俺の居場所を探して

夜野

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従者になる為の毎日の厳しい躾に慣れ、忙しい合間を縫ってこの国の知識を入れる為に城にある資料を漁って知識を叩き込み考えていると…。


(なるほどこの国は気候が温暖で、日本と似ているな。都市や交通機関が発達していて治安が良い。特産は織物や刺繍の手仕事や畜産に農業そこそこ国力が有るんだなぁ…)

(王国制で、王族は王、正妃、側室、その子達第一王子から第四王子、姫は三人いるのか。現代に当てはめると凄い子だくさんだなぁ。中世の時代では当たり前かも知れないし、世襲問題が勃発するんだな)

 資料をめくっているうちに婚姻に関係する項目を見つけその文に目が釘付けになる。


 なになに婚姻は政略結婚は当たり前だが、好意を持つ同士も良くて、で同性異性問わない?同性異性問わないとはどういう事なんだ?

同性とは?自分の体で当てはめてみる。当たり前だが子供が産める様な体の造りではない。考えてみても思いつかない。頭が混乱しそうになった時、次の文を見て目が点になった。

 
『同性は、子を授けたい相手に術式を組み受胎可能にさせる魔法が有るのか!!』


どうやってその発想になったのか…。この国で決まりが出来る位の色々な事があったんだろうなと思ってしまった。
と言う事は、もしかして莉央と王子もお互い愛し合っていたら子供を作る事も出来るんだ!!
いや莉央だけじゃないもしかして自分も体を変えられたら子供を産む事が…。
想像してみて冷や汗がどっと出て来そうになった時。


「何しているのですか?」


気安く話かけられ、振り向くと本棚に凭れてアリューシャ王子が微笑んでここを見ていた。

「で、殿下」

急ぎ臣下の礼を取る。

「あーそんな堅苦しいのは良いです」

と王子はにこやかに言った。

礼を解いて俺は王子にたずねてみる。

「殿下はどうして此処に?聖女様の所に行かれているのではないのですか?」

 俺は莉央を聖女様と呼ぶ様に厳しく叩き込まれている。

「今日は政務が有ったのです。終わって移動している時にちょうど君の姿が見えたので何しているのかと思いまして」

 王子と俺は立場が違うので会う機会が無い。今もたまたま運が向いていたのか奇跡的に会えただけだ。

「えっと、この国の事を知りたくて資料を見ていました」
「そうですか。この国を知る事は此処で生きて行く為に必要な事ですね」
「それで気になる事があって殿下にお尋ねしたいのですが宜しいですか?」
「ああ良いですよ。何が知りたいのですか?」

 王子は俺が持っていた資料を覗きこむ。
さらさらとした金髪とふわっとした甘い匂い。
首元と鎖骨がちらっと見えて俺は少し目のやり場に困ってしまった。

 お、王子近いです。イケメンが近くにいたらそりゃドキドキするよね?

 変に焦り出した俺を見て王子は首を傾げた。
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