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しおりを挟む「莉央お前…。そんな事の為に俺を此処に呼んだのか?そこまで腐っていたのか。俺の事はどうでも良いんだな?」
「当たり前じゃないか。小林家で家事が出来る兄さんを差し置いて誰が僕の面倒をみてくれるの?」
「王城に上がるのであれば侍従に面倒をみてもらえばいいだろう!!」
「え~これは兄さんにしか出来ない名誉な事なんだよ?」
目をキラキラさせて俺を見る莉央。
「冗談じゃない。家では共働きの両親を手伝いながら長い間家事を熟して来た。両親を支え幼かった頃の妹の面倒をみて来た。
お前にこき使われる為の物じゃない!!」
俺は莉央を鋭く睨み付ける。
「まぁまぁ二人共そんなに怒らずに今は聖女様の力がこの国には必要で、これからの事を話し合おうじゃないか」
見かねた王子が俺達の仲裁に入る。そうやって元の世界で妹の朱里(あかり)に同じ事をして貰っていたんだっけ…。俺達二人がここに来て兄妹で独りになった朱里は寂しい思いをしていないだろうか…。
「では聖女様のお兄様の件は一先ず保留という事にして頂くとして…。先ずは聖女様とお兄様の魔力量と魔力の種類を調べましょう」
老年の神官は部下に何やら命じている。時も経たずに部下は正方形の形の透明な石板を腕に抱えて此処に戻って来た。
「これは?」
俺が老年の神官に尋ねると神官は口元の皺をほころばせて笑みを浮かべる。
「ほっほっほ、これは魔力を測ったり、調べたり便利な魔法の板なのじゃ!」
どうじゃと言わんばかりに得意げな表情を作る。
そのまんま見たまんまじゃあねーか。
神官が持っている魔法の板を覗き込めば、見たことも無い不思議な形をした図形やうねっている文字の下の方に手を置くのだろうか、手形の形の窪みみたいな物が見える。
「さぁさぁ、聖女様。この手の形の窪みに貴方様のお手を重ねて魔力を調べましょう」
そう言うと老年の神官は莉央の前に板を差し出し、手を重ねさせしばらく板の反応を注意深く観察している。
やがて板は当たりを照らす勢いで金色色に輝き出した。
「こ、これは…!!」
老年の神官は眉間に皺を寄せ難しい表情で魔法の板を見つめている。そして周りの神官も意味を悟ったのかざわざわし始めた。額に汗を浮かべ驚愕の顔で隣の神官とヒソヒソ会話し、お互い信じられないという顔をしていた。
俺も周りの反応を見て心配になり不味い事なのか?と老年の神官に聞いてみた。
「何が起こったのですか?」
「信じられない事ですが聖女様の魔力は板の反応を見る限り、その魔力量は歴代の聖女一であり、全ての魔法を持っている尊いお方なのです!!」
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