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2章 ゴブリンの花嫁たち

妄想が爆発、抑えられぬリビドー。大変が変態だ!

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 結界を抜けると俺たちは驚愕した。死屍累々そこにはゴブリンの死体が所狭しと並んでいた。

「こんなにゴブリンがいるのか」

「これは、かなり増えてるのかもしれませんね」

 シャーロンさんも、この異常事態に体が震えている。

 ゴブリンキングの怖さを間近で見たのだ恐怖心はこの中で一番だろうにシャーロンさんはサラの為に自分を奮い立たせている。

 正直に言えば俺も怖い。女の子とお近づきになりたい、そんな気持ちで始めた生産だったけど。実際はグラフィックとはいえ血を見るのが嫌だったからだ。

 血には若さを保つ効果があると言う。血の伯爵夫人の異名を持つエリザベート・バートリは若い男女を殺して血の風呂に入っていたと言う、その血の風呂にはプカプカと白い丘が二つ浮いていたろう。

 おっぱい好きな俺でも、さすがにその惨状を見て言える言葉は「おっぱい砂丘!」くらいだ。

 それほど血は嫌いなのだ。

「どうしたですケンタ」

「ごめんちょっと気分悪くなった」

「ケンタさんは生産職ですから、血になれてないんですよ」

「肩を貸しましょうか?」

 皆の優しい言葉が俺の良心をえぐる。

 すみません! 自分でアホなこと考えて気持ち悪くなってすみません!

 心の中でジャンピング土下座を陸上のトラック10周はする勢いで謝った。

「大丈夫、ありがとう。このくらいで怖じけづいてなんかいられないからね」

 そうだ、このくらいの妄想で倒れてなんていられない。

 俺にはまだ、いく百、いく億の妄想のネタが待っているのだから!

「そうですね、これからもっと熾烈な戦いになりますからね。頑張りましょう」

 本当に心配そうに俺に手を貸すシャーロンさんに猛省する。

 くそ妄想野郎でごめんなさ~い!! 

 どうやら、しばらく自分を押さえ込んでいたせいで妄想が爆発気味なんだろう。

 表面張力が先走ってこぼれちゃったようです。

 今だってシャーロンさんのおっぱいの上でお昼寝したいと思っています。

 やはり、あの谷間。あの谷間が至福なのだろうな。

 少し湿気がある胸の谷間に仰向けになりトランポリンのように跳ねるんだ。

 そして勢い余って蒸れ蒸れの谷間に頭がハマり窒息死するんだ。

 腹上死ならぬ胸上死、なんて素敵なランデブー。

 俺は赤ちゃんに生まれ変わってバブバブー。

「本当に大丈夫ですか?」

 シャーロンさんが倒れている俺の腕を取り立たせようとするが、俺はそれを断り自分の足で立った。

「心配かけた、もう大丈夫だから」

 俺を心配し覗きこむ三人を見る。

 おっぱいが三つ。

 大きめのパイ。ちっパイ。巨パイ。

 これはつまり3πr²(三パイがある。おっぱいは二つあるので二乗)

 半球の表面積とはおっぱいの表面積であるから。

 3πr²パイアール二乗=2πr²パイアール二乗+πr²パイアール二乗=Sと言う公式が成り立つ。
 
 S=space つまりSは宇宙であり世界である。

 見よ! 世界はおっぱいで満ちている!!

 ああ、円周率が見える。

 一夜一夜に人見ごろ……。

 それ、へいほうこ~~~ん!! こ~~ん! こ~ん! 

 平方根ってなんかエロいよねぇ~。


 あれ? ちょっと待て、本当にこれはおかしいぞ。

 妄想が止まらない、一歩先へ進むごとに自分の妄想で押し潰されそうになる。

「もしかして妄幻病?」

 シャーロンさんが何かを言ったが、それすらも俺の妄想の素材になってしまう。

 もう源さんたら今日は旦那が帰ってくるのが早いから少しだけよ?

 わかってますよ奥さん、ワテのゴッドフィンガーなら一瞬で天国へ行けますぜ。げへへ。

 なんで『昼下がりの団地妻、大工の源さんとの指圧事情』が始まったんだ!

「五徳の神王よ、慈悲深き星の女神よ、この者の魂をを守りたまえ。”精神安定防御陣ベンゾジアゼピン”」

 ああ、源さんが消える。お、おくさ~~~~ん!!

「あれ?」

「大丈夫ですか?」

 シャーロンさんが俺の頭に手をおいて不安そうに俺を見る。

「……なんだったんだ今の」

「妄幻病です、結界内では知識量が多い有識者程、幻覚を見てしまうのです」

「知識量? そんなにすごい知識なんて持っていないけど」

「これほどの武器を作れる方だということは、それだけの知識がある証です。申し訳ありませんでした」

 シャーロンさんは俺に深々と頭を下げるが、有識者というより俺が現代人だから、この世界の住人より知識が多いのだろう。

「迷惑かけたね、動けなくなるところだったよ。助かった」

 シャーロンさんがいなかったらやばかった。

 動けなくなったらサラを助けることができなくなっていた。

 運が良い、これは運が良い方に向いてる証だ。

「そう言えばシャーロンさん、他のパーティメンバーはどうしたんですか?」

「巫女様の予言で今日一人で、サバラの町にいかなければ大切な人を失うと言われたのです」

 それにしても予言の内容は大切な人を失うか。シャーロンさんの大切な人ならサラだな。

 なら予言通り一人で来たシャーロンさんは大切な人を失わない。

 つまりサラを助けられるってことだ。

 いいぞ、勝ちフラグもらいました。

「絶対にシャーロンさんの大切な人、サラを救いましょう」

 俺のその言葉にシャーロンさんは少し戸惑いつつも、ハイと言うと先頭を歩きだした。

 シャーロンさんはゴブリンの拠点を知っているので道案内は任せてくださいと言う。

 俺はストレージからツルハシを取り出し装備した。

 できるだけ、俺の奥の手は温存だ。

 あれは最終戦に残しておいた方がいいだろう。

 ゴブリンキングはS級冒険者が二人いるパーティーを壊滅させたのだから。

 しかし、巫女様か。ゼクスの話だと幼女だと言うし一度会ってみたいものだ。

 もちろんリアルロリコンは非合法なのだから手は出しませんよ。

 幼女は愛でるためにいるのです、汚すためにいるのではありません。

「敵襲! 戦闘準備」

 シャーロンさんがそう叫ぶやいなや、狼に乗ったゴブリンや鎧に身を固めたゴブリンが飛び出してきた。

 シャーロンさんが鎧姿のゴブリンを止めるが、残りの狼にのったゴブリンがクニャラとレオナを襲う。

 まずい! あれはレッサーゴブリン等話にならない程強い。

 俺が前に出ようとした瞬間レオナが一瞬で二匹を斬り倒し、クニャラが初級光魔法ライトブリッドでシャーロンさんが相手をしている鎧のゴブリンを貫いた。

「今の魔法はなに?」

 シャーロンさんは攻勢だったとはいえ相手にしていたのは一撃で倒せるような雑魚ゴブリンではなかった。それを魔法一撃で倒してしまったことに驚く。

 そしてクニャラになんの魔法かを聞くが、それが初級光魔法だと知ると二度驚くのだった。

「ライトブリットってこれですよ?」と言うとシャーロンさんは木に向かい魔法を放つ。

 その一撃は木にキツツキが作るような小さな穴を作っただけだった。

 しかし鎧のゴブリンへの一撃はその胸に大きな風穴を開けていた。

「ケンタのお陰です」
「そうです、私たちの力じゃありません」

 二人はそう謙遜するが、あの事件からちゃんと修行をしていたのを俺は知っている。

 頑張ってたもんな。ちゃんと修行の成果も出ているようでよかった。

 いつのまにかゴブリンの武器が俺のストレージに入っていた。

 武装はゴブリンスチールという見たこともない素材でできていた。

 念のため倒したゴブリンを右手で調べると、鎧のゴブリンはゴブリンナイトで狼に乗っていたのがゴブリンライダーだった。

 エルダートレインではこんなゴブリンはいなかった。明らかに通常のゴブリンよりも強い。

 ゴブリンは弱いなどと思っていたら確実に命取りになる。

 しかし、魔物がナイトクラスか、騎士が準男爵と考えるとこいつより強いのが6種以上いると言うことか。

 貴族制度を持つ魔物って、もう国と戦うようなものだな。

 きっとサラは死に物狂いで戦っている。

 俺の足は自然とはや足になっていた。
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