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④
しおりを挟む「聖女様。貴方様のお名前をお教え願えますかな?」
「小林莉央です」
「ふむ…。名字があるのは貴方様は御貴族様ですかな?」
「いぇ、僕達が居た国は全員が名字を持っていて、僕は貴族では無いです」
「左様でございますか」
「聖女様は聖女様であって、愛の前には貴族であろうと平民であろうと私達には些細な事だ。それに聖女様の立場は王族と同列の地位にある。これで問題無い」
王子が得意げに神官に御託を並べている。
神官は王子に視線を投げかけると王子は察したのか身を引いた。
なるほど。明確な力関係があるのか。
「こほん。聖女様。遅くなりましたが王子様をご紹介致します」
老年の神官は王子を俺達の眼前に促した。
今?このタイミングで?最初に紹介すべきでは?
俺はひとり心の中でツッコミを入れる。
「私はこのガルド国の第一王子でアリューシャと言います。聖女様達は王族の血を媒体にして召喚するので、私が直接呼びました」
金髪碧眼のこれぞ王子様と言う王子様は顔に掛かった髪をかき上げ優雅に笑みを浮かべました。
これが異世界の王子様…。
完璧な顔立ちに余裕がある仕草。
ほぅ王子様という者はこういう者なのかと俺は感心したのだった。
ん? スルーしたけど最後の方に血で召喚とか大事な事言ってなかった?
「そして貴方様は?」
老年の神官は俺に向き直ると名前を尋ねた。
莉央、王子、神官達の視線が集まり見られている居心地の悪さに変な汗が流れる様な奇妙な感触を感じる。
「あ、莉央の兄の小林響也と言います」
「なるほど。聖女様のお兄様でしたか。それでは聖女様の召喚に巻き込まれたという事ですかな?」
「いぇ、僕自身の世話をしてもらう為に王子様にお願いして呼んでもらったのです」
さらっと悪びれる事なく莉央が言う。莉央の返答に俺は目を見開き開いた口が塞がらなかった。
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