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閑話(不定期期更新)

旅の道中①

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 これはレイブ達が出会い、ともに王都を目指す途中にあった出来事。

「さて、王都はどっちだ?」

 上空に飛び上がったヒポグリフは、ある程度の高度まで上昇して留まった。

「おそらくあちらの方角です」

 アリスが指を指して教える。ヒポグリフをその向きへ変える。

「よし!」

 前進を開始した。心地良い風をその身に受けながら進む。

「そうだ! 一応確認しておくけど、この進路で行って危険な場所とかないよね?」

「無いと思いますよ? 地上ならともかく上空なら……あっ、そういえば……」

「ん? 何かあるの?」

 アリスが何かを思い出したようだ。俺は前進を続けながらその話を聞く事にした。

「以前に聞いた話なのですが、この地域には大きな渓谷が二つあって、そこには大量のワイバーンが生息しているそうです。」

 ワイバーンは、火を吐く小型のドラゴンである。非常に強力な魔物で、魔族でも単独で挑めば死の危険があるほどだ。

「へぇ~ その渓谷がこの進路上にあるわけ?」

「いえ、違います。二つの渓谷はここよりずっと東西に行った地点のはずです」

「なら問題ないんじゃ……」

「ですが一年に一度、ワイバーン達は渓谷から渓谷へ大移動するのです。そしてこの進路上に、ワイバーン達が通るルートも重なっています」

 ワイバーンには住処を定期的に変え、群れで動く習性がある。大移動の話を聞くのは初めてだった。

「ふ~ん、大移動か」

「はい。ですがそれを行うのは一年に一度だけ……余程運に見放されていない限り、遭遇する事は無いと思いますが」

「そうか。だったら俺達は――」

 前進を続ける進路上、そこに視線を戻す。遮るものは何一つなかった上空を、奴らは遮っていた。もうお分かりだろう。

「相当運が悪いんだな」

 目の前には、空を覆いつくすほどのワイバーンが横断していた。

「う、嘘!?」
 リルネットが驚く。

「いや結構前から何となく見えてたんだけどな? アリスの話聞いて納得したよ」

「何を暢気に行ってるんですが!? 気付かれる前に早くここから逃げないと!」

「もう気付かれてるよ?」

 ワイバーンの群れは、既に進行方向を変えていた。さらにその奥、ワイバーンより数倍大きなドラゴンがいる。
「レッドドラゴン?? 現代における最上位のドラゴンがどうして!」

「さぁな、もしかしたらこいつがワイバーンの群れを率いてるのかも」

 ドラゴンはワイバーンの群れをなして移動している。レイブ達は運悪くその移動に遭遇してしまったのだ。
 はたして彼らはどう対処するのだろうか。

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2月中は、不定期で番外編を投稿します。
新章の開幕は3/2(土)からになりそうです。
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