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3章 モンキー・ダンス・レボリューション
元宮廷魔導士の野盗
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守衛の報告で一瞬でギルドがもぬけの殻になった。クレミアも皆と一緒に出ていった。
その手には大剣を持って。
俺たちもつられて、いつの間にか正門へと向かってしまった。
『ポテラ町の諸君! 降伏する決断はしたかね?』
頭の中に誰かの言葉が直接響き渡る。
「ふざけるんじゃないよ! てめぇらに降伏なんぞするもんかい!」
クレミアが門の上に立ち外にいるであろう野盗に向かって怒鳴りつける。
『愚か者ですね。皆さんやっておしまいなさい!』
「「「「「うおぉぉぉ!!!」」」」」
その怒声と共に弓矢が町の中へと飛んでくる。
その弓矢はあり得ない速度で冒険者達を襲う。
「その矢は叩き落しな! 叩き落とさないと当たるよ!」
クレミアの言葉で何人かの冒険者は矢を叩き落とすが全員が全員そんなこともできるわけもなく、冒険者たちは弓矢に刺されて阿鼻叫喚の図を作り出していた。
俺に向かっても矢が飛んでくる何本も何本も。
「シンミア俺の後ろに隠れろ」
「おう!」
シンミアは俺の背中に飛び乗って喜んでいる。
イヤイヤ、俺の後ろに隠れてね。それじゃ頭と手でてるからね?
速いと言っても見えない速さじゃない。俺は弓矢を打ち落とそうと手を前に出した。
”トス。トス。トス”
三本の矢が俺の身体を貫く。
「あれ?」
まあ、漫画じゃあるまいし、とれる訳ないよな。と後悔しながら俺は膝をついた。
しかし、その瞬間弓矢は俺の身体から弾かれるように抜け落ちた。
「は?」
「なんだ犬は超回復持ちなのか?」
「いや、俺普通の人間だよ? そんなビックリ人間みたいな能力あるわけ無いじゃん」
どう言うことだ? 俺の隠しステータスとかか?
こういうとき全部のステータスが見れないのは不便だよな。
クレミアは弓矢攻撃を防ぎきるとさっさと門から飛び降り敵に突撃したようだ。
俺は弓矢にやられた冒険者に回復薬(低)++を飲ませて歩いた。
表面的には治っているが筋肉繊維や内蔵気管までは完全回復しないようだ。
どうやら回復薬(低)++は表面の怪我しか治せないようだ。
しかし、野盗の連中なにげに強いな。それとも冒険者が弱いのか?
「くそ、あいつら魔法使いを仲間にしたからって調子に乗りやがって」
弓矢に撃ち抜かれた冒険者が自分のふがいなさを棚にあげて文句を言う。
「魔法使いを?」
「ああ、エンチャント系の魔法使いで元王宮魔導師だ」
その王宮魔導師はこの国に恨みを持っていて、野盗を引き連れて町を滅ぼして回っているのだと言う。
「おい、クレミアが押されてるぞ!」
冒険者達が劣勢になっているクレミアに浮き足立っている。
しかし誰もクレミアを助けにいかない。
「なんでみんなで門の外に行って助けにいかないんだ?」
「は? アネゴに任せれば大丈夫なんだよ。おれらが下手に行ったらアネゴの邪魔になっちまうんだよ」
こいつら頭おかしいのか今クレミアがピンチだって言ったばかりだろう。
「シンミアちょっと降りてくれるかクレミアを手伝ってくる」
「あ゛? 一緒に行くに決まってるだろ」
「レベル2なんだから負けちゃうだろ」
「なめるなよ犬、オレが人間ごときに負けるわけがないだろ」
ブルドックに負けたのに? 一撃で飛ばされたのに?
「あ”? お前ぶっとばすぞ。油断しなきゃ負ける訳ねぇだろ」
そんなこと言ったらまた生理痛に襲われるぞと思ったがまるで何事もなかったように俺を怒る。
あれ?
回復力がないシンミアにあまり戦闘をさせるのは得策じゃない。
だからと言ってここで待ってろと言ったらふてくされるだろうしな。
油断しなきゃ勝てるのか? なら信じるしかないな。
「わかった、なら俺を盾にして戦うんだぞ」
「あ゛? 犬を盾にして――」
「ダメだ、もし自分勝手に戦うようならここに残す」
「くそが、犬の癖に。犬の癖に!」
シンミアはその場でジタンダを踏み駄々をこねる。
ちょ、ここ生理痛が起きるところでしょ? 俺シンミアに殺されちゃうよ?
とりあえず怖いのでシンミアを残し門の方へ向かう。
「ちょ、まてよ!」
「で、どうするんだ?」
「……分かった。分かったよ! 犬の後ろにいれば良いんだろ!」
頬を膨らませて怒るシンミアの頭を撫でると俺は背中を向け親指で背中を指す。
「ふん」
シンミアはジャンプすると俺の背中に馬に乗るように飛び乗った。
「じゃあいくぞ気を付けろよ」
「わかってるよ!」
俺は門の梯子を駆け登るように登頂するとそのままクレミアの側までジャンプした。
「あんた!?」
「助けに来たぞ」
「いや、あんた生産職だろ? 足手まといだよ」
クレミアは呆れるように俺を見る。
「まあ、そう言うなって」
俺たちが話している最中に盗賊の一人が俺に向かって槍を放ってきた。
俺はその槍を左手で――。
「いってぇぇぇぇぇぇ!」
槍が左腕の骨を破壊して完全に貫いている。力で勝る俺はその槍を掴み野盗を投げ飛ばした。
腕に刺さった槍を叩き折り、左腕の槍を引き抜くと傷は一瞬で治った。
まるで回復薬(大)を飲んだような回復だな。
”バキッ!バキッ!”
音がする方を見るとシンミアが二人の盗賊を叩きのめしていた。
あれ強いじゃん。
ちょっと待って。俺、恥ずかしいよね? かなり恥ずかしいよね?
シンミアって俺より弱いんじゃないのかよ。
「ちょ、シンミア俺の後ろにいる約束だろ!」
「ちゃんと犬の後ろにいるだろ、そんなことより、その折れた槍を貸せ!」
確かに俺の後ろだけど離れすぎだろ。しかし、こんなものなんに使うんだ?
俺は折れた矛先をシンミアに投げて渡した。
シンミアはそれを蹴り飛ばし盗賊の額にぶち当てた。
「バカ犬。短い方寄越してどうすんだ! そっちの棒の方を渡せよ!」
「ああ、ごめん」
俺は折れた槍をシンミアに渡すと一瞬で4人を倒した。
さすが岩猿の神様だ棒術を使わせたら普通よりも強いんだな。
「やるわね、あの娘」
そ~うですね。
クレミアもシンミアが作った隙を利用して自分に群がる野盗を叩き切った。
せっかく格好つけたのに台無しだ。
その手には大剣を持って。
俺たちもつられて、いつの間にか正門へと向かってしまった。
『ポテラ町の諸君! 降伏する決断はしたかね?』
頭の中に誰かの言葉が直接響き渡る。
「ふざけるんじゃないよ! てめぇらに降伏なんぞするもんかい!」
クレミアが門の上に立ち外にいるであろう野盗に向かって怒鳴りつける。
『愚か者ですね。皆さんやっておしまいなさい!』
「「「「「うおぉぉぉ!!!」」」」」
その怒声と共に弓矢が町の中へと飛んでくる。
その弓矢はあり得ない速度で冒険者達を襲う。
「その矢は叩き落しな! 叩き落とさないと当たるよ!」
クレミアの言葉で何人かの冒険者は矢を叩き落とすが全員が全員そんなこともできるわけもなく、冒険者たちは弓矢に刺されて阿鼻叫喚の図を作り出していた。
俺に向かっても矢が飛んでくる何本も何本も。
「シンミア俺の後ろに隠れろ」
「おう!」
シンミアは俺の背中に飛び乗って喜んでいる。
イヤイヤ、俺の後ろに隠れてね。それじゃ頭と手でてるからね?
速いと言っても見えない速さじゃない。俺は弓矢を打ち落とそうと手を前に出した。
”トス。トス。トス”
三本の矢が俺の身体を貫く。
「あれ?」
まあ、漫画じゃあるまいし、とれる訳ないよな。と後悔しながら俺は膝をついた。
しかし、その瞬間弓矢は俺の身体から弾かれるように抜け落ちた。
「は?」
「なんだ犬は超回復持ちなのか?」
「いや、俺普通の人間だよ? そんなビックリ人間みたいな能力あるわけ無いじゃん」
どう言うことだ? 俺の隠しステータスとかか?
こういうとき全部のステータスが見れないのは不便だよな。
クレミアは弓矢攻撃を防ぎきるとさっさと門から飛び降り敵に突撃したようだ。
俺は弓矢にやられた冒険者に回復薬(低)++を飲ませて歩いた。
表面的には治っているが筋肉繊維や内蔵気管までは完全回復しないようだ。
どうやら回復薬(低)++は表面の怪我しか治せないようだ。
しかし、野盗の連中なにげに強いな。それとも冒険者が弱いのか?
「くそ、あいつら魔法使いを仲間にしたからって調子に乗りやがって」
弓矢に撃ち抜かれた冒険者が自分のふがいなさを棚にあげて文句を言う。
「魔法使いを?」
「ああ、エンチャント系の魔法使いで元王宮魔導師だ」
その王宮魔導師はこの国に恨みを持っていて、野盗を引き連れて町を滅ぼして回っているのだと言う。
「おい、クレミアが押されてるぞ!」
冒険者達が劣勢になっているクレミアに浮き足立っている。
しかし誰もクレミアを助けにいかない。
「なんでみんなで門の外に行って助けにいかないんだ?」
「は? アネゴに任せれば大丈夫なんだよ。おれらが下手に行ったらアネゴの邪魔になっちまうんだよ」
こいつら頭おかしいのか今クレミアがピンチだって言ったばかりだろう。
「シンミアちょっと降りてくれるかクレミアを手伝ってくる」
「あ゛? 一緒に行くに決まってるだろ」
「レベル2なんだから負けちゃうだろ」
「なめるなよ犬、オレが人間ごときに負けるわけがないだろ」
ブルドックに負けたのに? 一撃で飛ばされたのに?
「あ”? お前ぶっとばすぞ。油断しなきゃ負ける訳ねぇだろ」
そんなこと言ったらまた生理痛に襲われるぞと思ったがまるで何事もなかったように俺を怒る。
あれ?
回復力がないシンミアにあまり戦闘をさせるのは得策じゃない。
だからと言ってここで待ってろと言ったらふてくされるだろうしな。
油断しなきゃ勝てるのか? なら信じるしかないな。
「わかった、なら俺を盾にして戦うんだぞ」
「あ゛? 犬を盾にして――」
「ダメだ、もし自分勝手に戦うようならここに残す」
「くそが、犬の癖に。犬の癖に!」
シンミアはその場でジタンダを踏み駄々をこねる。
ちょ、ここ生理痛が起きるところでしょ? 俺シンミアに殺されちゃうよ?
とりあえず怖いのでシンミアを残し門の方へ向かう。
「ちょ、まてよ!」
「で、どうするんだ?」
「……分かった。分かったよ! 犬の後ろにいれば良いんだろ!」
頬を膨らませて怒るシンミアの頭を撫でると俺は背中を向け親指で背中を指す。
「ふん」
シンミアはジャンプすると俺の背中に馬に乗るように飛び乗った。
「じゃあいくぞ気を付けろよ」
「わかってるよ!」
俺は門の梯子を駆け登るように登頂するとそのままクレミアの側までジャンプした。
「あんた!?」
「助けに来たぞ」
「いや、あんた生産職だろ? 足手まといだよ」
クレミアは呆れるように俺を見る。
「まあ、そう言うなって」
俺たちが話している最中に盗賊の一人が俺に向かって槍を放ってきた。
俺はその槍を左手で――。
「いってぇぇぇぇぇぇ!」
槍が左腕の骨を破壊して完全に貫いている。力で勝る俺はその槍を掴み野盗を投げ飛ばした。
腕に刺さった槍を叩き折り、左腕の槍を引き抜くと傷は一瞬で治った。
まるで回復薬(大)を飲んだような回復だな。
”バキッ!バキッ!”
音がする方を見るとシンミアが二人の盗賊を叩きのめしていた。
あれ強いじゃん。
ちょっと待って。俺、恥ずかしいよね? かなり恥ずかしいよね?
シンミアって俺より弱いんじゃないのかよ。
「ちょ、シンミア俺の後ろにいる約束だろ!」
「ちゃんと犬の後ろにいるだろ、そんなことより、その折れた槍を貸せ!」
確かに俺の後ろだけど離れすぎだろ。しかし、こんなものなんに使うんだ?
俺は折れた矛先をシンミアに投げて渡した。
シンミアはそれを蹴り飛ばし盗賊の額にぶち当てた。
「バカ犬。短い方寄越してどうすんだ! そっちの棒の方を渡せよ!」
「ああ、ごめん」
俺は折れた槍をシンミアに渡すと一瞬で4人を倒した。
さすが岩猿の神様だ棒術を使わせたら普通よりも強いんだな。
「やるわね、あの娘」
そ~うですね。
クレミアもシンミアが作った隙を利用して自分に群がる野盗を叩き切った。
せっかく格好つけたのに台無しだ。
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