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3章 モンキー・ダンス・レボリューション

世界統一を目論む国家

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「きさまそこを動くなよ! 一歩でも動いたら刺し殺すぞ!」

 三人いる門番の二人は左右に別れ俺を挟み込む。一人は応援を呼びに行ったのか町の中へとかけていく。

 たぶん逃げれば難なく逃げられるだろうけど、情報が欲しいので是が非でもこの町に入りたい。
 シンミアの言う豚野郎オークのことも探さないといけないしな。

「私は怪しいものじゃありませんよ」

「だまれ! 今、お前の素性を調べる者が来る、それまで大人しくせよ!」

 やれやれ、まあ素性を調べてもらえるなら大丈夫か。それにしても怪しいものじゃありませんはないよな。

 自分を怪しくないという奴はだいたい怪しい。

 しばらく膠着状態が続くと、町の中に消えた守衛の一人が背中に老婆をしょって帰ってきた。

「やれやれ、あんまり老体に無茶させるんじゃないよ」

 守衛から飛び降りると老婆はトコトコと俺の方へと近寄る。

「オババ様危険です。おい男動くなよ」

 守衛は切っ先を俺の首筋に当てるがオババはその槍を払い除ける。

「バカだね。どう見ても一般人だろ、お前らは守衛なんだから少しは人を見る目を養いな」

「しかしオババ様。街道をこんな装備で来れるわけが」

 確かに俺の服は町民スタイルに木の棒を差しただけのスタイルだ。RPGなら完全に初期装備。

 ブルドックの強さがどの程度なのかわからないが守衛の言うとおり俺の装備じゃ倒せないランクの魔物なのだろう。

「世の中には運が良い奴もいるもんさこいつもその部類だろうよ」

「はぁ……。オババ様がそういうなら」

 守衛は老婆に諭され槍を俺から離し縦に持ち直した。

「そこの若いの。この水晶に手を置きな」

「なんですこれは?」

「なんでも良いさね。ここに手を置かないとこの町には入れない、ただそれだけさ」

「わかりました」

 俺は老婆に言われた通り水晶に手を置いた。

「ふむ、見える見えるぞ」

「オババ様こやつ大丈夫ですか?」

「ああ、問題ない殺人はおかしとらんよ。名前はケンタね。生産者? 聞いたことが無い職業だけど名前からして生産系なんだろうね」

 生産系と効いて守衛たち顔から笑みがこぼれる。生産系に怯えて恥ずかしいのか俺を嘲笑してるのかは分からないが。

「しかし……お前さん、ずいぶん遠い場所から来なすったね」

「どこから来たのかわかるんですか?」

「ん? そりゃそうさ、鑑定だからね。あんた……グランヘイム王国周辺から来てるね」

 その王国の名前を聞いて守衛たちがざわめき再び緊迫した空気が流れる。

「お前、グランヘイム王国の間者かんじゃか!?」

「いいえ、違いますが」

「あわてるでないよ。最西端のグランヘイム王国がいきなりこの国に戦争を吹っ掛けるわけないだろ」

「まあ、そうですが」

 この老婆何気に権力があるのか守衛は老婆の言葉に逆らえないようだ。

「そのグランヘイム王国がなんなのですか?」

「知らんのか? 世界統一戦争を仕掛けてるんだよ」

「世界を統一?」

「と言うか何てステータスだい!? レベル2の癖に力や素早さが異常な数値だよ。これならこの街道を歩いてこれるはずさ」

 鑑定を続ける老婆の驚きの声に守衛たちはまた俺に槍を向ける。喜怒哀楽の激しい連中だな。こんなのが守衛でこの街の防衛大丈夫なのか?

「害はないのですか?」

「さっきも言ったろ殺人はおかしていないって。この町に害意も持ってないし入れても大丈夫さね」

「そうですか。よしケンタ通行を許可する、入って良いぞ」

 老婆の言葉には絶対的な信頼を持っているらしく、俺は入場を許可された。

「許可はありがたいのですが、その世界統一戦争と言うのを聞きたいのですが?」

 戦争に巻き込まれたら大変だが、俺はどうやらそこら周辺を拠点にしていたらしいし、詳しい話を聞きたい。

「ん? それなら冒険者ギルドで聞けばよかろう、金を出せばなんでも教えてくれるぞ」

「わかりました」

 町の中に入ろうとする俺にオババが声をかけ呼び止める。

「ケンタとやら、あんたの運命はこれから波乱に満ちたものになるだろうけど、大事なものを忘れてはいけないよ」

「? はいありがとうございます」

 その言葉の意味はわからないが俺の失われた記憶を揺さぶる、そんな感じがしたのだった。



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