俺の居場所を探して

夜野

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 歴代の聖女一の魔力と全ての魔法属性を持っている?


もう何からツッコんだらいいのか分からなかった…。
莉央は可愛らしい見た目と媚る仕草、それに歴代一の魔力と全属性の魔法が有る。例えるならばラノベで言う最強の主人公に違いなかった。
それにもう一つ気になる事が有る。


『歴代の聖女』とは?


この国は今まで何回も聖女を召喚していると言う風に聴こえた。何度も国が危険な目に合っていて、その度に聖女を呼んでいる…。
危険な目に合わなかっただろうか?大丈夫だったのか?
元居た世界に帰れただろうか?
莉央とは仲が悪いけどもし同じ事を押し付けられるのであれば、ただでは済まないかもしれない。
魔力量が凄いと言われても危険な事には変わりはない。
そう考えると複雑な気持ちだ。


「響也兄さん!!」


考えに没頭して莉央の呼び掛けに気付かないでいた。


「今度は兄さんの番。早くしてよね!」
「分かったよ」


莉央は腕組して足を鳴らしイライラした雰囲気を出している。
面倒くさいなぁと思いながら神官が持っている魔法の板に手を置いたのだった。
板は光る事も無く、うんともすんとも反応しなかった。



「本当に?俺何も無いの?」

 
 莉央って程では無いけどちょっとは期待してた。俺もこの世界に呼ばれたのだから、俺も魔法を持っているのかな?持っているとしたらどんな属性なんだろうとワクワクしていたんだ。
分かり易い位ガックリと肩を落とす俺。それを見てくすくす笑う莉央。俺お付き決定じゃん。泣きそう。


「はー何も無かったのですか。聖女様のお兄様なので何か有ればと思ったのですが」



残念そうに老年の神官が言う。


「兄はこれで良いのです。僕の面倒をみてもらう事で僕も集中して国の守りに専念出来ます」


それはそれは良い笑顔で莉央が笑う。うん。本人は至って真剣に言っているんだろうな。 はぁ…。


「では今後の事なのですが、聖女様には一刻も早く魔法を習得して頂きます。魔法には攻撃魔法、防御魔法、補助魔法、回復魔法、他にその他諸々がございますが今大まかな物はこれ位覚えれば宜しいかと」
「我が国には魔法の事を全て扱います専門の省がございまして、魔術省と言います。そちらの特級魔導士の指導で魔法を修めてもらいます」


と老年の神官が言う。 
うわぁ~なんて高待遇。羨ましい。俺も成りたいなぁ~魔法使い。


「そしてお兄様は聖女様のお付きに成るのですから、城の執事頭の指示に従って侍従の何たるかを一から叩き込んでもらいます!!」

 うへぇ~やだぁ~。ここに来てまで莉央に振りまわされなきゃならないの?

 絶対やだ。将来絶対逃げてやる。
 そう俺は心に誓ったのだった。
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