゃないか、それにあっちの赤い髪の娘は神剣天叢雲剣に魔剣ティルフィング、なんでエルダートレインの最強武器が。
いや今はそれどころではないな。
俺はその娘に「ウルフレッド王国国王のケンロウと言います。あなたたちは必ず助けますから」と告げると、その場を後にして天使の軍団を叩き潰す。
潰した天使の軍団からでる火焔はスヴィニヤーの風で俺には届かない。
「うららららら! ただの鎧がオレに勝てるのかよ!」
シンミアが俺の木の棒を如意棒の代わりにして戦っている。俺が使うとただの農耕器具だがシンミアが使うと、とたんに属性武器になるのだ。
孫悟空たちが使う武器も農耕器具だから、あの木の棒の使い方は、あれで正解なのかもしれない。
「犬、あいつら逃げてくぞ!」
シンミアが撤退していく天使の軍団をみて興ざめだとばかりに木の棒をドスンと大地につける。
「そんな天使の軍団が引くなんて」
赤髪の少女が驚愕の表情で天使の軍団が引くのを見ている。
「あいつらは引かないんですか?」
俺がそう尋ねると赤髪の少女はおれをジッと見る。まるで鎧を透かして俺の素顔を見られているようだ。
「……ええ、あいつらは人じゃないから、恐怖心がないのよ。だから引かないわ」
「「「おおおおおおお」」」
ブレイドオルの兵士たちが勝ちどきをあげて歓喜の声をあげる。
しかし、いつもは引かない兵が今回は引いたのかとなると司令官や操る者が今回はいたのかもしれないな。
「スヴィニヤーちょつと来てくれ」
スヴィニヤーの肩に手をあて伊四百型にいるクリストファと風を使って交信をした。
『クリストファ、敵の親玉っぽいやついるみたいなんだけどそこからわかるか?』
『確認してみます。……いました。一人だけ騎乗しておりひときわ大きい鎧に守られている者がいます。座標を送ります』
「スヴィニヤー分かるか」
俺がそう言うとスヴィニヤーの身体から風が舞い上がる。
「はい、確認できました。やりますか?」
「そうだな、俺たちの敵になりそうな芽は早いうちに摘んでおこう」
スヴィニヤーの合図で上空にいるキントたちが敵に熱線を発射する。
キントの熱線を中心にスヴィニヤーのブッキーと俺のハルの熱線が渦巻き、まるで火災旋風ようになり発射される。
三体から出る熱線が地表をも焼き、天使の軍団を操る者がいると思われる場所まで一直線に森を焼き尽くす。
それと共に天使の軍団は倒れ動かなくなり、ただの鎧となった。
思ったよりも大したことなかったな。
俺はハンマーをしまうとブレイドオルの兵士たちに挨拶をした。
「みなさん改めまして、私がウルフレッド王国国王ケンロウです、みなさんを助けに来ました。お怪我はありませんか?」
「ケンロウ? ケンタじゃないです?」
は? なんでこの娘、俺の名前知ってるの? 鑑定眼とか持ってる系か?
いや、この鎧を纏っている俺の素性がバレないのはオババの鑑定で確認している。
つまり別の要因で俺の素性がバレたのか。
とは言え、今俺の素性がバレるのは不味い。犯罪者とは取引などしないだろうからな。
「いいえ、私はケンロウです。ケンタと言うものではありません」
「うそです! あなたはケンタです! なんで嘘言うです!」
青色の髪の少女が俺に詰め寄り、俺の鎧をドンと叩く。
「まてクニャラ。もしかしたら、またケンタは記憶喪失になってるんじゃないか」
大柄な女性は青髪の少女の肩を抱き、俺の鎧を叩くのをやめさせる。
「たしかにケンタさん記憶喪失だったし」
赤髪の少女は不安そうにしている。
「だったら、そのヘルムを脱いでです」
「何してるんだよ犬」
シンミアが俺に抱き背中をよじ登ると、ブレイドオルの兵士たちを睨み付ける。
「揉め事ですかケンロウ様」
二人はすでに戦闘態勢になっている。人間相手でも俺に害をなそうとする相手は許さないとばかりに殺気を発している。
「ああ、なにかブレイドオルの兵士の方々が私をケンタと言うものじゃないかと言うんだよ」
「あ゛? こいつらオレらに喧嘩を売ってるのか?」
「皆さま方、新興国家のウルフレッド王国とは言え国王にたいして非礼ではないでしょうか? しかも命がけで御自らこの国を救いに来たと言うのに」
「申し訳ない、この娘にとって、いや私たちにとって大事な人なのだ。許して欲しい」
大柄な女性が前に出ておれた地に謝罪をする。
「いや、分かってくれればそれで――」
「ちがうのです! この人はケンタです!」
そう言うと青髪の少女は懐から出したポーションを飲み干した。
そのポーションは回復ポーションだったらしく身体に付けられたパーツがポロポロと落ちるときれいな顔が現れた。
左手の包帯をほどくと中から出てきたのは溶けた金でコーティングされた赤い宝石だった。
青い髪の少女はそれを俺に差し出す。
「これは?」
「ケンタなら、これが何か分かるです!」
俺はその物体を青髪の少女から受けとる。それを渡された俺は一瞬固まる。これは指輪だ。金属の指輪がこんな状態になるなんて、よほどの高熱で焼かれたのだろう。
俺がそれを見ているとブレイドオル王国の兵士たちが同じブレイドオル王国の兵士である少女たちを取り囲む。
「なんのつもりだ!」
大柄な女性が取り囲む兵士に食って掛かる。
「お前たちを反逆罪で逮捕する!」
大量の兵士たちの前に力の尽きた少女たちは簡単に捕縛されてしまった。
「貴兄ら、その人たちは自国を救ってくれた英雄ではないのか? 英雄にたいして、その仕打ちはなかろう」
「貴様たちは何者だ!」
槍を俺たちに向け威嚇する兵士にオレは自己紹介をする。
「私たちは貴国に対し食料や薬品を援助をするためにギルドの依頼でうかがった、ウルフレッド王国国王ケンロウと申す」
俺がそう言うと兵士たちから歓声が上がる。よほど食料事情が厳しかったのだろう。捕縛した少女たちをそっちのけだ。
王っぽいしゃべり方ってこんな感じでいいんだよな?
「それで、なぜこの娘たちを捕縛するのです」
「こやつらは、そこの女は王を殴ったのです。王よりここにいる全員の捕縛命令がでています」
「それでも、命をかけて戦った者ですぞ」
「王の命令は絶対です」
たしかに一兵士が王に逆らうことなんかできない。どんなに嫌な命令でも従わなければいけない。
「わかりました、では私も王に謁見しましょう」
俺たちは兵士に連れられる少女たちと一緒に王城へと向かった。
柔らかくなった砂と風で大量の土煙が巻き上がる。
だが、この異世界金属製フルメイルのお陰で着地によるダメージはない。
このフルメイルは伊四百型のいらない部分の異世界金属を素材に戻してから作ったものなので普通のダメージでは壊れないのだ。
ただし、衝撃はそのまま来るのが難点なんですけどね。
「シンミア、スヴィニヤー、ブレイドオル王国兵を守れ!」
「おう!」
「かしこまりました」
シンミアは地面を殴り自分の分身のゴーレムを作り出し、天使の軍団を駆逐する。
土のシンミアゴーレムに火は効かない。
シンミアゴーレムの数は全部で32体、ゴーレムの数は俺のレベルに依存するの。戦ってみると分かる最低でも100体はいないと戦場を支配するのはきつい。
スヴィニヤーは風で天使の軍団の動きを止める。シンミアは止まった天使の軍団に突撃してゴーレムと一緒に殴り倒している。
俺も負けてられないのでアイテムボックスから巨大な金のハンマーを取り出す。
「ブレイドオル王国の諸君、後は我々に任せて休んでいなさい」
「あなたは誰なのです!? その技は……」
サイバーパンクと中二病を合わせたような見た目の青色の髪の少女が魔法の杖を支えにして息を荒げて俺に尋ねる。
……この杖って神杖ケーリュケイオンじゃないか、それにあっちの赤い髪の娘は神剣天叢雲剣に魔剣ティルフィング、なんでエルダートレインの最強武器が。
いや今はそれどころではないな。
俺はその娘に「ウルフレッド王国国王のケンロウと言います。あなたたちは必ず助けますから」と告げると、その場を後にして天使の軍団を叩き潰す。
潰した天使の軍団からでる火焔はスヴィニヤーの風で俺には届かない。
「うららららら! ただの鎧がオレに勝てるのかよ!」
シンミアが俺の木の棒を如意棒の代わりにして戦っている。俺が使うとただの農耕器具だがシンミアが使うと、とたんに属性武器になるのだ。
孫悟空たちが使う武器も農耕器具だから、あの木の棒の使い方は、あれで正解なのかもしれない。
「犬、あいつら逃げてくぞ!」
シンミアが撤退していく天使の軍団をみて興ざめだとばかりに木の棒をドスンと大地につける。
「そんな天使の軍団が引くなんて」
赤髪の少女が驚愕の表情で天使の軍団が引くのを見ている。
「あいつらは引かないんですか?」
俺がそう尋ねると赤髪の少女はおれをジッと見る。まるで鎧を透かして俺の素顔を見られているようだ。
「……ええ、あいつらは人じゃないから、恐怖心がないのよ。だから引かないわ」
「「「おおおおおおお」」」
ブレイドオルの兵士たちが勝ちどきをあげて歓喜の声をあげる。
しかし、いつもは引かない兵が今回は引いたのかとなると司令官や操る者が今回はいたのかもしれないな。
「スヴィニヤーちょつと来てくれ」
スヴィニヤーの肩に手をあて伊四百型にいるクリストファと風を使って交信をした。
『クリストファ、敵の親玉っぽいやついるみたいなんだけどそこからわかるか?』
『確認してみます。……いました。一人だけ騎乗しておりひときわ大きい鎧に守られている者がいます。座標を送ります』
「スヴィニヤー分かるか」
俺がそう言うとスヴィニヤーの身体から風が舞い上がる。
「はい、確認できました。やりますか?」
「そうだな、俺たちの敵になりそうな芽は早いうちに摘んでおこう」
スヴィニヤーの合図で上空にいるキントたちが敵に熱線を発射する。
キントの熱線を中心にスヴィニヤーのブッキーと俺のハルの熱線が渦巻き、まるで火災旋風ようになり発射される。
三体から出る熱線が地表をも焼き、天使の軍団を操る者がいると思われる場所まで一直線に森を焼き尽くす。
それと共に天使の軍団は倒れ動かなくなり、ただの鎧となった。
思ったよりも大したことなかったな。
俺はハンマーをしまうとブレイドオルの兵士たちに挨拶をした。
「みなさん改めまして、私がウルフレッド王国国王ケンロウです、みなさんを助けに来ました。お怪我はありませんか?」
「ケンロウ? ケンタじゃないです?」
は? なんでこの娘、俺の名前知ってるの? 鑑定眼とか持ってる系か?
いや、この鎧を纏っている俺の素性がバレないのはオババの鑑定で確認している。
つまり別の要因で俺の素性がバレたのか。
とは言え、今俺の素性がバレるのは不味い。犯罪者とは取引などしないだろうからな。
「いいえ、私はケンロウです。ケンタと言うものではありません」
「うそです! あなたはケンタです! なんで嘘言うです!」
青色の髪の少女が俺に詰め寄り、俺の鎧をドンと叩く。
「まてクニャラ。もしかしたら、またケンタは記憶喪失になってるんじゃないか」
大柄な女性は青髪の少女の肩を抱き、俺の鎧を叩くのをやめさせる。
「たしかにケンタさん記憶喪失だったし」
赤髪の少女は不安そうにしている。
「だったら、そのヘルムを脱いでです」
「何してるんだよ犬」
シンミアが俺に抱き背中をよじ登ると、ブレイドオルの兵士たちを睨み付ける。
「揉め事ですかケンロウ様」
二人はすでに戦闘態勢になっている。人間相手でも俺に害をなそうとする相手は許さないとばかりに殺気を発している。
「ああ、なにかブレイドオルの兵士の方々が私をケンタと言うものじゃないかと言うんだよ」
「あ゛? こいつらオレらに喧嘩を売ってるのか?」
「皆さま方、新興国家のウルフレッド王国とは言え国王にたいして非礼ではないでしょうか? しかも命がけで御自らこの国を救いに来たと言うのに」
「申し訳ない、この娘にとって、いや私たちにとって大事な人なのだ。許して欲しい」
大柄な女性が前に出ておれた地に謝罪をする。
「いや、分かってくれればそれで――」
「ちがうのです! この人はケンタです!」
そう言うと青髪の少女は懐から出したポーションを飲み干した。
そのポーションは回復ポーションだったらしく身体に付けられたパーツがポロポロと落ちるときれいな顔が現れた。
左手の包帯をほどくと中から出てきたのは溶けた金でコーティングされた赤い宝石だった。
青い髪の少女はそれを俺に差し出す。
「これは?」
「ケンタなら、これが何か分かるです!」
俺はその物体を青髪の少女から受けとる。それを渡された俺は一瞬固まる。これは指輪だ。金属の指輪がこんな状態になるなんて、よほどの高熱で焼かれたのだろう。
俺がそれを見ているとブレイドオル王国の兵士たちが同じブレイドオル王国の兵士である少女たちを取り囲む。
「なんのつもりだ!」
大柄な女性が取り囲む兵士に食って掛かる。
「お前たちを反逆罪で逮捕する!」
大量の兵士たちの前に力の尽きた少女たちは簡単に捕縛されてしまった。
「貴兄ら、その人たちは自国を救ってくれた英雄ではないのか? 英雄にたいして、その仕打ちはなかろう」
「貴様たちは何者だ!」
槍を俺たちに向け威嚇する兵士にオレは自己紹介をする。
「私たちは貴国に対し食料や薬品を援助をするためにギルドの依頼でうかがった、ウルフレッド王国国王ケンロウと申す」
俺がそう言うと兵士たちから歓声が上がる。よほど食料事情が厳しかったのだろう。捕縛した少女たちをそっちのけだ。
王っぽいしゃべり方ってこんな感じでいいんだよな?
「それで、なぜこの娘たちを捕縛するのです」
「こやつらは、そこの女は王を殴ったのです。王よりここにいる全員の捕縛命令がでています」
「それでも、命をかけて戦った者ですぞ」
「王の命令は絶対です」
たしかに一兵士が王に逆らうことなんかできない。どんなに嫌な命令でも従わなければいけない。
「わかりました、では私も王に謁見しましょう」
俺たちは兵士に連れられる少女たちと一緒に王城へと向かった。
応援ありがとうございます!
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