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魔王時代編
16.城を建て直そう
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魔法の修業が進み、魔剣を手に入れた俺は、ようやく魔王と呼ぶに相応しい力を手に入れた。次にやるべきことを考えた時、半壊した魔王城の再建が思い浮かんだのだ。魔王の拠点はやはり城だろう。
エレナが俺に尋ねた。
「ここを拠点にするつもり?」
「立地的にも良さそうだし、修繕すれば使えそうだと思ったんだけど。駄目そうか?」
「てっきり新しく造るつもりだと思ってたわ」
「俺もできるならそうしたいけど、さすがに時間がかかりすぎる」
こうしている間にも、人間達は魔界へ侵攻しつづけている。本当なら今すぐにでも反撃に出たいところだがが、今のままでは戦力的に厳しい。
俺が魔王として立ち上がれば、いずれ人間側に勇者が誕生するだろう。圧倒的戦力差をなんとかしなければ、目的の未来までたどり着けないと感じた。
「仲間集めに領土の奪還、やることは山ほどあるんだ。手っ取り早くが最優先だろ」
「それもそうね」
エレナは会話の中で納得した。
俺達は一旦魔王城から外に出て、外観が見渡せる場所に立った。
「それでベル君、どうやって修繕するつもり? まさか手作業なんて言わないわよね」
「当たり前だろ。こんなの手作業で直してたら何年かかるか……」
ちゃんと考えはあった。俺はムウへと視線を向ける。
「ムウ、お前の力を貸してくれ」
「我輩でありますか?」
「ああ」
ムウは想像を具現化する魔法が記された魔道書だ。その魔法と、無限になった俺の魔力を合わせれば、城の修復は可能だと予想した。
俺はムウを右肩に乗せ、両手を城へかざしながら目を瞑る。
「ムウ、俺のイメージに合わせるんだ」
「了解であります!」
俺は連想した。かつて勇者として攻め入った魔王城を。そのイメージをムウと共感して、魔道書に記された本来の魔法を発動させる。ムウに記されているのは【錬成魔法:クリエイト】という魔法である。この瞬間、俺はクリエイトを媒介にして新しい魔法を生み出した。
破壊された城を、以前の状態へ復元させる魔法……時を遡る魔法――
「【回帰魔法:クロノスヴェール】」
半壊した城がみるみる復元されていく。城の時間が逆戻りして、砕け散っていた破片すら復活していく。
回帰魔法という新しい種類の魔法は、こうして誕生したのだ。
「完成だ」
俺は復元した城を自慢げに眺めていた。その様子を横目に見ていたエレナは、修業の終わりを予感したのだった。エレナは一人微笑み安堵していた。
俺が魔王として世に名を広めるまで、あと僅かかもしれない。
エレナが俺に尋ねた。
「ここを拠点にするつもり?」
「立地的にも良さそうだし、修繕すれば使えそうだと思ったんだけど。駄目そうか?」
「てっきり新しく造るつもりだと思ってたわ」
「俺もできるならそうしたいけど、さすがに時間がかかりすぎる」
こうしている間にも、人間達は魔界へ侵攻しつづけている。本当なら今すぐにでも反撃に出たいところだがが、今のままでは戦力的に厳しい。
俺が魔王として立ち上がれば、いずれ人間側に勇者が誕生するだろう。圧倒的戦力差をなんとかしなければ、目的の未来までたどり着けないと感じた。
「仲間集めに領土の奪還、やることは山ほどあるんだ。手っ取り早くが最優先だろ」
「それもそうね」
エレナは会話の中で納得した。
俺達は一旦魔王城から外に出て、外観が見渡せる場所に立った。
「それでベル君、どうやって修繕するつもり? まさか手作業なんて言わないわよね」
「当たり前だろ。こんなの手作業で直してたら何年かかるか……」
ちゃんと考えはあった。俺はムウへと視線を向ける。
「ムウ、お前の力を貸してくれ」
「我輩でありますか?」
「ああ」
ムウは想像を具現化する魔法が記された魔道書だ。その魔法と、無限になった俺の魔力を合わせれば、城の修復は可能だと予想した。
俺はムウを右肩に乗せ、両手を城へかざしながら目を瞑る。
「ムウ、俺のイメージに合わせるんだ」
「了解であります!」
俺は連想した。かつて勇者として攻め入った魔王城を。そのイメージをムウと共感して、魔道書に記された本来の魔法を発動させる。ムウに記されているのは【錬成魔法:クリエイト】という魔法である。この瞬間、俺はクリエイトを媒介にして新しい魔法を生み出した。
破壊された城を、以前の状態へ復元させる魔法……時を遡る魔法――
「【回帰魔法:クロノスヴェール】」
半壊した城がみるみる復元されていく。城の時間が逆戻りして、砕け散っていた破片すら復活していく。
回帰魔法という新しい種類の魔法は、こうして誕生したのだ。
「完成だ」
俺は復元した城を自慢げに眺めていた。その様子を横目に見ていたエレナは、修業の終わりを予感したのだった。エレナは一人微笑み安堵していた。
俺が魔王として世に名を広めるまで、あと僅かかもしれない。
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