溜息ばかりの毎日・・・、今朝も気付いてくれないの?

こころ和み庵

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【最後のお話】溜息ばかりの部屋だったのに、同じ部屋なの・・・?

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カツッ、カツッ、ずずず・・・、バタン!




踵を引きずるように帰ってきた・・・。



「くつさん、大丈夫???やっと家に着いたから休んでね」



鞄さんが、くつさんの傍から離されるかのように
リビングに運ばれて行くと・・・、



カウンターキッチンの上にある、お皿やコーヒーカップ達が
心配していました





「なんだか、今朝よりも溜息が増えているよね~」
「今日も、何があったのかしら・・・」
「何があったんですか?って、なんて聞けないしね・・・」



「一人暮らしをしていると思っているのは、あなただけなのよ!」
「そうだよ!他にもいっぱいいるよね?テレビのリモコンだって
 いつも心配してくれているのに~」



「一人暮らしどころか、100人家族かもしれないよ!」





でも・・・、動けない私たちは、心配する事しかできないよ
でも・・・、溜息じゃない何かに変えてあげたいんだ





疲れて寝ている間に、それぞれの場所から意見を出し合ってみました



動けない ⇒ 何もできない ⇒ でも何かしたい ⇒ どうすれば良いの?
⇒ 話せない ⇒ 伝えられない ⇒ でも気付いて欲しい・・・☆



そのループを何度も繰り返している内に、朝になってしまいました





バシャ、バシャ、ジャー、キュッ!
顔を洗い終わると鏡の自分と目が合いました



いつもは、溜息で再び曇らせてしまうのに・・・、



「あっ?やだぁ~。泣き過ぎて、こんなに目が晴れちゃったわ
 でも、誰もそんなの気にしないだろうし、まあいいっか♪」



リビングで、珈琲を一口飲むと・・・、
「あっ?美味しい!いつも飲む珈琲豆よね?
 こんなに美味しかったのね♪」



テーブルの上のトーストを一口食べると・・・、
「あっ?すごく美味しいんだけど?いつものパンとジャムよね?
 あ~、なんだか満たされる♪」




台所では、まさかの鼻歌を歌いながら食器を洗っています♪
お皿のパンくずを流す水も、なんだかワルツを踊っているかのようです




そして、出掛ける時間になりました




「あっ?やだぁ~、ごめんね。こんなに傷んでしまったのね
 帰りに修理してもらって、綺麗にしてもらおうね♪」




「もう、やだぁ~!靴もすり減っているじゃない。
 大事にしてあげれなくて、本当にごめんね。
 帰りに、鞄と一緒に綺麗にしてもらいましょうね♪」




そして靴を履き終わると、くるりと振り返り部屋を見渡すと・・・、



「行ってきます~!!」



洗面所まで、聞こえるような大きな声で、挨拶をしてくれたのです!!




カツッ、カツッ、カツッ、靴の音が聞こえなくなると・・・、
誰も居ないはずの部屋なのに、まだ誰かがいるかのようでした☆









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