34 / 67
3章 モンキー・ダンス・レボリューション
油断大敵ワニワニパニック。
しおりを挟む
しかし、さっきのニーキックはどう考えても異常だ。
レベル2の俺が一撃で魔物を倒せるとは思えない。シンミアでさえ吹き飛ばされたのだから、レベル2がそこまで強いわけでもない。
なら考えられることはひとつ、俺の身体はエルダートレインのステータスが適用されていると言うことだ。
俺のステータスは頭の悪い脳筋仕様。荷物を持つためには力やHPにステータスを振らなければいけない。
だからこのおっさんの見た目に反して俺のパワーは異常なんだ。
ブルドックの角を折ったのも、もしかしたら自分の筋力かもしれないな。
だとしたら気をつけなければいけないことがひとつある。
エルダートレインでは防御力を上げる方法が防具しかないことだ。
どんなに強者でも人間の防御力は10固定なのだ。
だから、俺のステータスがエルダートレインに準拠しているのだとしたら、防御力は紙装甲。
雑魚の一撃で大ダメージを受ける。
そう考えるとさっきのブルドックとの一戦はやばかったな、一撃でも食らってたら死んでいたかもしれない。
できるだけ戦闘は避けよう。
その後はシンミアに魔物が近くにいたら、俺に教えるようにお願いした。
悪態をつきつつも了承したのはやはり身体が辛いからなのだろう。
魔物が来ることさえわかれば余裕だ、逃げさせたら俺は天下一品だからな。
エルダートレイン生産職は魔物に対してほぼ無力である。用意をして闘えば倒せないこともないが基本は戦うような装備をしてない。
そのためにHPや力以外にも極振りしているものがある。
それは素早さだ。
素早さを上げると魔物からなんなく逃げられるようになる、だから生産職は素早さも極振りMAXが基本なのだ。
それでもテイマーのPKからは逃げられない。
テイムされた魔物は上限を突破して成長する。
上限を突破した魔物は同種の魔物ではまったく相手にならずボスクラスの魔物ですらも単騎で倒すほどの力を持つ。
そんなボスクラスの魔物を乗りこなすのがテイマーなのだ。
そんな奴らがPKをするのだ。
生産職が勝てるわけがない。
それは神の戯れかメギドの火かっていうくらい絶望的なのだ。
だから、いくら運営があとから戦士や生産職優遇のために色々な武器やスキルを作っても焼け石に水だったのだ。
だいたい運営がテコ入れする頃には戦士は絶滅していた。最後の戦士は俺が看取った。
『やっぱ戦士無理だわ、私もテイマーするわ』がそいつの最後の言葉だ。
等と考えていると、前に小さな橋がかかっているのが見えた。
その場所に駆け寄ると綺麗な小川が流れていた。
よし! これで身体が洗える。
「シンミアちょっと小川で身体を洗いたいから魔物いるか見てくれない?」
「ぱっと見はいないな」
とは言え、念には念を石橋は叩いて叩いて、壊して鉄の橋にしてから渡る男ケンタは油断なんかしませんよ。
武器はないけど、木の棒を農業用フォークに変えて、簡易武器にするのを怠らない。
農業用フォークは絵画の暴徒はもちろん、悪魔でさえも持つ呪われた兵器、その事かもら実力の高さを証明しているだろう。
「犬良いもの持ってるな。どこで手に入れたんだ?」
「ふふふ、良いだろう女神様からもらったんだよ」
「ああ、やっぱりか。だとするとそれ天界の柱だわ」
シンミアの話では、この木の棒は天界の間にある柱の一本だろうと言う。あのお約束をやらせない、天空に伸びる柱か。
かなり上空にまで伸びる柱は何かを支えているようだったけど。
「大事な柱じゃないのか? 取って大丈夫なのか?」
「なんでだ?」
「だって天界の天井とか支えてるんじゃないの?」
柱を取ったせいで世界が破滅なんてゴメンだからな。そんな俺の思いとは裏腹にシンミアは言う。
「いや、ただのおしゃれアイテムだぞそれ。なんもないと寂しいから柱立てたんだ」
「……」
まあ、用途はどうであれ、これは六柱神の神通力が込められているので、シンミア曰く面白いことができるらしい。
「ちょっとかしてみ」
農業用フォークをシンミアに渡した瞬間農業用フォークが一瞬輝いた。
「な、なんだ?」
返してもらった農業用フォークを右手に持つと情報が現れた。
「強化されてるだと!?」
◎農業用フォーク(神柱)
解放属性:土(LV2)
・刈草まとめ+効果2%Up
・干し草ロール作成+効果2%UP
・低級肥料作成+効果2%UP
農業用の効果がだけね。
戦闘用効果が上がるんじゃないのかよ。
しかも強化上昇値がまたレベル依存だよ。どれだけレベル依存好きなんだよ。
シンミアはドヤ顔をしている。オレのお陰で強くなったろと言わんばかりのドヤ顔である。この顔を見て文句をいうのも大人げないので俺はシンミアにお礼を言った。
「ありがとう。なんか土属性ついたよ」
「そうだろう。誉めても良いんだぞ」
鼻をピスピスさせて、誉めて誉めてと言わんばかりの顔をしているので、俺はお礼を言って頭を撫でた。
この世界の属性の相克を聞くと
(強)土→水→火→風(弱)
光→←闇
なのだという。
土は風に弱いんじゃないの? と聞いたら取り合えず殴られた。
土が風に負けるわけがないだろと殴られた。
「風化とかあるじゃん。負けてるじゃん」
「犬はバかだな。形を変えただけで消滅してないだろ。だから土は不死身なんだよ」
それ言ったら水も不死身じゃんとか思ったけどこれ以上はやぶ蛇だ。この世界の神がそうだと言っている以上そうなのだろう。
真実は小説より奇なりなのだ。
……神とは言えシンミア話半分に聞いておこう。
小川につくとシンミアを下ろし俺は服を脱いだ。
服は焼く。汚れてるからね!
少女趣味の奴に売り付ければ高くつくけど。逆の意味で高くつきそうだから焼却あるのみ。
取り合えず小川で身体を洗うか。
はっ!黄金水が染み込んだこの服を、この清流の水で割れば黄金水の水割りができるじゃないか。それを世界のロリコンに売るんだ。そして億万長者になるのだ。
『思い出すのです友よ、すでに……ロリ……』
何だ頭が痛い記憶の残像? なぜ今?
俺が苦痛に顔を歪ませていると正面の中洲が動き出した。
「ん? なんだあれ」
次の瞬間すごい早さで中洲が動く。
岸に近づいた中洲は波しぶきを立て俺へと向かってくる。ヤバイ、あれワニだ!
とっさに農業用フォークを手に取ると石突き部分を地面につけ先端をワニに向けた。
ワニは導かれるように農業用フォークの先端に食らいつき、串刺しになった。
こわっ!
口から入った農業用フォークの先端は湾曲しているお陰でワニの脳みそを突き破っていた。
これ槍だったら食われてたな。
「んだよぉ。やるじゃんか犬。これ食べようぜ」
「いやいや、シンミアさん、魔物いないって言ったよね? 言いましたよね?」
「ん? こいつ魔物じゃねぇぞ。ただの動物だ。」
「……」
ワニと言うかアリゲーターですよこれ? 全長10mくらいあるんですけど? こんな生物がうようよいるんですかこの世界。
「な~な~早く食べようぜ」
「じゃあ薪拾ってきて」
「よしゃ! まかせとけって!」
そう言うとシンミアは一目散に林の中へと入って行った。
解体か。生産者に解体スキルなんてないよな? エルダートレインでは刃物を持っていれば解体たけど、ここではどうだ?
俺は木の棒を包丁に変えて利き手で持った。
◎包丁(神柱)
・解体
・調理技術
普通に解体あるんだな。
それと包丁には土属性がつかないのか?
まあ効果を見る限り、そんなのついたら腐るの早そうだけど。
腐るか? 熟成肉とかあるし逆に面白いかもしれないな。
付いてないから試しようがないけど。
俺は解体を選びワニに刃を当てた。ワニは一瞬で肉と素材に分けられた。
……いいのか異世界、本当にこれでいいのか?
まあ、内蔵取り出せとか言われても困るけどさ。
食べられそうな部位をアイテムストレージに入れ、他は農業用フォークで小川へと流した。
仲間のワニがいるかなと思ったのだが、他にワニがいないところを見るとこいつが共食いしたか縄張り主張系のワニなのだろう。
「持ってきたぜ」
シンミアが山盛りの小枝を抱え帰ってきた。
「おお、いっぱい取ってきてくれてありがとうな。すぐ焼いてやるから待ってな」
ゲームでは枝に着火道具だけで火が着く。どうせそんなもんだろうと思ったが火がつかない。
「なぁ~なぁ~まだか~? お腹ペコペコだよ」
「おう、今焼いててやるからな」
背筋に冷たいものが流れる。ここで火がつきませんでしたとなったら確実にシンミアは怒って生理痛になる。
俺のせいで生理痛になったらもう責任とるしかなくなる。
それはまずい。
何がまずいってアニメのツンデレと違ってリアルのツンデレはなにげに心に傷を残す。
リアルツンデレはマジ地雷。
通常キャンプでは柔らかい糸屑のようなものから火をつける。
しかし、そんなものないよな。
あ。
あるじゃないか要らなくなった服が。
俺は服を切り裂き細かくすると積んだ薪の下にいれた。
その瞬間着火装置の灰色だった【着火】の文字が黒くなった。
選択すると一瞬で火がついた。
「おお、やるな犬。早く焼こうぜ。」
フライパン出しそこに焼きやすく切り整えたワニ肉を置き、ステーキを選択した。
一瞬でワニのステーキが出来上がった。
情緒もくそもないな。串焼きなども作ったがやはり一瞬だった。どうやらレベル2の調理方法が発動してるらしい。
「ウハ、なにこれうまいよ犬やるじゃん!」
「俺はスキル熟練度1000の神シェフだからな」
たぶんエルダートレインのスキルのせいだろうけどドヤ顔で胸を張った。
一服した俺たちはまた街道を再び歩きだす。
「犬。ん」
シンミアは手をキョンシー見たいに前に出し、ぴょんぴょん飛んでおんぶしろと主張する。
「はいはい」
「ハイは一回でいい」
「ところでさ、さっき木の棒を包丁に変化させたら土属性なくなっちゃたんだけど?」
「ああ、それならリセットされたんだろうな」
なんでも神柱には神気が封印されており、それを解放することで属性を発現させたそうなのだ。
当然木の棒の中の神気は有限で使ったら回復するまで使用不可になるのだと言う。
その後、シンミアの指示通り街道を魔物を避けながら歩いて、なんとか町までたどり着いた。
「怪しいやつ、そんな軽装備でこの街道を歩いてくるとは何者だ」
門番たちが俺に槍を向けて威嚇する。
まあ、そうなるよね。
レベル2の俺が一撃で魔物を倒せるとは思えない。シンミアでさえ吹き飛ばされたのだから、レベル2がそこまで強いわけでもない。
なら考えられることはひとつ、俺の身体はエルダートレインのステータスが適用されていると言うことだ。
俺のステータスは頭の悪い脳筋仕様。荷物を持つためには力やHPにステータスを振らなければいけない。
だからこのおっさんの見た目に反して俺のパワーは異常なんだ。
ブルドックの角を折ったのも、もしかしたら自分の筋力かもしれないな。
だとしたら気をつけなければいけないことがひとつある。
エルダートレインでは防御力を上げる方法が防具しかないことだ。
どんなに強者でも人間の防御力は10固定なのだ。
だから、俺のステータスがエルダートレインに準拠しているのだとしたら、防御力は紙装甲。
雑魚の一撃で大ダメージを受ける。
そう考えるとさっきのブルドックとの一戦はやばかったな、一撃でも食らってたら死んでいたかもしれない。
できるだけ戦闘は避けよう。
その後はシンミアに魔物が近くにいたら、俺に教えるようにお願いした。
悪態をつきつつも了承したのはやはり身体が辛いからなのだろう。
魔物が来ることさえわかれば余裕だ、逃げさせたら俺は天下一品だからな。
エルダートレイン生産職は魔物に対してほぼ無力である。用意をして闘えば倒せないこともないが基本は戦うような装備をしてない。
そのためにHPや力以外にも極振りしているものがある。
それは素早さだ。
素早さを上げると魔物からなんなく逃げられるようになる、だから生産職は素早さも極振りMAXが基本なのだ。
それでもテイマーのPKからは逃げられない。
テイムされた魔物は上限を突破して成長する。
上限を突破した魔物は同種の魔物ではまったく相手にならずボスクラスの魔物ですらも単騎で倒すほどの力を持つ。
そんなボスクラスの魔物を乗りこなすのがテイマーなのだ。
そんな奴らがPKをするのだ。
生産職が勝てるわけがない。
それは神の戯れかメギドの火かっていうくらい絶望的なのだ。
だから、いくら運営があとから戦士や生産職優遇のために色々な武器やスキルを作っても焼け石に水だったのだ。
だいたい運営がテコ入れする頃には戦士は絶滅していた。最後の戦士は俺が看取った。
『やっぱ戦士無理だわ、私もテイマーするわ』がそいつの最後の言葉だ。
等と考えていると、前に小さな橋がかかっているのが見えた。
その場所に駆け寄ると綺麗な小川が流れていた。
よし! これで身体が洗える。
「シンミアちょっと小川で身体を洗いたいから魔物いるか見てくれない?」
「ぱっと見はいないな」
とは言え、念には念を石橋は叩いて叩いて、壊して鉄の橋にしてから渡る男ケンタは油断なんかしませんよ。
武器はないけど、木の棒を農業用フォークに変えて、簡易武器にするのを怠らない。
農業用フォークは絵画の暴徒はもちろん、悪魔でさえも持つ呪われた兵器、その事かもら実力の高さを証明しているだろう。
「犬良いもの持ってるな。どこで手に入れたんだ?」
「ふふふ、良いだろう女神様からもらったんだよ」
「ああ、やっぱりか。だとするとそれ天界の柱だわ」
シンミアの話では、この木の棒は天界の間にある柱の一本だろうと言う。あのお約束をやらせない、天空に伸びる柱か。
かなり上空にまで伸びる柱は何かを支えているようだったけど。
「大事な柱じゃないのか? 取って大丈夫なのか?」
「なんでだ?」
「だって天界の天井とか支えてるんじゃないの?」
柱を取ったせいで世界が破滅なんてゴメンだからな。そんな俺の思いとは裏腹にシンミアは言う。
「いや、ただのおしゃれアイテムだぞそれ。なんもないと寂しいから柱立てたんだ」
「……」
まあ、用途はどうであれ、これは六柱神の神通力が込められているので、シンミア曰く面白いことができるらしい。
「ちょっとかしてみ」
農業用フォークをシンミアに渡した瞬間農業用フォークが一瞬輝いた。
「な、なんだ?」
返してもらった農業用フォークを右手に持つと情報が現れた。
「強化されてるだと!?」
◎農業用フォーク(神柱)
解放属性:土(LV2)
・刈草まとめ+効果2%Up
・干し草ロール作成+効果2%UP
・低級肥料作成+効果2%UP
農業用の効果がだけね。
戦闘用効果が上がるんじゃないのかよ。
しかも強化上昇値がまたレベル依存だよ。どれだけレベル依存好きなんだよ。
シンミアはドヤ顔をしている。オレのお陰で強くなったろと言わんばかりのドヤ顔である。この顔を見て文句をいうのも大人げないので俺はシンミアにお礼を言った。
「ありがとう。なんか土属性ついたよ」
「そうだろう。誉めても良いんだぞ」
鼻をピスピスさせて、誉めて誉めてと言わんばかりの顔をしているので、俺はお礼を言って頭を撫でた。
この世界の属性の相克を聞くと
(強)土→水→火→風(弱)
光→←闇
なのだという。
土は風に弱いんじゃないの? と聞いたら取り合えず殴られた。
土が風に負けるわけがないだろと殴られた。
「風化とかあるじゃん。負けてるじゃん」
「犬はバかだな。形を変えただけで消滅してないだろ。だから土は不死身なんだよ」
それ言ったら水も不死身じゃんとか思ったけどこれ以上はやぶ蛇だ。この世界の神がそうだと言っている以上そうなのだろう。
真実は小説より奇なりなのだ。
……神とは言えシンミア話半分に聞いておこう。
小川につくとシンミアを下ろし俺は服を脱いだ。
服は焼く。汚れてるからね!
少女趣味の奴に売り付ければ高くつくけど。逆の意味で高くつきそうだから焼却あるのみ。
取り合えず小川で身体を洗うか。
はっ!黄金水が染み込んだこの服を、この清流の水で割れば黄金水の水割りができるじゃないか。それを世界のロリコンに売るんだ。そして億万長者になるのだ。
『思い出すのです友よ、すでに……ロリ……』
何だ頭が痛い記憶の残像? なぜ今?
俺が苦痛に顔を歪ませていると正面の中洲が動き出した。
「ん? なんだあれ」
次の瞬間すごい早さで中洲が動く。
岸に近づいた中洲は波しぶきを立て俺へと向かってくる。ヤバイ、あれワニだ!
とっさに農業用フォークを手に取ると石突き部分を地面につけ先端をワニに向けた。
ワニは導かれるように農業用フォークの先端に食らいつき、串刺しになった。
こわっ!
口から入った農業用フォークの先端は湾曲しているお陰でワニの脳みそを突き破っていた。
これ槍だったら食われてたな。
「んだよぉ。やるじゃんか犬。これ食べようぜ」
「いやいや、シンミアさん、魔物いないって言ったよね? 言いましたよね?」
「ん? こいつ魔物じゃねぇぞ。ただの動物だ。」
「……」
ワニと言うかアリゲーターですよこれ? 全長10mくらいあるんですけど? こんな生物がうようよいるんですかこの世界。
「な~な~早く食べようぜ」
「じゃあ薪拾ってきて」
「よしゃ! まかせとけって!」
そう言うとシンミアは一目散に林の中へと入って行った。
解体か。生産者に解体スキルなんてないよな? エルダートレインでは刃物を持っていれば解体たけど、ここではどうだ?
俺は木の棒を包丁に変えて利き手で持った。
◎包丁(神柱)
・解体
・調理技術
普通に解体あるんだな。
それと包丁には土属性がつかないのか?
まあ効果を見る限り、そんなのついたら腐るの早そうだけど。
腐るか? 熟成肉とかあるし逆に面白いかもしれないな。
付いてないから試しようがないけど。
俺は解体を選びワニに刃を当てた。ワニは一瞬で肉と素材に分けられた。
……いいのか異世界、本当にこれでいいのか?
まあ、内蔵取り出せとか言われても困るけどさ。
食べられそうな部位をアイテムストレージに入れ、他は農業用フォークで小川へと流した。
仲間のワニがいるかなと思ったのだが、他にワニがいないところを見るとこいつが共食いしたか縄張り主張系のワニなのだろう。
「持ってきたぜ」
シンミアが山盛りの小枝を抱え帰ってきた。
「おお、いっぱい取ってきてくれてありがとうな。すぐ焼いてやるから待ってな」
ゲームでは枝に着火道具だけで火が着く。どうせそんなもんだろうと思ったが火がつかない。
「なぁ~なぁ~まだか~? お腹ペコペコだよ」
「おう、今焼いててやるからな」
背筋に冷たいものが流れる。ここで火がつきませんでしたとなったら確実にシンミアは怒って生理痛になる。
俺のせいで生理痛になったらもう責任とるしかなくなる。
それはまずい。
何がまずいってアニメのツンデレと違ってリアルのツンデレはなにげに心に傷を残す。
リアルツンデレはマジ地雷。
通常キャンプでは柔らかい糸屑のようなものから火をつける。
しかし、そんなものないよな。
あ。
あるじゃないか要らなくなった服が。
俺は服を切り裂き細かくすると積んだ薪の下にいれた。
その瞬間着火装置の灰色だった【着火】の文字が黒くなった。
選択すると一瞬で火がついた。
「おお、やるな犬。早く焼こうぜ。」
フライパン出しそこに焼きやすく切り整えたワニ肉を置き、ステーキを選択した。
一瞬でワニのステーキが出来上がった。
情緒もくそもないな。串焼きなども作ったがやはり一瞬だった。どうやらレベル2の調理方法が発動してるらしい。
「ウハ、なにこれうまいよ犬やるじゃん!」
「俺はスキル熟練度1000の神シェフだからな」
たぶんエルダートレインのスキルのせいだろうけどドヤ顔で胸を張った。
一服した俺たちはまた街道を再び歩きだす。
「犬。ん」
シンミアは手をキョンシー見たいに前に出し、ぴょんぴょん飛んでおんぶしろと主張する。
「はいはい」
「ハイは一回でいい」
「ところでさ、さっき木の棒を包丁に変化させたら土属性なくなっちゃたんだけど?」
「ああ、それならリセットされたんだろうな」
なんでも神柱には神気が封印されており、それを解放することで属性を発現させたそうなのだ。
当然木の棒の中の神気は有限で使ったら回復するまで使用不可になるのだと言う。
その後、シンミアの指示通り街道を魔物を避けながら歩いて、なんとか町までたどり着いた。
「怪しいやつ、そんな軽装備でこの街道を歩いてくるとは何者だ」
門番たちが俺に槍を向けて威嚇する。
まあ、そうなるよね。
0
お気に入りに追加
869
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~
みやま たつむ
ファンタジー
【本編完結しました(812話)/後日譚を書くために連載中にしています。ご承知おきください】
事故死したところを別の世界に連れてかれた陽キャグループと、巻き込まれて事故死した事なかれ主義の静人。
神様から強力な加護をもらって魔物をちぎっては投げ~、ちぎっては投げ~―――なんて事をせずに、勢いで作ってしまったホムンクルスにお店を開かせて面倒な事を押し付けて自由に生きる事にした。
作った魔道具はどんな使われ方をしているのか知らないまま「のんびり気ままに好きなように生きるんだ」と魔物なんてほっといて好き勝手生きていきたい静人の物語。
「まあ、そんな平穏な生活は転移した時点で無理じゃけどな」と最高神は思うのだが―――。
※「小説家になろう」と「カクヨム」で同時掲載しております。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】
一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。
追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。
無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。
そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード!
異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。
【諸注意】
以前投稿した同名の短編の連載版になります。
連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。
なんでも大丈夫な方向けです。
小説の形をしていないので、読む人を選びます。
以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。
disりに見えてしまう表現があります。
以上の点から気分を害されても責任は負えません。
閲覧は自己責任でお願いします。
小説家になろう、pixivでも投稿しています。

神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。
猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。
そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。
あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは?
そこで彼は思った――もっと欲しい!
欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。
神様とゲームをすることになった悠斗はその結果――
※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる