俺の居場所を探して

③

 



「この世界にようこそお越しくださいました。聖女様。…とお付きの方」


　殿下と呼ばれた男は見目麗しい金髪の長髪と美貌で世界中の女性を一瞬で虜に出来る笑顔を浮かべ俺達に微笑む。


　くっ……。なんて破壊力。
　だ、駄目だ。目が殺られる…。　
　こ、こいつは手強い。　
　俺の残りの生命力はゼロだ…。



それに取って付けた様な最後の「…とお付きの方」って…。完全に俺の事じゃあないか！



王子は莉央の前に来て跪くと手を取りそっと口付けた。



「この世界に聖女様をお呼びしたのは国の守りである結界が脆弱化し、人々が魔物の脅威に曝されているのです。どうか聖女様の御心と御力でこのガルド国をお救いください」


王子が熱ぽい目線で莉央を見上げ見つめている。
二人は周りなんて視界に無いかの様に自分達の世界を作り上げ暫し見つめ続けている。お互いが美男同士であれば好意を持つのは必然だった。しかし男同士。そこの所は良いのか王子様…？　愛は性別を越えるのか？

　


　莉央は頬を染めふわっと微笑み得意のうるうる攻撃を披露している。



「はい、分かりました。僕の力で良ければお役立てください」
　
　
   まぁ～かわい子ぶっちゃって。まぁ腹黒そうな同士気が合いそうですね。巻き込まれている身としてはたまったものじゃないんだけどね。



「ありがとう。聖女様の御力でこの国は救われます」



王子は立ち上がり莉央の腰に手を回し引き寄せ体を密着させた。そして当たり前の様に優雅に微笑む。
一連の手慣れた動きに俺は目を見開いた。莉央は頬を染め王子の逞しい胸に顔を寄せる。



二人の空間にピンク色の甘い雰囲気が出来上がっていて、神官達はこれが日常茶飯事なのか生暖かい目で二人を見ていた。



暫くそうやって抱きしめ合っていた二人を周りが焦れてきたのか神官達の中で権威ありそうな老年の方がこほんと咳払いをする。咳に気づいたのか二人はこっちを振り返った。
そして、老年の神官は莉央に向かって語りかけ始める。