6 / 15
6
しおりを挟む歴代の聖女一の魔力と全ての魔法属性を持っている?
もう何からツッコんだらいいのか分からなかった…。
莉央は可愛らしい見た目と媚る仕草、それに歴代一の魔力と全属性の魔法が有る。例えるならばラノベで言う最強の主人公に違いなかった。
それにもう一つ気になる事が有る。
『歴代の聖女』とは?
この国は今まで何回も聖女を召喚していると言う風に聴こえた。何度も国が危険な目に合っていて、その度に聖女を呼んでいる…。
危険な目に合わなかっただろうか?大丈夫だったのか?
元居た世界に帰れただろうか?
莉央とは仲が悪いけどもし同じ事を押し付けられるのであれば、ただでは済まないかもしれない。
魔力量が凄いと言われても危険な事には変わりはない。
そう考えると複雑な気持ちだ。
「響也兄さん!!」
考えに没頭して莉央の呼び掛けに気付かないでいた。
「今度は兄さんの番。早くしてよね!」
「分かったよ」
莉央は腕組して足を鳴らしイライラした雰囲気を出している。
面倒くさいなぁと思いながら神官が持っている魔法の板に手を置いたのだった。
板は光る事も無く、うんともすんとも反応しなかった。
「本当に?俺何も無いの?」
莉央って程では無いけどちょっとは期待してた。俺もこの世界に呼ばれたのだから、俺も魔法を持っているのかな?持っているとしたらどんな属性なんだろうとワクワクしていたんだ。
分かり易い位ガックリと肩を落とす俺。それを見てくすくす笑う莉央。俺お付き決定じゃん。泣きそう。
「はー何も無かったのですか。聖女様のお兄様なので何か有ればと思ったのですが」
残念そうに老年の神官が言う。
「兄はこれで良いのです。僕の面倒をみてもらう事で僕も集中して国の守りに専念出来ます」
それはそれは良い笑顔で莉央が笑う。うん。本人は至って真剣に言っているんだろうな。 はぁ…。
「では今後の事なのですが、聖女様には一刻も早く魔法を習得して頂きます。魔法には攻撃魔法、防御魔法、補助魔法、回復魔法、他にその他諸々がございますが今大まかな物はこれ位覚えれば宜しいかと」
「我が国には魔法の事を全て扱います専門の省がございまして、魔術省と言います。そちらの特級魔導士の指導で魔法を修めてもらいます」
と老年の神官が言う。
うわぁ~なんて高待遇。羨ましい。俺も成りたいなぁ~魔法使い。
「そしてお兄様は聖女様のお付きに成るのですから、城の執事頭の指示に従って侍従の何たるかを一から叩き込んでもらいます!!」
うへぇ~やだぁ~。ここに来てまで莉央に振りまわされなきゃならないの?
絶対やだ。将来絶対逃げてやる。
そう俺は心に誓ったのだった。
21
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説

僕の王子様
くるむ
BL
鹿倉歩(かぐらあゆむ)は、クリスマスイブに出合った礼人のことが忘れられずに彼と同じ高校を受けることを決意。
無事に受かり礼人と同じ高校に通うことが出来たのだが、校内での礼人の人気があまりにもすさまじいことを知り、自分から近づけずにいた。
そんな中、やたらイケメンばかりがそろっている『読書同好会』の存在を知り、そこに礼人が在籍していることを聞きつけて……。
見た目が派手で性格も明るく、反面人の心の機微にも敏感で一目置かれる存在でもあるくせに、実は騒がれることが嫌いで他人が傍にいるだけで眠ることも出来ない神経質な礼人と、大人しくて素直なワンコのお話。
元々は、神経質なイケメンがただ一人のワンコに甘える話が書きたくて考えたお話です。
※『近くにいるのに君が遠い』のスピンオフになっています。未読の方は読んでいただけたらより礼人のことが分かるかと思います。

王子様から逃げられない!
白兪
BL
目を覚ますとBLゲームの主人公になっていた恭弥。この世界が受け入れられず、何とかして元の世界に戻りたいと考えるようになる。ゲームをクリアすれば元の世界に戻れるのでは…?そう思い立つが、思わぬ障壁が立ち塞がる。

ヒロインの兄は悪役令嬢推し
西楓
BL
異世界転生し、ここは前世でやっていたゲームの世界だと知る。ヒロインの兄の俺は悪役令嬢推し。妹も可愛いが悪役令嬢と王子が幸せになるようにそっと見守ろうと思っていたのに…どうして?

僕のユニークスキルはお菓子を出すことです
野鳥
BL
魔法のある世界で、異世界転生した主人公の唯一使えるユニークスキルがお菓子を出すことだった。
あれ?これって材料費なしでお菓子屋さん出来るのでは??
お菓子無双を夢見る主人公です。
********
小説は読み専なので、思い立った時にしか書けないです。
基本全ての小説は不定期に書いておりますので、ご了承くださいませー。
ショートショートじゃ終わらないので短編に切り替えます……こんなはずじゃ…( `ᾥ´ )クッ
本編完結しました〜

代わりでいいから
氷魚彰人
BL
親に裏切られ、一人で生きていこうと決めた青年『護』の隣に引っ越してきたのは強面のおっさん『岩間』だった。
不定期に岩間に晩御飯を誘われるようになり、何時からかそれが護の楽しみとなっていくが……。
ハピエンですがちょっと暗い内容ですので、苦手な方、コメディ系の明るいお話しをお求めの方はお気を付け下さいませ。
他サイトに投稿した「隣のお節介」をタイトルを変え、手直ししたものになります。

ある意味王道ですが何か?
ひまり
BL
どこかにある王道学園にやってきたこれまた王道的な転校生に気に入られてしまった、庶民クラスの少年。
さまざまな敵意を向けられるのだが、彼は動じなかった。
だって庶民は逞しいので。
乙女ゲームが俺のせいでバグだらけになった件について
はかまる
BL
異世界転生配属係の神様に間違えて何の関係もない乙女ゲームの悪役令状ポジションに転生させられた元男子高校生が、世界がバグだらけになった世界で頑張る話。
後輩に嫌われたと思った先輩と その先輩から突然ブロックされた後輩との、その後の話し…
まゆゆ
BL
澄 真広 (スミ マヒロ) は、高校三年の卒業式の日から。
5年に渡って拗らせた恋を抱えていた。
相手は、後輩の久元 朱 (クモト シュウ) 5年前の卒業式の日、想いを告げるか迷いながら待って居たが、シュウは現れず。振られたと思い込む。
一方で、シュウは、澄が急に自分をブロックしてきた事にショックを受ける。
唯一自分を、励ましてくれた先輩からのブロックを時折思い出しては、辛くなっていた。
それは、澄も同じであの日、来てくれたら今とは違っていたはずで仮に振られたとしても、ここまで拗らせることもなかったと考えていた。
そんな5年後の今、シュウは住み込み先で失敗して追い出された途方に暮れていた。
そこへ社会人となっていた澄と再会する。
果たして5年越しの恋は、動き出すのか?
表紙のイラストは、Daysさんで作らせていただきました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる